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妻有新聞掲載記事一覧

  • カメムシ対策、農学部教授の教え

    ベンガラの効能

    長谷川 好文 (秋山郷山房もっきりや)

     秋山郷に来て30年近くが過ぎた。春と秋の二度ここでカメムシにいじめられ続けていた。伊勢湾台風後に、防風用に植えられ大きく成長した杉に囲まれた一軒家に昨年まで暮らし、中津川対岸の百㍍ほど先に昔からの旅館「仁成館」があるばかりで、川をはさんで共にカメムシには苦しめられていた。
     中津川右岸の宿は季節ごとの登山客、釣り客、湯治客で雪のない時期は忙しくしていた。私のところはひとり暮らしの古い家で、木端葺きの上にトタンを張った屋根で、秋口になると風のない穏やかな日、カメムシが湧き出すように飛んでくるのだ。ヤマトクサギカメムシと呼ばれていた。この虫が廊下一面にへばりつき触ろうものならとにかく臭く、皮膚に触れると痛く肝を冷やしたものである。
     そのうち「しょうがない」と観念すると、何となくどうにかなってしまうものなのか、その臭いにも慣れてしまったようで、まっ諦めたのだろう。この辺りの人と同じように掴まえた虫をストーブに放り込んだり、自家製のペットボトルに灯油を少し入れて投げこんだりしていた。虫が動く秋や春にはそれぞれ5、6㌔ほどの虫を取ったものである。
     近頃になって旧仁成館も住む人がいなくなると、どうにも中津川左岸の一軒家でのひとり暮らしが面倒になり、対岸の集落で家を探し、見つけて改修工事をし移転をしたのが昨年のことで、そこも同じように虫の多いところだと聞いていた。
    工事が終わって外壁のペンキを選んだのだが、目立たない小さな家でもあり、派手だったがベンガラの塗料を塗ることにした。家は小さな赤い家となって、それなりの存在感を嬉しく感じた。
     昨年の今頃だが、隣の人がやって来て「ここには虫がいないな! みんなワシのところに来てしまったようだ」と笑っていた。そう言われて、はて! と考えると、確かにここではカメムシを見ないと感じた。人とは勝手なもので、ここで虫に気がつかないことに気がついた。見ぬもの清である。外壁に塗布したベンガラの塗料を虫が嫌ったように思えた。
     さて、そうなると今年の秋に飛んでくる虫を強く意識することになる。そこで昨年のベンガラ塗料を取り寄せて考えるのだが、塗れば来ないと言うほど単純ではないだろと、科学する頭がない私にはその先が解らなかった。友人の農学部で教鞭をとる先生に訊くと「ベンガラは酸化鉄で、つまり鉄さびで木材を丈夫にし乾燥すると害虫やカビなどを防ぐ」と言う。塗布した表面が㏗12ほどのアルカリ性となるので酸性域を好む虫は寄り付きにくくなるとも言う。虫が酸性域を好むのかは分からないが、加えるに伝統技術的の柿渋と混ぜて使うとより効果的だろうとも御教授頂けた。
     それならハッカ油なども良いのだろうと検証をしてみることにした。大きめのタッパーに仕切りを立て、塗料を塗布した板と白木の板を別々に置くのだ。飛びくる虫を素手で捕まえては放り込んでおよそ50匹ほども入れて観察してみると、当日から虫は白木の方に集まってベンガラ色の板には数匹の虫を見るだけになった。
     まだまだ観察は続けるが確かにカメムシに対しては効果があるように思えた。昨年塗った外壁が今年も効果が続くのかと気を揉むのだが、な〜に虫が寄って来れば、またベンガラを塗るだけだ!こうなればひとつ、昔年の恨みを晴らしてみようと思った。
     ただ、その矢先2回目の脳梗塞の患者となった私がいた!

    2024年10月12日号

  • 「巨大な蛾ヤママユ」

    照井 麻美(津南星空写真部)

     津南町に移住して、夜のコンビニに行くとさまざまな虫が看板の明かりや照明に集まっていることに驚いた。
    都心では買ったり、わざわざ旅行先に出かけて捕るカブトムシやクワガタも夜の山に入るより簡単にコンビニ前で見つけられたりする。
     それだけ虫たちも多種多様に生息する自然があるからなのだと思う一方、都心では考えられないほどの大きな虫に出会い大変驚いたことがある。
     ある日の入浴中、誰かが窓をたたくような音がすると思い、窓の方を見ると誰もいない。
     風か気のせいと思い、また湯船でくつろいでいるとまた同じような音が聞こえてくるのだ。
     何だろうと思い、窓をずっと見ていると手のひらサイズの蛾が室内の明かり目掛けて窓ガラスに体当たりしていた。
     大きさもさることながら、蛾の厚みと重量感に不気味さを感じ、こんなに大きな蛾が田舎にはいるのかと驚いたことをよく覚えている。
     他にもオニヤンマやムカデなど都心では見かけない大きさの虫に驚くこともしばしばだが、これも都会にはない田舎の良さと今は思えている。

