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妻有新聞掲載記事一覧

  • 性的な暴言も性犯罪、問われる大人社会

    性暴力、見て見ぬ振りは犯罪です

    Vol 87

     12月になり、2学期を締めくくる性教育講演に毎週様々な学校へ伺っています。メディアでは某アイドル事務所で起きてきた性被害の話でもちきりだった時期がありましたね。それもあってか今年6月16日、「性被害の実態にあっていない」という被害者の声を受け、加害者を処罰する法律を大幅に見直した改正案が参議院本会議において全会一致で可決・成立し、7月から施行されました。
     私が行う性教育講演では、必ず性被害について話をしています。どんな話かというと、以前もお話しましたが、児童虐待の中に性的虐待があること。個人的にお付き合いしている間柄で起きうるデートDVの中の性的な暴力の例。この地域でも性犯罪被害(不同意性交)に遭う人がいること。そして、その場のノリや罰ゲームなどで裸になることやキスなどをせまる、集団でHな話しに参加することやHな歌を歌ったり聴かせたりすることを強要する、集団の中でホモネタやオカマネタで笑う、「ホモ」「レズ」などの省略形で呼ぶ、自分のジェンダーやセクシュアリティをカミングアウトした性的マイノリティの人に暴力をふるったり暴言を浴びせる、などが性暴力になることを伝えています。
     性暴力は被害に遭った本人が黙っていれば、加害者は罪に問われません。性犯罪として加害者を罪に問うためには、被害者が警察に通報する必要があります。
     皆さんはこんな場面を今まで見たことはないでしょうか。忘年会のような席で、加害者はちょっと羽目を外しただけ、酒に酔っていたから何となく勢いで、と言い訳をすることが多いかと思いますが、気分が悪くなるような卑猥な言葉を言ってきたり、わいせつな写真を見せて来たり、明らかにわいせつ目的で会が終わった後に自宅へ呼んだりすることが、上司から部下へ行われることを。 上司から部下だけでなく、同僚の間であっても、経済的・社会的関係の地位に基づく影響力で受ける不利益のある中で性暴力が行われること、その性暴力によって精神的な障害を生じさせること、そんなことが実際あってはなりません。これらは、通報されれば罪に問われる可能性があります。
     また、そのような暴力の被害があったことを聞いた者が、「まあまあ」とか「たまには間違いを起こすこともあるでしょう」とか「どうしてその場で嫌と言えなかった?」などとあしらった時には、被害者は更なる心理的社会的ダメージを受けることになり、これをセカンドレイプ(性的二次被害)と言い、これも性暴力の一つになります。
     高校生は、すでにこれらを性暴力と知っているのです。私たち大人はもっときちんと知って、若者たちに見本を見せられるように行動すべきだと思います。そして、そういう性暴力を受けている人を見て見ぬふりをした人たちは、もっと重い罪を犯していると知ってください。
     今まで診察室で多くの方の性暴力の話を聞いてきました。「それは警察に通報して良いことですよ」と言うと、みなさん大抵「そうなんですか!?」と驚かれます。それだけ日本人は性暴力に関してまだまだ無知といえるのか、あるいは被害に遭った人が黙って我慢させられる社会だったのか、大いに考えさせられます。
     これから忘新年会シーズンですね。これを読んでドキッとした方は、本当に注意してください。被害に遭っているのかも、と不安に思った方は是非お気軽にご相談くださいね。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年12月2日号

  • 完全停戦に、傍観者のままではいけない

    イスラエル、ガザに和平を

    斎木 文夫 (年金生活者)

