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妻有新聞掲載記事一覧

  • 「市民総意、知事に伝える」

    原子力規制委27日禁止解除へ、柏崎刈羽原発

    十日町市・関口市長

     いっきに再稼働に向け動き出した。原子力規制委員会は20日、東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の事実上の運転禁止命令を今月27日に解除する方針を決めた。これにより再稼働は地元の新潟県の同意が焦点に。花角英世知事は県民の意見を聞き判断する姿勢を示し、12月県議会で「信を問うのが責任の取り方としてもっとも明確であり重い方法と考えている」としている。一方、UPZ圏域(半径30㌔圏内)に下条地区や川西・松代地域の一部が入り、約5700人が住む十日町市。関口市長は18日の定例会見で「市民の皆さんの代表として、十日町市としての意見を述べる。決定権者は県知事と認識。十日町市民の意見をまず知事にお伝えする」と市民意見を集約し意見を伝える方針を示した。

    2023年12月23日号

  • 「本当にやる気あるの?」

    12月再開の明石の湯

    年末年始9連休、かき入れ時なのに…

     「やる気があるの?」、そんな声が聞こえている。『温浴施設か美術館か』と揉めにもめ、施設を改修してようやく今月2日に市の直営として再開した明石の湯だったが、年末年始の休館日が今月26日から来年1月3日までの9連休となる。帰省客が大幅に増える年末年始は温泉施設にとって『かき入れ時』のはずが、まさかの9日間の休館。利用者からは「正にお役所仕事。お客はどうでもいいということじゃないか」と厳しい声が出ている。

    2023年12月23日号

  • 探究学習、県教委が注目

    優秀教職員表彰

    津南中等プロジェクトチーム受賞

     中高一貫6年間の継続課程で長期視点の人材育成を図っている県立津南中等教育学校(関口和之校長、353人)。同校の特色となっているのが地域を学び、課題解決策を考える探究学習『津南 妻有学』。その活動を支える教職員チーム「探究学習プロジェクトチーム(探究学習委員会・8人)が今期の「新潟県優秀教職員表彰(組織)」をこのほど受けた。

    2023年12月23日号

  • 「孤立しない孤立させない」がとても重要

    人と人の間にいるひと、誰かとつながりを

    vol 89

     さて前回、うつ病の患者さんを抱える家族の方がどう家庭でふるまうと良いのかをお話して途中になっていました。今回は続きをお話したいと思います。自分の実体験を強く反映した内容になっていますので、すべてがうつ病でお困りの方に合うものではないかもしれませんがご容赦くださいませ。
     前回、『怒らない』『何かを決めさせない』『気分転換に何処かへ連れ出すのはかえって逆効果』『調子の悪い合図を見極めてあげる』までお伝えしました。
     その5『一人にさせない』。患者さんは突発的に何をするか分かりません。特に危ないことは少し元気になってから起こりがちです。誰か必ずそばに居てあげる、それに近い状態にしてそっと見守ってください。
     もともと、うつ病予防は社会の中で「孤立しない孤立させない」がとても重要です。うつ病になってからも「孤立しない孤立させない」はとても重要です。自殺してしまう人、助かる人の大きな差はこの点なのではないかと感じています。
     その6『調子よく動いた後は落ち込むことを念頭に置く』。調子が良いと、今までできなかった分、本人は色々してしまいがちです。ただ、そうして動くと、エネルギーが減ってしまい、その後は一時症状が悪化したような状態になることがあります。
     本人としては、調子が良くなったと思ったのにまた病状が後戻りしたのではと不安に思う場合があります。なので、一時的に調子が悪くなったような様子が見えたときには「頑張ったから疲れたんだね。」と声掛けしてあげると良いかもしれません。うつ病は長い時間をかけてその人の根底にあるエネルギーを少しずつ削っていって起こる状
    態です。休養を取って薬を飲んだら数日後にピタッと治るものではありません。焦らずじっくりいきましょう。
     その7『愛を伝えてください』。どんなことになっても、愛は変わらずここにある、と時々口にしてあげてください。要するに、うつ病で苦しんでいるあなたを置いていなくなることはないよと伝えるのです。愛しているよ、ありがとう、今日も頑張ったね、など。本人がかえって気をつかってしまうような、ごめんね、などのネガティブな言葉は避けましょう。
     以上になります。ただしこの7か条は原則として、きちんと精神科または心療内科に通院しているという上で成り立つものです。まずはおかしいなと思ったら、早めに受診することさせることが大事です。そして可能でしたらご家族の方も受診に付き添って、主治医から現状の説明や声掛けのアドバイスをしてもらうと良いと思います。
     私が通っているジムの先生が、「うつ病の人とは言うけど、うつ病の人間とはあんまりいうことが無いですよね」といつか話してくださったのが印象的でした。つまり、何度も言いますが、人と人の間にいるひと、誰かとつながりを持っている人はうつ病にならないしうつ病も早く治る、ということなのだなと思っています。これは大人だけでなく子どもも同じなのではないかと思っています。
     うつ病は特別な病気ではありません。今は医師として患者さんの紹介や相談でお世話になっている私の主治医は、今でもはっきり「うつ病は心の風邪」と言い切ります。ということは早めに対処すれば風邪と同じく早く治る、ということなのでしょう。
     どうぞ2024年も皆さんが心穏やかに過ごされますよう、お祈り申し上げます。良いお年を!
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年12月23日号

