春を感じてしまうほど暖かな日がある今年の冬。
この地域に住むとたくさん雪が降らないでと願う一方、必要以上に少ない積雪だとなにか物足りなさを感じてしまい、心のどこかで雪を期待している自分がいます。
写真は数年前に秋山郷で撮ったものです。
妻有地域ではつららというより、雪庇の方が多く見かけますが、屋根の融雪用に水を流している所や、川の水しぶきが飛ぶあたりに見かけることがあります。
幼い頃はゲレンデに遊びに行くと親に怒られながら、小さなつららをキャンディーのようになめていたことを思い出します。
ちなみに新潟県の上越や田上町ではつららのことを「かねっこり」という方言があるらしい。この地域でもそれ以外の呼び名があるのだろうか。
また、新潟県から東北にかけて「つらら女・かね」と呼ばれる妖怪の話があるそうで、多くは冬の夜に独身男の家に女が訪ねてきて、寒いだろうとお風呂を進めると女は一向に出てこず、心配になり様子を見に行くと女の姿は消え、湯船に氷のかけらが浮かんでいたという。
2024年2月3日号
鳥の仲間でもっとも早く巣作りをする種で早い親鳥は2月中に開始する。カワガラスは漢字だと「河烏」と書き、渓流の流れに潜水して獲物を狙うカラスと言うが、実際はカラスの仲間ではなくてカワガラス属と言うまったく違う種である。
確かに遠目で見ると真っ黒に見えるが実際は黒褐色、もちろん水中を歩く事もできると言う、鳥の仲間としては異色の存在。
餌は主に水生昆虫の幼生や小魚、魚卵などを食べている。
巣作りは、こちらではまだ冬の時期に始めるが、渓流の岩の隙間や砂防堰堤の穴などを使う。
秋山郷では砂防堰堤の垂直の壁に空いている穴を使用しているのを見た事があるが、砂防堰堤の垂直の壁ならばヘビなどの一番の天敵を十分に防ぐ事ができると思われる。
堰堤最初の頃は穴から水が出ていたと思うが、堰堤に土砂が溜まり穴がふさがれて水が出なくなれば絶好の営巣場所に早変わり…自然の要塞に巣を作り子育てするカワガラスの知恵…恐れ入りました。
2024年1月27日号
森を歩くのは楽しい。冬は観察するものは限られるが嬉しい出会いもある。積雪が少ないと切り株や落枝についたキノコが目につく。
お気に入りはカワラタケ(写真右)やチャウロコタケ(写真左)。革質のかたい傘を持ち、年中見ることができる。幾重にも重なって生える様子を瓦や鱗に見立てたものだ。
どちらも白色腐朽菌と呼ばれ、材を白く腐らせる役目を担っている。
このキノコたちに興味をひかれるのは傘の模様。傘は半円形や扇形で、同心円状に縞模様が入る。カワラタケの傘色は黒が多いが、茶、青、灰、黄などさまざまだ。チャウロコタケの傘は名前の通り茶系統である。双方とも個体によって縞模様に変化があるところが
面白い。
傘の模様は単なるおしゃれ…? それとも何か重要な意味が隠されているのだろうか。
2024年1月20日号
穏やかだった正月も過ぎ、久しぶりの雪がちらつく津南町・割野神社境内で、割野公民館雪上宝さがし大会が賑やかに行われました。雪の多い年は神社の鳥居の下をしゃがんでくぐり参拝することもありましたが、今年は雪が少なく、お宝と引き換えの木札を雪の中に埋めるのも大変です。
最初は直ぐに見つかり景品と交換しますが、2回目、3回目となるとなかなか見つかりません。最後の木札がなかなか出てこないのでじゃんけん大会で景品を渡して締めくくりました。
次の子供たちの行事は1月14日の鳥追いです。スゲボウシをかぶり午後4時に割野公民館を出発して集落を回り、かまくらの代わりに公民館でお菓子を食べたりゲームをしたりして過ごします。子供たちに本当のかまくらを体験させてやりたいですが、安全なかまくら作りの伝承も途絶えてきたようです。
2024年1月13日号
新年あけましておめでとうございます。