     10月に弟がこの世を去った。1人の死がこれだけ切ないのに、ウクライナや、イスラエル、ガザでは、どれだけの悲しみや苦しみが渦巻いているのだろう。
     10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルにミサイル攻撃を仕掛けた。対するイスラエルは、「自衛の戦い」と称して、ハマスの拠点があるパレスチナ自治区ガザに空と陸から攻撃を続けてきた。
     ガザ地区では、水も食料も燃料も電気もない過酷な状況が続いており、この間の死亡者は1万4千人以上、約半数が子どもと女性であるという。
     11月15日、国連安保理はガザ地区での戦闘の「人道的休止」を求める決議を賛成多数で採択した。日本を含む12ヵ国が賛成し、アメリカ、イギリス、ロシアの3ヵ国は棄権した。
     ガザ情勢を巡る安保理決議案は、それまでに4回提出されたが、常任理事国の拒否権などで否決されている。今回、米・英・露が反対でなく棄権に回らざるを得なかったのは、平和を望む世界の国々の圧力が高まってきたことの証である。
     イスラエル、ハマス両者は、それぞれ相手方の受刑者や人質の解放を条件に、24日から4日間の予定で休戦に応じた。これを書いている29日現在、休戦は2日間延長される可能性がある。
     国連の会議の場だけでなく、世界人類の多くが一時的な休戦より「停戦」を望んでいる。
     イスラエルによるガザ地区での無差別攻撃を非難する人、そのきっかけを作ったハマスを非難する人、パレスチナ人を追い出しての1948年のイスラエル「建国」の不合理を言う人、イスラエル建国は離散と迫害に耐えてきたユダヤ人2千年の悲願なのだと言う人……。様々な立場や主張の違いはあっても、「まず停戦を」の声は日に日に強くなっている。
     しかし、当事者は休戦期間が終わったら直ちに戦闘再開に向かえるよう態勢を整えつつある。
     日本は長い間、イスラエル、パレスチナ双方と外交を展開してきた。イスラエルべったりのアメリカの顔色をうかがうばかりでなく、各国への働きかけを強めるなど、平和を望む国々の先頭に立ってもらいたい。そのために私たちも何かできるのではないか。
     ちなみに、11月20日に静岡市議会は「ガザ地区における平和の実現を早期に求める決議」を、22日に石垣市議会は「パレスチナ・ガザ地区の即時停戦と医療・人道支援を求める決議」をそれぞれ全会一致で可決した。

    2023年12月2日号

  • キイロスズメバチの女王蜂

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     この季節にいるキイロスズメバチ、もう巣から飛び出していて単独行動している。働き蜂はもう死滅しているのでおそらく受精卵を持った女王蜂。
     働き蜂と比べても腹部がふっくらと大きくて一回り大きく見える。これから厳しい冬をで乗り越えて春になるとたった一匹で巣作りを始める事になるのだが。

     こんな時期の蜂だからよほどの事がない限り刺さないと思う。女王蜂は卵をもっているので余計な事はしないはずだ。
     これから軒下や、飛び出した古い巣や木の隙間などで越冬することになるが、数ヵ月も餌を取らないで過ごすのだから凄い生命力だと感心する。
     なんとなく安心できる時期のスズメバチだからよく観察も可能だ。カメラを数センチまで近づけても威嚇はしないがこちらをじっと見ている。
     もちろん雪国では他の蜂類もこの時期は受精卵持った女王蜂のみだからゆっくりと見れると思う。      ただ洗濯物の中にいたら要注意ですが…。

    2023年12月2日号

  • 一歩、一歩、地に足を付けて

    30歳のスタート、桑原藍さん、「気分転換にどうぞ」

    ネイルサロン「爪屋」

     小学校の頃から憧れていた、美容関係の仕事。自宅にネイルサロン『爪屋』を2022年2月22日、自身が30歳になる節目にオープンし、好きなことを生業とする挑戦が続いている桑原藍さん(31、十日町市北新田)。「30歳からのスタート、このサロンと一緒に成長していきたい。

    2023年12月2日号

  • 国際大会、津南町は何をしていたのか

     「何をしているのか」、この国の政治の現状から感じる言葉だろう。「どうするのか」、世界最大級の原発を抱える新潟県の人たちの思いだろう。「いったい、どうなっているの」、今週末に国際コンクールと名が付くイベントを開く津南町の人たちの思いだろう。国内外から3千人余が来町し、米どころ津南を世界に発信する、来場による経済効果も大きい、はずだった。だが、余りにもお粗末な事態が明らかになった。
     本紙記事が実態だ。3千人といえば、津南町の宿泊施設すべてのキャパシティ(宿泊可能数)の4倍強に匹敵する数だ。国際コンクールの名を冠する一大イベント、その宿泊先は当然地元、と思ったのが大間違いだった。開催まで2週間を切った段階で、実態が明らかになった。その多くが町外宿泊という事実が判明した。これはいったいどういうことか、宿泊関係者は疑問を通り越し、怒りに変わっている。当然だろう。
     ここまでのプロセスは、立場によりその言い分は違うだろうが、先ずは現実を直視すべきだ。宿泊関係者は落胆し、感じているのは取り組む行政への「なさけなさ」だろう。なぜ中間チェックできなかったのか、そもそも宿泊振り分けを委託した業者とどういう契約をしたのか、いや、契約も覚書も交わしていなかった。なぜ、なぜと疑問符は膨らむばかりだ。誰の責任というより、そもそも誘致した津南町はいままで「なにをしていたのか」だろう。
     今年産米の等級落ちという農業経済が大きな打撃を受けている現実。その沈滞ムードを国際大会で払拭する面も、この週末のイベントはあったのではないか。大会は計画通り進むだろうが、その最終日、主催地の津南町は国内外に向けて何をアピールするのか。足元がぐらつくなかで、その言葉にどれほど力が込められるのか。実行委員長、桑原悠町長の言葉に注目したい。