  • 国民生活の安定や安全は

    今年を振り返って

    清水裕理 (経済地理学博士)

     今年も寒くなり年末が近づいてきました。2023年はどのような一年でしたでしょうか。時代が変化し、その具体的な動きが見え始めてきた、そんな一年でもありました。コロナ、ウクライナや中東の紛争をきっかけに、80〜100年単位と言われる新時代を迎える前の変化が、加速したようにも思います。
     コロナによって加速したことの一つは、少子高齢化と働き方への影響です。例えば、地元の個人商店の閉店が増えました。地元には長年にわたって愛されてきた食堂やお菓子屋さんなどがあります。なかには、店主が高齢となってきて、今後お店をどうしようかと考えていた方々がいたと思います。 
     それがコロナをきっかけに、お店を閉める判断を早められた方々がいらっしゃるように見えました。お店のファンからすると、コロナがなければ、お店をもう少し続けてくれていたかもしれない…後継者が出てきたかもしれない…と思ってみたりして残念に感じてしまいます。
     ウクライナや中東の紛争によって加速したことの一つは、それまでのグローバル化の進展が青信号から黄色信号になったことです。
     グローバル化とは、国境を超えた資本や労働力の移動および貿易や海外への投資が活発となることで、世界との経済的な結びつきが深まることを指します。
     今後も世界との経済的な結びつきがなくなることはありませんが、今回の紛争で地政学リスクが高まり、小麦などの食糧や石油・ガスなどのエネルギーを輸入していた国々に深刻な事態が生じました。製造業においても、海外から部品の調達が従来通りできなくなり工場で製品が作れなくなるという影響がありました。
     地政学リスク(紛争などの緊張の高まりが、その地域や世界経済に与える影響のこと)という言葉は、少なくともここ30年は使われることがなかったと記憶していますが、最近はよく使われるようになりました。
     私たちが海外旅行をする際も、世界で起きている或いは起きるかもしれない紛争を、ここまで意識することはなかったと思います。
     来年の世界は選挙の年と言われ、1月に台湾総統選、3月にロシア大統領選、4月に韓国総選挙とインド総選挙、11月に米国大統領選があり、日本への影響が注目されます。
     日本国内は、今まで先伸ばしにしていた、建物や設備の更新が増えるなどして景気がよくなるとも言われています。そして、それが国民生活の安定や安全に繋がるかどうか…重要なことだと思います。

    2023年12月23日号

  • ドクササコ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     キノコは古くから利用されてきた食材である。栽培されることも多く、エノキ、シイタケ、マイタケなどは鍋物に欠かせない具材となっている。
     「食」あれば「毒」あるのがキノコの世界。数ある毒キノコの中で絶対に食べたくないのが「ドクササコ」だ。名前からして怪しさがプンプン臭う。
     摂取後の症状が特異だ。手足の末端が赤く腫れ、焼け火箸を押し付けたような激痛に襲われる(末端紅痛症)。恐ろしいのはその痛みが昼夜を問わず一か月ほども続くことである。痛みに耐えかね患部を冷水に浸けてみたがふやけてしまい指先の骨が露出したこともあったという。
     食べてから発症するまでの潜伏期間が一週間ほどと遅い。そのためキノコが原因とはわからず風土病や祟りではと恐れられてきた。
     一見食べられそうな姿が曲者。横から見るとラッパ形で、傘の中央が窪んでいたら要注意である。

