再び原発問題
5月18日本紙の社説見出しは「6月議会、どうする原発問題」だった。
昨年末から柏崎刈羽原発の再稼働手続きが再開され、今後は地元同意の可否が焦点となる。
3月には刈羽村・柏崎市議会で、早期再稼働を求める請願が採択されている。県は3月24日、6、7号機を再稼働した場合の経済効果は10年間で4396億円と公表した。廃炉時、稼働停止時を大きく上回る。
知事は「自身の見解を表明して、県民に信を問う」との考えを変えず、今はその時期ではないと言う。でも、経済効果公表など「前のめり」をアピールしている。
社説の話に戻って、12・14日付け『新潟日報』は、県内市町村長、県議会議員、県選出国会議員への再稼働アンケート結果を載せた。概要は日報社ホームページでも見ることができる。
ざっと見たところ、県議は全体として東電への信頼度が低く、「現時点での再稼働に慎重」。一方、市町村長、特に原発から30㎞圏外の方は「他人事」という印象だ。
ほかに、「知事の『県民の信を問う』手法はどうすべきと考えるか?」の設問に対して、30市町村長のうち津南町を含む8市町長が「議会提案」と答えている。はて?
「日本は議会制民主主義」(柏崎市)、「県民代表の県議会での議決による判断によるべき」(津南町)の建て前は正しい。8人の首長は普段から地元議会の判断を大いに尊重しているのだろう。
だが、福島第一原発事故の過酷さを知った以上、議会だけで決めるというのはいかがか。
地方自治は国政と同様に間接民主制だが、その中には直接請求制度のような直接民主主義的な手法が組み込まれている。そして、地方自治の本旨は住民自治のはず。
1996年に旧・巻町で原発立地の是非を問う住民投票が行われ、「反対」60%余で原発建設は回避された。ここに学ぶべきことはないだろうか。
福島には今も帰還困難区域がある。住んでいた方々は、避難命令であれ、「自主避難」であれ、家も家財も家畜も、生業(なりわい)も、それまでの人生もそこに残して、身一つで避難した。そのとき誰もが原発は安全でないと悟った。
能登半島地震、尾身県議の会見以来、大地震への懸念、事故時の避難路確保が話題になる。だが、忘れてはいけないのが「核のごみ」だ。課題・問題だらけの原発再稼働。
住民の生命、財産を守るのは政治の一番大切な役目。さあ、6月議会で丁々発止とやってほしい。