    2024年10月12日号

  • 衆院選は好機、魚沼の広域連携を

     これはチャンスかもしれない。衆院選・新5区に新たに加わる魚沼エリア。これまでも「魚沼」は南魚・北魚・中魚・十日町とされてきた。全国トップ銘柄の魚沼コシヒカリ人気から、魚沼は全国に知れ渡った。だが市町村の境はなかなか越えられず、八箇峠・十二峠の魚沼丘陵を境に人的・経済的交流はなかなか進まない。その魚沼が今回、衆院選というイベントで一つになる。これは好機だ。選挙という政治の場ではあるが、そこに関わるのは人。魚沼丘陵を越え、人と人が交流する場が、今度の衆院選でもある。
     与野党激突の構図、真っ向勝負の一騎打ちだ。選挙活動は不思議なもので、選挙区エリアを自由に動け、行く先、行く先で初めて会う住民と挨拶でき、時には交流もできる。こういう場での出会いは、その後も続く場合が多い。ただ立場の違いは鮮明で、政党を越えての交流はなかなか難しい。だが、それはそれ、これはこれだ。今度の小選挙区再編後の初の選挙は、新たな出会いの場の創出でもあり、出会いにより思わぬ副産物が生まれる可能性がある。
     ふるさと納税で新潟県上位の南魚沼市の魚沼コシヒカリを生み出す田園を目の当たりにできる。初めて十日町など妻有地域に入る南魚の人たちは、奥深い中山間地の実情を知ることになる。その先々に、必ず人の暮らしがあり、経済の営みがある。まさに「魚沼の運命共同体」を感じるのではないか。
     事は選挙、勝負事だ。特に今回、自民現職は重複立候補できない「背水の陣」。地域を巡る活動に、交流などという余裕はとてもないだろうが、実は人と人との出会いが、一票につながる。関わる県議、市町議員は、今度の衆院選活動を、そうした視点で見てほしい。 
     そこに地域医療の課題、広域圏の道路問題、少子高齢化の現実が必ずや目の前に表出する。だからこそ、広域連携が求められる。

    2024年10月12日号

  • 築150年、古民家彩る野の花

    「奴奈川姫の家」で岩田さん夫妻が

     〇…築150年余りの木造住宅で野草と小道具を組み合わせ生け花を飾る人気の「古民家で野の花展」。先月28、29日、第11回となる同展を十日町市松代地域の室野・奴奈川姫の家で開催。主催する岩田重信さん(74)と妻の金由起さん(69)はじめ、十日町市や津南町、柏崎市、上越市、小千谷市の10人が制作したオリジナル生け花が20点以上集結。たくさんの赤いザクロの実が付いた枝とサトイモの葉の合わせたもの、さらにはススキと竹を組み合わせ宙に浮かせたアート作品などが来場者の目を引いた。

    2024年10月5日号

  • 「さっちゃん」と稲刈り

    六箇中村の立浪部屋ファームで

     新潟県出身の歌手・小林幸子さんが2年前から子ども食堂支援や農業支援など行う「幸せプロジェクト」。その一環で小林さんと連携する立浪部屋ファーム(十日町市六箇中村)で5月に植えた稲が黄色く実った先月28日、同プロジェクトでコメ支援を受ける東京都荒川区の子ども食堂「サザンクロス」の子どもたちと、千葉県柏市の「柏力会」の相撲少年ら10人余りと共に鎌を使って稲刈り体験。子どもたちは小林さんの合図に合わせ、初めてながらも手際よく稲を刈っていた。

    2024年10月5日号

  • 娘とのかけがえのない時間

    斉木宏幸さん(1978年生まれ)

     中学2年、高校3年の娘2人との会話のやり取りは、年々少なくなってきている。「自分に話しかけてくるときは、送って、迎えきて、アイス買ってきて、ですかね」。少しずつ大人になっている2人の姿。「そういう年代に入ってきているんですね。娘専属の便利なタクシーですよ」と、笑う。
     今はおもに長女の送迎担当。娘と2人の車中、この時間がかけがえのないものに感じるようになっている。「もう高校3年生ですよ。ほんと早いですね」。自分の高校時代と重なる。
     県立十日町実業高校として最後の卒業生だった。翌年、カリキュラムを変更し十日町総合高校に改称。「カラオケでオールして遊んで、プリクラが流行ったんで写真部作ろうってなって。名前だけの部長になった事もありました」。高校時代、仲間と一緒に遊ぶ時間が楽しかった。だが、時間は過ぎていく。
     卒業後はどうする、親からのプレッシャーを感じつつ、「これといってやりたいというものが無かったので、何か資格を取りたいと考え進んだんですが…」。
     新潟テクノスクールの土木測量科を選び卒業。しかし、「測量の仕事がなくって、土木や配管をする仕事につきました」。
     長岡の建設会社で働き始めるが土木や配管などの業務をこなし、早朝から時には夜遅くまで、ただ時間だけが過ぎていく、そんな日々が続いた。「これでいいのかと、だんだん疑問が大きくなって」、3年で見切りをつけ、十日町に帰った。