    2023年12月23日号

  • 人口減少対策は国、市町村は生活の質が第一

     『市町村は人口減少対策から脱却を』。こんなタイトルの意見を日経紙面で見た。地方自治総合研究所の坂本誠研究員は言い切る。「そもそも、人口減少対策を市町村に委ねること自体に無理があるのではないか」。全国の人口減少に悩

    む市町村は、「移住政策」と称する独自事業を打ち上げ、「うちの町に来ませんか、うちの村はどうですか」と、全国規模で人口が減少しているこの国の「やせ細るパイ」の奪い合いを繰り広げているのが、自治体の移住政策の実態ではないのか。「市町村の本分は、住民ひとり一人の生活の質を上げること。それによる定住環境の確保にあるのではないか」。坂本研究員は、浮足立つ人口減少対策に一石を投じている。
     住民生活の「質」は、個人や地域ごとに多様だ。市長・町長・村長は住民との対話を掲げ、語る会など継続的に開く。生活から出る言葉をよく聞いていくと、住民が求めているのは立派な公民館やコミュニティー施設ではなく、最寄りの場所に「茶飲み」ができる場や気軽に集える広場などではないのか。声高に「移住」を叫んだところで肝心の住民が離れたのでは、まさに元も子もない。地域が行政に求めるのは、財政投資による「活性化」ではなく住民に余計な負担をかけずに、静かに見守り、安心して暮らせる環境づくりではないのか。
     坂本研究員は続ける。「人口減少対策に全国各地で取り組むが、一握りの成功と、その陰に数多くの失敗例がある」と述べ、「住民であれ、移住者であれ、目の前の住民と共に腰を据えて向き合い、生活の質の向上に取り組む定住対策への転換だ」。人口減少対策の根本部分は国の社会保障制度の設計にあるとして、生活の質向上の第一義は市町村行政にある、と言い切る。まさに、目からウロコだ。細るパイの奪い合い、この実態を先ず見ることだろう。安心・安全の真の意味を考える時だ。

    2023年12月23日号

  • 642日ぶり開通

    十日町市・稲荷町踏切改修

     『改良すべき踏切』として国交省の指定を受け、642日ぶりに渡って通行止めで改良工事を進めてきた十日町市の市道稲荷町線・JR飯山線稲荷町踏切は、ようやく工事が完了。13日、開通式を行った。式には通行を待ち望んでいた周辺住民ら50人余りが駆けつけ、通行再開を喜んだ。同路線は2月16、17日に開く冬の一大イベント・十日町雪まつりの主会場となる西小グラウンドと市中央部とを結ぶ導線として重要視される一方、下島地区に結ぶ道路改良も進んでおり、重要路線となる期待が高まっている。

    2023年12月16日号

  • 保育園、小学校、統合要望多数

    津南町長対話会、参加数減だが要望多数

    「今のままでは子どもの人数が少なすぎる。保育園の整備を進めてほしい」。「上郷小の児童数はいま30人余り。統合すべき」。「前の統合の話しが出た時から時間が過ぎ状況は変わっている。芦ヶ崎小校区の保護者アンケートで意向調査を」など、子どもの学び環境についての意見や質問が若手参加者から出ていた。