    2023年12月2日号

  • 「美術の中で革命が動いている」

    「津南」に注力、秋山郷にあの「磯辺行久」が

    第9回大地の芸術祭

     現代アートによる地域活性化構想が始まった1996年、そして2000年の第1回初開催となり、25年かけ世界的な現代アート展に成長している「大地の芸術祭」。当初は受付に1人しか来ない、バスは空気を運んでいるような状況もあったが、新型コロナ禍前の2018年第7回は54万人余り(会期51日間)、延期開催となった2022年第8回は57万人余(145日間、火水休)が来訪。そして新型コロナ後、行動規制のない「第9回展」は来年7月13日~11月10日(87日間、同)の開催が決まっている。

    2023年11月25日号

  • 絶妙のフォト技術学ぶ

    ネイチャー写真、講師が指導

    十高・総合高に飯塚さん、戸谷さんが

     ネイチャーフォトを学ぶ―。夏休みに苗場山麓ジオパークのフォトツアーに参加した十日町高と十日町総合高の写真部の作品指導会が十日町高で開かれ、フォトツアーで講師を務めた日本現代写真家協会所属で苗場山麓ジオパークフォトコンテストの審査員を務める飯塚英春さんと戸谷英利さんが作品指導を行った。生徒たちは「主題の切り取り方など、とても勉強になりました」と話していた。

    2023年11月25日号

  • 「芋業界のエルメスに」、ウーファ6次化大賞

    地元産芋で「雪の日の丸干し芋」グランプリ

    農業株式会社ウーマン・ファーマーズ・ジャパン

     農産物などの価値を高めて農林漁業者の所得向上を目的とする「6次産業化」。日本食糧新聞社が主催する表彰制度「第8回6次化大賞」審査が9日、新潟市で行われ、35事業者が出品するなか十日町市中条地区が拠点の農業株式会社ウーマン・ファーマーズ・ジャパン(ウーファ)が製造するサツマイモの加工品「雪の日の丸干し芋」がグランプリを獲得。併せて協賛企業特別賞のナチュレ片山賞も受賞した。

    2023年11月25日号

  • 「騙されるほうが愚か」といわれる時代

    目くらまし?

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     半年近くも経ってから気が付くとは、お粗末な話だ。
     確か6月頃だったと思う。ブルーインパルスの華麗な航空ショーがテレビで放映された。昭和39年の戦後復興をアピールした東京オリンピック。雨が降り続いた後の見事な日本晴れの開会式。ブルーインパルスの見事な五輪のマークが大空に描かれた。近年になって聞いた話では、事前の演習が出来ずぶっつけ本番だったとか。強烈な美技に衝撃を受け、誇らしく感動した。
     所属基地でコロナ後、久しぶりに観客を招いての航空ショーが開催された。まるでファンミーティングの様な華やかさで、いやが上にも高揚感が漂う。過去のそれより更に高度な美技が次々と披露された。
     そしてその翌月、私も注目している俳優さんが潜水艦を舞台に映画を撮影中だという。防衛省? 海上自衛隊? は本物の潜水艦を撮影に使用する協力をしたそうな。国家機密に触れるぎりぎりまで、撮影に協力してくれたので、迫力のあるシーを撮ることが出来、見応えのある映画になったとのことだった。
     そして9月、参加している「九条の会」の学習会があって、沖縄の現状を知ることができた。現在は禁止されてしまったドローンによる映像を見た。かねて付き合いのあった沖縄の映画会社の、監督さん自ら映像をもって、全国をキャラバンして映写会をしておられるという。
     鹿児島以南の先島諸島から沖縄本島までを琉球弧という。その各島に対中国を意識した基地が出来上がっているという事だった。父が沖縄で戦死したので、戦跡にしか目が行っていなかったのも、暢気すぎたと反省した。
     死に物狂いで抵抗する人たち。圧倒的力で退けながら、どんどん計画を完成させていく国家権力。頭をガーンと殴られたような衝撃だった。
     正に弧を描いて中国に向かい対峙している。アメリカに絶対の協力をするのが現政権の命題だが、このほど米大統領と中国の国家主席が会談し、にこやかに握手をしている映像を見たばかり。日本は良いように使われているのを、ご存じないのだろうか?
     耳を塞がれ・目を奪われていては、ならないのだ。ぼんやり頭のおばあさんには理解できないほど世の中は複雑巧妙にできているのだろう。「電話de詐欺」の回にも書いたが、人を騙すより騙される方が良いと教わったが、今は騙されるほうが愚かだと言われる。
     戦後の貧しさからは、少し経済力もある国らしいが、反して、どんどんやさしさと、寛容さが少なくなっていく気がする。

