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妻有新聞掲載記事一覧

  • 一歩、一歩、地に足を付けて

    30歳のスタート、桑原藍さん、「気分転換にどうぞ」

    ネイルサロン「爪屋」

     小学校の頃から憧れていた、美容関係の仕事。自宅にネイルサロン『爪屋』を2022年2月22日、自身が30歳になる節目にオープンし、好きなことを生業とする挑戦が続いている桑原藍さん(31、十日町市北新田)。「30歳からのスタート、このサロンと一緒に成長していきたい。

    2023年12月2日号

  • 国際大会、津南町は何をしていたのか

     「何をしているのか」、この国の政治の現状から感じる言葉だろう。「どうするのか」、世界最大級の原発を抱える新潟県の人たちの思いだろう。「いったい、どうなっているの」、今週末に国際コンクールと名が付くイベントを開く津南町の人たちの思いだろう。国内外から3千人余が来町し、米どころ津南を世界に発信する、来場による経済効果も大きい、はずだった。だが、余りにもお粗末な事態が明らかになった。
     本紙記事が実態だ。3千人といえば、津南町の宿泊施設すべてのキャパシティ(宿泊可能数)の4倍強に匹敵する数だ。国際コンクールの名を冠する一大イベント、その宿泊先は当然地元、と思ったのが大間違いだった。開催まで2週間を切った段階で、実態が明らかになった。その多くが町外宿泊という事実が判明した。これはいったいどういうことか、宿泊関係者は疑問を通り越し、怒りに変わっている。当然だろう。
     ここまでのプロセスは、立場によりその言い分は違うだろうが、先ずは現実を直視すべきだ。宿泊関係者は落胆し、感じているのは取り組む行政への「なさけなさ」だろう。なぜ中間チェックできなかったのか、そもそも宿泊振り分けを委託した業者とどういう契約をしたのか、いや、契約も覚書も交わしていなかった。なぜ、なぜと疑問符は膨らむばかりだ。誰の責任というより、そもそも誘致した津南町はいままで「なにをしていたのか」だろう。
     今年産米の等級落ちという農業経済が大きな打撃を受けている現実。その沈滞ムードを国際大会で払拭する面も、この週末のイベントはあったのではないか。大会は計画通り進むだろうが、その最終日、主催地の津南町は国内外に向けて何をアピールするのか。足元がぐらつくなかで、その言葉にどれほど力が込められるのか。実行委員長、桑原悠町長の言葉に注目したい。

    2023年12月2日号

  • 「美術の中で革命が動いている」

    「津南」に注力、秋山郷にあの「磯辺行久」が

    第9回大地の芸術祭

     現代アートによる地域活性化構想が始まった1996年、そして2000年の第1回初開催となり、25年かけ世界的な現代アート展に成長している「大地の芸術祭」。当初は受付に1人しか来ない、バスは空気を運んでいるような状況もあったが、新型コロナ禍前の2018年第7回は54万人余り(会期51日間)、延期開催となった2022年第8回は57万人余(145日間、火水休)が来訪。そして新型コロナ後、行動規制のない「第9回展」は来年7月13日~11月10日(87日間、同)の開催が決まっている。

    2023年11月25日号

  • 絶妙のフォト技術学ぶ

    ネイチャー写真、講師が指導

    十高・総合高に飯塚さん、戸谷さんが

     ネイチャーフォトを学ぶ―。夏休みに苗場山麓ジオパークのフォトツアーに参加した十日町高と十日町総合高の写真部の作品指導会が十日町高で開かれ、フォトツアーで講師を務めた日本現代写真家協会所属で苗場山麓ジオパークフォトコンテストの審査員を務める飯塚英春さんと戸谷英利さんが作品指導を行った。生徒たちは「主題の切り取り方など、とても勉強になりました」と話していた。

