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妻有新聞掲載記事一覧

  • 北川氏「妻有に心を寄せる」

    十日町市議会と初直接対話、「ここまで来たのが重要」

    大地の芸術祭

    十日町市議会と大地の芸術祭・北川フラム総合ディレクターが車座で直接意見交換した。市議会主催の「大地の芸術祭の今後の展開についての懇談会」は7日、越後妻有文化ホール段十ろうで開催。「子どもたちが芸術に関わる環境づくりを」や「明石の湯と大地の芸術祭を結びつける方法は」など、市議一人ひとりが北川氏に疑問をぶつける形で進んだ。

    2024年2月17日号

  • 「当たり前のこと」

    ダイワ電気工事の3人

    冬道遭難の男性救助で感謝状

     行方不明だった70代男性を雪道で保護し、命を守った除雪事業者3人の功績を称えた。十日町署(山岸信行署長)は9日、ダイワ電気工事(十日町市松代)の古田島周二取締役部長(48、高田町)、田辺謙一取締役(67、寺田)、臨時社員の小山勝正さん(80、蒲生)の3人に感謝状を贈った。3人は先月25日の早朝~午前にかけ、国道353号線を車でさまよっていた70代男性を不審に思い保護。男性は行方不明で家族が捜索しており、適切な対応で男性の命を守った。

    2024年2月17日号

  • 『ナチュラルライフ』

    森田 れなさん(1988年生まれ)

     東京のマンション暮らし。「隣り近所に迷惑をかけないように気をつかう毎日で、窮屈さを感じていました」。元気盛りの男の子2人を自由に遊ばせたい。東京生まれの夫・淳さんと、これからの暮し方を話し合った。
     祖母が松之山生まれで千葉に暮らす。ならば十日町市から探してみようと、空き家バンクを見ると古民家があった。「訪ねて見たら、これだっと、夫と決めました」。築100年余の家は天井が高く、むき出しの太い梁が歴史を感じさせると同時に、安心感を与える。
     来月には四度目の春を迎える。広い居間を活用し、13年余り取り組む「ヨガ」を指導し、同じくらい取り組むハーブやアロマによる食養生や自然療法を伝える。どちらも指導者の資格を持ち、暮しの中で心と身体をリラックスしてくれる。
     「ここには宝物がいっぱいありますね」。自生するドクダミ、ヨモギ、スギナなど薬草の高い効能を伝え、広めている。移り住んだ年から米作りにも取り組む。農業機械が入らない棚田を借り受け、「前からやってみたかったんです」と、肥料も農薬も使わず、子どもたちと泥んこになりながらのコメ作りを続ける。 
     言葉にすれば「ナチュラルライフ」だが、力みはない。子どもをテーマに映画制作するオオタヴィン監督の『いただきます』など作品上映を通じて、暮しへの思いが少しずつ広がっている。東京生まれの男の子2人、松代生まれの1歳半の長女、子たち3人と日々の生活を楽しむ。「自然の素材がいっぱいです。この子たちにつないでいきたいですね」。
    ◆バトンタッチします。
     「大出恭子さん」

    2024年2月17日号

  • セツブンソウ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     2月、陽射しにぬくもりを感じるようになると、野草好きの人にとって落ち着かない日々の始まりである。各地から花の便りが聞こえてくるからだ。そんな人たちの琴線をいち早く刺激するのがセツブンソウである。
     花期は早い。2月中旬から3月中旬で、それが名の由来となっている。
     分布は本州の関東以西で、残念ながら苗場山麓では見ることができない。この花に逢いたければ近場でも群馬県、栃木県、埼玉県や長野県の南部まで足を運ぶことになる。
     落葉広葉樹の疎林下で、礫が混じる場所を好む。夏には地上部が枯れてしまうスプリング・エフェメラル(春のはかない命)だ。
     草丈は5~10センチ、小さくて可愛い。花は径2センチほど、白い花びらに見えるのは萼片。花びらはしべを囲むように並ぶ黄色い部分で、先が二裂して蜜腺となる面白い形をしている(写真)。
     温暖化の影響で、新潟県でもいつか自生が見られるようになるのかも…。