    2023年11月25日号

  • 冬虫夏草

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     晩秋のブナ林で、足元にオレンジ色の粒を見つけた。径3ミリほどだが鮮やかな色で人目を引く。細い柄が地中に伸びていることからキノコのようだ(写真左)。
     「もしかして…」と、柄を切らないように慎重に地面を掘ると落葉の塊に辿りつく(写真右)。帰ってから落葉を取り除くと白い菌糸に覆われた正体不明の幼虫が現れた。冬虫夏草との久しぶりの出会いだった。
     冬虫夏草とは虫の死骸から生えるキノコの仲間である。とりつくのはトンボやカメムシの成虫、セミやコガネムシの幼虫などいろいろだ。恐ろしいのは、生きている虫にとりつき殺した上で体内の養分で成長するところだ。
     中国では冬虫夏草は漢方薬の原料のひとつ。コウモリガ類の幼虫についたものは高値で取引されている。
     冬虫夏草はとにかく小さい。写真のものは地上部が6ミリほど、全体でも長さ4センチほどしかない。目立たないように暮らしているにも係わらず結実部(先端の胞子をつくるところ)の目立つオレンジ色にはどんな意味があるのだろう。

    2023年11月25日号

  • 性的な暴言も性犯罪、問われる大人社会

    性暴力、見て見ぬ振りは犯罪です

    Vol 87

     12月になり、2学期を締めくくる性教育講演に毎週様々な学校へ伺っています。メディアでは某アイドル事務所で起きてきた性被害の話でもちきりだった時期がありましたね。それもあってか今年6月16日、「性被害の実態にあっていない」という被害者の声を受け、加害者を処罰する法律を大幅に見直した改正案が参議院本会議において全会一致で可決・成立し、7月から施行されました。
     私が行う性教育講演では、必ず性被害について話をしています。どんな話かというと、以前もお話しましたが、児童虐待の中に性的虐待があること。個人的にお付き合いしている間柄で起きうるデートDVの中の性的な暴力の例。この地域でも性犯罪被害(不同意性交)に遭う人がいること。そして、その場のノリや罰ゲームなどで裸になることやキスなどをせまる、集団でHな話しに参加することやHな歌を歌ったり聴かせたりすることを強要する、集団の中でホモネタやオカマネタで笑う、「ホモ」「レズ」などの省略形で呼ぶ、自分のジェンダーやセクシュアリティをカミングアウトした性的マイノリティの人に暴力をふるったり暴言を浴びせる、などが性暴力になることを伝えています。
     性暴力は被害に遭った本人が黙っていれば、加害者は罪に問われません。性犯罪として加害者を罪に問うためには、被害者が警察に通報する必要があります。
     皆さんはこんな場面を今まで見たことはないでしょうか。忘年会のような席で、加害者はちょっと羽目を外しただけ、酒に酔っていたから何となく勢いで、と言い訳をすることが多いかと思いますが、気分が悪くなるような卑猥な言葉を言ってきたり、わいせつな写真を見せて来たり、明らかにわいせつ目的で会が終わった後に自宅へ呼んだりすることが、上司から部下へ行われることを。 上司から部下だけでなく、同僚の間であっても、経済的・社会的関係の地位に基づく影響力で受ける不利益のある中で性暴力が行われること、その性暴力によって精神的な障害を生じさせること、そんなことが実際あってはなりません。これらは、通報されれば罪に問われる可能性があります。
     また、そのような暴力の被害があったことを聞いた者が、「まあまあ」とか「たまには間違いを起こすこともあるでしょう」とか「どうしてその場で嫌と言えなかった?」などとあしらった時には、被害者は更なる心理的社会的ダメージを受けることになり、これをセカンドレイプ(性的二次被害)と言い、これも性暴力の一つになります。
     高校生は、すでにこれらを性暴力と知っているのです。私たち大人はもっときちんと知って、若者たちに見本を見せられるように行動すべきだと思います。そして、そういう性暴力を受けている人を見て見ぬふりをした人たちは、もっと重い罪を犯していると知ってください。
     今まで診察室で多くの方の性暴力の話を聞いてきました。「それは警察に通報して良いことですよ」と言うと、みなさん大抵「そうなんですか!?」と驚かれます。それだけ日本人は性暴力に関してまだまだ無知といえるのか、あるいは被害に遭った人が黙って我慢させられる社会だったのか、大いに考えさせられます。
     これから忘新年会シーズンですね。これを読んでドキッとした方は、本当に注意してください。被害に遭っているのかも、と不安に思った方は是非お気軽にご相談くださいね。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年12月2日号