    2023年12月16日号

  • 「うつ病」、一番困っているのは患者さん本人

    ゆっくり休んでもらう気遣いを

     もうすぐ冬至を迎えるにあたって、今が一番日暮れの早い季節だと分かっているのですが、やっぱり早く暗くなってしまうのは気持ちが滅入りやすくなりますね。でも今年は過去3年と比べて、週末に市内を車で走らせてみると、忘年会などでお店を貸し切って楽しんでおられる皆様の様子が見られるので、少し気分も明るく過ごせるのかもしれません。
     今から35年以上も昔、私が小学生のころからすでに、この地域の冬は日照時間が短く湿度が高いため、他の地域よりうつ病と喘息が多いのだと、内科医であった父より聞いています。今日はそんなことで、もう少し明るい話題が良いのかと思いましたが、うつ病の患者さんを抱える家族の方がどう家庭でふるまうと良いのかをお話してみたいと思います。
     それはなぜかというと、外来でも患者さんのご家族の方が見えて、「どう言葉を掛けたらよいのか分からない」という相談を受けるからです。
     うつ病は、体を動かすエネルギーが全くない状態で生活を送らなければいけない辛い病気です。一番困っているのは患者さん本人であるということを忘れないであげてください。
     その1『怒らない』。たとえ歯がゆくても、「いつまでそんな風になっているんだ!」と怒らないでください。治りたいけれど先が見えずに切ない思いをしているのは本人です。自分でも分かっていて動けない状態で、自分に対してダメだと思う感情や周りにとても迷惑をかけているという気持ちでいっぱいになっている状態なので、この言葉に大いに傷つき病状を悪化させます。
     その2『何かを決めさせない』。本人のことを考えて「仕事は思い切って休んだ方がいいんじゃない?」「仕事辞めたら?」「予定していた〇〇はやめようか?」と本人に未来の何かを決定させてはいけません。それを考える余裕が頭の中には無く、ただ今を生きるのが精一杯な状態です。このような声がけは本人にとって、何も決められない自分は生きていても無意味と感じるプレッシャーになり、自殺未遂につながります。似たような声がけとして、「薬を飲んでいれば治るよ」「大丈夫大丈夫」などの安易な未来予想は口にしないほうが良いです。
     その3『気分転換に何処かへ連れ出すのはかえって逆効果』。本人がしたいことだけさせてください。「これをやらなきゃいけない、やりたくないけど」と思いながらやることは、エネルギーをとても使い、症状を悪化させます。
     その4『調子の悪い合図を見極めてあげる』。本当に調子が悪い時に本人から、「今は気分が落ち込んでいて辛い」と言うのはなかなか困難なものです。話しかけても黙っている、ボーっとしてうつむいている、表情が消える、涙がでる、頭痛がする、など、ひとによって症状は異なりますが、調子の悪い時に最初に出てくる症状がたいていあります。これらを見かけたら、「今調子悪いのでは? 休もう。」と、していることをやめさせてゆっくり横にさせてあげる気遣いをしてあげましょう。
     さて、今回はここまで。次回続きをお知らせします。今振り返れば、私の体験からしても、なんといってもそばにいた母が一番大変だったろうなと思います。今回のお話が少しでも頑張っていらっしゃるご本人、ご家族さまのお力になればと思います。(たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年12月16日号

  • 「市民総意、知事に伝える」

    原子力規制委27日禁止解除へ、柏崎刈羽原発

    十日町市・関口市長

     いっきに再稼働に向け動き出した。原子力規制委員会は20日、東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の事実上の運転禁止命令を今月27日に解除する方針を決めた。これにより再稼働は地元の新潟県の同意が焦点に。花角英世知事は県民の意見を聞き判断する姿勢を示し、12月県議会で「信を問うのが責任の取り方としてもっとも明確であり重い方法と考えている」としている。一方、UPZ圏域(半径30㌔圏内)に下条地区や川西・松代地域の一部が入り、約5700人が住む十日町市。関口市長は18日の定例会見で「市民の皆さんの代表として、十日町市としての意見を述べる。決定権者は県知事と認識。十日町市民の意見をまず知事にお伝えする」と市民意見を集約し意見を伝える方針を示した。

    2023年12月23日号

  • 「本当にやる気あるの?」

    12月再開の明石の湯

    年末年始9連休、かき入れ時なのに…

     「やる気があるの?」、そんな声が聞こえている。『温浴施設か美術館か』と揉めにもめ、施設を改修してようやく今月2日に市の直営として再開した明石の湯だったが、年末年始の休館日が今月26日から来年1月3日までの9連休となる。帰省客が大幅に増える年末年始は温泉施設にとって『かき入れ時』のはずが、まさかの9日間の休館。利用者からは「正にお役所仕事。お客はどうでもいいということじゃないか」と厳しい声が出ている。

    2023年12月23日号

  • 探究学習、県教委が注目

    優秀教職員表彰

    津南中等プロジェクトチーム受賞

     中高一貫6年間の継続課程で長期視点の人材育成を図っている県立津南中等教育学校(関口和之校長、353人)。同校の特色となっているのが地域を学び、課題解決策を考える探究学習『津南 妻有学』。その活動を支える教職員チーム「探究学習プロジェクトチーム(探究学習委員会・8人)が今期の「新潟県優秀教職員表彰(組織)」をこのほど受けた。

