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妻有新聞掲載記事一覧

  • オオカメノキの芽吹き

    照井 麻美(津南星空写真部)

     日中との寒暖差がまだまだ厳しい5月、田植えで体調を崩されていないでしょうか。
     5月も終わりを迎えますが、山の上の方ではまだまだ雪が残る場所もあり、新緑の美しさとエネルギッシュな芽吹きを見ることができます。
     今回は芽吹いたばかりのオオカメノキをご紹介します。
     オオカメノキは森の中でよく見られ、名前の通り、亀の甲羅のような手のひらより少し小さめの丸々とした葉が特徴です。
     ブナ林で春を告げる葉としても有名で、コロンと丸く小さな新葉はまだまだ小さく親指大のかわいらしいサイズです。
     所々大きくなった葉は500円玉くらいのものもあり、木漏れ日が差し込むと葉脈がくっきりと浮かび上がりとても美しいです。
     私はこんな美しい自然が身近にあるこの地域がとても好きで、特に春は動植物と同じようにワクワクする季節です。
    他にも山の中にはイワカガミやコブシなどの美しい花々も咲き誇るようになりました。
     ぜひこの季節に、近くにある野山を歩いてみてはいかがでしょうか。

    2024年5月25日号

  • アメリカン風スタイルで賑わい

    人気のミニカー千台余、清水さん夫妻

    十日町市木落『MC★BASE』

     アメリカン風ベーシックミニカーがズラリ―。ミニカーの世界的ブランド『ホット・ウィール』を中心にアメリカン雑貨を展示販売する『MC★BASE(エムシーベース)』が人気を呼んでいる。十日町市木落集落の奥まった場所にある店内には60年代のアメリカンダイナー(大衆食堂)風の休憩室を設けてある。オーナーの建築士・清水弘幸さん(46)は「雰囲気を味わいに気軽に足を運んでほしい。憩いの場、交流の場になれば」と地域活性化の核にしていきたい考えだ。

    2024年5月25日号

  • 形骸化する選挙運動期間

     選挙は住民・有権者の思いがストレートに出る場だ。直近の選挙、栄村長選も、その結果が住民の思いだ。有権者数1200人余の、まさに「顔が見える1票」、「浮動票がない選挙」だが、その1票の重みは国政全国区の1票と同じだ。
     その告示当日、応援に来た県議が話した言葉が、選挙というものの核心を突いている。「1票の有権者の顔が見える選挙は、どの選挙も同じ。その顔をしっかり見ているのか、それが当落につながる」。今年、いよいよ衆院選があるのか。新潟新5区、ひょっとすると新潟知事選もあるかも。10ヵ月後には十日町市長選、市議選がある。
     「選挙は民主主義の必要コスト」ともいわれる。選挙は金がかかる、その意味ではない。民意をはかるには様々な手法があるが、ルールに則る選挙は、時間も、人も、費用も、相応のコストがかかる。だが、これなくして民意をストレートに具体化する術は、住民投票以外にはない。住民投票は条例制定から始まり、そのプロセスは多分に思惑が入り込む余地があり、テーマによってはあらぬ結果が出かねない。
     さて、その選挙。最近は期日前投票者が増加し、選挙期間の形骸化が進む。告示のその日から期日前投票ができる。ならば、選挙期間の意味がないのではないか。町村の場合、選挙期間はわずか5日間、市でも7日間しかない。これを選挙運動期間と言うなら、あまりにも市町村有権者をバカにしている。期日前投票の判断基準は何か。告示前にすでに投票先を決めていることは、そもそも選挙運動期間が不要ということか。まさに形骸化する選挙運動だ。
     かつて、公職選挙法は「立会演説会」開催を規定していた。それもない今の選挙は、何が投票の基準なのか、大いなる疑問を抱く。モヤモヤ感を抱きつつ、あるであろう衆院選、知事選、さらに市長選、市議選、どうする有権者だが、選挙のあり方を考える時だ。

    2024年5月25日号

  • 『古道』トレラン、広がる連携

    松代中学48人が運営スタッフ協力

    まつだい春の陣 第2回来月2日

     里山でかつて暮らしに欠かせない生活道だった『古道』を再活用したトレイルランニングコースを作り、昨年初開催の『越後まつだい春の陣』(新坂志保里実行委員長)。その取り組みは全国で注目を集め「スポーツ文化ツーリズムアワード2023」で最高賞のひとつ「スポーツツーリズム賞」を獲得。第2回は6月2日に開き、外国人含め4百人以上の出場を見込んでいる。今回は新たに、地元の松代中学(村山裕之校長、48人)が大会運営に協力するなど、より地域を巻き込んだ動きとなり、地域活力アップに一役買っている。