     十日町で就職した住宅設備会社。
    家の水回り全般を扱う。前職での業務経験は配管、その技術を生かしたいと次々と現場に出向いた。気が付くと17年が過ぎていた。「失敗も多くしました。それらすべてが経験値となり、自分の技術アップにつながってきました」。出来上がった時の達成感は大きく、仕事へのやりがいも増し、同時に責任ある業務を任されるようになった。
     ある日、会社をたたむと聞いた。日々関わり世話になっていた関連会社から『うちに来ないか』と声がかかった。「ありがたかったですね。悩んだんですが、新しい挑戦をしてみようと思って住宅の水回り全てと電気、ガスも取り扱っている会社に決めました」。ガスの取り扱い資格や電気工事関連の資格を取得し、業務の幅を広げている。
     
     「配管はその住居や建物により全て違います。難関な場所の配管が出来た時は嬉しいですね。排水管や水道管などは人間の身体では血管のようなものです。ですからきれいに正確につなぐ、これが一番大切なことです」。
     経験値はさらにアップしている。今は後輩への確かな技術伝達を伝える立場だと感じている。「自分がいろいろ教えてもらって覚えてきた分。これからは自分の経験をしっかり次世代に伝え、さらに高い技術アップにつないでほしいですね」。

     2人の娘の父。成長から月日を感じる。「娘たちはバスケットをやっていたり、推し活したりと忙しそうです。俺も何か趣味が欲しいなと思うんですけどね…」、「なんだかんだ娘の送迎が趣味なのか…。この時間、何気ない日常ですが、だんだん愛おしい時間になってきていますね」。

    ▼バトンタッチします
     関綾子さん

    2024年10月5日号

  • 妊娠中期〜後期、歯肉炎に注意

    歯周病細菌が胎児に感染

    Vol 107

     先日、以前からお世話になっている市内の某歯科の先生に「妻有新聞読んでます。最近歯の話を書いてますよね」と言われ赤面。本当にお恥ずかしい話ではありますが、口腔ケアは病気とも大いに関係がありますので、今回も頑張って書きますね。私の専門分野でもある女性ホルモンと歯周病の続きです。
     前回、女性ホルモンと歯周病について月経と思春期に焦点を当て、女性ホルモンのバランスが崩れると歯周病になるということを書きました。
     女性はホルモンバランスが大きく変わるところでライフステージが区切られます。思春期を過ぎて性成熟期は妊娠・出産・産後があり、まず妊娠中は歯肉炎にかかりやすくなるといわれています。
    つわりで歯磨きが不十分になる、食生活の変化で唾液量が減り口の中をきれいに保つ働きが低下する、などの理由からリスクが高まります。もともと他人である赤ちゃんを10ヵ月お腹の中で安全に育てるために、妊娠中は免疫システムの働き自体を下げていますので、炎症が収まりにくい状態です。
     妊娠後期にはエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンは月経時の10~30倍になるといわれており、このため妊娠中期から後期にかけてさらに歯肉炎が起こりやすくなります。歯肉炎の状態から50%以上の人が妊娠性歯周病になり、早産や低出生体重児のリスクが高くなります。
     これまでの私の経験で、切迫早産で入院した方には、やはり妊娠前から口腔の状態が悪い方が多いように思います。そして口腔内の歯周病細菌が血中に入り込むことで胎盤を通して胎児に直接感染するともいわれているので怖い話です。油断すると出産後に本格的な歯周病に移行する場合もありますので、注意が必要です。
     また、歯周病菌が腸内から見つかるという話からすると、妊婦さんの腸内環境がそのまま赤ちゃんに移っていくのは分かっている話ですので、赤ちゃんがどんな人生のスタートを切るのか、妊娠中の口腔ケアはとても大事なのが分かるかなと思います。
     出産直後に出会った人の腸内細菌が赤ちゃんの腸内細菌に影響する話もありますので、分娩に立ち会う私たち医療スタッフ、もしくはご家族の方の腸内細菌並びに口腔ケアも重要です。
     そして、昭和の頃はよくあった「食べ物を口の中でかみ砕いたものを赤ちゃんに与える」のは、絶対しないようにお願いします。基本的には歯垢が残存しない清潔な口の中では歯周病は起こらないか、起こっても軽度ですみますので、妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールを行いましょう。
     抗菌作用があり、オイルより濃度が薄いため妊娠中でも安心して使えるハーブウォーターでのうがいをおすすめします。
     次回は更年期と歯周病の話で、ついにこのシリーズは終焉。10月12日の土曜日、午前10時~午後3時、たかき医院では女性がそれぞれのライフステージに合わせて毎日元気に健やかに過ごすための技術を国内外から集めた「フェムテックフェス」を行います。入場無料。
     隣の喫茶店ではマルシェも同時開催していますので、女性も男性も興味のある方は、ふらっとお気軽に立ち寄ってみてくださいね。産婦人科医による無料相談もありますよ。
     (たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年10月5日号

