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妻有新聞掲載記事一覧

  • 日大闘争とアメフト事件、JRの居丈高な恫喝

    憂さ晴らしスイッチオン

    長谷川 好文 (秋山郷山房もっきりや)

     移転工事が終わって、引越しが一応済み、その片付けは暖かくなってからだと決めている。それまでは冬ごもりの熊よろしく疲れた身体の回復を待つだけだ。これといって病状が出て来たというこではないが、ただ気力が無いのだ。ふらつく、転ぶ、忘れる、震える、こぼす、漏らすといった老人特有のだらしなさがグンと多くなったと云うことなのだ。
     そんななか、どうにか中津川右岸のひとつの家に紛れこむことが出来ただけでその集落の一員として地歩を得た。
     長い間一軒家に暮らしていたせいか、自分がこのような集落に住んで、その集落を自立させるためのシステムに慣れていないことにも気が付いた。何も分からないのである。 
     ただ75歳老人だけれど、一番若い青年部員として少しずつ地域の事を覚えて行かなければならない事の面倒にも立ち至るのだ。
     師走になり少しずつ冬らしくなって2㌢10㌢5㌢と白いものがこちらの気持ちを試すように厚みを変えて行く。雪踏み支援員という制度もあって、お上からそれを頼まれたりして、朝早くトイレに起きたついでに電灯のスイッチを探しながら積雪の状況なんぞを確認したりすることから一日が始るようになった。
     そんなことひとつとっても、集落を維持するとはなかなか大変なんだとつくづく気付いた。左岸でひとり暮らしていた頃が天国だったなぁ~とあらためて感じもした。
     今年、師走の天気は何となく穏やかで、そうなると周りを見回す余裕が出来たのだろう、少しずつ飯山線の話だとか日大アメフト部の事件だとか、大阪の万博の状況やそれを映すNHKテレビのことなどに目が行くようにもなった。みんなどうでもいいようなことなのだけれど、ひとつ気散じのつもりで見て感じてみようと思った。
     ずいぶん昔だが、日大闘争の頃、そこにいた者として思えばこの学校は何もその後、学習していないのだなと思った。もっとも7万人の学生の授業料が生み出す巨額な資金の上であぐらをかいて、上手い汁を吸っていた人間にとっては、昔の儘のおとなしい日大生でなければならないのだろう。 
     作り出される資金でうまい汁を吸っている人間にとっては面倒が一番の敵で、中間管理職向きの学生をつくる日大でなければならないのだろう。 経営者達は押し詰められれば、デモ隊の頭に鉄アレーも平気で投げ下ろして来たのだから、アメフト部の大麻騒動もまだまだ大したことではないと云うことなのだ。
     先日の本誌で飯山線が全線での運行が危なくなったという話を読んだ。津南から戸狩野沢間の営業赤字がとんでもないということでJRはひとつの告示をしたようである。 
     つまり地域国民に対して、このままでは廃線になるよ! そうならないために何かいい案を出せという! 出なければこの区間の列車を止めることになるという。私には、文句がある奴はかかってこいとばかりに居丈高な恫喝に聞こえた。
     でも、その区間には「足滝」というとんでもないめずらしい不思議な駅もある。だれも下りない乗らない伝説的な駅でもあるのだ。そりゃ今でこそ誰でも車を持つ時代だから、足滝から乗車しろとは言わないが、そもそもJRは旧国有鉄道時代には多くの乗客も乗ったのだ。そして高度成長の頃は多くの若者がここから金のタマゴとして日本を支えたのだ。外国の鉄道ファンがこぞって飯山線の「足滝」を、カメラを持って訪れる要素はきっとあるはずである。
     JRという会社はそもそもこの国の税金で造られ、国の基盤を支えた会社の支線なのだ。今の新幹線の技術や列車運行システムもそこから出発している。ただ赤字だからと地域を捨てるような会社であるならば、そのうち在来線を全廃して、新幹線を在来線化し、リニアを新新幹線として生き残ろうとしているのではないかと、うがった見方も出て来てしまう。そんなことをしていたら元国有鉄道のJRは倒産の憂き目に逢うのじゃないだろうか!
     もっとも万博の現状やら、NHKのBSプレミアムが消えたりとこの国の大きな会社はJRと似たもので何だか右往左往しているようだ。
     この国はなかなか良い国なのだけれど、上に立つ人たちに必死さが見えないようだ!
     ここまで言いたい事を書いたけれど、みんな思っていることは言った方が疲れが消える。病院で処方される薬が病気を直すのではないと、何となく気が付いた!