    2024年2月17日号

  • これは「決意」か、津南町予算案を見る

     津南町の新年度予算案が13日発表され、一つの決意表明が見えた。建設から38年経過、施設設備の大幅更新期を向かえるニュー・グリーンピア津南(NGP津南)。予算案にスキー場施設・ホテル棟の修繕が計上され、一般会計予算額は1億5166万円余。毎年、施設修繕に取り組むが、1億を超える予算は最近では多額だ。なぜ「決意表明」なのか。それは来年、10年間の民間委託契約が満了を向かえ、契約更新の行方に関心が集まるなか、この億単位の施設改修。津南町所有のNGP津南を町は今後も維持する「意志」がそこに見えるのだが…。
     ただ、容易ではないこの先の状況だ。来年の契約満了期に、新たな経営者を視野に入れているのか、あるいは現在の経営者「津南高原開発」が契約更新し、今後も老朽化するホテル経営を続けるのか、その判断の時期が迫っている現実がある。全国的に施設更新期を向えるホテルなど観光施設が、中国資本などに委ねられるケースが多く見られるなか、370㌶の広大な自然たっぷりの敷地のNGP津南である。その敷地面積だけでも大きな魅力であるのは間違いない。すでに交渉が始まっているのか、いや契約更新のための新年度予算案なのか、である。
     今はないが国の年金福祉業団が270億円の巨費を投じて設置したグリーンピア津南。だが38年の歳月は施設全体の更新が待ったなしの状態で、その多額の改修費の捻出に困窮している経営状況だ。町有施設だけに、維持継続するか、新たな活路を見出すか、その判断だろう。その意味で新年度予算案の施設修繕費は、一つの決意表明と見るが、早計だろうか。
     津南町議会は今月29日、新年度予算案を審議する定例議会が開会する。初日、町のトップ・桑原悠町長の施政方針表明がある。ここで、NGP津南への決意が聞かれるか、どうか。

    2024年2月17日号

  • 箱根から世界へ、ロス五輪に照準

    城西大4年 山本唯翔選手(松代・犬伏出身)

    「山の妖精」ふるさと凱旋、「五輪で表彰台に」

     マラソンでオリンピックをめざす―。五輪の登竜門・箱根駅伝の5区山登りで2年連続区間新をマークし最優秀選手賞・金栗四三杯を獲得した『山の妖精』山本唯翔選手(城西大4年)が5日、母校の松代中と松代小を凱旋。歓迎を受けた山本選手は児童生徒に「目標を持ち、その目標に向かって努力してほしい」と諦めずに努力することの大切さを伝えた。山本選手は「服部勇馬選手のようにマラソンでオリンピックをめざし、表彰台に立ちたい」と卒業後は自動車メーカーSUBARU(スバル)に入社、実業団選手として2028アメリカ・ロサンゼルス五輪をめざす。『箱根駅伝から世界へ』。山本選手が世界の舞台へと翔び立つ。

    2024年2月10日号

  • 故郷舞台のコメディ映画を

    津南出身の鴨井奨平監督、CF支援求む

    4月末上映会予定

     故郷の津南町で撮影した映画発信の協力を求めている。昨秋自身初の長編映画を津南町で撮影した、鴨井奨平さん(31、津南町上郷出身)。映画『書けないんじゃない、書かないんだ』。約60分の映画がもうすぐ完成する。作品は津南町の上映会はじめ、国内外の映画祭に出品する。最終目標はミニシアターを主とした劇場公開をめざすなか、クラウドファンディング(CF)で活動支援を求めている。