  • 「どうしてここに?」、崩壊地の直下

    清津峡 スリット堰堤計画

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     前回の続き…湯沢砂防事務所の清津川治水事業は、私には「はて?」と引っかかる点が多くて困っている。ホームページには「清津峡渓流保全工の推進」として上がっているが、H26年の現地調査から10年過ぎても現地は何も変わっていない。つくば市の日本工営には流域住民が頼んだ訳ではないのに巨大な模型を作って実験し、住民に見学させてくれる。どうしてこんなに時間や手前をかけているのかな?  サクサク造ってしまうと大人の都合上うまくないのだろうか?同じ砂防事務所の他の現場のスピード感と違いが明らかなので、「そう(・・)いう(・・)案件」と私は思っている。この事業が完成するまでには更に5年はかかるとのこと。(その間ずっと住民の安全は現状のままだけど…)
     それにスリット堰堤を造る場所も「どうしてここ?」と引っかかる。計画されている堰堤の位置は、小出・葎沢集落の上流の清津峡との間で、右岸は地元ではのげま(抜けるところと言う意味)と呼ばれている崩壊地の直下だ。この辺りは太古の昔マグマが冷えて固まった岩塊(清津峡側)とグリーンタフという海底火山の火山灰の堆積層(下流側)との境目で地質が不安定なのに…で更に左岸は公園トンネルを掘った土を積み上げたズリなのだ。堰堤を造ることで水位が上って、もろい山脚がやっかいなことになるんじゃないか? 素人の私でも心配になってしまう。土木の専門家はどう考えているか説明してほしい。
     でも私が特大の? マ
    ークをつけた疑問点は、「スリット堰堤と集落付近の護岸工事をセットにしないと治水効果がない」という説だ。実はこの堰堤のスリットの幅は4mもある。両端にコンクリートの壁があって真ん中は水も土砂も流木も流れる。はて? これ造る意味あるの? 同じことを河川工学の先生は言われていて、砂防ダムに頼らず護岸工事を主体にしたいと。どこかにこのセットでの治水方法の先駆的な例があったら見に行きたい。
     写真は大正時代の清津峡入り口付近。竿を使って飛び移っていた大きな岩は今ではとても小さくなっている。欠けたり砂利で埋まったからだ。うちの裏も以前は深い淵だったが今は随分浅くなっている。小出集落付近はどこも河床が上がっている。川の在り様はいつも同じでなく変化する。無限に運ばれてくる大量の砂利は速やかに下流に流したい。だから川を横断する構造物はできるだけ造らないでほしい。次回は他の治水手段はないの? の考察をしてみよう。

    2024年10月5日号

  • カワウの群れ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     最近、夕方になるとカワウの群れが寝ぐらへと向かう姿を良く見る事がある。Vの字の形でかなりの数が夕焼けの中を通過している。
     春に繁殖を抑えるために巣を壊したりして数が増えないようにしているが、そこは野生生物、やはり数が多いといつも思っている次第。幸い、カワウの寝場所は河原の河川敷なので糞公害は無いとおもうのだが、ただ漁協の方たちには頭の痛い問題だと思っている。
     カワウは潜水能力が高いため水中で小魚を狙うが、放流した稚魚なども相当の被害が出るかもしれないので悪者扱いされているのが実情。カワウの数が少なければ良いが繁殖率が旺盛。共存の道はあるんだろうか⁉

    2024年10月5日号

  • 秋決戦、困惑する新5区の有権者

     「高市氏にならなくてよかった」。支持者から、何を言ってるんだ、と大声が飛んできそうだが、新総裁決定後の世論に多く見られ、聞かれた言葉だ。だが、その新首相・石破氏の言動には落胆した。総裁選の勢いはどこへ行ったのか。やはり自民体質は変わっていない、その印象を強くさせる石破新首相の「豹変ぶり」。持論をぶつけ合う、石破氏の得意とする舞台ではないのか。野田氏の言葉を借りれば、「なぜ逃げる」。
     独特の言い回しは、煙に巻く論法とはちょっと違う石破話術。結論にたどり着くまでの言葉の羅列は、相当なる多分野から言葉を引っ張り出し、結論へと導いていく。この話法は、実は野田氏も得意とする。だけに、「がっぷり四つに組んで」議論したかったのだろう。だが自民首脳陣は石破氏の個人的な思いを押さえつけ、政治資金不記載問題の追及、統一教会問題などの論争舞台を避ける道を選び、早期解散、今月27日投開票を決めてしまった。あれだけ言葉に勢いを持たせ、モヤモヤを抱いていたこの国の人たちの溜飲を下げてくれると思ったが、全くの見当違いだった。
     まさに政治の秋となった。ここ新5区はさらに事情が複雑だ。2人の現職は共に「傷負い」。新たに選挙区に入った魚沼エリアの南魚沼市・魚沼市・湯沢町の有権者の思いを考えると、なんともやりきれない。「いったい、誰の名前を書けばいいんだ。いや、書きたい名前が無いじゃないか」。そうだろう。選挙区再編後の初めての衆院選のステージは、あまりにもお粗末だ。
     だが、選ばなくてはならないのが有権者の責務。魚沼圏の課題は明確だ。地域医療体制、高規格道整備、雪対策、さらに魚沼米。この4点の課題には政治力が不可欠だ。政治は継続、だが政権政党の政治は人で変わる。政権交代の先の姿が見えない現実もある。短期決戦の選挙、選択肢を見極めたい。