    2023年12月16日号

  • 陸の孤島からの脱出

    小林 幸一(津南案内人)

     切明は釜落から47キロに及んだ工事用軌道の終着駅で、中津川第一発電所の魚野川と雑魚川の要の位置にあり、ここから沈砂池を通った発電用水は真っ暗な地下水路に吸い込まれて高野山の貯水池に向かいます。
     写真には建設中の沈砂池と、対岸には宿舎や医者・巡査なども常駐した建物が写っています。
     町外の東電OBが、そのまた先輩から聞いたという昔話ですが、豪雪になると車で町まで向かえない、まさに陸の孤島だった切明発電所で業務にあたっていた職員が急病になり、このままでは人命にかかわると、流量を減らした水路に患者を乗せたボートを浮かべ決死の救出を行ったということです。
     映画「ホワイトアウト」さながらの豪雪地帯からの脱出劇ですが、入ったのは良いがいったい何処で地下水路を出たのか気になります。途中何ヵ所かある横坑のうち、考えられるのは前倉上の横坑から出たのか、高野山のダムまで流れ着き、横根方面から町に向かったのか不明ですが、当時の電力マンの苦労が偲ばれる逸話です。
     さて、厳冬期の秋山郷の工事現場では、何処も陸の孤島のようになりますが、地下水路が人や資材の行きかう動脈のようになっていたのではないでしょうか。

    2023年12月16日号

  • 自民党支持の皆さん、なぜ怒らないのか

     あきれた以上に、これは「犯罪」だろう。パー券売上をポケット化している事実が判明し、この国の政権は瀬戸際に立たされている。そのお金を出した企業・団体・個人からの「反旗」は、それほど高く上がっていない。なぜ怒らない、それが不思議だ。
     パー券、パーティー券だが、自民党の派閥による「キックバック問題」が年の瀬の切迫感と共に、この国の政治状況を大きく揺さぶっている。13日に提出された内閣不信任案は、自民・公明の政権政党だけの数の論理の賛成で否決したが、その実態は以外の野党すべてが賛成した事実は大きい。議院内閣制の国にとって、国会での議決がモノをいうが、今回のパー券問題は、著しく政治への不信感を増幅し、不信任案は否決されたが、国民の政権への不信感をかえって増幅しているのが事実だろう。ここはまさに「正義の味方」、検察の本来の力を見せてほしい。
     政権を持つと資金が集まる、この構図は政治の歴史が物語っているが、今回のパー券問題、自民を推す民間企業や団体が「言われるままに」パー券を購入している実態が明らかになった。そのパー券の「ノルマ」以上をマイポケット化したことに対し、さらに政治資金に記載せず、となれば、これは雑収入扱いになり、それを申告しないのは「脱税」だろう。捜査はここまでも視野に入れているのだろうが、今後の検察捜査に注目だ。
     そのパー券を買わされた民間企業・団体・さらに個人は、それもよし、としているのか。なぜ「何をしているのか」を怒らないのか。ここは反旗を掲げる時だろう。残念ながら、そうした動きは見られない。それは、「やはりそうだったのか」という織り込み済みのことなのか。
     政治不信は、国の政策に大きく響く。マイポケット化が見過ごされれば、この先の納税、確定申告にも影響してくる。「あれが許され、なんで、これがダメなのか」、税務窓口での会話が聞こえてくる。ことは、それほど重要な局面だ。

    2023年12月16日号

  • 魚沼コシ後退、「ゆうだい21」高評価

    第25回米・食味分析鑑定コンクール国際大会

    米づくりに新たな課題、コメ市場に変化の兆し

    世界を対象に美味しいコメを表彰する「第25回米・食味分析鑑定コンクール国際大会inつなん」(12月1、2日)。新潟県初、津南町での農業関係の大規模全国大会となり、2日間で3400人余が来訪。最高部門である国際総合部門に津南町の出品社2人が金賞、1社が特別賞となるなど、津南産米のアピールにも繋がった。桑原町長は「町の米の美味しさを伝えたいと準備してきた。金賞受賞は拡販のステップアップに繋がる。農業は国の基、その農業を志すもの同士の相互交流の場になり、成功と言って良いと思う」と話す。だが一方で、2週間前の町内宿泊施設のキャンセル、さらに予算不足により12月議会で900万円を追加計上(当初予算1400万円)、総予算2900万円に増額が必要となるなど、行政サイドの不手際も浮き彫りになった国際大会となった。

