朝、目を覚まして窓を開けるとベランダの手すりに米粒が立っていた。
不思議に思い眼鏡をかけ直し、寝起きの開き切らない目を凝らしてみるとやはり小さな玄米が手すりの縁にチョンと立っているのだ。
ベランダに米なんて持っていくわけないし、昨日まで無かった米粒。一体どこからやってきたのだろうと、じっくり観察していると鳥の糞ではないか。きっとスズメだろう。
普段ならまた糞をしていったなと忌々しく思うこともあるのだが、なぜかここに春を感じてしまった。
我が家は木造の家で数カ所スズメが巣をかけている場所がある。冬の間、鳴くこともほとんどせずにどこに行ったのかと思っていれば、暖かくなると、どこからともなくチュンチュンとスズメたちが帰ってくる。
彼らも春になり活発に動くようになり、どこかで米を食べたのであろう。他の鳥に食べられないように慌てて飲み込んだのか、米粒は消化されずそのまま排出されたのだ。私にはこの米粒がどこから来たのか、本当のことは知らないが、我が家のベランダまで来た米粒の物語を想像することは、何とも言えない微笑ましい時間だった。
2024年4月27日号
コシノコバイモ、幻の花とも言われているが、その数はある程度あるみたいだが、なんにせよ緑色の花の色合いと小型の背丈、花が下向き加減でおしとやか。
だからそのつもりで捜さないと、ほとんどの人たちは見つけられないで終わる。普通の花は一茎に一花であるが、この花は一茎に二花付いている。
変化花と言われればそれきりだが、いままで相当の量の花を捜して見ているが、こんな変わった花は初めてである。
たいていカタクリの咲いている時期に咲いているのだが、カタクリと同じで花が終わると、地上茎がサッサと枯れてなくなってしまう。
いわゆる夏眠タイプの花で、キクザキイチリンソウやイチリンソウなどもその仲間、通称はスプリングエフェメラルと言う可憐な名前が付いている。
それにしても、なぜこのような花ができるのかが一番の疑問だが、自然の中に生育する草花は、説明できない内容もおおいのでは。
変わった花を見つけるには、その前に正常の花をしっかりと覚える必要があると言う事を付け加えておく…。
2024年4月20日号
4月、ブナが葉を展開する時期だ。妻有の春はこの新緑で本番を迎える。
植物を撮り始めた頃の1985年から2020年の間、ブナは4月20日前後で芽吹いていた。それがここに来て4月上旬まで早まったなと思っていたら、昨年はなんと3月下旬に見られるまでになった(花をつける年は1週間ほど早まる傾向があるが)。
この樹木は毎年花をつける訳ではなく、5~7年おきに豊作を迎える。その間にも花をつけるものはあるが、2年続けてつけるものが現れるようになった。この場合果実は未熟なことが多いが…。
ここ数年、雪の降り方や春先の高温に戸惑いや不安を感じるようになった。それは動植物にとってそれ以上の危機感だろう。
地球温暖化が叫ばれて久しいがブナの芽吹きが早まったり、頻繁に花をつけるのはそれが原因のひとつなのかもしれない。
今春も4月初めに芽吹きを確認した。山裾が新緑に包まれるのももうすぐだ。
2024年4月13日号
皆さんは山の中でこんな不思議な赤い実を見たことはありませんか?