  • 完全停戦に、傍観者のままではいけない

    イスラエル、ガザに和平を

    斎木 文夫 (年金生活者)

     10月に弟がこの世を去った。1人の死がこれだけ切ないのに、ウクライナや、イスラエル、ガザでは、どれだけの悲しみや苦しみが渦巻いているのだろう。
     10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルにミサイル攻撃を仕掛けた。対するイスラエルは、「自衛の戦い」と称して、ハマスの拠点があるパレスチナ自治区ガザに空と陸から攻撃を続けてきた。
     ガザ地区では、水も食料も燃料も電気もない過酷な状況が続いており、この間の死亡者は1万4千人以上、約半数が子どもと女性であるという。
     11月15日、国連安保理はガザ地区での戦闘の「人道的休止」を求める決議を賛成多数で採択した。日本を含む12ヵ国が賛成し、アメリカ、イギリス、ロシアの3ヵ国は棄権した。
     ガザ情勢を巡る安保理決議案は、それまでに4回提出されたが、常任理事国の拒否権などで否決されている。今回、米・英・露が反対でなく棄権に回らざるを得なかったのは、平和を望む世界の国々の圧力が高まってきたことの証である。
     イスラエル、ハマス両者は、それぞれ相手方の受刑者や人質の解放を条件に、24日から4日間の予定で休戦に応じた。これを書いている29日現在、休戦は2日間延長される可能性がある。
     国連の会議の場だけでなく、世界人類の多くが一時的な休戦より「停戦」を望んでいる。
     イスラエルによるガザ地区での無差別攻撃を非難する人、そのきっかけを作ったハマスを非難する人、パレスチナ人を追い出しての1948年のイスラエル「建国」の不合理を言う人、イスラエル建国は離散と迫害に耐えてきたユダヤ人2千年の悲願なのだと言う人……。様々な立場や主張の違いはあっても、「まず停戦を」の声は日に日に強くなっている。
     しかし、当事者は休戦期間が終わったら直ちに戦闘再開に向かえるよう態勢を整えつつある。
     日本は長い間、イスラエル、パレスチナ双方と外交を展開してきた。イスラエルべったりのアメリカの顔色をうかがうばかりでなく、各国への働きかけを強めるなど、平和を望む国々の先頭に立ってもらいたい。そのために私たちも何かできるのではないか。
     ちなみに、11月20日に静岡市議会は「ガザ地区における平和の実現を早期に求める決議」を、22日に石垣市議会は「パレスチナ・ガザ地区の即時停戦と医療・人道支援を求める決議」をそれぞれ全会一致で可決した。

    2023年12月2日号

  • キイロスズメバチの女王蜂

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     この季節にいるキイロスズメバチ、もう巣から飛び出していて単独行動している。働き蜂はもう死滅しているのでおそらく受精卵を持った女王蜂。
     働き蜂と比べても腹部がふっくらと大きくて一回り大きく見える。これから厳しい冬をで乗り越えて春になるとたった一匹で巣作りを始める事になるのだが。

