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妻有新聞掲載記事一覧

  • インターバル速足のすすめ

    健康寿命とは

    村山 朗 (会社員)

     日本人男性の平均寿命は81・41歳、健康寿命は72・68歳だそうです。後期高齢者間近の筆者にとっては毎日の健康が関心事ですし、やはり気になるのは健康寿命です。厚生労働省の定義では、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とのこと。今のところ健康診断でいくつかイエローカードを出されてはいますが、日常生活が制限されることなく生活できています。 
     健康寿命を延ばすには、「①バランスの良い食事を意識する②運動習慣を持つ③検診で生活習慣病の早期発見・重症化予防に努める④喫煙をやめる⑤適正な体重を保つ⑥ストレスの少ない生活を目指す⑦社会的なつながりを構築する」だそうです。
     筆者はタバコを吸わないのでその点だけは問題ないですが、どれもこれも簡単にできそうにもなく、それだけでストレスです。特に難しいのが、運動習慣を持つこと。簡単そうに見えるウォーキングは、1日1万歩やらないと効果はないとこれまで言われており、そう思うだけで一歩が踏み出せません。ジムはお金がかかるし。
     そんな中で出会ったのが「ウォーキングの科学」という本です。信州大学元教授の著者・能勢博氏は前書きで「ウォーキングは健康に良い、ということは誰でも知っているが、どれぐらいの速度で、どれぐらいの頻度で、どれくらいの時間行えば、どんな効果が得られるのか、という疑問について明確に答えられる方は少ない」と述べています。詳しくは本書に譲るとして、「普通」に歩く1万歩はほとんど効果が得られない、という衝撃の事実も証拠に基づいて語られています。
     「インターバル速歩」とはごく大雑把に言うと3分間速足で歩き、そのあとゆっくりと3分間歩く、これを繰り返すこと。1日30分でいいのです。毎日でなくても構いません。著書の研究によれば「インターバル速歩」を行えば短時間で、体の負担も少なく、さほどお金もかけずに筋力の向上(体力の向上)が可能だそうです。
     著者は松本市と提携して「インターバル速歩」を実施群と非実施群に分け、1年以上の実証実験を行い、「インターバル速歩」が生活習慣病の防止に役立つことを証明しています。
     秋田県の由利本荘市では平成27年から「歩いてのばそう!! 健康寿命」を合言葉に「インターバル速歩」を導入し、その実施状況は由利本荘市のホームページで詳しく紹介されています。何でも三日坊主になりがちな筆者ですが、続けられるような気がします。

    2024年9月14日号

  • 中子氏子中

    照井 麻美(津南星空写真部)

     先月、津南町中子集落を見学させていただきました。
     最近は「中子の桜」としても有名な集落ですが、この集落の神社で珍しいものをご案内いただいたのでご紹介いたします。
     まず目に止まったのは神社の名前です。
    各集落に一つずつ神社があるのはこの地域では珍しくないですが、「仲郷神社」と書かれており、現在の中子ではなく「仲郷」と表記されていました。
     すぐお隣は「上郷」ですし、昔の人はどこかの郷と郷の間というような意味で仲郷となっていたのではないか、などと考えながら参拝いたしました。
     また、帰り際に鳥居の裏を見ると、鳥居を奉納された方のお名前が彫られているのですが、上から読んでも下から読んでも「中子氏子中」なのです。
     集落の方々が奉納しているので当たり前と言えば当たり前なのですが、普通に神社を参拝しているだけでは見落としがちなものだと感じました。
     何気なくある神社も改めて見てみると集落の歴史や新たな発見があるので、これからも少しずつ散策していきたいと思います。

    2024年9月14日号

  • 再編統合保育園は、全面移転改築を

     津南町の桑原悠町長は、いまある保育園5施設を統合し、5年後に1園化し町立保育園を一つにする方針を示した。構想は、現ひまわり保育園を増築する考えだが、移転し全面改築を考えてほしい。 その地は自然環境が良く、広大な町有地である。「なじょもん」のエリアだ。旧中津小を改修し、町埋蔵文化財センターができ、現なじょもん機能の多くがセンターに移る。あの一帯の町有地は、子どもたちの最高の遊び場、保育の場になる。
     「財政的に無理」、そう言葉が返ってくるだろう。だが、考えてほしいのは「目先の整備」ではなく30年後、50年後だ。先週号の本欄で「公共施設は防災拠点」と指摘した。あの地はドクターヘリのランデブーポイント、救急搬送の緊急離発着に活用されている。河岸段丘地の突端にあり、地形的にも視野が良く、広大な町有地の活用がそのままできる優位性は大きい。
     さらに芽出し論議が出ている町立津南病院の全面改築との関係性も浮上する。現場所での病院改築は、周辺の用地事情から相当なる困難性が伴うだろう。ならば、統合保育園を全面移転改築し、その跡地を町立病院改築に充てる方策は、ある意味で合理性がある。
     保育園改築は人口政策にも直結する。充分な用地、自然環境も良い、防災拠点化も可能だ。さらに全面改築を総木造で作り上げれば、それだけで津南町の子育てシンボルになる。あの保育園に入れたい、必ずや親は思うだろう。そう思わせる保育園が津南町に出来れば、若い子育て世代は移住を考えるだろう。保育士もあの保育園で働きたいと町外、県外から応募があるだろう。トップは「夢を語る」、さらに「夢を実現する」ことが行政ではないか。
     条件は整っている。紆余曲折の歩みをしてきた津南町の保育園再編整備、ここは発想の転換による行政事業の集中と選択だろう。どうですか、悠さん。