    2024年2月10日号

  • 日本が群を抜いているかも

    「お祓い」という行事

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     2024年が始まってから一ヶ月、節分が過ぎ立春を迎え、新しい年が本格的に動き出しました。
     4月の入学や就職に向け、大学に進学しようとする高校生は入試で希望する先を決めて個別試験に、小学校に上がるお子さんのいるご家庭では、ランドセルを何色にしようか選び始めている頃と思います。
     節分(毎年2月3日)は、各季節の始まりの前日のことを指し、今は一般的に、春の節分のことをいうようになりました。
     この日に神社などでは、「節分祭」と称するお祓いの行事が行われ、一緒に豆撒きも行われます。「♪ 鬼わーそと ふくわーうち」「♪ ふくわーうち ふくわーうち」と豆を投げ、最近は家庭で恵方巻きを食することとセットで行われるようになりました。豆撒きをすると、気分が高揚するようで、大人も子供も大声を出して盛り上がります。
     節分祭のほかにも、6月30日に半年分のケガレをとる「夏越(なごし)のお祓い」があります。神社の境内に、茅(ちがや)という草で編んだ「茅の輪」が準備され、それをくぐると、和気あいあいとした雰囲気となります。
     和気あいあいと言えば、家族や友達と食事をしながら楽しめる花火大会も、もともとは「火」によるお祓いの意味合いを含むことが多くあります。花火にお祓いの意味があるのを知らなかったとしても、花火が終わったあと、周りの空気に清々しさを感じるのは私だけでしょうか。
     おそらく世界のなかをみても、このように日常の行事のなかに「お祓い」があり、埃やケガレを祓い、清々しさを感じる空間が広がっているのは、日本が群を抜いてのことかもしれません。
     外国の方が初めて日本に来たとき、成田空港や羽田空港の施設を〝ピカピカ〟と表現するくらいにきれいと言い、掃除が行き届いていることに驚きの声があがっていると聞きます。
     空港をあとにして街に出ても、行き交う道のほとんどにごみは落ちておらず、奇跡と思うようなレベルとして映っているようです。
     実際には、日本でも上下水道などのインフラが整備されてからのことかもしれませんが、このように気持ちのよい空間を共有し維持がされていることは、素晴しいことだと思います。
     私たちはそれを教え込まれるというわけではなく、日常生活のなかで、行事などに触れ、自然と身に付いているところがあるように感じます。
     最近よくないニュースを耳にすることが増えるなか、原点に戻って、よいなと思う話をしました。

    2024年2月10日号

  • 『まつのやま基地』

    佐藤美保子さん(1978年生まれ)

     「卒業式で9年生(中学3年)と別れるのが嫌で、小学1年生が泣くんですよ。この学園の良さが分かりますね」。小中一貫校『まつのやま学園』、我が子4人が通う。放課後、いつもは通学バスですぐに帰宅するが、「道草」して2時間かかることもある。それをサポートするのが
    『まつのやま基地』。拠
    点は松之山支所前の空き家を活用。オリジナル旗が目印。コロナ禍前の2019年、思いを同じくする仲間たちと立上げ、今春から新たな体制で活動を再スタートする。運営スタッフは同じく子育て中のママさん仲間4人、地域と繋いでくれる世話役が3人。昨年、プレイベントを年間通じて開き、今春からの活動の感触をつかんだ。
     「この手作り箒(ほうき)は、ホウキモロコシで作ったんです。地元の箒名人の方と一緒に子どもたちも収穫から作りました。自分で作った箒ですから愛着がわき使いたくなりますよね。家の掃除を自分からやりますよ」。米作りは世話役メンバーが手植えからアドバイスし、稲刈り・ハゼ掛け・脱穀を体験。「自分たちがやりたいことを、出来る人たちとつながり、子どもたちと一緒にやります。今度あれしたいね、次はあれしよう
    よ…など次々とやりたいことが湧いてきます」。
     親の転勤で県庁所在地を転々と動いたが、「小さい頃から田舎で暮らしたい、その思いはずっとありました」。地域おこし協力隊など地域活動の経験の中で「松之山は人の暮しの繋がりの中に拠り所があります。その繋がりが薄くなりつつあり、ならば誰でも世代を超えて気軽に寄れるコミュニティをと。それがまつのやま基地です。子どもたちは保育園から中学卒業まで少ないながらも一緒に体験を積み重ねています。これは社会に出て行くなかで、大きな強みになるはずです」。
    ◆バトンタッチします。
     「森田れなさん」