この写真は9月に撮影したものですが、ナラの葉っぱの上に違和感を感じるようにくっついているこの実。
パッ見ると美味しそうにも見えますが、実はこれはナラハヒラタマルタマバチという体長1㎜ほどの小さな羽の無いハチの卵だそうです。
この赤い実のように虫に寄生され、植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のことを「虫えい」または「虫こぶ」と言い、タマバチの寄生で起こる虫えいをナラハヒラタマルタマフシと呼びます。
ナラハヒラタマルタマバチは幼虫から成虫へと羽化するまで虫えいの中で過ごします。6~7月ごろ産卵が始まり、8~9月にかけて幼虫が入ったまま赤い実のような虫えいが落下し、その虫えいの中で内側を食べながら成長・越冬し、翌年4~5月に成虫となり羽化するそうです。
長引いていた雪も本当に終わりが見え、春の日差しを感じる日が多くなってまいりました。ナラハヒラタマルタマフシを破って小さなハチが出てくる季節です。目にはきっと見えませんが山菜取りなどで山に入った時思い出してもらえたら嬉しいです。
2024年3月30日号
別名がパンダガモ、顔の雰囲気がパンダに似ているから今はパンダガモの名前の方が判りやすいカモ…それにしても綺麗なカモで遠目で見ても存在が判る。
本家のパンダはオスもメスも同じ体色と模様だが、そこはやはり鳥類、やはりオスの方が断然綺麗ですよ…。
写真のようにほぼ純白の体に目の周りが黒い、体のあちこちに黒いラインが目を引きます。で、メスは茶色が多いので地味。
本来は海に近い新潟市の鳥屋野潟や佐潟、上越市の朝日池などで多く見られるが、宮中のダムや信濃川でも時々姿を確認できる。
この時期普通にいるマガモやコガモ、お馴染みのカルガモなどは潜水しないが、このアイサの仲間は潜水して餌を獲る。
特にこのミコアイサは潜水して小魚を狙うというから水中の動きがよほど素早いのだと思う。
まもなく北に帰ると思うがこの写真を見て一度見てみたいと思う方は海岸に近い潟に行ってみると良い。特に新潟の佐潟は見つけやすいと思うのだが。
2024年3月23日号
3月、河川の水はまだ冷たいが水中ではいろんな生き物が活動し始める。浅瀬の石をめくると、カゲロウ、カワゲラ、トビケラなどの幼虫がへばりついている。扁平や細い体で水流をやり過ごしているのだ。
面白いのが糸を吐き出すことができるトビケラの仲間である。種類によってその糸で石にくっついたり、川底の小石や植物片を綴って巣をつくっている。
ニンギョウトビケラは石粒を使って長さ1センチほどの袋状の巣をつくる。不思議なのはその両側にさらに大きい石粒を3~4対くっつけることだ。特徴ある姿が人形に見えることからの呼び名である。巣にはいったまま動き回り食べ物を探す(写真)。
山口県岩国市では「石人形」の名で江戸の時代から人気の土産であったという。錦帯橋を洪水から守るため身をささげた乙女の生まれ変わりとして、七福神や仏様に見立ててのお守りとして人の心をつかんできたのだ。
こんな小さな生き物まで気に留めていた先人の眼力に脱帽である。
2024年3月16日号
森宮交通さんの冬の秋山郷撮影ツアーのガイドとして2日間同行しました。今回の参加者は2年前に同じ企画で参加されたリピーターの方々と香港からの初めての参加者でした。
初めての外国人の参加でちょっと不安もあり、急きょ翻訳アプリを入れましたが、ほとんど日本語で通じました。
今回は2年前の参加者が多かったので前回とは違う撮影地に案内しました。まずは池田の池から見玉不動尊七段の滝、見倉ではバスから降り歩いて木々に薄っすらと積もった降りたての雪を撮りました。私たちには見慣れた景色でも運がよくないとなかなか撮れない光景です。
今回の宿は江戸時代に鈴木牧之が小赤沢で泊まった苗場荘で、当時と同じ茅葺屋根の梁や柱が見られ、牧之の描いた地炉の挿絵の複写が飾ってありました。
食事会場には他の撮影グループもいて、壁には熊の皮が吊るされ、熊鍋を中心とした料理で写真談議に花を咲かせました。
2日目は屋敷の布岩から上野原、穴藤のつり橋など雪の上を歩くことが多かったのでしっかりと踏み固めたのですが、香港からの参加者が雪を踏み抜き転んでなかなか歩けないのです。面白がって転んでいるのかもしれませんが、雪が良い思い出になっていることでしょう。
帰りの車中で津南・秋山郷の四季の写真を見た方から、残雪と芽吹きの撮影がしたいという新たな予約が入ました。そこまで雪が残っているか? 雪が重要なアイティムになっています。
2024年3月9日号
「ゴールデンカムイ」という映画はご覧になりましたか? 明治時代の北海道を舞台にした漫画が原作の映画なのですが、実は津南町にある「見玉公園」がロケ地となっており、冒頭のシーンで数カット見玉公園だと分かる形で使われています。
私は見玉公園からも見える中津川流域の柱状節理が好きで、今回は見玉よりもう少し上流にある高倉山と結東集落の景色をお届けします。
撮影時期は去年の2月26日で、東秋山林道に入り見倉集落に到着する手前で撮影しました。例年3月を目の前にすると雪も落ち着き、気持ちがいい晴れの日が続くようになり、雪が積もっていると岩肌の陰影がはっきりと見えるようになり、この時期しか見られない光景を目の当たりにすることができました。
ふり返ってみると去年の今頃は結東の観測地点で積雪が2mあり、道路の両脇には高い雪壁ができていましたが、今年は去年のおよそ半分です。