    2024年9月14日号

  • 十日町道路実現、さらに一歩

    地元協議会「連携し一刻も早く」

    用地買収調印式

     魚沼基幹病院と妻有地域を結ぶ「命の道」で、関越高速道と北陸道の2つの高速道と直接繋がることで物流や観光など経済活性化効果が期待される高規格道「上越魚沼地域振興快速道」。このうち十日町市と関越道直通ルートとなる「十日町道路」は同市北鐙坂-八箇を繋ぐ延長10・8㌔。すでにセンターライン標識の設置が行われ、3日には水沢地区伊達の用地1万5千平方㍍の用地買収がまとまったことを受け、地元の水沢地区インター推進協議会(川田一幸会長)と国交省・長岡国道事務所(岡村秀誠所長)が用地買収調印式を伊達公会堂で行った。「今回が第一弾。今後も連携し早い供用開始をめざしたい」としている。(地図は国交省資料を元に作成)

    2024年9月7日号

  • 世界の人と通じ合う、そのための英語

    春日 彩音さん(2004年生まれ)

     「こんなことって、あるんですね」。スマホのSNSでその存在を知った外国の方が、なんと、自分がアルバイトしているコンビニ店に現れた。あの人だ、とすぐに話しかけ、とんとんと事が運び、いまそのアーティスト、ウォルフガング・ギルさん主宰の『ホンク・ツイート美術館』で働いている春日彩音さん(19)。高校時代に習得した語学力で、さらなる世界を見ている。

     八箇峠を超えて通った六日町高時代、外国を肌で感じる場面に出会った。
     南魚沼市などが支援する一般社団法人愛・南魚沼みらい塾の『youkeyプロジェクト』1期生に応募。「なにか国際支援の活動をしたいと、ずっと思っていました」。
     この思いは十日町中時代に芽が出た。全中駅伝8位入賞で大きな自信を得た。その自信で次のステップをめざした。十日町市が中学生対象に計画したカナダ留学に応募。内定していながら、コロナ禍の直撃を受け事業は中止。「悔しかったですね。陸上以外で初めて本気で頑張ろうと思ったことだったので、残念で、残念で。でも、外国への思いがより増しました」。

     参加したyoukeyプロジェクトの郊外探求プログラムに入った。活動先の大和・国際大学で南アフリカ出身の女性と出会う、インタビューした。女性は『貧富の差はあるけど、現地の人は彼らなりに幸せに暮らしている。貧しい国と思わず、南アフリカの良い所を伝えて欲しい』と母国への思いを話した。
     自分の先入観を思い直した。「支援というと物資や金銭を送ることだと思っていました。何が支援なのか、その意味が彼女の言葉から分かりました」。
     すぐに動いた。六日町高で独自のアンケートを取った。『アフリカに対するイメージは?』。やはり、だった。「多くがアフリカは貧困、というイメージが多かったです」。南アフリカを通じてアフリカへの理解を深めようと、国際大学やその女性の協力を得て『南アフリカの料理レシピ集』を独自に作成し、国際大学学園祭で配った。当然、会話は英語。「多くの外国の方々と関わって、英語力は格段にアップしたと思います。とにかく英単語を頭に叩き込みましたね」。
     国際大学での活動がさらに視野を広げ、国内の高校生や大学生が参加するサマーキャンプにも参加し、目の前の世界がさらに広がった。

     そして、大学受験。「友だちからは推薦で行けるのにって言われたけど、どうしても行きたい大学があって。その大学に絞り一般受験したんですが…」。難関大を受験したが…。「いま思うと、受験中、自分を追い込みすぎました。この春からバイトを始めています。でも、人と話すのって、本当に楽しくていいなぁと感じています」。
     そんな時にコンビニで出会ったのがギルさん。「美術館をつくる手伝いをしないかって言われ、すぐに行きました。大工さんに通訳をしたり一緒に家具を作ったり、まさか自分も関わるとは思いませんでしたが嬉しかったです。家にいる時間より、ここに居る時間の方が長いです。私のセカンドホームですね」。
     ギルさんとの出会いで、自分の中での変化を感じている。「ずっと外国っていいなって思っていましたが、ギルさんのコミュニティー作りへの思いや取り組みを間近で感じて、とっても素敵だなって。日本も良いなって思い始めています」。
     さらに、「でも、大学
    には行きたいです。視野を広げ人と人の繋がりを増やし、自分を創っていけるようになりたいです」。コミュニケーションの大切さ、人と話すことが自分のメンタルケアになる、そう実感する春日さん。「そうですね、英語は世界の人と思いを通じ合う大切な手段です、私にとっては」。