    2024年2月10日号

  • セロトニン、オキシトシン、ドーパミン

    「幸せは自分の手の中にあるんだよ」

     先日、5年以上ぶりに高校時代の同級生と土市の松海寿司さんで食事をした後、近くの「音鳴り」さんで二次会、カラオケで大きな声で笑って楽しみました。店内でご一緒させていただいた土市町内の皆さんとの昭和の名曲リレーで若かりし頃のエネルギーを思い出し、元気になりました。ありがとうございます!
     美空ひばりさんの名曲・みだれ髪を聴きながら姉がポツリ「美空ひばりほど歌えたらいいのになぁ。でも、プライベートはあまり幸せではなかったんだよね」とつぶやいたので、「人生において良いことと悪いことは同じだけやってきて最後はプラスマイナスゼロになるんだよ」と私が答えると、姉が最後に「でも自分の今はプラスの方が多い気がするな」と言ったので、妹としては良かったなと思った次第です。
     誰でも幸せになりたいと思いますよね。そして人生においてプラスが多い方が良いと思うのは当然です。果たして「幸せ」とは?「幸せ」とはどういう状態を指し、その「幸せ」とは、どうしたらやってくるのでしょう? みなさんにとっての「幸せ」とは何ですか?
     精神科医の樺沢紫苑さんは、幸せを得るためには順番がある、と言います。まず幸せになる第一歩は「自分の体と心の安定」が保たれていることから始まる、と。自分が平らで穏やかな状態であるということが基本として無ければ、本当の幸せは訪れないという意味です。
     そして第二歩は「人間関係の安定」があること。自分だけでなく周囲の状態が平らで穏やかである状態が本当に幸せになるには必要です。そして最後に「金銭的な安定」がある、という順番です。 別の視点から言えば、金銭的な幸せを得たくても、自身の心身の安定と周囲の人間関係の安定が無いところには、金銭的な幸せはやってこないということになります。なかなかシビアな話だなと思います。
     次に、私たちの脳の中にある「幸せを感じさせる」物質、という視点で「幸せ」を見てみます。すると、まず幸せになる第一歩に必要なのはセロトニンという物質です。体や心が気持ちいいと感じる時に出る物質で、不足するとうつ状態になります。うつ状態になれば「自分の体と心の安定」から離れてしまいますし、周囲との良い人間関係を構築するのは困難な状態になります。
     では充足された場合、第二歩で必要なのはオキシトシンという物質です。赤ちゃんにおっぱいをあげる、恋人と触れ合う、友人とハグする、子どもを抱っこする、などで多く分泌されるため、「人間関係の安定」に重要な物質といえます。そして最後にドーパミンという物質です。目標を達成したり、成功や昇給、褒められたりした時に出る物質で意欲につながります。「金銭的な安定」あるいは言い換えると、自分にとって最終的に到達したいゴール、自分にとっての最終的な「幸せ」につながる物質といえるかもしれません。
     この3つの物質のどれかが欠けても幸せを感じることはできないので、「幸せを感じさせる」物質という視点でも、幸せになるための順番というのはあるのかもしれません。

     私はよく中学生たちに「幸せは自分の手の中にあるんだよ」と話をします。そしてまずは「自分を大事にするというのを忘れないでね(そこから幸せは始まるよ)」とも話しています。理屈では分かっていても「幸せ」を感じにくいという方は、次回の続きをまた楽しみにしていてください。待ちきれない方はどうぞお気軽に医院までご相談くださいね。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2024年2月10日号