すでに地面の見えた所からはフキノトウが顔を出し始め、雪の季節が少なくて少し寂しいような気もしていますが、気温も高く暖かな日差しを感じると春が待ち遠しくなるのでした。
2024年3月2日号
赤い冬鳥のイスカ、尾根上のアカマツ林などに多く飛来していて、マツボックリなどかいっばい落ちていたらこの鳥がいると考えて良い。
このイスカの最大の特徴はくちばしが上下に綺麗に合わさっていない事で、先端が大きく交差しています。鳥のくちばしの形もいろいろとありますが先が交差しているのには訳があります。
この形はマツ類の球果から種子を取り出しやすいように進化したとも言われています。
オスは真っ赤の体が鮮やかですが、メスはオスに比べたらとても地味な色合い。
この仲間のベニマシコやオオマシコ、ナキイスカなどはオスは艶やかな赤色、メスは地味な黄褐色系の色合い。大きさは羽を広げると約28センチもあるので大きめに感じますね。
冬場は他の鳥も一緒にいる事も多くて撮影時にはマヒワの群れやシジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラなども近くにいてとても賑やかな状態でした。
まだ見る事が可能ですので是非アカマツの周辺を捜して見てください。
2024年2月24日号
2月、陽射しにぬくもりを感じるようになると、野草好きの人にとって落ち着かない日々の始まりである。各地から花の便りが聞こえてくるからだ。そんな人たちの琴線をいち早く刺激するのがセツブンソウである。
花期は早い。2月中旬から3月中旬で、それが名の由来となっている。
分布は本州の関東以西で、残念ながら苗場山麓では見ることができない。この花に逢いたければ近場でも群馬県、栃木県、埼玉県や長野県の南部まで足を運ぶことになる。
落葉広葉樹の疎林下で、礫が混じる場所を好む。夏には地上部が枯れてしまうスプリング・エフェメラル(春のはかない命)だ。
草丈は5~10センチ、小さくて可愛い。花は径2センチほど、白い花びらに見えるのは萼片。花びらはしべを囲むように並ぶ黄色い部分で、先が二裂して蜜腺となる面白い形をしている(写真)。
温暖化の影響で、新潟県でもいつか自生が見られるようになるのかも…。
2024年2月17日号
朝、目を覚まして窓を開けるとベランダの手すりに米粒が立っていた。
不思議に思い眼鏡をかけ直し、寝起きの開き切らない目を凝らしてみるとやはり小さな玄米が手すりの縁にチョンと立っているのだ。
ベランダに米なんて持っていくわけないし、昨日まで無かった米粒。一体どこからやってきたのだろうと、じっくり観察していると鳥の糞ではないか。きっとスズメだろう。
普段ならまた糞をしていったなと忌々しく思うこともあるのだが、なぜかここに春を感じてしまった。
我が家は木造の家で数カ所スズメが巣をかけている場所がある。冬の間、鳴くこともほとんどせずにどこに行ったのかと思っていれば、暖かくなると、どこからともなくチュンチュンとスズメたちが帰ってくる。
彼らも春になり活発に動くようになり、どこかで米を食べたのであろう。他の鳥に食べられないように慌てて飲み込んだのか、米粒は消化されずそのまま排出されたのだ。私にはこの米粒がどこから来たのか、本当のことは知らないが、我が家のベランダまで来た米粒の物語を想像することは、何とも言えない微笑ましい時間だった。
2024年4月27日号
コシノコバイモ、幻の花とも言われているが、その数はある程度あるみたいだが、なんにせよ緑色の花の色合いと小型の背丈、花が下向き加減でおしとやか。
だからそのつもりで捜さないと、ほとんどの人たちは見つけられないで終わる。普通の花は一茎に一花であるが、この花は一茎に二花付いている。
変化花と言われればそれきりだが、いままで相当の量の花を捜して見ているが、こんな変わった花は初めてである。
たいていカタクリの咲いている時期に咲いているのだが、カタクリと同じで花が終わると、地上茎がサッサと枯れてなくなってしまう。
いわゆる夏眠タイプの花で、キクザキイチリンソウやイチリンソウなどもその仲間、通称はスプリングエフェメラルと言う可憐な名前が付いている。
それにしても、なぜこのような花ができるのかが一番の疑問だが、自然の中に生育する草花は、説明できない内容もおおいのでは。
変わった花を見つけるには、その前に正常の花をしっかりと覚える必要があると言う事を付け加えておく…。
2024年4月20日号
4月、ブナが葉を展開する時期だ。妻有の春はこの新緑で本番を迎える。
植物を撮り始めた頃の1985年から2020年の間、ブナは4月20日前後で芽吹いていた。それがここに来て4月上旬まで早まったなと思っていたら、昨年はなんと3月下旬に見られるまでになった(花をつける年は1週間ほど早まる傾向があるが)。
この樹木は毎年花をつける訳ではなく、5~7年おきに豊作を迎える。その間にも花をつけるものはあるが、2年続けてつけるものが現れるようになった。この場合果実は未熟なことが多いが…。
ここ数年、雪の降り方や春先の高温に戸惑いや不安を感じるようになった。それは動植物にとってそれ以上の危機感だろう。
地球温暖化が叫ばれて久しいがブナの芽吹きが早まったり、頻繁に花をつけるのはそれが原因のひとつなのかもしれない。
今春も4月初めに芽吹きを確認した。山裾が新緑に包まれるのももうすぐだ。
2024年4月13日号
皆さんは山の中でこんな不思議な赤い実を見たことはありませんか?