    ▼バトンタッチします
     福原久八郎さん

    2024年9月7日号

  • 朝起きたら先ずうがい、口腔清掃を

    抗菌作用の強いティートゥリーのアロマオイルで

    Vol 105

     さて前回、慢性疾患の予防や改善に口腔ケア、特に歯周病予防が大きく関係しているというお話を少ししました。今回はその続きです。
     歯周病になると、まず歯肉から出血したり、歯肉が腫れたり、膿が出て口臭がするなどが起こります。さらに歯周病が進むと、歯肉が下がり歯が長く伸びたようになります。歯肉が下がると歯を支える土台の骨が溶け、歯と歯肉の間に歯周ポケットと呼ばれる溝ができ、食べ物が詰まりやすくなり、溝が深いために歯磨きなどできれいにしにくくなります。
     出血した部分には細菌が集まり、血管内に細菌が侵入しやすくなります。細菌が侵入すると血管内に炎症が起き、炎症の修復のためにLDLコレステロールが血中で増加します。結果として、動脈硬化や心筋梗塞につながります。
     朝、起きがけに水でも牛乳でも飲むと、口の中に増えた悪い菌を飲み込んでしまいます。腸の中から歯周病菌が見つかる人もいるそうです。もしも、腸の中に歯周病菌が入ってしまうことで腸内環境が悪くなってしまうのなら、さらに健康状態の悪化を引き起こしてしまうでしょう。
     腸の環境が脳の状態に大きく関係することは以前お話しました。歯周病菌の中には免疫を抑制する働きのある物質を放出する菌もいると言われており、そのため、起きがけにうがいをするだけで、口の中に増えた菌は結構出せるということですし、風邪予防にもなるとのことです。是非お試しを。
     たかき医院でおすすめしているメディカルアロマは、アロマオイルの薬効を利用した健康維持対策です。アロマオイルは皮膚に塗布した時に皮下の血管内にオイルの成分が入り、薬効が血液に乗って全身に回っていくことで効力を発揮します。 特に粘膜からの吸収が良いので、アロマオイル入りの歯磨き粉での歯磨きやマウスウォッシュは、口の中だけでなく全身の健康を保つために大いに威力を発揮します。アロマオイル入りの歯磨き粉を2年間継続して使ったことで、医師から明らかに脳の画像検査の結果が良くなって若返りましたね、と言われた人もいるとか。
     第二次世界大戦の折、薬が不足したメディカルアロマの発祥の地フランスでは、消毒薬の代わりに抗菌作用の強いティートゥリーのアロマオイルを軍医さんが常備していたという話もあるように、ティートゥリーのアロマオイルで毎日うがいをしているという、とあるアロマの会社のスタッフの方たちは、今までだれ一人として新型コロナに感染していない、というくらい良い品質のアロマオイルは効果があります。 
     ティートゥリーのアロマオイルでのうがいは歯茎の腫れや口内炎にもおすすめです。お試ししたい方は、たかき医院で販売していますのでお声掛けください。
     また、歯周病は、歯周病菌だけが原因でなく、喫煙、薬物、ストレスのほか、ホルモンバランスの変化、免疫反応などの基礎疾患も原因になります。
     ということで次回は、女性ホルモンと歯周病についての関係をクローズアップします。次回まで待てないという方は是非お気軽にご相談を。(たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年9月7日号

  • 老舗ホテルの一部を学生寮に

    大学とまちづくり

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     前回に続き、新潟県三条市に設立された三条市立大学に関連して、「大学とまちづくり」について、書いてみたいと思います。
     三条市立大学は「ものづくり」に特化した大学で、入学の倍率が5倍を超える人気となっています。自治体や企業からの支援がいくつかあり、学生が三条市の旧市街地に住む場合は、自治体からの家賃援助があります。
     私は燕三条に出張で行く際、その三条市の旧市街地にあるホテルを定宿としているのですが、周りは高齢化が進んでいるのでしょう、年々お店の閉店や空き地が増え、その流れはまだ変わっていないかもしれないのですが、今年くらいから、明らかに道を歩いたり自転車に乗ったりしている若者の姿が目立って増えてきました。それによって、まちに少しずつ活気が出てきたように感じます。
    学生たちは、町内会の消防団やお祭りなどのイベントにも参加しているとのことでした。そのような経験がしたくてもできない都会出身の若者たちなど、積極的に経験をしてみたいと希望する若者も一定割合いると想像します。
     まちの方々に聞くと、最近の若者は挨拶もして礼儀正しいと、うれしそうに語っていらっしゃったのが印象的でした。
     私の定宿としているホテルは老舗で、燕三条の歴史をずっと見てきたホテルです。燕三条の全盛期は多くのバイヤーで溢れ、それはすごい活気だったと思います。それに比べると、訪問者は減り、最近のコロナも経営の打撃となったはずです。
     そのような状況を乗り越えようと、市内に大学ができ、先に紹介した学生への支援が始まったこともあり、ホテルの一部を学生寮にするという判断をされました。
     今までのホテルの部屋をなるべくそのまま活かし、無理なリフォームをせず、必要な設備は自治体の既存のチャレンジ補助金などを活用しコインランドリーを増強するなどして、工夫をされています。平日の朝と晩の美味しい食事も提供されます。
     そして、目には見えない点ですが、ホテルの従業員の方が、学生との日常のやりとりのなかで、旧市街地での生活に馴染めるようにフォローをしている様子が、ところどころに窺えました。
     ホテルの建物の活用に加え、ホテルのもつホスピタリティが、そのようなところに、さりげなく発揮されていることは素晴らしいと思いました。 そして、「大学とまちづくり」において、まちの拠点となり、まちと学生をつなぐ重要な役割を果たされていると感じました。