    2024年5月18日号

  • 中干しオフセット始動

    津南町とフェイガ―社連携協定

    水田7㌶で実証

     中干し期間延長でCO2(二酸化炭素)削減、環境配慮と農業者の新たな収入増の可能性に関心が集まる、昨年から農水省が取り組み開始の「水稲栽培における中干し期間延長のJクレジット制度」。津南町は同制度積極導入をねらいに、農業者のカーボンクレジット利用を支援する企業『株式会社フェイガー』(石崎貴紘代表、東京・港区)と16日、包括連携協定を締結。現在は町内の2農業法人(株式会社満作、株式会社えん)と1個人農家が中干しカーボーンクレジットに取り組む。同日は取り組み現場を桑原町長や石崎代表が訪ね、田植え作業を視察した。今年の実証を経て、さらに町内での取り組み拡大を図る方針だ。

    2024年5月18日号

  • 『夫が作ったこの家、思いがいっぱいです』

    北野一美さん(1941年生まれ)

     これは「我が一代記」だ。生まれ育った山梨から新潟・川西へ。親戚、友だちが一人もいない地での生活は、まさに「無我夢中」の人生だった。

     役場にも
    農協にも、
    商工会にも
    断られたと劇団制作の女性が訪ねて来た。ミュージカル劇団公演の思いを聞き、
    「よし、やってみよう」
    と決めた『ふ
    るさときゃらばん』川西町公演は、28年前の1995年。親戚も友だちも、誰一人知らない地に来た時の、当時の自分と重なった。
     公演費用260万円、千人の観客が必要。合併前の川西町人口は8千人余。「あの時、商工会女性部長でした。会員に川西町のイメージカラーをアンケートで聞いたんですが、灰色、黒など暗いイメージばかり」。
     そこで、「元気が出ることをやろうと声を掛け、それが劇団公演。1人1万円出資を広げ、その輪が広がって1枚3千円のチケットが千2百枚売れたんです」。劇団公演に取り組んだメンバーの『熱』を次につなげようと、旗揚げした町民劇団「かわにし夢きゃらばん」は今も続く。

    2024年5月18日号

  • 当世新入社員事情、「耐え忍ぶ」は、今は昔

    退職手続き代行業

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     この春、三番目の孫が社会人になった。先年就職した初孫も、二番目もそれぞれらしい職に就くことができ、じじ・ばばも一安心した。近頃のニュースを聞くと、最近は短期間で就職した企業を辞し、転職する傾向が強いとか? しかも、その手続きを代行する企業もあるという。
     本人はもちろん、代行する企業も、退職を告げられる企業も、あれこれ斟酌することなく、極めてビジネスライクに手続するのみ。これには唖然とした。更に一度ご縁のできた企業に、定年まで勤め上げるなーんて考えている人は殆どいない。
    そんな折、四六時中つけているラジオから『ああ、上野駅』の歌が流れてきた。♬どこかに故郷の香りを乗せて、入る列車の懐かしさ…♬
    〈金の卵〉ともてはやされ、その実、安い労働力として使い捨てられた中卒の子どもたち。
     中学生の頃、同級生が夜勤明けで倒れ亡くなった。義務教育も終えぬうちから、多くの弟妹や、病身の母親のために働いていたのだそうだ。
     そして私自身の就職は、戦後15年位は経ってはいたが、まだまだ厳しい状況だった。それでもどの企業も経営状態の如何にかかわらず、新卒はたとえ一人でも採用して育て上げる風潮だった。おかげで片親だった私も採用してくれた会社があった。
     電話を取るのは新入社員の仕事と決まっていたのに、家に電話はなかったので、電話が怖くて取れなかった。事ある毎に厳しく躾けられ、その上司に当てつけで、目の前で首を吊ってやる! と思ったほど。でも直後上司はショックでもそのうち忘れ去る。片や私は死んでしまう。そんなことはダメだ、ダメだ。ものになったかどうかは疑問だが、その後は何かにつけて色々任せていただいた。
     我慢と耐え忍ぶのが精一杯であった昔。世の中が大きく変化し、いろんなノウハウがある。我々世代には想像すらできない方法で、働き方も大きく変わった。新入社員だけでなく、大人たちも副業が認められている企業が少なくないとか。
     生涯をかけて会社を支える社員もいない、生涯をかけて面倒を見てくれる企業もない、いや出来なくなったのだろう。
     数十年経ったとはいえ、やりたくない事、避けたい事をしないで済むのは、不要なエネルギーを使わないことのほうが、今どきなのかな?  昔人間には首をかしげることばかりだ。