    2024年10月5日号

  • カメムシ対策、農学部教授の教え

    ベンガラの効能

    長谷川 好文 (秋山郷山房もっきりや)

     秋山郷に来て30年近くが過ぎた。春と秋の二度ここでカメムシにいじめられ続けていた。伊勢湾台風後に、防風用に植えられ大きく成長した杉に囲まれた一軒家に昨年まで暮らし、中津川対岸の百㍍ほど先に昔からの旅館「仁成館」があるばかりで、川をはさんで共にカメムシには苦しめられていた。
     中津川右岸の宿は季節ごとの登山客、釣り客、湯治客で雪のない時期は忙しくしていた。私のところはひとり暮らしの古い家で、木端葺きの上にトタンを張った屋根で、秋口になると風のない穏やかな日、カメムシが湧き出すように飛んでくるのだ。ヤマトクサギカメムシと呼ばれていた。この虫が廊下一面にへばりつき触ろうものならとにかく臭く、皮膚に触れると痛く肝を冷やしたものである。
     そのうち「しょうがない」と観念すると、何となくどうにかなってしまうものなのか、その臭いにも慣れてしまったようで、まっ諦めたのだろう。この辺りの人と同じように掴まえた虫をストーブに放り込んだり、自家製のペットボトルに灯油を少し入れて投げこんだりしていた。虫が動く秋や春にはそれぞれ5、6㌔ほどの虫を取ったものである。
     近頃になって旧仁成館も住む人がいなくなると、どうにも中津川左岸の一軒家でのひとり暮らしが面倒になり、対岸の集落で家を探し、見つけて改修工事をし移転をしたのが昨年のことで、そこも同じように虫の多いところだと聞いていた。
    工事が終わって外壁のペンキを選んだのだが、目立たない小さな家でもあり、派手だったがベンガラの塗料を塗ることにした。家は小さな赤い家となって、それなりの存在感を嬉しく感じた。
     昨年の今頃だが、隣の人がやって来て「ここには虫がいないな! みんなワシのところに来てしまったようだ」と笑っていた。そう言われて、はて! と考えると、確かにここではカメムシを見ないと感じた。人とは勝手なもので、ここで虫に気がつかないことに気がついた。見ぬもの清である。外壁に塗布したベンガラの塗料を虫が嫌ったように思えた。
     さて、そうなると今年の秋に飛んでくる虫を強く意識することになる。そこで昨年のベンガラ塗料を取り寄せて考えるのだが、塗れば来ないと言うほど単純ではないだろと、科学する頭がない私にはその先が解らなかった。友人の農学部で教鞭をとる先生に訊くと「ベンガラは酸化鉄で、つまり鉄さびで木材を丈夫にし乾燥すると害虫やカビなどを防ぐ」と言う。塗布した表面が㏗12ほどのアルカリ性となるので酸性域を好む虫は寄り付きにくくなるとも言う。虫が酸性域を好むのかは分からないが、加えるに伝統技術的の柿渋と混ぜて使うとより効果的だろうとも御教授頂けた。
     それならハッカ油なども良いのだろうと検証をしてみることにした。大きめのタッパーに仕切りを立て、塗料を塗布した板と白木の板を別々に置くのだ。飛びくる虫を素手で捕まえては放り込んでおよそ50匹ほども入れて観察してみると、当日から虫は白木の方に集まってベンガラ色の板には数匹の虫を見るだけになった。
     まだまだ観察は続けるが確かにカメムシに対しては効果があるように思えた。昨年塗った外壁が今年も効果が続くのかと気を揉むのだが、な〜に虫が寄って来れば、またベンガラを塗るだけだ!こうなればひとつ、昔年の恨みを晴らしてみようと思った。
     ただ、その矢先2回目の脳梗塞の患者となった私がいた!

    2024年10月12日号

  • 「巨大な蛾ヤママユ」

    照井 麻美(津南星空写真部)

     津南町に移住して、夜のコンビニに行くとさまざまな虫が看板の明かりや照明に集まっていることに驚いた。
    都心では買ったり、わざわざ旅行先に出かけて捕るカブトムシやクワガタも夜の山に入るより簡単にコンビニ前で見つけられたりする。
     それだけ虫たちも多種多様に生息する自然があるからなのだと思う一方、都心では考えられないほどの大きな虫に出会い大変驚いたことがある。
     ある日の入浴中、誰かが窓をたたくような音がすると思い、窓の方を見ると誰もいない。
     風か気のせいと思い、また湯船でくつろいでいるとまた同じような音が聞こえてくるのだ。
     何だろうと思い、窓をずっと見ていると手のひらサイズの蛾が室内の明かり目掛けて窓ガラスに体当たりしていた。
     大きさもさることながら、蛾の厚みと重量感に不気味さを感じ、こんなに大きな蛾が田舎にはいるのかと驚いたことをよく覚えている。
     他にもオニヤンマやムカデなど都心では見かけない大きさの虫に驚くこともしばしばだが、これも都会にはない田舎の良さと今は思えている。