新年1本目の記事ということで、沖ノ原台地が太陽に照らされまっすぐな台地のシルエットが浮かび上がる一枚を選びました。
世界有数の豪雪地であるこの地域では、雪が積もり、晴れた冬の日は最高の景色が広がります。
この辺りで初日の出を見ることはなかなか難しいですが、太陽が山の奥から登り、沖ノ原台地に日が沈んでいくというまた違った味わいの朝を迎えることができるのは住んでいる者の特権と思っています。
移住5年目を迎え、改めてこの地の素晴らしさに触れ、津南町に住めていることに大変嬉しく思うと同時に移住して間もない頃、心細くなった時に一人散歩に出てこの景色を眺め励まされたことが思い出されます。
生活に慣れたとはいえ、まだまだ至らぬ点も多いですが、今では多くの方々に支えていただき、楽しく刺激的な毎日を送ることができています。
壮大な自然をすぐそばに感じるこの地域の暮らしを今年も多くの方に広めていきたいと思っております。
2024年も皆様にとって良い一年になることをお祈りしております。
2024年1月6日号
キノコは古くから利用されてきた食材である。栽培されることも多く、エノキ、シイタケ、マイタケなどは鍋物に欠かせない具材となっている。
「食」あれば「毒」あるのがキノコの世界。数ある毒キノコの中で絶対に食べたくないのが「ドクササコ」だ。名前からして怪しさがプンプン臭う。
摂取後の症状が特異だ。手足の末端が赤く腫れ、焼け火箸を押し付けたような激痛に襲われる(末端紅痛症)。恐ろしいのはその痛みが昼夜を問わず一か月ほども続くことである。痛みに耐えかね患部を冷水に浸けてみたがふやけてしまい指先の骨が露出したこともあったという。
食べてから発症するまでの潜伏期間が一週間ほどと遅い。そのためキノコが原因とはわからず風土病や祟りではと恐れられてきた。
一見食べられそうな姿が曲者。横から見るとラッパ形で、傘の中央が窪んでいたら要注意である。
2023年12月23日号
切明は釜落から47キロに及んだ工事用軌道の終着駅で、中津川第一発電所の魚野川と雑魚川の要の位置にあり、ここから沈砂池を通った発電用水は真っ暗な地下水路に吸い込まれて高野山の貯水池に向かいます。
写真には建設中の沈砂池と、対岸には宿舎や医者・巡査なども常駐した建物が写っています。
町外の東電OBが、そのまた先輩から聞いたという昔話ですが、豪雪になると車で町まで向かえない、まさに陸の孤島だった切明発電所で業務にあたっていた職員が急病になり、このままでは人命にかかわると、流量を減らした水路に患者を乗せたボートを浮かべ決死の救出を行ったということです。
映画「ホワイトアウト」さながらの豪雪地帯からの脱出劇ですが、入ったのは良いがいったい何処で地下水路を出たのか気になります。途中何ヵ所かある横坑のうち、考えられるのは前倉上の横坑から出たのか、高野山のダムまで流れ着き、横根方面から町に向かったのか不明ですが、当時の電力マンの苦労が偲ばれる逸話です。
さて、厳冬期の秋山郷の工事現場では、何処も陸の孤島のようになりますが、地下水路が人や資材の行きかう動脈のようになっていたのではないでしょうか。
2023年12月16日号
この地域のそばはつなぎに布海苔やヤマゴボウを使うことが特徴かと思います。
つなぎに布海苔を使うのは、さすが着物の産地!といったところですが、移住をしてきた私にとっては「ヤマゴボウ?どんなゴボウだろう?」と土の中に細く長く埋まった野菜のゴボウを想像していました。
私は自分の集落の収穫祭でそば打ちをするためヤマゴボウを入れることは知っていたのですが、実際どんな植物なのかは目にしたことがありませんでした。
この花がヤマゴボウと気が付いたのはつい先日で、この原稿を考える最中にへぎそばの歴史を調べてみると、たまたま秋に撮ったアザミみたいな花と同じ花を見つけた時でした。