    2024年5月18日号

  • ホンドキツネ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     今回は久々に昼間にキツネの写真が撮れた。夜行性のキツネが日中に姿を見せるのはあまりないが、この日は天気も良いし、ちょうど春うららのような気温と雰囲気であった。
     動物たちもやはり長い冬の厳しい期間を耐えて暖かくなると油断するのかは分からないが、山からの農道を楽しそうにスキップしながら下りてくるのを確認、キツネ当人は嬉しそうにスキップしていたのかはわからないけれど…、見ていてそんな感じに受けた。
     急いで車を止めてカメラ持ってそっと陰から近づいて撮影。
     一瞬、こちらを見ていたがなんとか2回シャッターを切った途端にキツネは「あっ見つかった…」と思ったのか猛ダッシュで逃げて行った。
     わずかの時間でもこういう場面での動物たちとのやりとりはとても楽しい時間。
     このキツネ、イヌ科だと知っている人は案外と少ない。もちろんタヌキもイヌ科、だから犬の病気が流行ると野生のキツネやタヌキも被害を受ける事になる。 

    2024年5月18日号

  • 平和な「縄文」、写真で世界発信

    笹山縄文の里事務局長 野沢恒雄さん

    第25回笹山縄文市は来月2日

     世界各地で人権無視の戦争や紛争が続いているなか「戦争や環境破壊とは無縁の縄文時代こそ平和と持続可能な社会では。世界に発信すべきこと」と話すNPO『笹山縄文の里』の野沢恒雄事務局長。笹山から出土した国宝・火焔型土器のレプリカを用いて「縄文の魅力を感じてほしい」と独自の世界を写真で発信している。国宝・火焔型土器と笹山遺跡をアピールする「笹山縄文市」は今年25回の節目を迎え来月2日に開く。

    2024年5月18日号

  • 6月議会、どうする原発問題

     3月議会では、十日町市、津南町の両議員は「原発問題」をスルーした。市長、町長に問う姿はなかった。来月の6月定例議会が迫るなか、その題材を提供してくれたのが新潟日報社だ。12日と14日の新聞で県内30市町村長に東京電力・柏崎刈羽原発再稼働のアンケート回答を掲載している。読者の多くが注視したことだろう。ここで紹介するには、新潟日報社の許可が必要であり、見逃した読者は図書館などで見てもらいたい内容だ。
     再稼働を論議するテーブルの一つは、県内全市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」。代表幹事は長岡市・磯田達伸市長だ。その研究会が3ヵ月ぶりに今月10日、長岡市で開かれた。十日町市、津南町の担当者も出席した。この席で代表幹事の磯田市長は、冬期の原発事故のシミュレーションの必要性を強調したという。この事はこれまで何度も関係者が国に、県に進言していることで、それでも新潟県の全市町村を代表する代表幹事があえて言わなければならない、この現実にこそ、大きな問題を含むのではないか。
     それは、県内全市町村が「我が事」として原発問題とどう向き合っているかの問題でもある。地元選出で7期の尾身孝昭県議の県政報告会見での言葉は、新たな視点を提供した。だが、「再稼働の是非の責任」の所在があいまいになりかねない要素を含む。東京電力・柏崎刈羽原発が作る電気の消費地は関東エリアの首都圏。「その住民、自治体が、原発で作る電気が必要なのか、必要ではないのか、そこが再稼働の是非になる」。一理ある論点だが、国の法制度では立地自治体、新潟県の判断を求めている。その裏付けとして首都圏に「是非」を問う、という論点だが…。
     県内市町村長のアンケート回答は、その限られた字数からも、受けとめ感度が伝わってくる。6月議会は、その論点の論議の場だ。