    2024年10月12日号

  • 衆院選は好機、魚沼の広域連携を

     これはチャンスかもしれない。衆院選・新5区に新たに加わる魚沼エリア。これまでも「魚沼」は南魚・北魚・中魚・十日町とされてきた。全国トップ銘柄の魚沼コシヒカリ人気から、魚沼は全国に知れ渡った。だが市町村の境はなかなか越えられず、八箇峠・十二峠の魚沼丘陵を境に人的・経済的交流はなかなか進まない。その魚沼が今回、衆院選というイベントで一つになる。これは好機だ。選挙という政治の場ではあるが、そこに関わるのは人。魚沼丘陵を越え、人と人が交流する場が、今度の衆院選でもある。
     与野党激突の構図、真っ向勝負の一騎打ちだ。選挙活動は不思議なもので、選挙区エリアを自由に動け、行く先、行く先で初めて会う住民と挨拶でき、時には交流もできる。こういう場での出会いは、その後も続く場合が多い。ただ立場の違いは鮮明で、政党を越えての交流はなかなか難しい。だが、それはそれ、これはこれだ。今度の小選挙区再編後の初の選挙は、新たな出会いの場の創出でもあり、出会いにより思わぬ副産物が生まれる可能性がある。
     ふるさと納税で新潟県上位の南魚沼市の魚沼コシヒカリを生み出す田園を目の当たりにできる。初めて十日町など妻有地域に入る南魚の人たちは、奥深い中山間地の実情を知ることになる。その先々に、必ず人の暮らしがあり、経済の営みがある。まさに「魚沼の運命共同体」を感じるのではないか。
     事は選挙、勝負事だ。特に今回、自民現職は重複立候補できない「背水の陣」。地域を巡る活動に、交流などという余裕はとてもないだろうが、実は人と人との出会いが、一票につながる。関わる県議、市町議員は、今度の衆院選活動を、そうした視点で見てほしい。 
     そこに地域医療の課題、広域圏の道路問題、少子高齢化の現実が必ずや目の前に表出する。だからこそ、広域連携が求められる。

    2024年10月12日号

  • 築150年、古民家彩る野の花

    「奴奈川姫の家」で岩田さん夫妻が

     〇…築150年余りの木造住宅で野草と小道具を組み合わせ生け花を飾る人気の「古民家で野の花展」。先月28、29日、第11回となる同展を十日町市松代地域の室野・奴奈川姫の家で開催。主催する岩田重信さん(74)と妻の金由起さん(69)はじめ、十日町市や津南町、柏崎市、上越市、小千谷市の10人が制作したオリジナル生け花が20点以上集結。たくさんの赤いザクロの実が付いた枝とサトイモの葉の合わせたもの、さらにはススキと竹を組み合わせ宙に浮かせたアート作品などが来場者の目を引いた。

    2024年10月5日号

  • 「さっちゃん」と稲刈り

    六箇中村の立浪部屋ファームで

     新潟県出身の歌手・小林幸子さんが2年前から子ども食堂支援や農業支援など行う「幸せプロジェクト」。その一環で小林さんと連携する立浪部屋ファーム(十日町市六箇中村)で5月に植えた稲が黄色く実った先月28日、同プロジェクトでコメ支援を受ける東京都荒川区の子ども食堂「サザンクロス」の子どもたちと、千葉県柏市の「柏力会」の相撲少年ら10人余りと共に鎌を使って稲刈り体験。子どもたちは小林さんの合図に合わせ、初めてながらも手際よく稲を刈っていた。

    2024年10月5日号

  • 娘とのかけがえのない時間

    斉木宏幸さん(1978年生まれ)

     中学2年、高校3年の娘2人との会話のやり取りは、年々少なくなってきている。「自分に話しかけてくるときは、送って、迎えきて、アイス買ってきて、ですかね」。少しずつ大人になっている2人の姿。「そういう年代に入ってきているんですね。娘専属の便利なタクシーですよ」と、笑う。
     今はおもに長女の送迎担当。娘と2人の車中、この時間がかけがえのないものに感じるようになっている。「もう高校3年生ですよ。ほんと早いですね」。自分の高校時代と重なる。
     県立十日町実業高校として最後の卒業生だった。翌年、カリキュラムを変更し十日町総合高校に改称。「カラオケでオールして遊んで、プリクラが流行ったんで写真部作ろうってなって。名前だけの部長になった事もありました」。高校時代、仲間と一緒に遊ぶ時間が楽しかった。だが、時間は過ぎていく。
     卒業後はどうする、親からのプレッシャーを感じつつ、「これといってやりたいというものが無かったので、何か資格を取りたいと考え進んだんですが…」。
     新潟テクノスクールの土木測量科を選び卒業。しかし、「測量の仕事がなくって、土木や配管をする仕事につきました」。
     長岡の建設会社で働き始めるが土木や配管などの業務をこなし、早朝から時には夜遅くまで、ただ時間だけが過ぎていく、そんな日々が続いた。「これでいいのかと、だんだん疑問が大きくなって」、3年で見切りをつけ、十日町に帰った。