    2023年11月25日号

  • 「芋業界のエルメスに」、ウーファ6次化大賞

    地元産芋で「雪の日の丸干し芋」グランプリ

    農業株式会社ウーマン・ファーマーズ・ジャパン

     農産物などの価値を高めて農林漁業者の所得向上を目的とする「6次産業化」。日本食糧新聞社が主催する表彰制度「第8回6次化大賞」審査が9日、新潟市で行われ、35事業者が出品するなか十日町市中条地区が拠点の農業株式会社ウーマン・ファーマーズ・ジャパン(ウーファ)が製造するサツマイモの加工品「雪の日の丸干し芋」がグランプリを獲得。併せて協賛企業特別賞のナチュレ片山賞も受賞した。

    2023年11月25日号

  • 「騙されるほうが愚か」といわれる時代

    目くらまし?

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     半年近くも経ってから気が付くとは、お粗末な話だ。
     確か6月頃だったと思う。ブルーインパルスの華麗な航空ショーがテレビで放映された。昭和39年の戦後復興をアピールした東京オリンピック。雨が降り続いた後の見事な日本晴れの開会式。ブルーインパルスの見事な五輪のマークが大空に描かれた。近年になって聞いた話では、事前の演習が出来ずぶっつけ本番だったとか。強烈な美技に衝撃を受け、誇らしく感動した。
     所属基地でコロナ後、久しぶりに観客を招いての航空ショーが開催された。まるでファンミーティングの様な華やかさで、いやが上にも高揚感が漂う。過去のそれより更に高度な美技が次々と披露された。
     そしてその翌月、私も注目している俳優さんが潜水艦を舞台に映画を撮影中だという。防衛省? 海上自衛隊? は本物の潜水艦を撮影に使用する協力をしたそうな。国家機密に触れるぎりぎりまで、撮影に協力してくれたので、迫力のあるシーを撮ることが出来、見応えのある映画になったとのことだった。
     そして9月、参加している「九条の会」の学習会があって、沖縄の現状を知ることができた。現在は禁止されてしまったドローンによる映像を見た。かねて付き合いのあった沖縄の映画会社の、監督さん自ら映像をもって、全国をキャラバンして映写会をしておられるという。
     鹿児島以南の先島諸島から沖縄本島までを琉球弧という。その各島に対中国を意識した基地が出来上がっているという事だった。父が沖縄で戦死したので、戦跡にしか目が行っていなかったのも、暢気すぎたと反省した。
     死に物狂いで抵抗する人たち。圧倒的力で退けながら、どんどん計画を完成させていく国家権力。頭をガーンと殴られたような衝撃だった。
     正に弧を描いて中国に向かい対峙している。アメリカに絶対の協力をするのが現政権の命題だが、このほど米大統領と中国の国家主席が会談し、にこやかに握手をしている映像を見たばかり。日本は良いように使われているのを、ご存じないのだろうか?
     耳を塞がれ・目を奪われていては、ならないのだ。ぼんやり頭のおばあさんには理解できないほど世の中は複雑巧妙にできているのだろう。「電話de詐欺」の回にも書いたが、人を騙すより騙される方が良いと教わったが、今は騙されるほうが愚かだと言われる。
     戦後の貧しさからは、少し経済力もある国らしいが、反して、どんどんやさしさと、寛容さが少なくなっていく気がする。

    2023年11月25日号

  • 冬虫夏草

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     晩秋のブナ林で、足元にオレンジ色の粒を見つけた。径3ミリほどだが鮮やかな色で人目を引く。細い柄が地中に伸びていることからキノコのようだ(写真左)。
     「もしかして…」と、柄を切らないように慎重に地面を掘ると落葉の塊に辿りつく(写真右)。帰ってから落葉を取り除くと白い菌糸に覆われた正体不明の幼虫が現れた。冬虫夏草との久しぶりの出会いだった。
     冬虫夏草とは虫の死骸から生えるキノコの仲間である。とりつくのはトンボやカメムシの成虫、セミやコガネムシの幼虫などいろいろだ。恐ろしいのは、生きている虫にとりつき殺した上で体内の養分で成長するところだ。
     中国では冬虫夏草は漢方薬の原料のひとつ。コウモリガ類の幼虫についたものは高値で取引されている。
     冬虫夏草はとにかく小さい。写真のものは地上部が6ミリほど、全体でも長さ4センチほどしかない。目立たないように暮らしているにも係わらず結実部(先端の胞子をつくるところ)の目立つオレンジ色にはどんな意味があるのだろう。