    2023年12月9日号

  • 人材育成、3年目看護職が交流

    魚沼エリア、県立や地域病院

     地域の若手看護職員らの連帯促進をと、「魚沼圏域採用3年目の看護職員交流会」は4日、魚沼基幹病院講堂で開催。広域の看護職員や保健師など対象にした3年目職員の研修会は県内初。魚沼エリアの県立病院や地域病院、県や自治体職員など11団体から41人が参集。うち県立十日町病院は7人、県立松代病院からは1人が参加。医療の道を歩み続けている同期たちと意見交換をするなどで、横の繋がりを深めていた。

    2023年12月9日号

  • ああ、この国ダメだわ…貧弱な私のメンタルも…

    もやもや最高潮、詐欺ご注意を

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     毎日、SNSに投稿されるガザの動画に言葉を失う。既に6600人の子どもたちが犠牲になった。民族浄化とも言う国家的暴力を粛々と進めるネタニヤフ内閣にザワザワする。ロンドンでの200万人近い規模のデモを始め、「今すぐ攻撃を止めろ」と世界各地で声を上げる人々。「今ガザで死んでいるのは子どもたちだけじゃなくて、西側諸国の人道と民主主義という幻想だ」と書かれたプラカードのとおり、こんな虐殺を見ていて、何もできない私は完全な敗北者だ。
     日本政府は武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の年内改訂を密室で議事録も非公表で進めている。なぜ武器輸出緩和を急いで決めるのか、ちゃんと国会で説明してほしい。ガザの子どもたちを殺戮する武器を、私たち国民が払った税金で提供していることにならないか。
     今までの平和憲法解釈では武器輸出はできなかったはずなのに、日本は公に死の商人になるのか? と問いたく国会を見ると、「イスラエル国民と連帯」と表明している外務大臣とか、パーティー券で数億円キックバックとか、「ガソリン代高いと思うなら慣れてもらわんと」と言ってる政調会長とか…まるでギャグ漫画を見ているような有り様…ああ、この国ダメだわ…貧弱な私のメンタルは崩壊寸前。考え込んで鬱になる前に気持ちを切り替えて、話題変えます。
     夏の頃、駐在さんから「振込詐欺集団を摘発したら、犯人の持っていたデータに貴方の個人情報が含まれていたので注意して下さい」と忠言頂いた。ふ~ん、私狙われてるの? と思っていたら先日電話がかかってきて、ナンバーディスプレイには見たことない「表示圏外」と言う字が…。
     男性のきちっとした声で「藤ノ木信子さんの電話で間違いなかったでしょうか?」と聞く。「はい、そうです」「市役所の市民課ですが、4月に介護保険料の還付金についてお知らせしましたが、申請のなかった方に確認の電話をしています」(…そんなのあったっけ? でも還付あるなら申請しないともったいないし…)。一瞬そう思ったが「でもね、あなたが市役所の人だって私は確認しようがないので、そちらの電話番号を教えてくれる? こちらからかけるから」と言ったら無言でプツンと電話が切れた。
     いやはや、ほんとに詐欺電話来るんだなあ…後で「表示圏外」を検索してみたら、国際電話などの着信で番号表示できないということらしい。とても上手な最もらしい口調だったので、皆さんご注意を!