別名オヤマボクチ(雄山火口)という植物で、葉の裏に白い毛が生えており、昔はこれを火種に使っていたことが名前の由来だそうです。
場所によって下処理の仕方が少し違うようですが、ヤマゴボウの葉を煮立たせて作った粘り気のあるつなぎを生地に混ぜ込み、そばや笹団子を作るそうです。
ぜひ、来年の収穫祭の際は自分で採ったヤマゴボウでそば打ちができたらいいなと思いました。
2023年12月9日号
この季節にいるキイロスズメバチ、もう巣から飛び出していて単独行動している。働き蜂はもう死滅しているのでおそらく受精卵を持った女王蜂。
働き蜂と比べても腹部がふっくらと大きくて一回り大きく見える。これから厳しい冬をで乗り越えて春になるとたった一匹で巣作りを始める事になるのだが。
こんな時期の蜂だからよほどの事がない限り刺さないと思う。女王蜂は卵をもっているので余計な事はしないはずだ。
これから軒下や、飛び出した古い巣や木の隙間などで越冬することになるが、数ヵ月も餌を取らないで過ごすのだから凄い生命力だと感心する。
なんとなく安心できる時期のスズメバチだからよく観察も可能だ。カメラを数センチまで近づけても威嚇はしないがこちらをじっと見ている。
もちろん雪国では他の蜂類もこの時期は受精卵持った女王蜂のみだからゆっくりと見れると思う。 ただ洗濯物の中にいたら要注意ですが…。
2023年12月2日号
晩秋のブナ林で、足元にオレンジ色の粒を見つけた。径3ミリほどだが鮮やかな色で人目を引く。細い柄が地中に伸びていることからキノコのようだ(写真左)。
「もしかして…」と、柄を切らないように慎重に地面を掘ると落葉の塊に辿りつく(写真右)。帰ってから落葉を取り除くと白い菌糸に覆われた正体不明の幼虫が現れた。冬虫夏草との久しぶりの出会いだった。
冬虫夏草とは虫の死骸から生えるキノコの仲間である。とりつくのはトンボやカメムシの成虫、セミやコガネムシの幼虫などいろいろだ。恐ろしいのは、生きている虫にとりつき殺した上で体内の養分で成長するところだ。
中国では冬虫夏草は漢方薬の原料のひとつ。コウモリガ類の幼虫についたものは高値で取引されている。
冬虫夏草はとにかく小さい。写真のものは地上部が6ミリほど、全体でも長さ4センチほどしかない。目立たないように暮らしているにも係わらず結実部(先端の胞子をつくるところ)の目立つオレンジ色にはどんな意味があるのだろう。
2023年11月25日号
春を感じてしまうほど暖かな日がある今年の冬。
この地域に住むとたくさん雪が降らないでと願う一方、必要以上に少ない積雪だとなにか物足りなさを感じてしまい、心のどこかで雪を期待している自分がいます。
写真は数年前に秋山郷で撮ったものです。
妻有地域ではつららというより、雪庇の方が多く見かけますが、屋根の融雪用に水を流している所や、川の水しぶきが飛ぶあたりに見かけることがあります。
幼い頃はゲレンデに遊びに行くと親に怒られながら、小さなつららをキャンディーのようになめていたことを思い出します。
ちなみに新潟県の上越や田上町ではつららのことを「かねっこり」という方言があるらしい。この地域でもそれ以外の呼び名があるのだろうか。
また、新潟県から東北にかけて「つらら女・かね」と呼ばれる妖怪の話があるそうで、多くは冬の夜に独身男の家に女が訪ねてきて、寒いだろうとお風呂を進めると女は一向に出てこず、心配になり様子を見に行くと女の姿は消え、湯船に氷のかけらが浮かんでいたという。
2024年2月3日号
鳥の仲間でもっとも早く巣作りをする種で早い親鳥は2月中に開始する。カワガラスは漢字だと「河烏」と書き、渓流の流れに潜水して獲物を狙うカラスと言うが、実際はカラスの仲間ではなくてカワガラス属と言うまったく違う種である。