     十日町で就職した住宅設備会社。
    家の水回り全般を扱う。前職での業務経験は配管、その技術を生かしたいと次々と現場に出向いた。気が付くと17年が過ぎていた。「失敗も多くしました。それらすべてが経験値となり、自分の技術アップにつながってきました」。出来上がった時の達成感は大きく、仕事へのやりがいも増し、同時に責任ある業務を任されるようになった。
     ある日、会社をたたむと聞いた。日々関わり世話になっていた関連会社から『うちに来ないか』と声がかかった。「ありがたかったですね。悩んだんですが、新しい挑戦をしてみようと思って住宅の水回り全てと電気、ガスも取り扱っている会社に決めました」。ガスの取り扱い資格や電気工事関連の資格を取得し、業務の幅を広げている。
     
     「配管はその住居や建物により全て違います。難関な場所の配管が出来た時は嬉しいですね。排水管や水道管などは人間の身体では血管のようなものです。ですからきれいに正確につなぐ、これが一番大切なことです」。
     経験値はさらにアップしている。今は後輩への確かな技術伝達を伝える立場だと感じている。「自分がいろいろ教えてもらって覚えてきた分。これからは自分の経験をしっかり次世代に伝え、さらに高い技術アップにつないでほしいですね」。

     2人の娘の父。成長から月日を感じる。「娘たちはバスケットをやっていたり、推し活したりと忙しそうです。俺も何か趣味が欲しいなと思うんですけどね…」、「なんだかんだ娘の送迎が趣味なのか…。この時間、何気ない日常ですが、だんだん愛おしい時間になってきていますね」。

    ▼バトンタッチします
     関綾子さん

    2024年10月5日号

  • 妊娠中期〜後期、歯肉炎に注意

    歯周病細菌が胎児に感染

    Vol 107

     先日、以前からお世話になっている市内の某歯科の先生に「妻有新聞読んでます。最近歯の話を書いてますよね」と言われ赤面。本当にお恥ずかしい話ではありますが、口腔ケアは病気とも大いに関係がありますので、今回も頑張って書きますね。私の専門分野でもある女性ホルモンと歯周病の続きです。
     前回、女性ホルモンと歯周病について月経と思春期に焦点を当て、女性ホルモンのバランスが崩れると歯周病になるということを書きました。
     女性はホルモンバランスが大きく変わるところでライフステージが区切られます。思春期を過ぎて性成熟期は妊娠・出産・産後があり、まず妊娠中は歯肉炎にかかりやすくなるといわれています。
    つわりで歯磨きが不十分になる、食生活の変化で唾液量が減り口の中をきれいに保つ働きが低下する、などの理由からリスクが高まります。もともと他人である赤ちゃんを10ヵ月お腹の中で安全に育てるために、妊娠中は免疫システムの働き自体を下げていますので、炎症が収まりにくい状態です。
     妊娠後期にはエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンは月経時の10~30倍になるといわれており、このため妊娠中期から後期にかけてさらに歯肉炎が起こりやすくなります。歯肉炎の状態から50%以上の人が妊娠性歯周病になり、早産や低出生体重児のリスクが高くなります。
     これまでの私の経験で、切迫早産で入院した方には、やはり妊娠前から口腔の状態が悪い方が多いように思います。そして口腔内の歯周病細菌が血中に入り込むことで胎盤を通して胎児に直接感染するともいわれているので怖い話です。油断すると出産後に本格的な歯周病に移行する場合もありますので、注意が必要です。
     また、歯周病菌が腸内から見つかるという話からすると、妊婦さんの腸内環境がそのまま赤ちゃんに移っていくのは分かっている話ですので、赤ちゃんがどんな人生のスタートを切るのか、妊娠中の口腔ケアはとても大事なのが分かるかなと思います。
     出産直後に出会った人の腸内細菌が赤ちゃんの腸内細菌に影響する話もありますので、分娩に立ち会う私たち医療スタッフ、もしくはご家族の方の腸内細菌並びに口腔ケアも重要です。
     そして、昭和の頃はよくあった「食べ物を口の中でかみ砕いたものを赤ちゃんに与える」のは、絶対しないようにお願いします。基本的には歯垢が残存しない清潔な口の中では歯周病は起こらないか、起こっても軽度ですみますので、妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールを行いましょう。
     抗菌作用があり、オイルより濃度が薄いため妊娠中でも安心して使えるハーブウォーターでのうがいをおすすめします。
     次回は更年期と歯周病の話で、ついにこのシリーズは終焉。10月12日の土曜日、午前10時~午後3時、たかき医院では女性がそれぞれのライフステージに合わせて毎日元気に健やかに過ごすための技術を国内外から集めた「フェムテックフェス」を行います。入場無料。
     隣の喫茶店ではマルシェも同時開催していますので、女性も男性も興味のある方は、ふらっとお気軽に立ち寄ってみてくださいね。産婦人科医による無料相談もありますよ。
     (たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年10月5日号