    2023年12月9日号

  • ヤマゴボウの花(オヤマボクチ)

    照井 麻美(津南星空写真部)

     この地域のそばはつなぎに布海苔やヤマゴボウを使うことが特徴かと思います。
     つなぎに布海苔を使うのは、さすが着物の産地!といったところですが、移住をしてきた私にとっては「ヤマゴボウ?どんなゴボウだろう?」と土の中に細く長く埋まった野菜のゴボウを想像していました。
     私は自分の集落の収穫祭でそば打ちをするためヤマゴボウを入れることは知っていたのですが、実際どんな植物なのかは目にしたことがありませんでした。
     この花がヤマゴボウと気が付いたのはつい先日で、この原稿を考える最中にへぎそばの歴史を調べてみると、たまたま秋に撮ったアザミみたいな花と同じ花を見つけた時でした。
     別名オヤマボクチ(雄山火口)という植物で、葉の裏に白い毛が生えており、昔はこれを火種に使っていたことが名前の由来だそうです。
     場所によって下処理の仕方が少し違うようですが、ヤマゴボウの葉を煮立たせて作った粘り気のあるつなぎを生地に混ぜ込み、そばや笹団子を作るそうです。
     ぜひ、来年の収穫祭の際は自分で採ったヤマゴボウでそば打ちができたらいいなと思いました。

    2023年12月9日号

  • 米コンクール国際大会、その光と影

     光と影、そんな印象を受ける米コンクール国際大会だった。苦節4年で初のトップ、金賞を受賞した地元津南町のコメ生産者の喜びは、まさに努力の結晶だ。今期の猛暑による等級落ちは、米づくり界に新たな課題を突き付けた。この中で宇都宮大が開発の米「ゆうだい21」が大きく躍進した背景は、単なる魚沼産コシヒカリが猛暑の影響を受けたばかりではない事を考えたい。新潟大が暑さに強い新品種を作り上げているが、これを含め米業界は新たな領域に入っていると言える。その意味で今回の国際大会は、「従来踏襲」では対応できない段階に入っていることを示唆している。
     その従来踏襲の弊害が出たのが、先に報じた参加者など関係者の宿泊受入れ、さらに5日に明らかになった国際大会の事業経費の大幅増加だろう。「前回開催の小諸市を参考にした」と津南町役場の担当者は話す。だが、その小諸市での事業費約1400万円を大きく上回る倍増の総事業費2900万円になることが5日の町議会全協で明らかになった。驚きの増加額だ。これに対して「昨年500万円もかけてプレ大会を開いたが、何を検証したのか」との議員の問いに、担当者は「検証していない」と答えた。正直さはいいが、直接担当がこの実態では今回の驚きの結果も想像に難くない。13日からの津南町定例議会でこの補正予算が提案される。改選後初の定例議会で、議会新メンバーは早々に難題を突き付けられた形だ。「使ったものはしょうがない」では済まされないことは重々承知しているだろうが、議会のチェック機能が試される場になる。
     まさに監査委員の出番ではないのか。町長が選任し、議会が承認する町の監査委員。こうした驚きの予算補正、それもすでに実施した事業の収支調査こそ、監査委員の責務ではないのか。12月議会は、新メンバーとなった町議会の今後4年間の試金石でもある。

    2023年12月9日号

  • 地元落胆、国際大会が「空洞化」

    宿泊大半が津南町外、町の取り組み甘さ露呈

    米食味コンクール

     日本最大級の米の祭典「第25回米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(12月1~2日、ニュー・グリーンピア津南)。来訪者は3千人余、町内の宿泊施設は来訪者で埋まる見込みだった。だが蓋を開けてみると、関連客の多くは十日町市や長岡市、湯沢町などを宿にしていることが分かった。町は宿泊施設の取りまとめを株式会社農協観光に一任していたが、同社は『個室希望が多かった』と近隣市町のビジネスホテルに宿泊誘導。町内の宿泊施設は個室利用できる部屋が少なく、複数人が利用する形態なのが影響したが、宿泊関係者は「部屋を空けるように農協観光に言われていたがほぼ申し込みゼロのキャンセル。せっかく津南町で行うコメ祭典、当初の話しでは『宿が埋まるから』だった。津南のお金を使っているイベントであるのに、これでいいのか」と今回の宿泊対応を巡り、農協観光や町姿勢を疑問視する声が高まっている。

    2023年12月2日号

  • 明石の湯再開、芸術祭に効果も

    きょう2日、火・水曜休館

    里山機構に指定管理、3月市議会に

     明石の湯、ようやく再開―。地域住民の強い要望で継続が決まった十日町市の日帰り温泉施設『明石の湯』はきょう2日午後1時に営業再開する。関口市長は「継続が決まった以上、しっかりとした経営を。越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)に『温泉のある美術館』としていい効果をもたらすと思う。いろいろな方に利用してもらいたい」と話している。