  • 北川氏「妻有に心を寄せる」

    十日町市議会と初直接対話、「ここまで来たのが重要」

    大地の芸術祭

    十日町市議会と大地の芸術祭・北川フラム総合ディレクターが車座で直接意見交換した。市議会主催の「大地の芸術祭の今後の展開についての懇談会」は7日、越後妻有文化ホール段十ろうで開催。「子どもたちが芸術に関わる環境づくりを」や「明石の湯と大地の芸術祭を結びつける方法は」など、市議一人ひとりが北川氏に疑問をぶつける形で進んだ。

    2024年2月17日号

  • 「当たり前のこと」

    ダイワ電気工事の3人

    冬道遭難の男性救助で感謝状

     行方不明だった70代男性を雪道で保護し、命を守った除雪事業者3人の功績を称えた。十日町署(山岸信行署長)は9日、ダイワ電気工事(十日町市松代)の古田島周二取締役部長(48、高田町)、田辺謙一取締役(67、寺田)、臨時社員の小山勝正さん(80、蒲生)の3人に感謝状を贈った。3人は先月25日の早朝~午前にかけ、国道353号線を車でさまよっていた70代男性を不審に思い保護。男性は行方不明で家族が捜索しており、適切な対応で男性の命を守った。

    2024年2月17日号

  • 『ナチュラルライフ』

    森田 れなさん(1988年生まれ)

     東京のマンション暮らし。「隣り近所に迷惑をかけないように気をつかう毎日で、窮屈さを感じていました」。元気盛りの男の子2人を自由に遊ばせたい。東京生まれの夫・淳さんと、これからの暮し方を話し合った。
     祖母が松之山生まれで千葉に暮らす。ならば十日町市から探してみようと、空き家バンクを見ると古民家があった。「訪ねて見たら、これだっと、夫と決めました」。築100年余の家は天井が高く、むき出しの太い梁が歴史を感じさせると同時に、安心感を与える。
     来月には四度目の春を迎える。広い居間を活用し、13年余り取り組む「ヨガ」を指導し、同じくらい取り組むハーブやアロマによる食養生や自然療法を伝える。どちらも指導者の資格を持ち、暮しの中で心と身体をリラックスしてくれる。
     「ここには宝物がいっぱいありますね」。自生するドクダミ、ヨモギ、スギナなど薬草の高い効能を伝え、広めている。移り住んだ年から米作りにも取り組む。農業機械が入らない棚田を借り受け、「前からやってみたかったんです」と、肥料も農薬も使わず、子どもたちと泥んこになりながらのコメ作りを続ける。 
     言葉にすれば「ナチュラルライフ」だが、力みはない。子どもをテーマに映画制作するオオタヴィン監督の『いただきます』など作品上映を通じて、暮しへの思いが少しずつ広がっている。東京生まれの男の子2人、松代生まれの1歳半の長女、子たち3人と日々の生活を楽しむ。「自然の素材がいっぱいです。この子たちにつないでいきたいですね」。
    ◆バトンタッチします。
     「大出恭子さん」

    2024年2月17日号

  • セツブンソウ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     2月、陽射しにぬくもりを感じるようになると、野草好きの人にとって落ち着かない日々の始まりである。各地から花の便りが聞こえてくるからだ。そんな人たちの琴線をいち早く刺激するのがセツブンソウである。
     花期は早い。2月中旬から3月中旬で、それが名の由来となっている。
     分布は本州の関東以西で、残念ながら苗場山麓では見ることができない。この花に逢いたければ近場でも群馬県、栃木県、埼玉県や長野県の南部まで足を運ぶことになる。
     落葉広葉樹の疎林下で、礫が混じる場所を好む。夏には地上部が枯れてしまうスプリング・エフェメラル(春のはかない命)だ。
     草丈は5~10センチ、小さくて可愛い。花は径2センチほど、白い花びらに見えるのは萼片。花びらはしべを囲むように並ぶ黄色い部分で、先が二裂して蜜腺となる面白い形をしている(写真)。
     温暖化の影響で、新潟県でもいつか自生が見られるようになるのかも…。