    2024年5月18日号

  • オオカメノキの芽吹き

    照井 麻美(津南星空写真部)

     日中との寒暖差がまだまだ厳しい5月、田植えで体調を崩されていないでしょうか。
     5月も終わりを迎えますが、山の上の方ではまだまだ雪が残る場所もあり、新緑の美しさとエネルギッシュな芽吹きを見ることができます。
     今回は芽吹いたばかりのオオカメノキをご紹介します。
     オオカメノキは森の中でよく見られ、名前の通り、亀の甲羅のような手のひらより少し小さめの丸々とした葉が特徴です。
     ブナ林で春を告げる葉としても有名で、コロンと丸く小さな新葉はまだまだ小さく親指大のかわいらしいサイズです。
     所々大きくなった葉は500円玉くらいのものもあり、木漏れ日が差し込むと葉脈がくっきりと浮かび上がりとても美しいです。
     私はこんな美しい自然が身近にあるこの地域がとても好きで、特に春は動植物と同じようにワクワクする季節です。
    他にも山の中にはイワカガミやコブシなどの美しい花々も咲き誇るようになりました。
     ぜひこの季節に、近くにある野山を歩いてみてはいかがでしょうか。

    2024年5月25日号

  • アメリカン風スタイルで賑わい

    人気のミニカー千台余、清水さん夫妻

    十日町市木落『MC★BASE』

     アメリカン風ベーシックミニカーがズラリ―。ミニカーの世界的ブランド『ホット・ウィール』を中心にアメリカン雑貨を展示販売する『MC★BASE(エムシーベース)』が人気を呼んでいる。十日町市木落集落の奥まった場所にある店内には60年代のアメリカンダイナー(大衆食堂)風の休憩室を設けてある。オーナーの建築士・清水弘幸さん(46)は「雰囲気を味わいに気軽に足を運んでほしい。憩いの場、交流の場になれば」と地域活性化の核にしていきたい考えだ。

    2024年5月25日号

  • 形骸化する選挙運動期間

     選挙は住民・有権者の思いがストレートに出る場だ。直近の選挙、栄村長選も、その結果が住民の思いだ。有権者数1200人余の、まさに「顔が見える1票」、「浮動票がない選挙」だが、その1票の重みは国政全国区の1票と同じだ。
     その告示当日、応援に来た県議が話した言葉が、選挙というものの核心を突いている。「1票の有権者の顔が見える選挙は、どの選挙も同じ。その顔をしっかり見ているのか、それが当落につながる」。今年、いよいよ衆院選があるのか。新潟新5区、ひょっとすると新潟知事選もあるかも。10ヵ月後には十日町市長選、市議選がある。
     「選挙は民主主義の必要コスト」ともいわれる。選挙は金がかかる、その意味ではない。民意をはかるには様々な手法があるが、ルールに則る選挙は、時間も、人も、費用も、相応のコストがかかる。だが、これなくして民意をストレートに具体化する術は、住民投票以外にはない。住民投票は条例制定から始まり、そのプロセスは多分に思惑が入り込む余地があり、テーマによってはあらぬ結果が出かねない。
     さて、その選挙。最近は期日前投票者が増加し、選挙期間の形骸化が進む。告示のその日から期日前投票ができる。ならば、選挙期間の意味がないのではないか。町村の場合、選挙期間はわずか5日間、市でも7日間しかない。これを選挙運動期間と言うなら、あまりにも市町村有権者をバカにしている。期日前投票の判断基準は何か。告示前にすでに投票先を決めていることは、そもそも選挙運動期間が不要ということか。まさに形骸化する選挙運動だ。
     かつて、公職選挙法は「立会演説会」開催を規定していた。それもない今の選挙は、何が投票の基準なのか、大いなる疑問を抱く。モヤモヤ感を抱きつつ、あるであろう衆院選、知事選、さらに市長選、市議選、どうする有権者だが、選挙のあり方を考える時だ。

    2024年5月25日号

  • 『古道』トレラン、広がる連携

    松代中学48人が運営スタッフ協力

    まつだい春の陣 第2回来月2日

     里山でかつて暮らしに欠かせない生活道だった『古道』を再活用したトレイルランニングコースを作り、昨年初開催の『越後まつだい春の陣』(新坂志保里実行委員長)。その取り組みは全国で注目を集め「スポーツ文化ツーリズムアワード2023」で最高賞のひとつ「スポーツツーリズム賞」を獲得。第2回は6月2日に開き、外国人含め4百人以上の出場を見込んでいる。今回は新たに、地元の松代中学(村山裕之校長、48人)が大会運営に協力するなど、より地域を巻き込んだ動きとなり、地域活力アップに一役買っている。