    2023年12月2日号

  • 日大闘争とアメフト事件、JRの居丈高な恫喝

    憂さ晴らしスイッチオン

    長谷川 好文 (秋山郷山房もっきりや)

     移転工事が終わって、引越しが一応済み、その片付けは暖かくなってからだと決めている。それまでは冬ごもりの熊よろしく疲れた身体の回復を待つだけだ。これといって病状が出て来たというこではないが、ただ気力が無いのだ。ふらつく、転ぶ、忘れる、震える、こぼす、漏らすといった老人特有のだらしなさがグンと多くなったと云うことなのだ。
     そんななか、どうにか中津川右岸のひとつの家に紛れこむことが出来ただけでその集落の一員として地歩を得た。
     長い間一軒家に暮らしていたせいか、自分がこのような集落に住んで、その集落を自立させるためのシステムに慣れていないことにも気が付いた。何も分からないのである。 
     ただ75歳老人だけれど、一番若い青年部員として少しずつ地域の事を覚えて行かなければならない事の面倒にも立ち至るのだ。
     師走になり少しずつ冬らしくなって2㌢10㌢5㌢と白いものがこちらの気持ちを試すように厚みを変えて行く。雪踏み支援員という制度もあって、お上からそれを頼まれたりして、朝早くトイレに起きたついでに電灯のスイッチを探しながら積雪の状況なんぞを確認したりすることから一日が始るようになった。
     そんなことひとつとっても、集落を維持するとはなかなか大変なんだとつくづく気付いた。左岸でひとり暮らしていた頃が天国だったなぁ~とあらためて感じもした。
     今年、師走の天気は何となく穏やかで、そうなると周りを見回す余裕が出来たのだろう、少しずつ飯山線の話だとか日大アメフト部の事件だとか、大阪の万博の状況やそれを映すNHKテレビのことなどに目が行くようにもなった。みんなどうでもいいようなことなのだけれど、ひとつ気散じのつもりで見て感じてみようと思った。
     ずいぶん昔だが、日大闘争の頃、そこにいた者として思えばこの学校は何もその後、学習していないのだなと思った。もっとも7万人の学生の授業料が生み出す巨額な資金の上であぐらをかいて、上手い汁を吸っていた人間にとっては、昔の儘のおとなしい日大生でなければならないのだろう。 
     作り出される資金でうまい汁を吸っている人間にとっては面倒が一番の敵で、中間管理職向きの学生をつくる日大でなければならないのだろう。 経営者達は押し詰められれば、デモ隊の頭に鉄アレーも平気で投げ下ろして来たのだから、アメフト部の大麻騒動もまだまだ大したことではないと云うことなのだ。
     先日の本誌で飯山線が全線での運行が危なくなったという話を読んだ。津南から戸狩野沢間の営業赤字がとんでもないということでJRはひとつの告示をしたようである。 
     つまり地域国民に対して、このままでは廃線になるよ! そうならないために何かいい案を出せという! 出なければこの区間の列車を止めることになるという。私には、文句がある奴はかかってこいとばかりに居丈高な恫喝に聞こえた。
     でも、その区間には「足滝」というとんでもないめずらしい不思議な駅もある。だれも下りない乗らない伝説的な駅でもあるのだ。そりゃ今でこそ誰でも車を持つ時代だから、足滝から乗車しろとは言わないが、そもそもJRは旧国有鉄道時代には多くの乗客も乗ったのだ。そして高度成長の頃は多くの若者がここから金のタマゴとして日本を支えたのだ。外国の鉄道ファンがこぞって飯山線の「足滝」を、カメラを持って訪れる要素はきっとあるはずである。
     JRという会社はそもそもこの国の税金で造られ、国の基盤を支えた会社の支線なのだ。今の新幹線の技術や列車運行システムもそこから出発している。ただ赤字だからと地域を捨てるような会社であるならば、そのうち在来線を全廃して、新幹線を在来線化し、リニアを新新幹線として生き残ろうとしているのではないかと、うがった見方も出て来てしまう。そんなことをしていたら元国有鉄道のJRは倒産の憂き目に逢うのじゃないだろうか!
     もっとも万博の現状やら、NHKのBSプレミアムが消えたりとこの国の大きな会社はJRと似たもので何だか右往左往しているようだ。
     この国はなかなか良い国なのだけれど、上に立つ人たちに必死さが見えないようだ!
     ここまで言いたい事を書いたけれど、みんな思っていることは言った方が疲れが消える。病院で処方される薬が病気を直すのではないと、何となく気が付いた!