    2024年9月7日号

  • アゲハのレストラン

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     昆虫、特にチョウやハチがよく集まる花がある。畑の雑草でもっとも手ごわい相手であるヤプガラシ、抜いても抜いてもどこからか芽が出てきては他の植物にからみつく厄介者。
     そんな厄介者でもチョウやハチ類にとっては魅力的な花らしい。一度アゲハチョウに聞いてみたいほどだが、本当によくこの花に来る。スズメバチの仲間もよく集まってくるのでハチ類にはよほど好評の花なんだろうな−って。
     我々がこの花の匂いをかぐとかなりキつめの匂いがするが、昆虫にとってはとても抜群に美味しい匂いだと思われる。
     今年は南天とユキツバキにからむヤブガラシをそのままにしておいて観察してみたが、からみつかれる方はたいへんだろうなと思う。
     もちろんチョウばかりではなくハナカミキリの仲間も来ているしコガネムシの仲間も来る。
     みんなお揃いのレストランになっている。家の周りにそんな場所が一ヵ所あってもバチは当たらないだろう…。

    2024年9月7日号

  • 雪国メダカ育成、「楽しんでいます」

    『masushin.enjoy medaka』丸山剛三さん

    自宅繁殖場で80種余、イベント出店も

     「メダカ好きを増やしたい」。そんな思いでメ
    ダカ屋『masushin.en
    joy medaka』(マスシン・エンジョイ・メダカ)の2年前に看板を掲げた丸山剛三さん(48、十日町市田中)。自宅敷地の繁殖場で今は80種余の品種を育て、希望者に販売したり、イベント出店を行っている。「メダカ愛好家は全国にいます。来てくれた方や、イベントで会う方と話す機会が増え、趣味を通じ人との繋がりが広がっています。地元の方にもメダカを育てる楽しさを伝えたいですね」。きものまつりや生誕地まつりなど地元イベントに店を出し、メダカ愛好家を少しずつ増やしている。

    2024年9月7日号

  • 「1保育園化・1小学校化」と「公共施設は防災拠点」

     これから作る公共施設は「全て防災拠点」、過言ではないだろう。学校や保育園の増改築、地域公民館や集会施設の更新、さらに役所の改修など、その全てが「防災・減災」を重点的に取り入れた公共施設が求められる。それは時代の要請と共に、まさに「住民の生命を守る拠点」だからだ。
     9月議会が十日町市、津南町、栄村で始まっている。関心の一つは津南町が方向性を示した小学校再編統合による町立小学校1校化、さらに保育園統合による1園化。その校舎や園舎の増改築における防災拠点化の取り組みだ。
     少子化による複式学級など、小学校の教育環境の改善に伴う学びの場・校舎の改築は、その目的の教育環境整備と共に公共施設のあり方も行政課題として併存する。それが「防災拠点化」。施設の改増築では当然、防災備品などの充実に取り組むだろうが、ことは備品の充実程度ではどうしようもない。 
     その公共施設の必然性、その場所の有効性、その施設が持つ機能と防災効果、さらに可動性など検討が必要だ。それは地震や風水害など災害発生時、どう機動力が発揮でき、住民の拠り所になれるのかなど多角的な視点、広い機能効果を考えた防災拠点が求められる。現役所庁舎と同等に併用できる施設が求められる。それが「これから作る公共施設の防災拠点化」である。
     津南町は、小学校の再編統合を『中央部の津南小、長野県境の上郷小、赤沢台地の芦ヶ崎小の3校統合』により新たな町立小学校を現津南小学校に誕生させる方針だ。保育園も同様。ならば全面改築を含む津南町唯一の小学校・保育園の改築場所、公共施設としての防災拠点化を考えるべきだ。保育園・小学校とも理念は吸収統合ではないはずで、新設の公共施設である。
     人口減少が進む津南町。今後新たな公共施設建設は少ないだろう。これは、十日町市の先行モデルにもなる。