    2024年5月18日号

  • 中干しオフセット始動

    津南町とフェイガ―社連携協定

    水田7㌶で実証

     中干し期間延長でCO2(二酸化炭素)削減、環境配慮と農業者の新たな収入増の可能性に関心が集まる、昨年から農水省が取り組み開始の「水稲栽培における中干し期間延長のJクレジット制度」。津南町は同制度積極導入をねらいに、農業者のカーボンクレジット利用を支援する企業『株式会社フェイガー』(石崎貴紘代表、東京・港区)と16日、包括連携協定を締結。現在は町内の2農業法人(株式会社満作、株式会社えん)と1個人農家が中干しカーボーンクレジットに取り組む。同日は取り組み現場を桑原町長や石崎代表が訪ね、田植え作業を視察した。今年の実証を経て、さらに町内での取り組み拡大を図る方針だ。

    2024年5月18日号

  • 『夫が作ったこの家、思いがいっぱいです』

    北野一美さん(1941年生まれ)

     これは「我が一代記」だ。生まれ育った山梨から新潟・川西へ。親戚、友だちが一人もいない地での生活は、まさに「無我夢中」の人生だった。

     役場にも
    農協にも、
    商工会にも
    断られたと劇団制作の女性が訪ねて来た。ミュージカル劇団公演の思いを聞き、
    「よし、やってみよう」
    と決めた『ふ
    るさときゃらばん』川西町公演は、28年前の1995年。親戚も友だちも、誰一人知らない地に来た時の、当時の自分と重なった。
     公演費用260万円、千人の観客が必要。合併前の川西町人口は8千人余。「あの時、商工会女性部長でした。会員に川西町のイメージカラーをアンケートで聞いたんですが、灰色、黒など暗いイメージばかり」。
     そこで、「元気が出ることをやろうと声を掛け、それが劇団公演。1人1万円出資を広げ、その輪が広がって1枚3千円のチケットが千2百枚売れたんです」。劇団公演に取り組んだメンバーの『熱』を次につなげようと、旗揚げした町民劇団「かわにし夢きゃらばん」は今も続く。

    2024年5月18日号

  • 当世新入社員事情、「耐え忍ぶ」は、今は昔

    退職手続き代行業

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     この春、三番目の孫が社会人になった。先年就職した初孫も、二番目もそれぞれらしい職に就くことができ、じじ・ばばも一安心した。近頃のニュースを聞くと、最近は短期間で就職した企業を辞し、転職する傾向が強いとか? しかも、その手続きを代行する企業もあるという。
     本人はもちろん、代行する企業も、退職を告げられる企業も、あれこれ斟酌することなく、極めてビジネスライクに手続するのみ。これには唖然とした。更に一度ご縁のできた企業に、定年まで勤め上げるなーんて考えている人は殆どいない。
    そんな折、四六時中つけているラジオから『ああ、上野駅』の歌が流れてきた。♬どこかに故郷の香りを乗せて、入る列車の懐かしさ…♬
    〈金の卵〉ともてはやされ、その実、安い労働力として使い捨てられた中卒の子どもたち。
     中学生の頃、同級生が夜勤明けで倒れ亡くなった。義務教育も終えぬうちから、多くの弟妹や、病身の母親のために働いていたのだそうだ。
     そして私自身の就職は、戦後15年位は経ってはいたが、まだまだ厳しい状況だった。それでもどの企業も経営状態の如何にかかわらず、新卒はたとえ一人でも採用して育て上げる風潮だった。おかげで片親だった私も採用してくれた会社があった。
     電話を取るのは新入社員の仕事と決まっていたのに、家に電話はなかったので、電話が怖くて取れなかった。事ある毎に厳しく躾けられ、その上司に当てつけで、目の前で首を吊ってやる! と思ったほど。でも直後上司はショックでもそのうち忘れ去る。片や私は死んでしまう。そんなことはダメだ、ダメだ。ものになったかどうかは疑問だが、その後は何かにつけて色々任せていただいた。
     我慢と耐え忍ぶのが精一杯であった昔。世の中が大きく変化し、いろんなノウハウがある。我々世代には想像すらできない方法で、働き方も大きく変わった。新入社員だけでなく、大人たちも副業が認められている企業が少なくないとか。
     生涯をかけて会社を支える社員もいない、生涯をかけて面倒を見てくれる企業もない、いや出来なくなったのだろう。
     数十年経ったとはいえ、やりたくない事、避けたい事をしないで済むのは、不要なエネルギーを使わないことのほうが、今どきなのかな?  昔人間には首をかしげることばかりだ。