    2023年12月16日号

  • 陸の孤島からの脱出

    小林 幸一(津南案内人)

     切明は釜落から47キロに及んだ工事用軌道の終着駅で、中津川第一発電所の魚野川と雑魚川の要の位置にあり、ここから沈砂池を通った発電用水は真っ暗な地下水路に吸い込まれて高野山の貯水池に向かいます。
     写真には建設中の沈砂池と、対岸には宿舎や医者・巡査なども常駐した建物が写っています。
     町外の東電OBが、そのまた先輩から聞いたという昔話ですが、豪雪になると車で町まで向かえない、まさに陸の孤島だった切明発電所で業務にあたっていた職員が急病になり、このままでは人命にかかわると、流量を減らした水路に患者を乗せたボートを浮かべ決死の救出を行ったということです。
     映画「ホワイトアウト」さながらの豪雪地帯からの脱出劇ですが、入ったのは良いがいったい何処で地下水路を出たのか気になります。途中何ヵ所かある横坑のうち、考えられるのは前倉上の横坑から出たのか、高野山のダムまで流れ着き、横根方面から町に向かったのか不明ですが、当時の電力マンの苦労が偲ばれる逸話です。
     さて、厳冬期の秋山郷の工事現場では、何処も陸の孤島のようになりますが、地下水路が人や資材の行きかう動脈のようになっていたのではないでしょうか。

    2023年12月16日号

  • 自民党支持の皆さん、なぜ怒らないのか

     あきれた以上に、これは「犯罪」だろう。パー券売上をポケット化している事実が判明し、この国の政権は瀬戸際に立たされている。そのお金を出した企業・団体・個人からの「反旗」は、それほど高く上がっていない。なぜ怒らない、それが不思議だ。
     パー券、パーティー券だが、自民党の派閥による「キックバック問題」が年の瀬の切迫感と共に、この国の政治状況を大きく揺さぶっている。13日に提出された内閣不信任案は、自民・公明の政権政党だけの数の論理の賛成で否決したが、その実態は以外の野党すべてが賛成した事実は大きい。議院内閣制の国にとって、国会での議決がモノをいうが、今回のパー券問題は、著しく政治への不信感を増幅し、不信任案は否決されたが、国民の政権への不信感をかえって増幅しているのが事実だろう。ここはまさに「正義の味方」、検察の本来の力を見せてほしい。
     政権を持つと資金が集まる、この構図は政治の歴史が物語っているが、今回のパー券問題、自民を推す民間企業や団体が「言われるままに」パー券を購入している実態が明らかになった。そのパー券の「ノルマ」以上をマイポケット化したことに対し、さらに政治資金に記載せず、となれば、これは雑収入扱いになり、それを申告しないのは「脱税」だろう。捜査はここまでも視野に入れているのだろうが、今後の検察捜査に注目だ。
     そのパー券を買わされた民間企業・団体・さらに個人は、それもよし、としているのか。なぜ「何をしているのか」を怒らないのか。ここは反旗を掲げる時だろう。残念ながら、そうした動きは見られない。それは、「やはりそうだったのか」という織り込み済みのことなのか。
     政治不信は、国の政策に大きく響く。マイポケット化が見過ごされれば、この先の納税、確定申告にも影響してくる。「あれが許され、なんで、これがダメなのか」、税務窓口での会話が聞こえてくる。ことは、それほど重要な局面だ。

    2023年12月16日号

  • 魚沼コシ後退、「ゆうだい21」高評価

    第25回米・食味分析鑑定コンクール国際大会

    米づくりに新たな課題、コメ市場に変化の兆し

    世界を対象に美味しいコメを表彰する「第25回米・食味分析鑑定コンクール国際大会inつなん」(12月1、2日)。新潟県初、津南町での農業関係の大規模全国大会となり、2日間で3400人余が来訪。最高部門である国際総合部門に津南町の出品社2人が金賞、1社が特別賞となるなど、津南産米のアピールにも繋がった。桑原町長は「町の米の美味しさを伝えたいと準備してきた。金賞受賞は拡販のステップアップに繋がる。農業は国の基、その農業を志すもの同士の相互交流の場になり、成功と言って良いと思う」と話す。だが一方で、2週間前の町内宿泊施設のキャンセル、さらに予算不足により12月議会で900万円を追加計上(当初予算1400万円)、総予算2900万円に増額が必要となるなど、行政サイドの不手際も浮き彫りになった国際大会となった。