    2024年9月7日号

  • インターバル速足のすすめ

    健康寿命とは

    村山 朗 (会社員)

     日本人男性の平均寿命は81・41歳、健康寿命は72・68歳だそうです。後期高齢者間近の筆者にとっては毎日の健康が関心事ですし、やはり気になるのは健康寿命です。厚生労働省の定義では、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とのこと。今のところ健康診断でいくつかイエローカードを出されてはいますが、日常生活が制限されることなく生活できています。 
     健康寿命を延ばすには、「①バランスの良い食事を意識する②運動習慣を持つ③検診で生活習慣病の早期発見・重症化予防に努める④喫煙をやめる⑤適正な体重を保つ⑥ストレスの少ない生活を目指す⑦社会的なつながりを構築する」だそうです。
     筆者はタバコを吸わないのでその点だけは問題ないですが、どれもこれも簡単にできそうにもなく、それだけでストレスです。特に難しいのが、運動習慣を持つこと。簡単そうに見えるウォーキングは、1日1万歩やらないと効果はないとこれまで言われており、そう思うだけで一歩が踏み出せません。ジムはお金がかかるし。
     そんな中で出会ったのが「ウォーキングの科学」という本です。信州大学元教授の著者・能勢博氏は前書きで「ウォーキングは健康に良い、ということは誰でも知っているが、どれぐらいの速度で、どれぐらいの頻度で、どれくらいの時間行えば、どんな効果が得られるのか、という疑問について明確に答えられる方は少ない」と述べています。詳しくは本書に譲るとして、「普通」に歩く1万歩はほとんど効果が得られない、という衝撃の事実も証拠に基づいて語られています。
     「インターバル速歩」とはごく大雑把に言うと3分間速足で歩き、そのあとゆっくりと3分間歩く、これを繰り返すこと。1日30分でいいのです。毎日でなくても構いません。著書の研究によれば「インターバル速歩」を行えば短時間で、体の負担も少なく、さほどお金もかけずに筋力の向上(体力の向上)が可能だそうです。
     著者は松本市と提携して「インターバル速歩」を実施群と非実施群に分け、1年以上の実証実験を行い、「インターバル速歩」が生活習慣病の防止に役立つことを証明しています。
     秋田県の由利本荘市では平成27年から「歩いてのばそう!! 健康寿命」を合言葉に「インターバル速歩」を導入し、その実施状況は由利本荘市のホームページで詳しく紹介されています。何でも三日坊主になりがちな筆者ですが、続けられるような気がします。

    2024年9月14日号

  • 中子氏子中

    照井 麻美(津南星空写真部)

     先月、津南町中子集落を見学させていただきました。
     最近は「中子の桜」としても有名な集落ですが、この集落の神社で珍しいものをご案内いただいたのでご紹介いたします。
     まず目に止まったのは神社の名前です。
    各集落に一つずつ神社があるのはこの地域では珍しくないですが、「仲郷神社」と書かれており、現在の中子ではなく「仲郷」と表記されていました。
     すぐお隣は「上郷」ですし、昔の人はどこかの郷と郷の間というような意味で仲郷となっていたのではないか、などと考えながら参拝いたしました。
     また、帰り際に鳥居の裏を見ると、鳥居を奉納された方のお名前が彫られているのですが、上から読んでも下から読んでも「中子氏子中」なのです。
     集落の方々が奉納しているので当たり前と言えば当たり前なのですが、普通に神社を参拝しているだけでは見落としがちなものだと感じました。
     何気なくある神社も改めて見てみると集落の歴史や新たな発見があるので、これからも少しずつ散策していきたいと思います。

    2024年9月14日号

  • 再編統合保育園は、全面移転改築を

     津南町の桑原悠町長は、いまある保育園5施設を統合し、5年後に1園化し町立保育園を一つにする方針を示した。構想は、現ひまわり保育園を増築する考えだが、移転し全面改築を考えてほしい。 その地は自然環境が良く、広大な町有地である。「なじょもん」のエリアだ。旧中津小を改修し、町埋蔵文化財センターができ、現なじょもん機能の多くがセンターに移る。あの一帯の町有地は、子どもたちの最高の遊び場、保育の場になる。
     「財政的に無理」、そう言葉が返ってくるだろう。だが、考えてほしいのは「目先の整備」ではなく30年後、50年後だ。先週号の本欄で「公共施設は防災拠点」と指摘した。あの地はドクターヘリのランデブーポイント、救急搬送の緊急離発着に活用されている。河岸段丘地の突端にあり、地形的にも視野が良く、広大な町有地の活用がそのままできる優位性は大きい。
     さらに芽出し論議が出ている町立津南病院の全面改築との関係性も浮上する。現場所での病院改築は、周辺の用地事情から相当なる困難性が伴うだろう。ならば、統合保育園を全面移転改築し、その跡地を町立病院改築に充てる方策は、ある意味で合理性がある。
     保育園改築は人口政策にも直結する。充分な用地、自然環境も良い、防災拠点化も可能だ。さらに全面改築を総木造で作り上げれば、それだけで津南町の子育てシンボルになる。あの保育園に入れたい、必ずや親は思うだろう。そう思わせる保育園が津南町に出来れば、若い子育て世代は移住を考えるだろう。保育士もあの保育園で働きたいと町外、県外から応募があるだろう。トップは「夢を語る」、さらに「夢を実現する」ことが行政ではないか。
     条件は整っている。紆余曲折の歩みをしてきた津南町の保育園再編整備、ここは発想の転換による行政事業の集中と選択だろう。どうですか、悠さん。