確かに遠目で見ると真っ黒に見えるが実際は黒褐色、もちろん水中を歩く事もできると言う、鳥の仲間としては異色の存在。
餌は主に水生昆虫の幼生や小魚、魚卵などを食べている。
巣作りは、こちらではまだ冬の時期に始めるが、渓流の岩の隙間や砂防堰堤の穴などを使う。
秋山郷では砂防堰堤の垂直の壁に空いている穴を使用しているのを見た事があるが、砂防堰堤の垂直の壁ならばヘビなどの一番の天敵を十分に防ぐ事ができると思われる。
堰堤最初の頃は穴から水が出ていたと思うが、堰堤に土砂が溜まり穴がふさがれて水が出なくなれば絶好の営巣場所に早変わり…自然の要塞に巣を作り子育てするカワガラスの知恵…恐れ入りました。
2024年1月27日号
森を歩くのは楽しい。冬は観察するものは限られるが嬉しい出会いもある。積雪が少ないと切り株や落枝についたキノコが目につく。
お気に入りはカワラタケ(写真右)やチャウロコタケ(写真左)。革質のかたい傘を持ち、年中見ることができる。幾重にも重なって生える様子を瓦や鱗に見立てたものだ。
どちらも白色腐朽菌と呼ばれ、材を白く腐らせる役目を担っている。
このキノコたちに興味をひかれるのは傘の模様。傘は半円形や扇形で、同心円状に縞模様が入る。カワラタケの傘色は黒が多いが、茶、青、灰、黄などさまざまだ。チャウロコタケの傘は名前の通り茶系統である。双方とも個体によって縞模様に変化があるところが
面白い。
傘の模様は単なるおしゃれ…? それとも何か重要な意味が隠されているのだろうか。
2024年1月20日号
穏やかだった正月も過ぎ、久しぶりの雪がちらつく津南町・割野神社境内で、割野公民館雪上宝さがし大会が賑やかに行われました。雪の多い年は神社の鳥居の下をしゃがんでくぐり参拝することもありましたが、今年は雪が少なく、お宝と引き換えの木札を雪の中に埋めるのも大変です。
最初は直ぐに見つかり景品と交換しますが、2回目、3回目となるとなかなか見つかりません。最後の木札がなかなか出てこないのでじゃんけん大会で景品を渡して締めくくりました。
次の子供たちの行事は1月14日の鳥追いです。スゲボウシをかぶり午後4時に割野公民館を出発して集落を回り、かまくらの代わりに公民館でお菓子を食べたりゲームをしたりして過ごします。子供たちに本当のかまくらを体験させてやりたいですが、安全なかまくら作りの伝承も途絶えてきたようです。
2024年1月13日号
新年あけましておめでとうございます。
新年1本目の記事ということで、沖ノ原台地が太陽に照らされまっすぐな台地のシルエットが浮かび上がる一枚を選びました。
世界有数の豪雪地であるこの地域では、雪が積もり、晴れた冬の日は最高の景色が広がります。
この辺りで初日の出を見ることはなかなか難しいですが、太陽が山の奥から登り、沖ノ原台地に日が沈んでいくというまた違った味わいの朝を迎えることができるのは住んでいる者の特権と思っています。
移住5年目を迎え、改めてこの地の素晴らしさに触れ、津南町に住めていることに大変嬉しく思うと同時に移住して間もない頃、心細くなった時に一人散歩に出てこの景色を眺め励まされたことが思い出されます。
生活に慣れたとはいえ、まだまだ至らぬ点も多いですが、今では多くの方々に支えていただき、楽しく刺激的な毎日を送ることができています。
壮大な自然をすぐそばに感じるこの地域の暮らしを今年も多くの方に広めていきたいと思っております。
2024年も皆様にとって良い一年になることをお祈りしております。
2024年1月6日号
キノコは古くから利用されてきた食材である。栽培されることも多く、エノキ、シイタケ、マイタケなどは鍋物に欠かせない具材となっている。
「食」あれば「毒」あるのがキノコの世界。数ある毒キノコの中で絶対に食べたくないのが「ドクササコ」だ。名前からして怪しさがプンプン臭う。