    2023年12月23日号

  • 「孤立しない孤立させない」がとても重要

    人と人の間にいるひと、誰かとつながりを

    vol 89

     さて前回、うつ病の患者さんを抱える家族の方がどう家庭でふるまうと良いのかをお話して途中になっていました。今回は続きをお話したいと思います。自分の実体験を強く反映した内容になっていますので、すべてがうつ病でお困りの方に合うものではないかもしれませんがご容赦くださいませ。
     前回、『怒らない』『何かを決めさせない』『気分転換に何処かへ連れ出すのはかえって逆効果』『調子の悪い合図を見極めてあげる』までお伝えしました。
     その5『一人にさせない』。患者さんは突発的に何をするか分かりません。特に危ないことは少し元気になってから起こりがちです。誰か必ずそばに居てあげる、それに近い状態にしてそっと見守ってください。
     もともと、うつ病予防は社会の中で「孤立しない孤立させない」がとても重要です。うつ病になってからも「孤立しない孤立させない」はとても重要です。自殺してしまう人、助かる人の大きな差はこの点なのではないかと感じています。
     その6『調子よく動いた後は落ち込むことを念頭に置く』。調子が良いと、今までできなかった分、本人は色々してしまいがちです。ただ、そうして動くと、エネルギーが減ってしまい、その後は一時症状が悪化したような状態になることがあります。
     本人としては、調子が良くなったと思ったのにまた病状が後戻りしたのではと不安に思う場合があります。なので、一時的に調子が悪くなったような様子が見えたときには「頑張ったから疲れたんだね。」と声掛けしてあげると良いかもしれません。うつ病は長い時間をかけてその人の根底にあるエネルギーを少しずつ削っていって起こる状
    態です。休養を取って薬を飲んだら数日後にピタッと治るものではありません。焦らずじっくりいきましょう。
     その7『愛を伝えてください』。どんなことになっても、愛は変わらずここにある、と時々口にしてあげてください。要するに、うつ病で苦しんでいるあなたを置いていなくなることはないよと伝えるのです。愛しているよ、ありがとう、今日も頑張ったね、など。本人がかえって気をつかってしまうような、ごめんね、などのネガティブな言葉は避けましょう。
     以上になります。ただしこの7か条は原則として、きちんと精神科または心療内科に通院しているという上で成り立つものです。まずはおかしいなと思ったら、早めに受診することさせることが大事です。そして可能でしたらご家族の方も受診に付き添って、主治医から現状の説明や声掛けのアドバイスをしてもらうと良いと思います。
     私が通っているジムの先生が、「うつ病の人とは言うけど、うつ病の人間とはあんまりいうことが無いですよね」といつか話してくださったのが印象的でした。つまり、何度も言いますが、人と人の間にいるひと、誰かとつながりを持っている人はうつ病にならないしうつ病も早く治る、ということなのだなと思っています。これは大人だけでなく子どもも同じなのではないかと思っています。
     うつ病は特別な病気ではありません。今は医師として患者さんの紹介や相談でお世話になっている私の主治医は、今でもはっきり「うつ病は心の風邪」と言い切ります。ということは早めに対処すれば風邪と同じく早く治る、ということなのでしょう。
     どうぞ2024年も皆さんが心穏やかに過ごされますよう、お祈り申し上げます。良いお年を!
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年12月23日号

  • 国民生活の安定や安全は

    今年を振り返って

    清水裕理 (経済地理学博士)