     こんな時期の蜂だからよほどの事がない限り刺さないと思う。女王蜂は卵をもっているので余計な事はしないはずだ。
     これから軒下や、飛び出した古い巣や木の隙間などで越冬することになるが、数ヵ月も餌を取らないで過ごすのだから凄い生命力だと感心する。
     なんとなく安心できる時期のスズメバチだからよく観察も可能だ。カメラを数センチまで近づけても威嚇はしないがこちらをじっと見ている。
     もちろん雪国では他の蜂類もこの時期は受精卵持った女王蜂のみだからゆっくりと見れると思う。      ただ洗濯物の中にいたら要注意ですが…。

    2023年12月2日号

  • 一歩、一歩、地に足を付けて

    30歳のスタート、桑原藍さん、「気分転換にどうぞ」

    ネイルサロン「爪屋」

     小学校の頃から憧れていた、美容関係の仕事。自宅にネイルサロン『爪屋』を2022年2月22日、自身が30歳になる節目にオープンし、好きなことを生業とする挑戦が続いている桑原藍さん(31、十日町市北新田)。「30歳からのスタート、このサロンと一緒に成長していきたい。

    2023年12月2日号

  • 国際大会、津南町は何をしていたのか

     「何をしているのか」、この国の政治の現状から感じる言葉だろう。「どうするのか」、世界最大級の原発を抱える新潟県の人たちの思いだろう。「いったい、どうなっているの」、今週末に国際コンクールと名が付くイベントを開く津南町の人たちの思いだろう。国内外から3千人余が来町し、米どころ津南を世界に発信する、来場による経済効果も大きい、はずだった。だが、余りにもお粗末な事態が明らかになった。
     本紙記事が実態だ。3千人といえば、津南町の宿泊施設すべてのキャパシティ(宿泊可能数)の4倍強に匹敵する数だ。国際コンクールの名を冠する一大イベント、その宿泊先は当然地元、と思ったのが大間違いだった。開催まで2週間を切った段階で、実態が明らかになった。その多くが町外宿泊という事実が判明した。これはいったいどういうことか、宿泊関係者は疑問を通り越し、怒りに変わっている。当然だろう。
     ここまでのプロセスは、立場によりその言い分は違うだろうが、先ずは現実を直視すべきだ。宿泊関係者は落胆し、感じているのは取り組む行政への「なさけなさ」だろう。なぜ中間チェックできなかったのか、そもそも宿泊振り分けを委託した業者とどういう契約をしたのか、いや、契約も覚書も交わしていなかった。なぜ、なぜと疑問符は膨らむばかりだ。誰の責任というより、そもそも誘致した津南町はいままで「なにをしていたのか」だろう。
     今年産米の等級落ちという農業経済が大きな打撃を受けている現実。その沈滞ムードを国際大会で払拭する面も、この週末のイベントはあったのではないか。大会は計画通り進むだろうが、その最終日、主催地の津南町は国内外に向けて何をアピールするのか。足元がぐらつくなかで、その言葉にどれほど力が込められるのか。実行委員長、桑原悠町長の言葉に注目したい。

    2023年12月2日号

  • 「美術の中で革命が動いている」

    「津南」に注力、秋山郷にあの「磯辺行久」が

    第9回大地の芸術祭

     現代アートによる地域活性化構想が始まった1996年、そして2000年の第1回初開催となり、25年かけ世界的な現代アート展に成長している「大地の芸術祭」。当初は受付に1人しか来ない、バスは空気を運んでいるような状況もあったが、新型コロナ禍前の2018年第7回は54万人余り(会期51日間)、延期開催となった2022年第8回は57万人余(145日間、火水休)が来訪。そして新型コロナ後、行動規制のない「第9回展」は来年7月13日~11月10日(87日間、同)の開催が決まっている。

    2023年11月25日号

  • 絶妙のフォト技術学ぶ

    ネイチャー写真、講師が指導

    十高・総合高に飯塚さん、戸谷さんが

     ネイチャーフォトを学ぶ―。夏休みに苗場山麓ジオパークのフォトツアーに参加した十日町高と十日町総合高の写真部の作品指導会が十日町高で開かれ、フォトツアーで講師を務めた日本現代写真家協会所属で苗場山麓ジオパークフォトコンテストの審査員を務める飯塚英春さんと戸谷英利さんが作品指導を行った。生徒たちは「主題の切り取り方など、とても勉強になりました」と話していた。