    2023年11月25日号

  • 赤字路線公表、どう動く沿線自治体

     JR東は、赤字路線の実態を昨年に続き公表した。飯山線の数値は深刻だが、だから…とはならない取り組みが沿線には必要だ。昨年に続く赤字路線の公表に、沿線自治体はどう動き、何を発信するのか。目の前に提示され、示された現実は看過できないだろう。だが、昨年の沿線自治体の対応を見ると、心もとない。JRに対する沿線の姿勢が見えないからだ。
     公表数値によると、飯山線で深刻度が高いのが「津南駅—戸狩野沢温泉駅」である。この区間、沿線の利用人口がそもそも少なく、県境を走る飯山線の中でも、特に利用人口が少ない地域である。JRによるこの区間設定がどうなのかの疑問はあるが、この区間をピックアップし、その営業係数の深刻度を大きくアピールしている。
     今後、毎年公表する方針なら、これは「雰囲気づくり」ではないのか。「これだけ赤字なら…仕方ない…」、そんな言葉を待っているのか、と懐疑心が湧いてくる。だからこそ、沿線自治体の反応が必要だ。栄村・津南町・十日町市、昨年の公表後、「説明に来てほしい」とJR東に要望したのか。要望したなら、JR東は地元に説明に来たのか、それさえも沿線住民には知らされず、今回再び「赤字路線」として飯山線が全国ニュースで流される現実は、沿線住民として納得できないことだ。
     飯山線に関係しては、飯山線沿線自治体連絡協議会という組織がある。会長は飯山市・江沢市長だ。今回の公表にどう反応し、どう動くのか。さらに、どう沿線住民に説明するか、どう飯山線を考えていくのか、などなど共有すべき課題は多い。このまま毎年の公表を看過するなら、事態は確実に、「その方向」に進むだろう。
     飯山線。千曲川、信濃川に寄り添うように走る鉄路だ。いわば『千曲信濃ライン』、郷愁を誘う名称もいい。そろそろ、腰を上げる時ではないか。

    2023年11月25日号

  • 39歳江村氏、副議長

    恩田議長続投、来月13日定例会

    津南町議会

    津南町議会は改選後の初議会を16日開き、議会人事を決めた。議長には前議長の恩田稔氏(72・5期)、副議長には江村大輔氏(39・2期)を選出した。議会運営の要の議会運営委員長は最ベテランの吉野徹氏(75・8期)が就任。