この写真は9月に撮影したものですが、ナラの葉っぱの上に違和感を感じるようにくっついているこの実。
パッ見ると美味しそうにも見えますが、実はこれはナラハヒラタマルタマバチという体長1㎜ほどの小さな羽の無いハチの卵だそうです。
この赤い実のように虫に寄生され、植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のことを「虫えい」または「虫こぶ」と言い、タマバチの寄生で起こる虫えいをナラハヒラタマルタマフシと呼びます。
ナラハヒラタマルタマバチは幼虫から成虫へと羽化するまで虫えいの中で過ごします。6~7月ごろ産卵が始まり、8~9月にかけて幼虫が入ったまま赤い実のような虫えいが落下し、その虫えいの中で内側を食べながら成長・越冬し、翌年4~5月に成虫となり羽化するそうです。
長引いていた雪も本当に終わりが見え、春の日差しを感じる日が多くなってまいりました。ナラハヒラタマルタマフシを破って小さなハチが出てくる季節です。目にはきっと見えませんが山菜取りなどで山に入った時思い出してもらえたら嬉しいです。
2024年3月30日号
別名がパンダガモ、顔の雰囲気がパンダに似ているから今はパンダガモの名前の方が判りやすいカモ…それにしても綺麗なカモで遠目で見ても存在が判る。
本家のパンダはオスもメスも同じ体色と模様だが、そこはやはり鳥類、やはりオスの方が断然綺麗ですよ…。
写真のようにほぼ純白の体に目の周りが黒い、体のあちこちに黒いラインが目を引きます。で、メスは茶色が多いので地味。
本来は海に近い新潟市の鳥屋野潟や佐潟、上越市の朝日池などで多く見られるが、宮中のダムや信濃川でも時々姿を確認できる。
この時期普通にいるマガモやコガモ、お馴染みのカルガモなどは潜水しないが、このアイサの仲間は潜水して餌を獲る。
特にこのミコアイサは潜水して小魚を狙うというから水中の動きがよほど素早いのだと思う。
まもなく北に帰ると思うがこの写真を見て一度見てみたいと思う方は海岸に近い潟に行ってみると良い。特に新潟の佐潟は見つけやすいと思うのだが。
2024年3月23日号
3月、河川の水はまだ冷たいが水中ではいろんな生き物が活動し始める。浅瀬の石をめくると、カゲロウ、カワゲラ、トビケラなどの幼虫がへばりついている。扁平や細い体で水流をやり過ごしているのだ。
面白いのが糸を吐き出すことができるトビケラの仲間である。種類によってその糸で石にくっついたり、川底の小石や植物片を綴って巣をつくっている。
ニンギョウトビケラは石粒を使って長さ1センチほどの袋状の巣をつくる。不思議なのはその両側にさらに大きい石粒を3~4対くっつけることだ。特徴ある姿が人形に見えることからの呼び名である。巣にはいったまま動き回り食べ物を探す(写真)。
山口県岩国市では「石人形」の名で江戸の時代から人気の土産であったという。錦帯橋を洪水から守るため身をささげた乙女の生まれ変わりとして、七福神や仏様に見立ててのお守りとして人の心をつかんできたのだ。
こんな小さな生き物まで気に留めていた先人の眼力に脱帽である。
2024年3月16日号
森宮交通さんの冬の秋山郷撮影ツアーのガイドとして2日間同行しました。今回の参加者は2年前に同じ企画で参加されたリピーターの方々と香港からの初めての参加者でした。
初めての外国人の参加でちょっと不安もあり、急きょ翻訳アプリを入れましたが、ほとんど日本語で通じました。
今回は2年前の参加者が多かったので前回とは違う撮影地に案内しました。まずは池田の池から見玉不動尊七段の滝、見倉ではバスから降り歩いて木々に薄っすらと積もった降りたての雪を撮りました。私たちには見慣れた景色でも運がよくないとなかなか撮れない光景です。
今回の宿は江戸時代に鈴木牧之が小赤沢で泊まった苗場荘で、当時と同じ茅葺屋根の梁や柱が見られ、牧之の描いた地炉の挿絵の複写が飾ってありました。