    2024年9月14日号

  • 十日町道路実現、さらに一歩

    地元協議会「連携し一刻も早く」

    用地買収調印式

     魚沼基幹病院と妻有地域を結ぶ「命の道」で、関越高速道と北陸道の2つの高速道と直接繋がることで物流や観光など経済活性化効果が期待される高規格道「上越魚沼地域振興快速道」。このうち十日町市と関越道直通ルートとなる「十日町道路」は同市北鐙坂-八箇を繋ぐ延長10・8㌔。すでにセンターライン標識の設置が行われ、3日には水沢地区伊達の用地1万5千平方㍍の用地買収がまとまったことを受け、地元の水沢地区インター推進協議会(川田一幸会長)と国交省・長岡国道事務所(岡村秀誠所長)が用地買収調印式を伊達公会堂で行った。「今回が第一弾。今後も連携し早い供用開始をめざしたい」としている。(地図は国交省資料を元に作成)

    2024年9月7日号

  • 世界の人と通じ合う、そのための英語

    春日 彩音さん(2004年生まれ)

     「こんなことって、あるんですね」。スマホのSNSでその存在を知った外国の方が、なんと、自分がアルバイトしているコンビニ店に現れた。あの人だ、とすぐに話しかけ、とんとんと事が運び、いまそのアーティスト、ウォルフガング・ギルさん主宰の『ホンク・ツイート美術館』で働いている春日彩音さん(19)。高校時代に習得した語学力で、さらなる世界を見ている。

     八箇峠を超えて通った六日町高時代、外国を肌で感じる場面に出会った。
     南魚沼市などが支援する一般社団法人愛・南魚沼みらい塾の『youkeyプロジェクト』1期生に応募。「なにか国際支援の活動をしたいと、ずっと思っていました」。
     この思いは十日町中時代に芽が出た。全中駅伝8位入賞で大きな自信を得た。その自信で次のステップをめざした。十日町市が中学生対象に計画したカナダ留学に応募。内定していながら、コロナ禍の直撃を受け事業は中止。「悔しかったですね。陸上以外で初めて本気で頑張ろうと思ったことだったので、残念で、残念で。でも、外国への思いがより増しました」。

     参加したyoukeyプロジェクトの郊外探求プログラムに入った。活動先の大和・国際大学で南アフリカ出身の女性と出会う、インタビューした。女性は『貧富の差はあるけど、現地の人は彼らなりに幸せに暮らしている。貧しい国と思わず、南アフリカの良い所を伝えて欲しい』と母国への思いを話した。
     自分の先入観を思い直した。「支援というと物資や金銭を送ることだと思っていました。何が支援なのか、その意味が彼女の言葉から分かりました」。
     すぐに動いた。六日町高で独自のアンケートを取った。『アフリカに対するイメージは?』。やはり、だった。「多くがアフリカは貧困、というイメージが多かったです」。南アフリカを通じてアフリカへの理解を深めようと、国際大学やその女性の協力を得て『南アフリカの料理レシピ集』を独自に作成し、国際大学学園祭で配った。当然、会話は英語。「多くの外国の方々と関わって、英語力は格段にアップしたと思います。とにかく英単語を頭に叩き込みましたね」。
     国際大学での活動がさらに視野を広げ、国内の高校生や大学生が参加するサマーキャンプにも参加し、目の前の世界がさらに広がった。

     そして、大学受験。「友だちからは推薦で行けるのにって言われたけど、どうしても行きたい大学があって。その大学に絞り一般受験したんですが…」。難関大を受験したが…。「いま思うと、受験中、自分を追い込みすぎました。この春からバイトを始めています。でも、人と話すのって、本当に楽しくていいなぁと感じています」。
     そんな時にコンビニで出会ったのがギルさん。「美術館をつくる手伝いをしないかって言われ、すぐに行きました。大工さんに通訳をしたり一緒に家具を作ったり、まさか自分も関わるとは思いませんでしたが嬉しかったです。家にいる時間より、ここに居る時間の方が長いです。私のセカンドホームですね」。
     ギルさんとの出会いで、自分の中での変化を感じている。「ずっと外国っていいなって思っていましたが、ギルさんのコミュニティー作りへの思いや取り組みを間近で感じて、とっても素敵だなって。日本も良いなって思い始めています」。
     さらに、「でも、大学
    には行きたいです。視野を広げ人と人の繋がりを増やし、自分を創っていけるようになりたいです」。コミュニケーションの大切さ、人と話すことが自分のメンタルケアになる、そう実感する春日さん。「そうですね、英語は世界の人と思いを通じ合う大切な手段です、私にとっては」。