    2023年11月18日号

  • 「後悔している」5つのこと

    自分がいつ死ぬかは自分では分からない

    Vol 86

    今週、下条中学校の全校生徒さんの前で性のお話講演会をしてきました。テーマは「私たちは生きるために生まれてきた」でした。伺う際にお世話になった下条中学校の関係の皆様、本当にありがとうございました。今日は下条中学校の皆さんの前で、最後にしたお話を少し書きたいと思います。
     何かでたまたま見かけたものなのですが、がんで亡くなる患者さんに多く接する機会のあった医療関係者の方のお話でした。がんで亡くなる患者さんが話してくださった「後悔していること」、そのお話の内容は大きく分けると5つに分けられる、というものでした。 それは、①自分に正直な人生を生きればよかった②そんなに働かなくても良かった③もっと自分の感情を表に出すべきだった④友達と連絡を取り続ければよかった⑤もっと自分を幸せにしてあげるべきだった、の5つです。
     私も十日町に戻ってくる前に埼玉で働いていた時は、婦人科のがんの患者さんの治療に携わっていました。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、卵管がん、さまざまながんの患者さんたちです。お孫さんのいる年齢の人、小さい子どもさんのいる40代くらいの人、自分とたいして年齢の違わない若い30代の人、9歳の女の子などなど。
     30代の子宮体がんの方は、たかき医院が以前「笑ってこらえて」というテレビに出させてもらったときに「再発して治療のために入院しています。先生がテレビに出ていたのを見ました。顔が見られて嬉しかった」とメールを下さったのが最後のやり取りでした。今でもメールは消せません。 
     9歳の女の子は卵巣がんで入院していて、抗がん剤の点滴をする日になると、「栄美子先生の点滴が一番痛くないからお願いします」と言われてすごくプレッシャーだったのを思い出します。今となっては良き思い出。今はその子は成人して、元気にしていると聞いています。
     亡くなっていってしまった患者さんたちとお話をする時間は多くありましたが、その話の中にこの5つの内容があっただろうかと、今振り返って思い出そうとしても思い出せません。患者さんの心の内にはあったのかもしれません。私が聞きだせなかっただけかもしれません。
     皆さんは5つのうちのどの内容が一番心に響きましたか? この内容は決してがんで亡くなるという特定の状況の時に思い浮かぶものではなく、理由はどうあれ、自分の命が今尽きると分かったときに、すべての人に思い浮かぶ可能性のあるものなのではないかなと感じています。
     自分がいつ死ぬかは自分では分からないもの。もしかしたら1時間後かもしれないし、明日かもしれないし、10年後かもしれない。また、どんな状況かも分かりません。
    でも、どんな時に自分の人生の終わりが来ても、後悔が無いように生きていたいものです。
     ちなみに私は、⑤のもっと自分を幸せにしてあげるべきだった、が響きました。何をもって幸せと思うかはひとによると思うのですが、自分が毎日笑顔でいられる選択をしていくこと、を日々続けていくことが、幸せにつながるのではないかなと思っています。ぜひ、たまにこの5つを思い出してみてください。いかに生きるのかを探求したい方は、ぜひお気軽にお声掛けください。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年11月18日号

  • 一歩、一歩、地に足を付けて

    30歳のスタート、桑原藍さん、「気分転換にどうぞ」

    ネイルサロン「爪屋」

     小学校の頃から憧れていた、美容関係の仕事。自宅にネイルサロン『爪屋』を2022年2月22日、自身が30歳になる節目にオープンし、好きなことを生業とする挑戦が続いている桑原藍さん(31、十日町市北新田)。「30歳からのスタート、このサロンと一緒に成長していきたい。

    2023年12月2日号

  • 国際大会、津南町は何をしていたのか

     「何をしているのか」、この国の政治の現状から感じる言葉だろう。「どうするのか」、世界最大級の原発を抱える新潟県の人たちの思いだろう。「いったい、どうなっているの」、今週末に国際コンクールと名が付くイベントを開く津南町の人たちの思いだろう。国内外から3千人余が来町し、米どころ津南を世界に発信する、来場による経済効果も大きい、はずだった。だが、余りにもお粗末な事態が明らかになった。
     本紙記事が実態だ。3千人といえば、津南町の宿泊施設すべてのキャパシティ(宿泊可能数)の4倍強に匹敵する数だ。国際コンクールの名を冠する一大イベント、その宿泊先は当然地元、と思ったのが大間違いだった。開催まで2週間を切った段階で、実態が明らかになった。その多くが町外宿泊という事実が判明した。これはいったいどういうことか、宿泊関係者は疑問を通り越し、怒りに変わっている。当然だろう。
     ここまでのプロセスは、立場によりその言い分は違うだろうが、先ずは現実を直視すべきだ。宿泊関係者は落胆し、感じているのは取り組む行政への「なさけなさ」だろう。なぜ中間チェックできなかったのか、そもそも宿泊振り分けを委託した業者とどういう契約をしたのか、いや、契約も覚書も交わしていなかった。なぜ、なぜと疑問符は膨らむばかりだ。誰の責任というより、そもそも誘致した津南町はいままで「なにをしていたのか」だろう。
     今年産米の等級落ちという農業経済が大きな打撃を受けている現実。その沈滞ムードを国際大会で払拭する面も、この週末のイベントはあったのではないか。大会は計画通り進むだろうが、その最終日、主催地の津南町は国内外に向けて何をアピールするのか。足元がぐらつくなかで、その言葉にどれほど力が込められるのか。実行委員長、桑原悠町長の言葉に注目したい。

