食後8時間後、歯にプラークが

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30歳以上の成人の約80%が歯周病に

Vol 104

 「1㍉㌘中におよそ400~700種類、10億~1000億以上の細菌が存在して、あなたの健康を損なう危険性を作ります」。これは何を説明していると思いますか?
 これは「プラーク」のことです。あなたの口の中に残った食べカスは食後8時間もすると、細菌が繁殖して歯の表面にまるでラップをかけたようにへばりつきプラークになります。プラークがへばりついてしまうと、うがい薬やマウスウォッシュではプラークの内部まで浸透することはできず、歯間ブラシや歯ブラシによって物理的にはがすしか手がありません。
 さらに2014年にライオン㈱が行った調査によると、歯磨きなどで磨き残したプラークは一般に7割もあるといわれています。
 プラークが石灰化してできる硬い塊が「歯石」。歯石になったプラークの中の細菌はだんだん数が増え、しかも歯石の中は酸素が少ないために酸素を嫌って育つ嫌気性菌が増えていきます。そこで増えた嫌気性菌が作り出す毒素によって、歯を支えている骨がダメージを受け、溶けてなくなっていくのが歯周病です。そして嫌気性菌が発生するガスが口臭になります。
 私は乳歯から永久歯に生え変わる時に上の歯が前歯2本以外しばらく生えてこず、ビーバーのようでした。あまりに長い間生えてこないので口腔外科を受診して手術をし、そこから5年近く歯科矯正をしました。今から30年以上前、歯科矯正は保険ではできなかったため、相当なお金を親は私の歯にかけてくれていたのだと思います。
 なので、歯は一生大事にしようと思い、とても大事にしていたつもりでした。でも、歯科矯正を終えてからは虫歯もできず歯のことで不具合が無かったために歯医者には通っていませんでした。
 娘が生まれて3歳半健診。なんと健診の中に親子歯科検診があり、そこで「歯石がたまっている! 歯石は歯周病の原因ですからね!」とその時の担当の先生に厳しく言われて背中がゾーッとし、慌てて歯科に駆け込みました。なぜ、ゾーッとしたかというと、このまま放っておくとお金を賭けた歯が無くなってしまうかもという恐怖と、歯周病になれば様々な健康被害が出ることを知っていたからです。
 厚生労働省の平成23年歯科疾患実態調査によると、30歳以上の成人の約80%が歯周病になっているともいわれています。歯周病は「サイレントディジーズ:静かなる病気」ともいわれ、重症化するまでは自覚症状がないまま慢性的な炎症が持続します。
 炎症が持続することにより、全身にさまざまな影響を与えることが分かっています。たとえば、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、誤嚥性肺炎、心筋梗塞・動脈硬化、早産・低出生体重児、アルツハイマー病、がん、などです。 歯周病を治療すると、これらの疾患が改善するというのはよく知られた話です。もしかして、と思
われる方はまず口腔ケアをおすすめします。ということで、次回はもう少し歯周病について深堀していきます。女性ホルモンと歯周病も大いに関係があることもお伝えしますね。お楽しみに!
 (たかき医院・仲栄美 子院長)