  • 「どうしてここに?」、崩壊地の直下

    清津峡 スリット堰堤計画

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     前回の続き…湯沢砂防事務所の清津川治水事業は、私には「はて?」と引っかかる点が多くて困っている。ホームページには「清津峡渓流保全工の推進」として上がっているが、H26年の現地調査から10年過ぎても現地は何も変わっていない。つくば市の日本工営には流域住民が頼んだ訳ではないのに巨大な模型を作って実験し、住民に見学させてくれる。どうしてこんなに時間や手前をかけているのかな?  サクサク造ってしまうと大人の都合上うまくないのだろうか?同じ砂防事務所の他の現場のスピード感と違いが明らかなので、「そう(・・)いう(・・)案件」と私は思っている。この事業が完成するまでには更に5年はかかるとのこと。(その間ずっと住民の安全は現状のままだけど…)
     それにスリット堰堤を造る場所も「どうしてここ?」と引っかかる。計画されている堰堤の位置は、小出・葎沢集落の上流の清津峡との間で、右岸は地元ではのげま(抜けるところと言う意味)と呼ばれている崩壊地の直下だ。この辺りは太古の昔マグマが冷えて固まった岩塊(清津峡側)とグリーンタフという海底火山の火山灰の堆積層(下流側)との境目で地質が不安定なのに…で更に左岸は公園トンネルを掘った土を積み上げたズリなのだ。堰堤を造ることで水位が上って、もろい山脚がやっかいなことになるんじゃないか? 素人の私でも心配になってしまう。土木の専門家はどう考えているか説明してほしい。
     でも私が特大の? マ
    ークをつけた疑問点は、「スリット堰堤と集落付近の護岸工事をセットにしないと治水効果がない」という説だ。実はこの堰堤のスリットの幅は4mもある。両端にコンクリートの壁があって真ん中は水も土砂も流木も流れる。はて? これ造る意味あるの? 同じことを河川工学の先生は言われていて、砂防ダムに頼らず護岸工事を主体にしたいと。どこかにこのセットでの治水方法の先駆的な例があったら見に行きたい。
     写真は大正時代の清津峡入り口付近。竿を使って飛び移っていた大きな岩は今ではとても小さくなっている。欠けたり砂利で埋まったからだ。うちの裏も以前は深い淵だったが今は随分浅くなっている。小出集落付近はどこも河床が上がっている。川の在り様はいつも同じでなく変化する。無限に運ばれてくる大量の砂利は速やかに下流に流したい。だから川を横断する構造物はできるだけ造らないでほしい。次回は他の治水手段はないの? の考察をしてみよう。

    2024年10月5日号

  • カワウの群れ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     最近、夕方になるとカワウの群れが寝ぐらへと向かう姿を良く見る事がある。Vの字の形でかなりの数が夕焼けの中を通過している。
     春に繁殖を抑えるために巣を壊したりして数が増えないようにしているが、そこは野生生物、やはり数が多いといつも思っている次第。幸い、カワウの寝場所は河原の河川敷なので糞公害は無いとおもうのだが、ただ漁協の方たちには頭の痛い問題だと思っている。
     カワウは潜水能力が高いため水中で小魚を狙うが、放流した稚魚なども相当の被害が出るかもしれないので悪者扱いされているのが実情。カワウの数が少なければ良いが繁殖率が旺盛。共存の道はあるんだろうか⁉

    2024年10月5日号

  • 秋決戦、困惑する新5区の有権者

     「高市氏にならなくてよかった」。支持者から、何を言ってるんだ、と大声が飛んできそうだが、新総裁決定後の世論に多く見られ、聞かれた言葉だ。だが、その新首相・石破氏の言動には落胆した。総裁選の勢いはどこへ行ったのか。やはり自民体質は変わっていない、その印象を強くさせる石破新首相の「豹変ぶり」。持論をぶつけ合う、石破氏の得意とする舞台ではないのか。野田氏の言葉を借りれば、「なぜ逃げる」。
     独特の言い回しは、煙に巻く論法とはちょっと違う石破話術。結論にたどり着くまでの言葉の羅列は、相当なる多分野から言葉を引っ張り出し、結論へと導いていく。この話法は、実は野田氏も得意とする。だけに、「がっぷり四つに組んで」議論したかったのだろう。だが自民首脳陣は石破氏の個人的な思いを押さえつけ、政治資金不記載問題の追及、統一教会問題などの論争舞台を避ける道を選び、早期解散、今月27日投開票を決めてしまった。あれだけ言葉に勢いを持たせ、モヤモヤを抱いていたこの国の人たちの溜飲を下げてくれると思ったが、全くの見当違いだった。
     まさに政治の秋となった。ここ新5区はさらに事情が複雑だ。2人の現職は共に「傷負い」。新たに選挙区に入った魚沼エリアの南魚沼市・魚沼市・湯沢町の有権者の思いを考えると、なんともやりきれない。「いったい、誰の名前を書けばいいんだ。いや、書きたい名前が無いじゃないか」。そうだろう。選挙区再編後の初めての衆院選のステージは、あまりにもお粗末だ。
     だが、選ばなくてはならないのが有権者の責務。魚沼圏の課題は明確だ。地域医療体制、高規格道整備、雪対策、さらに魚沼米。この4点の課題には政治力が不可欠だ。政治は継続、だが政権政党の政治は人で変わる。政権交代の先の姿が見えない現実もある。短期決戦の選挙、選択肢を見極めたい。

    2024年10月5日号