    2023年12月2日号

  • 「美術の中で革命が動いている」

    「津南」に注力、秋山郷にあの「磯辺行久」が

    第9回大地の芸術祭

     現代アートによる地域活性化構想が始まった1996年、そして2000年の第1回初開催となり、25年かけ世界的な現代アート展に成長している「大地の芸術祭」。当初は受付に1人しか来ない、バスは空気を運んでいるような状況もあったが、新型コロナ禍前の2018年第7回は54万人余り(会期51日間)、延期開催となった2022年第8回は57万人余(145日間、火水休)が来訪。そして新型コロナ後、行動規制のない「第9回展」は来年7月13日~11月10日(87日間、同)の開催が決まっている。

    2023年11月25日号

  • 絶妙のフォト技術学ぶ

    ネイチャー写真、講師が指導

    十高・総合高に飯塚さん、戸谷さんが

     ネイチャーフォトを学ぶ―。夏休みに苗場山麓ジオパークのフォトツアーに参加した十日町高と十日町総合高の写真部の作品指導会が十日町高で開かれ、フォトツアーで講師を務めた日本現代写真家協会所属で苗場山麓ジオパークフォトコンテストの審査員を務める飯塚英春さんと戸谷英利さんが作品指導を行った。生徒たちは「主題の切り取り方など、とても勉強になりました」と話していた。

    2023年11月25日号

  • 「芋業界のエルメスに」、ウーファ6次化大賞

    地元産芋で「雪の日の丸干し芋」グランプリ

    農業株式会社ウーマン・ファーマーズ・ジャパン

     農産物などの価値を高めて農林漁業者の所得向上を目的とする「6次産業化」。日本食糧新聞社が主催する表彰制度「第8回6次化大賞」審査が9日、新潟市で行われ、35事業者が出品するなか十日町市中条地区が拠点の農業株式会社ウーマン・ファーマーズ・ジャパン(ウーファ)が製造するサツマイモの加工品「雪の日の丸干し芋」がグランプリを獲得。併せて協賛企業特別賞のナチュレ片山賞も受賞した。

    2023年11月25日号

  • 「騙されるほうが愚か」といわれる時代

    目くらまし?

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     半年近くも経ってから気が付くとは、お粗末な話だ。
     確か6月頃だったと思う。ブルーインパルスの華麗な航空ショーがテレビで放映された。昭和39年の戦後復興をアピールした東京オリンピック。雨が降り続いた後の見事な日本晴れの開会式。ブルーインパルスの見事な五輪のマークが大空に描かれた。近年になって聞いた話では、事前の演習が出来ずぶっつけ本番だったとか。強烈な美技に衝撃を受け、誇らしく感動した。
     所属基地でコロナ後、久しぶりに観客を招いての航空ショーが開催された。まるでファンミーティングの様な華やかさで、いやが上にも高揚感が漂う。過去のそれより更に高度な美技が次々と披露された。
     そしてその翌月、私も注目している俳優さんが潜水艦を舞台に映画を撮影中だという。防衛省? 海上自衛隊? は本物の潜水艦を撮影に使用する協力をしたそうな。国家機密に触れるぎりぎりまで、撮影に協力してくれたので、迫力のあるシーを撮ることが出来、見応えのある映画になったとのことだった。
     そして9月、参加している「九条の会」の学習会があって、沖縄の現状を知ることができた。現在は禁止されてしまったドローンによる映像を見た。かねて付き合いのあった沖縄の映画会社の、監督さん自ら映像をもって、全国をキャラバンして映写会をしておられるという。
     鹿児島以南の先島諸島から沖縄本島までを琉球弧という。その各島に対中国を意識した基地が出来上がっているという事だった。父が沖縄で戦死したので、戦跡にしか目が行っていなかったのも、暢気すぎたと反省した。
     死に物狂いで抵抗する人たち。圧倒的力で退けながら、どんどん計画を完成させていく国家権力。頭をガーンと殴られたような衝撃だった。
     正に弧を描いて中国に向かい対峙している。アメリカに絶対の協力をするのが現政権の命題だが、このほど米大統領と中国の国家主席が会談し、にこやかに握手をしている映像を見たばかり。日本は良いように使われているのを、ご存じないのだろうか?
     耳を塞がれ・目を奪われていては、ならないのだ。ぼんやり頭のおばあさんには理解できないほど世の中は複雑巧妙にできているのだろう。「電話de詐欺」の回にも書いたが、人を騙すより騙される方が良いと教わったが、今は騙されるほうが愚かだと言われる。
     戦後の貧しさからは、少し経済力もある国らしいが、反して、どんどんやさしさと、寛容さが少なくなっていく気がする。