     今年も寒くなり年末が近づいてきました。2023年はどのような一年でしたでしょうか。時代が変化し、その具体的な動きが見え始めてきた、そんな一年でもありました。コロナ、ウクライナや中東の紛争をきっかけに、80〜100年単位と言われる新時代を迎える前の変化が、加速したようにも思います。
     コロナによって加速したことの一つは、少子高齢化と働き方への影響です。例えば、地元の個人商店の閉店が増えました。地元には長年にわたって愛されてきた食堂やお菓子屋さんなどがあります。なかには、店主が高齢となってきて、今後お店をどうしようかと考えていた方々がいたと思います。 
     それがコロナをきっかけに、お店を閉める判断を早められた方々がいらっしゃるように見えました。お店のファンからすると、コロナがなければ、お店をもう少し続けてくれていたかもしれない…後継者が出てきたかもしれない…と思ってみたりして残念に感じてしまいます。
     ウクライナや中東の紛争によって加速したことの一つは、それまでのグローバル化の進展が青信号から黄色信号になったことです。
     グローバル化とは、国境を超えた資本や労働力の移動および貿易や海外への投資が活発となることで、世界との経済的な結びつきが深まることを指します。
     今後も世界との経済的な結びつきがなくなることはありませんが、今回の紛争で地政学リスクが高まり、小麦などの食糧や石油・ガスなどのエネルギーを輸入していた国々に深刻な事態が生じました。製造業においても、海外から部品の調達が従来通りできなくなり工場で製品が作れなくなるという影響がありました。
     地政学リスク(紛争などの緊張の高まりが、その地域や世界経済に与える影響のこと)という言葉は、少なくともここ30年は使われることがなかったと記憶していますが、最近はよく使われるようになりました。
     私たちが海外旅行をする際も、世界で起きている或いは起きるかもしれない紛争を、ここまで意識することはなかったと思います。
     来年の世界は選挙の年と言われ、1月に台湾総統選、3月にロシア大統領選、4月に韓国総選挙とインド総選挙、11月に米国大統領選があり、日本への影響が注目されます。
     日本国内は、今まで先伸ばしにしていた、建物や設備の更新が増えるなどして景気がよくなるとも言われています。そして、それが国民生活の安定や安全に繋がるかどうか…重要なことだと思います。

    2023年12月23日号

  • ドクササコ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     キノコは古くから利用されてきた食材である。栽培されることも多く、エノキ、シイタケ、マイタケなどは鍋物に欠かせない具材となっている。
     「食」あれば「毒」あるのがキノコの世界。数ある毒キノコの中で絶対に食べたくないのが「ドクササコ」だ。名前からして怪しさがプンプン臭う。
     摂取後の症状が特異だ。手足の末端が赤く腫れ、焼け火箸を押し付けたような激痛に襲われる(末端紅痛症)。恐ろしいのはその痛みが昼夜を問わず一か月ほども続くことである。痛みに耐えかね患部を冷水に浸けてみたがふやけてしまい指先の骨が露出したこともあったという。
     食べてから発症するまでの潜伏期間が一週間ほどと遅い。そのためキノコが原因とはわからず風土病や祟りではと恐れられてきた。
     一見食べられそうな姿が曲者。横から見るとラッパ形で、傘の中央が窪んでいたら要注意である。

    2023年12月23日号

  • 人口減少対策は国、市町村は生活の質が第一

     『市町村は人口減少対策から脱却を』。こんなタイトルの意見を日経紙面で見た。地方自治総合研究所の坂本誠研究員は言い切る。「そもそも、人口減少対策を市町村に委ねること自体に無理があるのではないか」。全国の人口減少に悩

    む市町村は、「移住政策」と称する独自事業を打ち上げ、「うちの町に来ませんか、うちの村はどうですか」と、全国規模で人口が減少しているこの国の「やせ細るパイ」の奪い合いを繰り広げているのが、自治体の移住政策の実態ではないのか。「市町村の本分は、住民ひとり一人の生活の質を上げること。それによる定住環境の確保にあるのではないか」。坂本研究員は、浮足立つ人口減少対策に一石を投じている。
     住民生活の「質」は、個人や地域ごとに多様だ。市長・町長・村長は住民との対話を掲げ、語る会など継続的に開く。生活から出る言葉をよく聞いていくと、住民が求めているのは立派な公民館やコミュニティー施設ではなく、最寄りの場所に「茶飲み」ができる場や気軽に集える広場などではないのか。声高に「移住」を叫んだところで肝心の住民が離れたのでは、まさに元も子もない。地域が行政に求めるのは、財政投資による「活性化」ではなく住民に余計な負担をかけずに、静かに見守り、安心して暮らせる環境づくりではないのか。
     坂本研究員は続ける。「人口減少対策に全国各地で取り組むが、一握りの成功と、その陰に数多くの失敗例がある」と述べ、「住民であれ、移住者であれ、目の前の住民と共に腰を据えて向き合い、生活の質の向上に取り組む定住対策への転換だ」。人口減少対策の根本部分は国の社会保障制度の設計にあるとして、生活の質向上の第一義は市町村行政にある、と言い切る。まさに、目からウロコだ。細るパイの奪い合い、この実態を先ず見ることだろう。安心・安全の真の意味を考える時だ。