    ▼バトンタッチします
     福原久八郎さん

    2024年9月7日号

  • 朝起きたら先ずうがい、口腔清掃を

    抗菌作用の強いティートゥリーのアロマオイルで

    Vol 105

     さて前回、慢性疾患の予防や改善に口腔ケア、特に歯周病予防が大きく関係しているというお話を少ししました。今回はその続きです。
     歯周病になると、まず歯肉から出血したり、歯肉が腫れたり、膿が出て口臭がするなどが起こります。さらに歯周病が進むと、歯肉が下がり歯が長く伸びたようになります。歯肉が下がると歯を支える土台の骨が溶け、歯と歯肉の間に歯周ポケットと呼ばれる溝ができ、食べ物が詰まりやすくなり、溝が深いために歯磨きなどできれいにしにくくなります。
     出血した部分には細菌が集まり、血管内に細菌が侵入しやすくなります。細菌が侵入すると血管内に炎症が起き、炎症の修復のためにLDLコレステロールが血中で増加します。結果として、動脈硬化や心筋梗塞につながります。
     朝、起きがけに水でも牛乳でも飲むと、口の中に増えた悪い菌を飲み込んでしまいます。腸の中から歯周病菌が見つかる人もいるそうです。もしも、腸の中に歯周病菌が入ってしまうことで腸内環境が悪くなってしまうのなら、さらに健康状態の悪化を引き起こしてしまうでしょう。
     腸の環境が脳の状態に大きく関係することは以前お話しました。歯周病菌の中には免疫を抑制する働きのある物質を放出する菌もいると言われており、そのため、起きがけにうがいをするだけで、口の中に増えた菌は結構出せるということですし、風邪予防にもなるとのことです。是非お試しを。
     たかき医院でおすすめしているメディカルアロマは、アロマオイルの薬効を利用した健康維持対策です。アロマオイルは皮膚に塗布した時に皮下の血管内にオイルの成分が入り、薬効が血液に乗って全身に回っていくことで効力を発揮します。 特に粘膜からの吸収が良いので、アロマオイル入りの歯磨き粉での歯磨きやマウスウォッシュは、口の中だけでなく全身の健康を保つために大いに威力を発揮します。アロマオイル入りの歯磨き粉を2年間継続して使ったことで、医師から明らかに脳の画像検査の結果が良くなって若返りましたね、と言われた人もいるとか。
     第二次世界大戦の折、薬が不足したメディカルアロマの発祥の地フランスでは、消毒薬の代わりに抗菌作用の強いティートゥリーのアロマオイルを軍医さんが常備していたという話もあるように、ティートゥリーのアロマオイルで毎日うがいをしているという、とあるアロマの会社のスタッフの方たちは、今までだれ一人として新型コロナに感染していない、というくらい良い品質のアロマオイルは効果があります。 
     ティートゥリーのアロマオイルでのうがいは歯茎の腫れや口内炎にもおすすめです。お試ししたい方は、たかき医院で販売していますのでお声掛けください。
     また、歯周病は、歯周病菌だけが原因でなく、喫煙、薬物、ストレスのほか、ホルモンバランスの変化、免疫反応などの基礎疾患も原因になります。
     ということで次回は、女性ホルモンと歯周病についての関係をクローズアップします。次回まで待てないという方は是非お気軽にご相談を。(たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年9月7日号

  • 老舗ホテルの一部を学生寮に

    大学とまちづくり

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     前回に続き、新潟県三条市に設立された三条市立大学に関連して、「大学とまちづくり」について、書いてみたいと思います。
     三条市立大学は「ものづくり」に特化した大学で、入学の倍率が5倍を超える人気となっています。自治体や企業からの支援がいくつかあり、学生が三条市の旧市街地に住む場合は、自治体からの家賃援助があります。
     私は燕三条に出張で行く際、その三条市の旧市街地にあるホテルを定宿としているのですが、周りは高齢化が進んでいるのでしょう、年々お店の閉店や空き地が増え、その流れはまだ変わっていないかもしれないのですが、今年くらいから、明らかに道を歩いたり自転車に乗ったりしている若者の姿が目立って増えてきました。それによって、まちに少しずつ活気が出てきたように感じます。
    学生たちは、町内会の消防団やお祭りなどのイベントにも参加しているとのことでした。そのような経験がしたくてもできない都会出身の若者たちなど、積極的に経験をしてみたいと希望する若者も一定割合いると想像します。
     まちの方々に聞くと、最近の若者は挨拶もして礼儀正しいと、うれしそうに語っていらっしゃったのが印象的でした。
     私の定宿としているホテルは老舗で、燕三条の歴史をずっと見てきたホテルです。燕三条の全盛期は多くのバイヤーで溢れ、それはすごい活気だったと思います。それに比べると、訪問者は減り、最近のコロナも経営の打撃となったはずです。
     そのような状況を乗り越えようと、市内に大学ができ、先に紹介した学生への支援が始まったこともあり、ホテルの一部を学生寮にするという判断をされました。
     今までのホテルの部屋をなるべくそのまま活かし、無理なリフォームをせず、必要な設備は自治体の既存のチャレンジ補助金などを活用しコインランドリーを増強するなどして、工夫をされています。平日の朝と晩の美味しい食事も提供されます。
     そして、目には見えない点ですが、ホテルの従業員の方が、学生との日常のやりとりのなかで、旧市街地での生活に馴染めるようにフォローをしている様子が、ところどころに窺えました。
     ホテルの建物の活用に加え、ホテルのもつホスピタリティが、そのようなところに、さりげなく発揮されていることは素晴らしいと思いました。 そして、「大学とまちづくり」において、まちの拠点となり、まちと学生をつなぐ重要な役割を果たされていると感じました。