    2023年11月25日号

  • 冬虫夏草

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     晩秋のブナ林で、足元にオレンジ色の粒を見つけた。径3ミリほどだが鮮やかな色で人目を引く。細い柄が地中に伸びていることからキノコのようだ(写真左)。
     「もしかして…」と、柄を切らないように慎重に地面を掘ると落葉の塊に辿りつく(写真右)。帰ってから落葉を取り除くと白い菌糸に覆われた正体不明の幼虫が現れた。冬虫夏草との久しぶりの出会いだった。
     冬虫夏草とは虫の死骸から生えるキノコの仲間である。とりつくのはトンボやカメムシの成虫、セミやコガネムシの幼虫などいろいろだ。恐ろしいのは、生きている虫にとりつき殺した上で体内の養分で成長するところだ。
     中国では冬虫夏草は漢方薬の原料のひとつ。コウモリガ類の幼虫についたものは高値で取引されている。
     冬虫夏草はとにかく小さい。写真のものは地上部が6ミリほど、全体でも長さ4センチほどしかない。目立たないように暮らしているにも係わらず結実部(先端の胞子をつくるところ)の目立つオレンジ色にはどんな意味があるのだろう。

    2023年11月25日号

  • 赤字路線公表、どう動く沿線自治体

     JR東は、赤字路線の実態を昨年に続き公表した。飯山線の数値は深刻だが、だから…とはならない取り組みが沿線には必要だ。昨年に続く赤字路線の公表に、沿線自治体はどう動き、何を発信するのか。目の前に提示され、示された現実は看過できないだろう。だが、昨年の沿線自治体の対応を見ると、心もとない。JRに対する沿線の姿勢が見えないからだ。
     公表数値によると、飯山線で深刻度が高いのが「津南駅—戸狩野沢温泉駅」である。この区間、沿線の利用人口がそもそも少なく、県境を走る飯山線の中でも、特に利用人口が少ない地域である。JRによるこの区間設定がどうなのかの疑問はあるが、この区間をピックアップし、その営業係数の深刻度を大きくアピールしている。
     今後、毎年公表する方針なら、これは「雰囲気づくり」ではないのか。「これだけ赤字なら…仕方ない…」、そんな言葉を待っているのか、と懐疑心が湧いてくる。だからこそ、沿線自治体の反応が必要だ。栄村・津南町・十日町市、昨年の公表後、「説明に来てほしい」とJR東に要望したのか。要望したなら、JR東は地元に説明に来たのか、それさえも沿線住民には知らされず、今回再び「赤字路線」として飯山線が全国ニュースで流される現実は、沿線住民として納得できないことだ。
     飯山線に関係しては、飯山線沿線自治体連絡協議会という組織がある。会長は飯山市・江沢市長だ。今回の公表にどう反応し、どう動くのか。さらに、どう沿線住民に説明するか、どう飯山線を考えていくのか、などなど共有すべき課題は多い。このまま毎年の公表を看過するなら、事態は確実に、「その方向」に進むだろう。
     飯山線。千曲川、信濃川に寄り添うように走る鉄路だ。いわば『千曲信濃ライン』、郷愁を誘う名称もいい。そろそろ、腰を上げる時ではないか。