    2024年2月17日号

  • これは「決意」か、津南町予算案を見る

     津南町の新年度予算案が13日発表され、一つの決意表明が見えた。建設から38年経過、施設設備の大幅更新期を向かえるニュー・グリーンピア津南(NGP津南)。予算案にスキー場施設・ホテル棟の修繕が計上され、一般会計予算額は1億5166万円余。毎年、施設修繕に取り組むが、1億を超える予算は最近では多額だ。なぜ「決意表明」なのか。それは来年、10年間の民間委託契約が満了を向かえ、契約更新の行方に関心が集まるなか、この億単位の施設改修。津南町所有のNGP津南を町は今後も維持する「意志」がそこに見えるのだが…。
     ただ、容易ではないこの先の状況だ。来年の契約満了期に、新たな経営者を視野に入れているのか、あるいは現在の経営者「津南高原開発」が契約更新し、今後も老朽化するホテル経営を続けるのか、その判断の時期が迫っている現実がある。全国的に施設更新期を向えるホテルなど観光施設が、中国資本などに委ねられるケースが多く見られるなか、370㌶の広大な自然たっぷりの敷地のNGP津南である。その敷地面積だけでも大きな魅力であるのは間違いない。すでに交渉が始まっているのか、いや契約更新のための新年度予算案なのか、である。
     今はないが国の年金福祉業団が270億円の巨費を投じて設置したグリーンピア津南。だが38年の歳月は施設全体の更新が待ったなしの状態で、その多額の改修費の捻出に困窮している経営状況だ。町有施設だけに、維持継続するか、新たな活路を見出すか、その判断だろう。その意味で新年度予算案の施設修繕費は、一つの決意表明と見るが、早計だろうか。
     津南町議会は今月29日、新年度予算案を審議する定例議会が開会する。初日、町のトップ・桑原悠町長の施政方針表明がある。ここで、NGP津南への決意が聞かれるか、どうか。

    2024年2月17日号

  • 箱根から世界へ、ロス五輪に照準

    城西大4年 山本唯翔選手(松代・犬伏出身)

    「山の妖精」ふるさと凱旋、「五輪で表彰台に」

     マラソンでオリンピックをめざす―。五輪の登竜門・箱根駅伝の5区山登りで2年連続区間新をマークし最優秀選手賞・金栗四三杯を獲得した『山の妖精』山本唯翔選手(城西大4年)が5日、母校の松代中と松代小を凱旋。歓迎を受けた山本選手は児童生徒に「目標を持ち、その目標に向かって努力してほしい」と諦めずに努力することの大切さを伝えた。山本選手は「服部勇馬選手のようにマラソンでオリンピックをめざし、表彰台に立ちたい」と卒業後は自動車メーカーSUBARU(スバル)に入社、実業団選手として2028アメリカ・ロサンゼルス五輪をめざす。『箱根駅伝から世界へ』。山本選手が世界の舞台へと翔び立つ。

    2024年2月10日号

  • 故郷舞台のコメディ映画を

    津南出身の鴨井奨平監督、CF支援求む

    4月末上映会予定

     故郷の津南町で撮影した映画発信の協力を求めている。昨秋自身初の長編映画を津南町で撮影した、鴨井奨平さん(31、津南町上郷出身)。映画『書けないんじゃない、書かないんだ』。約60分の映画がもうすぐ完成する。作品は津南町の上映会はじめ、国内外の映画祭に出品する。最終目標はミニシアターを主とした劇場公開をめざすなか、クラウドファンディング(CF)で活動支援を求めている。