    2023年12月23日号

  • 642日ぶり開通

    十日町市・稲荷町踏切改修

     『改良すべき踏切』として国交省の指定を受け、642日ぶりに渡って通行止めで改良工事を進めてきた十日町市の市道稲荷町線・JR飯山線稲荷町踏切は、ようやく工事が完了。13日、開通式を行った。式には通行を待ち望んでいた周辺住民ら50人余りが駆けつけ、通行再開を喜んだ。同路線は2月16、17日に開く冬の一大イベント・十日町雪まつりの主会場となる西小グラウンドと市中央部とを結ぶ導線として重要視される一方、下島地区に結ぶ道路改良も進んでおり、重要路線となる期待が高まっている。

    2023年12月16日号

  • 保育園、小学校、統合要望多数

    津南町長対話会、参加数減だが要望多数

    「今のままでは子どもの人数が少なすぎる。保育園の整備を進めてほしい」。「上郷小の児童数はいま30人余り。統合すべき」。「前の統合の話しが出た時から時間が過ぎ状況は変わっている。芦ヶ崎小校区の保護者アンケートで意向調査を」など、子どもの学び環境についての意見や質問が若手参加者から出ていた。

    2023年12月16日号

  • 「うつ病」、一番困っているのは患者さん本人

    ゆっくり休んでもらう気遣いを

     もうすぐ冬至を迎えるにあたって、今が一番日暮れの早い季節だと分かっているのですが、やっぱり早く暗くなってしまうのは気持ちが滅入りやすくなりますね。でも今年は過去3年と比べて、週末に市内を車で走らせてみると、忘年会などでお店を貸し切って楽しんでおられる皆様の様子が見られるので、少し気分も明るく過ごせるのかもしれません。
     今から35年以上も昔、私が小学生のころからすでに、この地域の冬は日照時間が短く湿度が高いため、他の地域よりうつ病と喘息が多いのだと、内科医であった父より聞いています。今日はそんなことで、もう少し明るい話題が良いのかと思いましたが、うつ病の患者さんを抱える家族の方がどう家庭でふるまうと良いのかをお話してみたいと思います。
     それはなぜかというと、外来でも患者さんのご家族の方が見えて、「どう言葉を掛けたらよいのか分からない」という相談を受けるからです。
     うつ病は、体を動かすエネルギーが全くない状態で生活を送らなければいけない辛い病気です。一番困っているのは患者さん本人であるということを忘れないであげてください。
     その1『怒らない』。たとえ歯がゆくても、「いつまでそんな風になっているんだ!」と怒らないでください。治りたいけれど先が見えずに切ない思いをしているのは本人です。自分でも分かっていて動けない状態で、自分に対してダメだと思う感情や周りにとても迷惑をかけているという気持ちでいっぱいになっている状態なので、この言葉に大いに傷つき病状を悪化させます。
     その2『何かを決めさせない』。本人のことを考えて「仕事は思い切って休んだ方がいいんじゃない?」「仕事辞めたら?」「予定していた〇〇はやめようか?」と本人に未来の何かを決定させてはいけません。それを考える余裕が頭の中には無く、ただ今を生きるのが精一杯な状態です。このような声がけは本人にとって、何も決められない自分は生きていても無意味と感じるプレッシャーになり、自殺未遂につながります。似たような声がけとして、「薬を飲んでいれば治るよ」「大丈夫大丈夫」などの安易な未来予想は口にしないほうが良いです。
     その3『気分転換に何処かへ連れ出すのはかえって逆効果』。本人がしたいことだけさせてください。「これをやらなきゃいけない、やりたくないけど」と思いながらやることは、エネルギーをとても使い、症状を悪化させます。
     その4『調子の悪い合図を見極めてあげる』。本当に調子が悪い時に本人から、「今は気分が落ち込んでいて辛い」と言うのはなかなか困難なものです。話しかけても黙っている、ボーっとしてうつむいている、表情が消える、涙がでる、頭痛がする、など、ひとによって症状は異なりますが、調子の悪い時に最初に出てくる症状がたいていあります。これらを見かけたら、「今調子悪いのでは? 休もう。」と、していることをやめさせてゆっくり横にさせてあげる気遣いをしてあげましょう。
     さて、今回はここまで。次回続きをお知らせします。今振り返れば、私の体験からしても、なんといってもそばにいた母が一番大変だったろうなと思います。今回のお話が少しでも頑張っていらっしゃるご本人、ご家族さまのお力になればと思います。(たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年12月16日号