    2024年9月7日号

  • アゲハのレストラン

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     昆虫、特にチョウやハチがよく集まる花がある。畑の雑草でもっとも手ごわい相手であるヤプガラシ、抜いても抜いてもどこからか芽が出てきては他の植物にからみつく厄介者。
     そんな厄介者でもチョウやハチ類にとっては魅力的な花らしい。一度アゲハチョウに聞いてみたいほどだが、本当によくこの花に来る。スズメバチの仲間もよく集まってくるのでハチ類にはよほど好評の花なんだろうな−って。
     我々がこの花の匂いをかぐとかなりキつめの匂いがするが、昆虫にとってはとても抜群に美味しい匂いだと思われる。
     今年は南天とユキツバキにからむヤブガラシをそのままにしておいて観察してみたが、からみつかれる方はたいへんだろうなと思う。
     もちろんチョウばかりではなくハナカミキリの仲間も来ているしコガネムシの仲間も来る。
     みんなお揃いのレストランになっている。家の周りにそんな場所が一ヵ所あってもバチは当たらないだろう…。

    2024年9月7日号

  • 雪国メダカ育成、「楽しんでいます」

    『masushin.enjoy medaka』丸山剛三さん

    自宅繁殖場で80種余、イベント出店も

     「メダカ好きを増やしたい」。そんな思いでメ
    ダカ屋『masushin.en
    joy medaka』(マスシン・エンジョイ・メダカ)の2年前に看板を掲げた丸山剛三さん(48、十日町市田中)。自宅敷地の繁殖場で今は80種余の品種を育て、希望者に販売したり、イベント出店を行っている。「メダカ愛好家は全国にいます。来てくれた方や、イベントで会う方と話す機会が増え、趣味を通じ人との繋がりが広がっています。地元の方にもメダカを育てる楽しさを伝えたいですね」。きものまつりや生誕地まつりなど地元イベントに店を出し、メダカ愛好家を少しずつ増やしている。

    2024年9月7日号

  • 「1保育園化・1小学校化」と「公共施設は防災拠点」

     これから作る公共施設は「全て防災拠点」、過言ではないだろう。学校や保育園の増改築、地域公民館や集会施設の更新、さらに役所の改修など、その全てが「防災・減災」を重点的に取り入れた公共施設が求められる。それは時代の要請と共に、まさに「住民の生命を守る拠点」だからだ。
     9月議会が十日町市、津南町、栄村で始まっている。関心の一つは津南町が方向性を示した小学校再編統合による町立小学校1校化、さらに保育園統合による1園化。その校舎や園舎の増改築における防災拠点化の取り組みだ。
     少子化による複式学級など、小学校の教育環境の改善に伴う学びの場・校舎の改築は、その目的の教育環境整備と共に公共施設のあり方も行政課題として併存する。それが「防災拠点化」。施設の改増築では当然、防災備品などの充実に取り組むだろうが、ことは備品の充実程度ではどうしようもない。 
     その公共施設の必然性、その場所の有効性、その施設が持つ機能と防災効果、さらに可動性など検討が必要だ。それは地震や風水害など災害発生時、どう機動力が発揮でき、住民の拠り所になれるのかなど多角的な視点、広い機能効果を考えた防災拠点が求められる。現役所庁舎と同等に併用できる施設が求められる。それが「これから作る公共施設の防災拠点化」である。
     津南町は、小学校の再編統合を『中央部の津南小、長野県境の上郷小、赤沢台地の芦ヶ崎小の3校統合』により新たな町立小学校を現津南小学校に誕生させる方針だ。保育園も同様。ならば全面改築を含む津南町唯一の小学校・保育園の改築場所、公共施設としての防災拠点化を考えるべきだ。保育園・小学校とも理念は吸収統合ではないはずで、新設の公共施設である。
     人口減少が進む津南町。今後新たな公共施設建設は少ないだろう。これは、十日町市の先行モデルにもなる。

    2024年9月7日号