食事会場には他の撮影グループもいて、壁には熊の皮が吊るされ、熊鍋を中心とした料理で写真談議に花を咲かせました。
2日目は屋敷の布岩から上野原、穴藤のつり橋など雪の上を歩くことが多かったのでしっかりと踏み固めたのですが、香港からの参加者が雪を踏み抜き転んでなかなか歩けないのです。面白がって転んでいるのかもしれませんが、雪が良い思い出になっていることでしょう。
帰りの車中で津南・秋山郷の四季の写真を見た方から、残雪と芽吹きの撮影がしたいという新たな予約が入ました。そこまで雪が残っているか? 雪が重要なアイティムになっています。
2024年3月9日号
「ゴールデンカムイ」という映画はご覧になりましたか? 明治時代の北海道を舞台にした漫画が原作の映画なのですが、実は津南町にある「見玉公園」がロケ地となっており、冒頭のシーンで数カット見玉公園だと分かる形で使われています。
私は見玉公園からも見える中津川流域の柱状節理が好きで、今回は見玉よりもう少し上流にある高倉山と結東集落の景色をお届けします。
撮影時期は去年の2月26日で、東秋山林道に入り見倉集落に到着する手前で撮影しました。例年3月を目の前にすると雪も落ち着き、気持ちがいい晴れの日が続くようになり、雪が積もっていると岩肌の陰影がはっきりと見えるようになり、この時期しか見られない光景を目の当たりにすることができました。
ふり返ってみると去年の今頃は結東の観測地点で積雪が2mあり、道路の両脇には高い雪壁ができていましたが、今年は去年のおよそ半分です。
すでに地面の見えた所からはフキノトウが顔を出し始め、雪の季節が少なくて少し寂しいような気もしていますが、気温も高く暖かな日差しを感じると春が待ち遠しくなるのでした。
2024年3月2日号
赤い冬鳥のイスカ、尾根上のアカマツ林などに多く飛来していて、マツボックリなどかいっばい落ちていたらこの鳥がいると考えて良い。
このイスカの最大の特徴はくちばしが上下に綺麗に合わさっていない事で、先端が大きく交差しています。鳥のくちばしの形もいろいろとありますが先が交差しているのには訳があります。
この形はマツ類の球果から種子を取り出しやすいように進化したとも言われています。
オスは真っ赤の体が鮮やかですが、メスはオスに比べたらとても地味な色合い。
この仲間のベニマシコやオオマシコ、ナキイスカなどはオスは艶やかな赤色、メスは地味な黄褐色系の色合い。大きさは羽を広げると約28センチもあるので大きめに感じますね。
冬場は他の鳥も一緒にいる事も多くて撮影時にはマヒワの群れやシジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラなども近くにいてとても賑やかな状態でした。
まだ見る事が可能ですので是非アカマツの周辺を捜して見てください。
2024年2月24日号
2月、陽射しにぬくもりを感じるようになると、野草好きの人にとって落ち着かない日々の始まりである。各地から花の便りが聞こえてくるからだ。そんな人たちの琴線をいち早く刺激するのがセツブンソウである。
花期は早い。2月中旬から3月中旬で、それが名の由来となっている。
分布は本州の関東以西で、残念ながら苗場山麓では見ることができない。この花に逢いたければ近場でも群馬県、栃木県、埼玉県や長野県の南部まで足を運ぶことになる。
落葉広葉樹の疎林下で、礫が混じる場所を好む。夏には地上部が枯れてしまうスプリング・エフェメラル(春のはかない命)だ。
草丈は5~10センチ、小さくて可愛い。花は径2センチほど、白い花びらに見えるのは萼片。花びらはしべを囲むように並ぶ黄色い部分で、先が二裂して蜜腺となる面白い形をしている(写真)。
温暖化の影響で、新潟県でもいつか自生が見られるようになるのかも…。
2024年2月17日号