    2024年2月10日号

  • 日本が群を抜いているかも

    「お祓い」という行事

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     2024年が始まってから一ヶ月、節分が過ぎ立春を迎え、新しい年が本格的に動き出しました。
     4月の入学や就職に向け、大学に進学しようとする高校生は入試で希望する先を決めて個別試験に、小学校に上がるお子さんのいるご家庭では、ランドセルを何色にしようか選び始めている頃と思います。
     節分(毎年2月3日)は、各季節の始まりの前日のことを指し、今は一般的に、春の節分のことをいうようになりました。
     この日に神社などでは、「節分祭」と称するお祓いの行事が行われ、一緒に豆撒きも行われます。「♪ 鬼わーそと ふくわーうち」「♪ ふくわーうち ふくわーうち」と豆を投げ、最近は家庭で恵方巻きを食することとセットで行われるようになりました。豆撒きをすると、気分が高揚するようで、大人も子供も大声を出して盛り上がります。
     節分祭のほかにも、6月30日に半年分のケガレをとる「夏越(なごし)のお祓い」があります。神社の境内に、茅(ちがや)という草で編んだ「茅の輪」が準備され、それをくぐると、和気あいあいとした雰囲気となります。
     和気あいあいと言えば、家族や友達と食事をしながら楽しめる花火大会も、もともとは「火」によるお祓いの意味合いを含むことが多くあります。花火にお祓いの意味があるのを知らなかったとしても、花火が終わったあと、周りの空気に清々しさを感じるのは私だけでしょうか。
     おそらく世界のなかをみても、このように日常の行事のなかに「お祓い」があり、埃やケガレを祓い、清々しさを感じる空間が広がっているのは、日本が群を抜いてのことかもしれません。
     外国の方が初めて日本に来たとき、成田空港や羽田空港の施設を〝ピカピカ〟と表現するくらいにきれいと言い、掃除が行き届いていることに驚きの声があがっていると聞きます。
     空港をあとにして街に出ても、行き交う道のほとんどにごみは落ちておらず、奇跡と思うようなレベルとして映っているようです。
     実際には、日本でも上下水道などのインフラが整備されてからのことかもしれませんが、このように気持ちのよい空間を共有し維持がされていることは、素晴しいことだと思います。
     私たちはそれを教え込まれるというわけではなく、日常生活のなかで、行事などに触れ、自然と身に付いているところがあるように感じます。
     最近よくないニュースを耳にすることが増えるなか、原点に戻って、よいなと思う話をしました。

    2024年2月10日号

  • 『まつのやま基地』

    佐藤美保子さん(1978年生まれ)

     「卒業式で9年生(中学3年)と別れるのが嫌で、小学1年生が泣くんですよ。この学園の良さが分かりますね」。小中一貫校『まつのやま学園』、我が子4人が通う。放課後、いつもは通学バスですぐに帰宅するが、「道草」して2時間かかることもある。それをサポートするのが
    『まつのやま基地』。拠
    点は松之山支所前の空き家を活用。オリジナル旗が目印。コロナ禍前の2019年、思いを同じくする仲間たちと立上げ、今春から新たな体制で活動を再スタートする。運営スタッフは同じく子育て中のママさん仲間4人、地域と繋いでくれる世話役が3人。昨年、プレイベントを年間通じて開き、今春からの活動の感触をつかんだ。
     「この手作り箒(ほうき)は、ホウキモロコシで作ったんです。地元の箒名人の方と一緒に子どもたちも収穫から作りました。自分で作った箒ですから愛着がわき使いたくなりますよね。家の掃除を自分からやりますよ」。米作りは世話役メンバーが手植えからアドバイスし、稲刈り・ハゼ掛け・脱穀を体験。「自分たちがやりたいことを、出来る人たちとつながり、子どもたちと一緒にやります。今度あれしたいね、次はあれしよう
    よ…など次々とやりたいことが湧いてきます」。
     親の転勤で県庁所在地を転々と動いたが、「小さい頃から田舎で暮らしたい、その思いはずっとありました」。地域おこし協力隊など地域活動の経験の中で「松之山は人の暮しの繋がりの中に拠り所があります。その繋がりが薄くなりつつあり、ならば誰でも世代を超えて気軽に寄れるコミュニティをと。それがまつのやま基地です。子どもたちは保育園から中学卒業まで少ないながらも一緒に体験を積み重ねています。これは社会に出て行くなかで、大きな強みになるはずです」。
    ◆バトンタッチします。
     「森田れなさん」