    2023年12月9日号

  • 人材育成、3年目看護職が交流

    魚沼エリア、県立や地域病院

     地域の若手看護職員らの連帯促進をと、「魚沼圏域採用3年目の看護職員交流会」は4日、魚沼基幹病院講堂で開催。広域の看護職員や保健師など対象にした3年目職員の研修会は県内初。魚沼エリアの県立病院や地域病院、県や自治体職員など11団体から41人が参集。うち県立十日町病院は7人、県立松代病院からは1人が参加。医療の道を歩み続けている同期たちと意見交換をするなどで、横の繋がりを深めていた。

    2023年12月9日号

  • ああ、この国ダメだわ…貧弱な私のメンタルも…

    もやもや最高潮、詐欺ご注意を

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     毎日、SNSに投稿されるガザの動画に言葉を失う。既に6600人の子どもたちが犠牲になった。民族浄化とも言う国家的暴力を粛々と進めるネタニヤフ内閣にザワザワする。ロンドンでの200万人近い規模のデモを始め、「今すぐ攻撃を止めろ」と世界各地で声を上げる人々。「今ガザで死んでいるのは子どもたちだけじゃなくて、西側諸国の人道と民主主義という幻想だ」と書かれたプラカードのとおり、こんな虐殺を見ていて、何もできない私は完全な敗北者だ。
     日本政府は武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の年内改訂を密室で議事録も非公表で進めている。なぜ武器輸出緩和を急いで決めるのか、ちゃんと国会で説明してほしい。ガザの子どもたちを殺戮する武器を、私たち国民が払った税金で提供していることにならないか。
     今までの平和憲法解釈では武器輸出はできなかったはずなのに、日本は公に死の商人になるのか? と問いたく国会を見ると、「イスラエル国民と連帯」と表明している外務大臣とか、パーティー券で数億円キックバックとか、「ガソリン代高いと思うなら慣れてもらわんと」と言ってる政調会長とか…まるでギャグ漫画を見ているような有り様…ああ、この国ダメだわ…貧弱な私のメンタルは崩壊寸前。考え込んで鬱になる前に気持ちを切り替えて、話題変えます。
     夏の頃、駐在さんから「振込詐欺集団を摘発したら、犯人の持っていたデータに貴方の個人情報が含まれていたので注意して下さい」と忠言頂いた。ふ~ん、私狙われてるの? と思っていたら先日電話がかかってきて、ナンバーディスプレイには見たことない「表示圏外」と言う字が…。
     男性のきちっとした声で「藤ノ木信子さんの電話で間違いなかったでしょうか?」と聞く。「はい、そうです」「市役所の市民課ですが、4月に介護保険料の還付金についてお知らせしましたが、申請のなかった方に確認の電話をしています」(…そんなのあったっけ? でも還付あるなら申請しないともったいないし…)。一瞬そう思ったが「でもね、あなたが市役所の人だって私は確認しようがないので、そちらの電話番号を教えてくれる? こちらからかけるから」と言ったら無言でプツンと電話が切れた。
     いやはや、ほんとに詐欺電話来るんだなあ…後で「表示圏外」を検索してみたら、国際電話などの着信で番号表示できないということらしい。とても上手な最もらしい口調だったので、皆さんご注意を!