    2023年11月25日号

  • 「芋業界のエルメスに」、ウーファ6次化大賞

    地元産芋で「雪の日の丸干し芋」グランプリ

    農業株式会社ウーマン・ファーマーズ・ジャパン

     農産物などの価値を高めて農林漁業者の所得向上を目的とする「6次産業化」。日本食糧新聞社が主催する表彰制度「第8回6次化大賞」審査が9日、新潟市で行われ、35事業者が出品するなか十日町市中条地区が拠点の農業株式会社ウーマン・ファーマーズ・ジャパン(ウーファ)が製造するサツマイモの加工品「雪の日の丸干し芋」がグランプリを獲得。併せて協賛企業特別賞のナチュレ片山賞も受賞した。

    2023年11月25日号

  • 「騙されるほうが愚か」といわれる時代

    目くらまし?

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     半年近くも経ってから気が付くとは、お粗末な話だ。
     確か6月頃だったと思う。ブルーインパルスの華麗な航空ショーがテレビで放映された。昭和39年の戦後復興をアピールした東京オリンピック。雨が降り続いた後の見事な日本晴れの開会式。ブルーインパルスの見事な五輪のマークが大空に描かれた。近年になって聞いた話では、事前の演習が出来ずぶっつけ本番だったとか。強烈な美技に衝撃を受け、誇らしく感動した。
     所属基地でコロナ後、久しぶりに観客を招いての航空ショーが開催された。まるでファンミーティングの様な華やかさで、いやが上にも高揚感が漂う。過去のそれより更に高度な美技が次々と披露された。
     そしてその翌月、私も注目している俳優さんが潜水艦を舞台に映画を撮影中だという。防衛省? 海上自衛隊? は本物の潜水艦を撮影に使用する協力をしたそうな。国家機密に触れるぎりぎりまで、撮影に協力してくれたので、迫力のあるシーを撮ることが出来、見応えのある映画になったとのことだった。
     そして9月、参加している「九条の会」の学習会があって、沖縄の現状を知ることができた。現在は禁止されてしまったドローンによる映像を見た。かねて付き合いのあった沖縄の映画会社の、監督さん自ら映像をもって、全国をキャラバンして映写会をしておられるという。
     鹿児島以南の先島諸島から沖縄本島までを琉球弧という。その各島に対中国を意識した基地が出来上がっているという事だった。父が沖縄で戦死したので、戦跡にしか目が行っていなかったのも、暢気すぎたと反省した。
     死に物狂いで抵抗する人たち。圧倒的力で退けながら、どんどん計画を完成させていく国家権力。頭をガーンと殴られたような衝撃だった。
     正に弧を描いて中国に向かい対峙している。アメリカに絶対の協力をするのが現政権の命題だが、このほど米大統領と中国の国家主席が会談し、にこやかに握手をしている映像を見たばかり。日本は良いように使われているのを、ご存じないのだろうか?
     耳を塞がれ・目を奪われていては、ならないのだ。ぼんやり頭のおばあさんには理解できないほど世の中は複雑巧妙にできているのだろう。「電話de詐欺」の回にも書いたが、人を騙すより騙される方が良いと教わったが、今は騙されるほうが愚かだと言われる。
     戦後の貧しさからは、少し経済力もある国らしいが、反して、どんどんやさしさと、寛容さが少なくなっていく気がする。

    2023年11月25日号

  • 冬虫夏草

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     晩秋のブナ林で、足元にオレンジ色の粒を見つけた。径3ミリほどだが鮮やかな色で人目を引く。細い柄が地中に伸びていることからキノコのようだ(写真左)。
     「もしかして…」と、柄を切らないように慎重に地面を掘ると落葉の塊に辿りつく(写真右)。帰ってから落葉を取り除くと白い菌糸に覆われた正体不明の幼虫が現れた。冬虫夏草との久しぶりの出会いだった。
     冬虫夏草とは虫の死骸から生えるキノコの仲間である。とりつくのはトンボやカメムシの成虫、セミやコガネムシの幼虫などいろいろだ。恐ろしいのは、生きている虫にとりつき殺した上で体内の養分で成長するところだ。
     中国では冬虫夏草は漢方薬の原料のひとつ。コウモリガ類の幼虫についたものは高値で取引されている。
     冬虫夏草はとにかく小さい。写真のものは地上部が6ミリほど、全体でも長さ4センチほどしかない。目立たないように暮らしているにも係わらず結実部(先端の胞子をつくるところ)の目立つオレンジ色にはどんな意味があるのだろう。

    2023年11月25日号