    2023年11月25日号

  • 39歳江村氏、副議長

    恩田議長続投、来月13日定例会

    津南町議会

    津南町議会は改選後の初議会を16日開き、議会人事を決めた。議長には前議長の恩田稔氏(72・5期)、副議長には江村大輔氏(39・2期)を選出した。議会運営の要の議会運営委員長は最ベテランの吉野徹氏(75・8期)が就任。

    2023年11月18日号

  • 「後悔している」5つのこと

    自分がいつ死ぬかは自分では分からない

    Vol 86

    今週、下条中学校の全校生徒さんの前で性のお話講演会をしてきました。テーマは「私たちは生きるために生まれてきた」でした。伺う際にお世話になった下条中学校の関係の皆様、本当にありがとうございました。今日は下条中学校の皆さんの前で、最後にしたお話を少し書きたいと思います。
     何かでたまたま見かけたものなのですが、がんで亡くなる患者さんに多く接する機会のあった医療関係者の方のお話でした。がんで亡くなる患者さんが話してくださった「後悔していること」、そのお話の内容は大きく分けると5つに分けられる、というものでした。 それは、①自分に正直な人生を生きればよかった②そんなに働かなくても良かった③もっと自分の感情を表に出すべきだった④友達と連絡を取り続ければよかった⑤もっと自分を幸せにしてあげるべきだった、の5つです。
     私も十日町に戻ってくる前に埼玉で働いていた時は、婦人科のがんの患者さんの治療に携わっていました。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、卵管がん、さまざまながんの患者さんたちです。お孫さんのいる年齢の人、小さい子どもさんのいる40代くらいの人、自分とたいして年齢の違わない若い30代の人、9歳の女の子などなど。
     30代の子宮体がんの方は、たかき医院が以前「笑ってこらえて」というテレビに出させてもらったときに「再発して治療のために入院しています。先生がテレビに出ていたのを見ました。顔が見られて嬉しかった」とメールを下さったのが最後のやり取りでした。今でもメールは消せません。 
     9歳の女の子は卵巣がんで入院していて、抗がん剤の点滴をする日になると、「栄美子先生の点滴が一番痛くないからお願いします」と言われてすごくプレッシャーだったのを思い出します。今となっては良き思い出。今はその子は成人して、元気にしていると聞いています。
     亡くなっていってしまった患者さんたちとお話をする時間は多くありましたが、その話の中にこの5つの内容があっただろうかと、今振り返って思い出そうとしても思い出せません。患者さんの心の内にはあったのかもしれません。私が聞きだせなかっただけかもしれません。
     皆さんは5つのうちのどの内容が一番心に響きましたか? この内容は決してがんで亡くなるという特定の状況の時に思い浮かぶものではなく、理由はどうあれ、自分の命が今尽きると分かったときに、すべての人に思い浮かぶ可能性のあるものなのではないかなと感じています。
     自分がいつ死ぬかは自分では分からないもの。もしかしたら1時間後かもしれないし、明日かもしれないし、10年後かもしれない。また、どんな状況かも分かりません。
    でも、どんな時に自分の人生の終わりが来ても、後悔が無いように生きていたいものです。
     ちなみに私は、⑤のもっと自分を幸せにしてあげるべきだった、が響きました。何をもって幸せと思うかはひとによると思うのですが、自分が毎日笑顔でいられる選択をしていくこと、を日々続けていくことが、幸せにつながるのではないかなと思っています。ぜひ、たまにこの5つを思い出してみてください。いかに生きるのかを探求したい方は、ぜひお気軽にお声掛けください。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年11月18日号