    2024年5月18日号

  • ホンドキツネ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     今回は久々に昼間にキツネの写真が撮れた。夜行性のキツネが日中に姿を見せるのはあまりないが、この日は天気も良いし、ちょうど春うららのような気温と雰囲気であった。
     動物たちもやはり長い冬の厳しい期間を耐えて暖かくなると油断するのかは分からないが、山からの農道を楽しそうにスキップしながら下りてくるのを確認、キツネ当人は嬉しそうにスキップしていたのかはわからないけれど…、見ていてそんな感じに受けた。
     急いで車を止めてカメラ持ってそっと陰から近づいて撮影。
     一瞬、こちらを見ていたがなんとか2回シャッターを切った途端にキツネは「あっ見つかった…」と思ったのか猛ダッシュで逃げて行った。
     わずかの時間でもこういう場面での動物たちとのやりとりはとても楽しい時間。
     このキツネ、イヌ科だと知っている人は案外と少ない。もちろんタヌキもイヌ科、だから犬の病気が流行ると野生のキツネやタヌキも被害を受ける事になる。 

    2024年5月18日号

  • 平和な「縄文」、写真で世界発信

    笹山縄文の里事務局長 野沢恒雄さん

    第25回笹山縄文市は来月2日

     世界各地で人権無視の戦争や紛争が続いているなか「戦争や環境破壊とは無縁の縄文時代こそ平和と持続可能な社会では。世界に発信すべきこと」と話すNPO『笹山縄文の里』の野沢恒雄事務局長。笹山から出土した国宝・火焔型土器のレプリカを用いて「縄文の魅力を感じてほしい」と独自の世界を写真で発信している。国宝・火焔型土器と笹山遺跡をアピールする「笹山縄文市」は今年25回の節目を迎え来月2日に開く。

    2024年5月18日号

  • 6月議会、どうする原発問題

     3月議会では、十日町市、津南町の両議員は「原発問題」をスルーした。市長、町長に問う姿はなかった。来月の6月定例議会が迫るなか、その題材を提供してくれたのが新潟日報社だ。12日と14日の新聞で県内30市町村長に東京電力・柏崎刈羽原発再稼働のアンケート回答を掲載している。読者の多くが注視したことだろう。ここで紹介するには、新潟日報社の許可が必要であり、見逃した読者は図書館などで見てもらいたい内容だ。
     再稼働を論議するテーブルの一つは、県内全市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」。代表幹事は長岡市・磯田達伸市長だ。その研究会が3ヵ月ぶりに今月10日、長岡市で開かれた。十日町市、津南町の担当者も出席した。この席で代表幹事の磯田市長は、冬期の原発事故のシミュレーションの必要性を強調したという。この事はこれまで何度も関係者が国に、県に進言していることで、それでも新潟県の全市町村を代表する代表幹事があえて言わなければならない、この現実にこそ、大きな問題を含むのではないか。
     それは、県内全市町村が「我が事」として原発問題とどう向き合っているかの問題でもある。地元選出で7期の尾身孝昭県議の県政報告会見での言葉は、新たな視点を提供した。だが、「再稼働の是非の責任」の所在があいまいになりかねない要素を含む。東京電力・柏崎刈羽原発が作る電気の消費地は関東エリアの首都圏。「その住民、自治体が、原発で作る電気が必要なのか、必要ではないのか、そこが再稼働の是非になる」。一理ある論点だが、国の法制度では立地自治体、新潟県の判断を求めている。その裏付けとして首都圏に「是非」を問う、という論点だが…。
     県内市町村長のアンケート回答は、その限られた字数からも、受けとめ感度が伝わってくる。6月議会は、その論点の論議の場だ。

    2024年5月18日号