    2024年2月10日号

  • セロトニン、オキシトシン、ドーパミン

    「幸せは自分の手の中にあるんだよ」

     先日、5年以上ぶりに高校時代の同級生と土市の松海寿司さんで食事をした後、近くの「音鳴り」さんで二次会、カラオケで大きな声で笑って楽しみました。店内でご一緒させていただいた土市町内の皆さんとの昭和の名曲リレーで若かりし頃のエネルギーを思い出し、元気になりました。ありがとうございます!
     美空ひばりさんの名曲・みだれ髪を聴きながら姉がポツリ「美空ひばりほど歌えたらいいのになぁ。でも、プライベートはあまり幸せではなかったんだよね」とつぶやいたので、「人生において良いことと悪いことは同じだけやってきて最後はプラスマイナスゼロになるんだよ」と私が答えると、姉が最後に「でも自分の今はプラスの方が多い気がするな」と言ったので、妹としては良かったなと思った次第です。
     誰でも幸せになりたいと思いますよね。そして人生においてプラスが多い方が良いと思うのは当然です。果たして「幸せ」とは?「幸せ」とはどういう状態を指し、その「幸せ」とは、どうしたらやってくるのでしょう? みなさんにとっての「幸せ」とは何ですか?
     精神科医の樺沢紫苑さんは、幸せを得るためには順番がある、と言います。まず幸せになる第一歩は「自分の体と心の安定」が保たれていることから始まる、と。自分が平らで穏やかな状態であるということが基本として無ければ、本当の幸せは訪れないという意味です。
     そして第二歩は「人間関係の安定」があること。自分だけでなく周囲の状態が平らで穏やかである状態が本当に幸せになるには必要です。そして最後に「金銭的な安定」がある、という順番です。 別の視点から言えば、金銭的な幸せを得たくても、自身の心身の安定と周囲の人間関係の安定が無いところには、金銭的な幸せはやってこないということになります。なかなかシビアな話だなと思います。
     次に、私たちの脳の中にある「幸せを感じさせる」物質、という視点で「幸せ」を見てみます。すると、まず幸せになる第一歩に必要なのはセロトニンという物質です。体や心が気持ちいいと感じる時に出る物質で、不足するとうつ状態になります。うつ状態になれば「自分の体と心の安定」から離れてしまいますし、周囲との良い人間関係を構築するのは困難な状態になります。
     では充足された場合、第二歩で必要なのはオキシトシンという物質です。赤ちゃんにおっぱいをあげる、恋人と触れ合う、友人とハグする、子どもを抱っこする、などで多く分泌されるため、「人間関係の安定」に重要な物質といえます。そして最後にドーパミンという物質です。目標を達成したり、成功や昇給、褒められたりした時に出る物質で意欲につながります。「金銭的な安定」あるいは言い換えると、自分にとって最終的に到達したいゴール、自分にとっての最終的な「幸せ」につながる物質といえるかもしれません。
     この3つの物質のどれかが欠けても幸せを感じることはできないので、「幸せを感じさせる」物質という視点でも、幸せになるための順番というのはあるのかもしれません。

     私はよく中学生たちに「幸せは自分の手の中にあるんだよ」と話をします。そしてまずは「自分を大事にするというのを忘れないでね(そこから幸せは始まるよ)」とも話しています。理屈では分かっていても「幸せ」を感じにくいという方は、次回の続きをまた楽しみにしていてください。待ちきれない方はどうぞお気軽に医院までご相談くださいね。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2024年2月10日号