「後悔している」5つのこと

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自分がいつ死ぬかは自分では分からない

Vol 86

今週、下条中学校の全校生徒さんの前で性のお話講演会をしてきました。テーマは「私たちは生きるために生まれてきた」でした。伺う際にお世話になった下条中学校の関係の皆様、本当にありがとうございました。今日は下条中学校の皆さんの前で、最後にしたお話を少し書きたいと思います。
 何かでたまたま見かけたものなのですが、がんで亡くなる患者さんに多く接する機会のあった医療関係者の方のお話でした。がんで亡くなる患者さんが話してくださった「後悔していること」、そのお話の内容は大きく分けると5つに分けられる、というものでした。 それは、①自分に正直な人生を生きればよかった②そんなに働かなくても良かった③もっと自分の感情を表に出すべきだった④友達と連絡を取り続ければよかった⑤もっと自分を幸せにしてあげるべきだった、の5つです。
 私も十日町に戻ってくる前に埼玉で働いていた時は、婦人科のがんの患者さんの治療に携わっていました。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、卵管がん、さまざまながんの患者さんたちです。お孫さんのいる年齢の人、小さい子どもさんのいる40代くらいの人、自分とたいして年齢の違わない若い30代の人、9歳の女の子などなど。
 30代の子宮体がんの方は、たかき医院が以前「笑ってこらえて」というテレビに出させてもらったときに「再発して治療のために入院しています。先生がテレビに出ていたのを見ました。顔が見られて嬉しかった」とメールを下さったのが最後のやり取りでした。今でもメールは消せません。 
 9歳の女の子は卵巣がんで入院していて、抗がん剤の点滴をする日になると、「栄美子先生の点滴が一番痛くないからお願いします」と言われてすごくプレッシャーだったのを思い出します。今となっては良き思い出。今はその子は成人して、元気にしていると聞いています。
 亡くなっていってしまった患者さんたちとお話をする時間は多くありましたが、その話の中にこの5つの内容があっただろうかと、今振り返って思い出そうとしても思い出せません。患者さんの心の内にはあったのかもしれません。私が聞きだせなかっただけかもしれません。
 皆さんは5つのうちのどの内容が一番心に響きましたか? この内容は決してがんで亡くなるという特定の状況の時に思い浮かぶものではなく、理由はどうあれ、自分の命が今尽きると分かったときに、すべての人に思い浮かぶ可能性のあるものなのではないかなと感じています。
 自分がいつ死ぬかは自分では分からないもの。もしかしたら1時間後かもしれないし、明日かもしれないし、10年後かもしれない。また、どんな状況かも分かりません。
でも、どんな時に自分の人生の終わりが来ても、後悔が無いように生きていたいものです。
 ちなみに私は、⑤のもっと自分を幸せにしてあげるべきだった、が響きました。何をもって幸せと思うかはひとによると思うのですが、自分が毎日笑顔でいられる選択をしていくこと、を日々続けていくことが、幸せにつながるのではないかなと思っています。ぜひ、たまにこの5つを思い出してみてください。いかに生きるのかを探求したい方は、ぜひお気軽にお声掛けください。
 (たかき医院・仲栄美子医師)