    2023年12月9日号

  • ヤマゴボウの花(オヤマボクチ)

    照井 麻美(津南星空写真部)

     この地域のそばはつなぎに布海苔やヤマゴボウを使うことが特徴かと思います。
     つなぎに布海苔を使うのは、さすが着物の産地!といったところですが、移住をしてきた私にとっては「ヤマゴボウ?どんなゴボウだろう?」と土の中に細く長く埋まった野菜のゴボウを想像していました。
     私は自分の集落の収穫祭でそば打ちをするためヤマゴボウを入れることは知っていたのですが、実際どんな植物なのかは目にしたことがありませんでした。
     この花がヤマゴボウと気が付いたのはつい先日で、この原稿を考える最中にへぎそばの歴史を調べてみると、たまたま秋に撮ったアザミみたいな花と同じ花を見つけた時でした。
     別名オヤマボクチ(雄山火口)という植物で、葉の裏に白い毛が生えており、昔はこれを火種に使っていたことが名前の由来だそうです。
     場所によって下処理の仕方が少し違うようですが、ヤマゴボウの葉を煮立たせて作った粘り気のあるつなぎを生地に混ぜ込み、そばや笹団子を作るそうです。
     ぜひ、来年の収穫祭の際は自分で採ったヤマゴボウでそば打ちができたらいいなと思いました。

    2023年12月9日号

  • 米コンクール国際大会、その光と影

     光と影、そんな印象を受ける米コンクール国際大会だった。苦節4年で初のトップ、金賞を受賞した地元津南町のコメ生産者の喜びは、まさに努力の結晶だ。今期の猛暑による等級落ちは、米づくり界に新たな課題を突き付けた。この中で宇都宮大が開発の米「ゆうだい21」が大きく躍進した背景は、単なる魚沼産コシヒカリが猛暑の影響を受けたばかりではない事を考えたい。新潟大が暑さに強い新品種を作り上げているが、これを含め米業界は新たな領域に入っていると言える。その意味で今回の国際大会は、「従来踏襲」では対応できない段階に入っていることを示唆している。
     その従来踏襲の弊害が出たのが、先に報じた参加者など関係者の宿泊受入れ、さらに5日に明らかになった国際大会の事業経費の大幅増加だろう。「前回開催の小諸市を参考にした」と津南町役場の担当者は話す。だが、その小諸市での事業費約1400万円を大きく上回る倍増の総事業費2900万円になることが5日の町議会全協で明らかになった。驚きの増加額だ。これに対して「昨年500万円もかけてプレ大会を開いたが、何を検証したのか」との議員の問いに、担当者は「検証していない」と答えた。正直さはいいが、直接担当がこの実態では今回の驚きの結果も想像に難くない。13日からの津南町定例議会でこの補正予算が提案される。改選後初の定例議会で、議会新メンバーは早々に難題を突き付けられた形だ。「使ったものはしょうがない」では済まされないことは重々承知しているだろうが、議会のチェック機能が試される場になる。
     まさに監査委員の出番ではないのか。町長が選任し、議会が承認する町の監査委員。こうした驚きの予算補正、それもすでに実施した事業の収支調査こそ、監査委員の責務ではないのか。12月議会は、新メンバーとなった町議会の今後4年間の試金石でもある。

    2023年12月9日号

  • 地元落胆、国際大会が「空洞化」

    宿泊大半が津南町外、町の取り組み甘さ露呈

    米食味コンクール

     日本最大級の米の祭典「第25回米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(12月1~2日、ニュー・グリーンピア津南)。来訪者は3千人余、町内の宿泊施設は来訪者で埋まる見込みだった。だが蓋を開けてみると、関連客の多くは十日町市や長岡市、湯沢町などを宿にしていることが分かった。町は宿泊施設の取りまとめを株式会社農協観光に一任していたが、同社は『個室希望が多かった』と近隣市町のビジネスホテルに宿泊誘導。町内の宿泊施設は個室利用できる部屋が少なく、複数人が利用する形態なのが影響したが、宿泊関係者は「部屋を空けるように農協観光に言われていたがほぼ申し込みゼロのキャンセル。せっかく津南町で行うコメ祭典、当初の話しでは『宿が埋まるから』だった。津南のお金を使っているイベントであるのに、これでいいのか」と今回の宿泊対応を巡り、農協観光や町姿勢を疑問視する声が高まっている。

    2023年12月2日号

  • 明石の湯再開、芸術祭に効果も

    きょう2日、火・水曜休館

    里山機構に指定管理、3月市議会に

     明石の湯、ようやく再開―。地域住民の強い要望で継続が決まった十日町市の日帰り温泉施設『明石の湯』はきょう2日午後1時に営業再開する。関口市長は「継続が決まった以上、しっかりとした経営を。越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)に『温泉のある美術館』としていい効果をもたらすと思う。いろいろな方に利用してもらいたい」と話している。

    2023年12月2日号