摂取後の症状が特異だ。手足の末端が赤く腫れ、焼け火箸を押し付けたような激痛に襲われる(末端紅痛症)。恐ろしいのはその痛みが昼夜を問わず一か月ほども続くことである。痛みに耐えかね患部を冷水に浸けてみたがふやけてしまい指先の骨が露出したこともあったという。
食べてから発症するまでの潜伏期間が一週間ほどと遅い。そのためキノコが原因とはわからず風土病や祟りではと恐れられてきた。
一見食べられそうな姿が曲者。横から見るとラッパ形で、傘の中央が窪んでいたら要注意である。
2023年12月23日号
切明は釜落から47キロに及んだ工事用軌道の終着駅で、中津川第一発電所の魚野川と雑魚川の要の位置にあり、ここから沈砂池を通った発電用水は真っ暗な地下水路に吸い込まれて高野山の貯水池に向かいます。
写真には建設中の沈砂池と、対岸には宿舎や医者・巡査なども常駐した建物が写っています。
町外の東電OBが、そのまた先輩から聞いたという昔話ですが、豪雪になると車で町まで向かえない、まさに陸の孤島だった切明発電所で業務にあたっていた職員が急病になり、このままでは人命にかかわると、流量を減らした水路に患者を乗せたボートを浮かべ決死の救出を行ったということです。
映画「ホワイトアウト」さながらの豪雪地帯からの脱出劇ですが、入ったのは良いがいったい何処で地下水路を出たのか気になります。途中何ヵ所かある横坑のうち、考えられるのは前倉上の横坑から出たのか、高野山のダムまで流れ着き、横根方面から町に向かったのか不明ですが、当時の電力マンの苦労が偲ばれる逸話です。
さて、厳冬期の秋山郷の工事現場では、何処も陸の孤島のようになりますが、地下水路が人や資材の行きかう動脈のようになっていたのではないでしょうか。
2023年12月16日号
この地域のそばはつなぎに布海苔やヤマゴボウを使うことが特徴かと思います。
つなぎに布海苔を使うのは、さすが着物の産地!といったところですが、移住をしてきた私にとっては「ヤマゴボウ?どんなゴボウだろう?」と土の中に細く長く埋まった野菜のゴボウを想像していました。
私は自分の集落の収穫祭でそば打ちをするためヤマゴボウを入れることは知っていたのですが、実際どんな植物なのかは目にしたことがありませんでした。
この花がヤマゴボウと気が付いたのはつい先日で、この原稿を考える最中にへぎそばの歴史を調べてみると、たまたま秋に撮ったアザミみたいな花と同じ花を見つけた時でした。
別名オヤマボクチ(雄山火口)という植物で、葉の裏に白い毛が生えており、昔はこれを火種に使っていたことが名前の由来だそうです。
場所によって下処理の仕方が少し違うようですが、ヤマゴボウの葉を煮立たせて作った粘り気のあるつなぎを生地に混ぜ込み、そばや笹団子を作るそうです。
ぜひ、来年の収穫祭の際は自分で採ったヤマゴボウでそば打ちができたらいいなと思いました。
2023年12月9日号
この季節にいるキイロスズメバチ、もう巣から飛び出していて単独行動している。働き蜂はもう死滅しているのでおそらく受精卵を持った女王蜂。
働き蜂と比べても腹部がふっくらと大きくて一回り大きく見える。これから厳しい冬をで乗り越えて春になるとたった一匹で巣作りを始める事になるのだが。
こんな時期の蜂だからよほどの事がない限り刺さないと思う。女王蜂は卵をもっているので余計な事はしないはずだ。
これから軒下や、飛び出した古い巣や木の隙間などで越冬することになるが、数ヵ月も餌を取らないで過ごすのだから凄い生命力だと感心する。
なんとなく安心できる時期のスズメバチだからよく観察も可能だ。カメラを数センチまで近づけても威嚇はしないがこちらをじっと見ている。
もちろん雪国では他の蜂類もこの時期は受精卵持った女王蜂のみだからゆっくりと見れると思う。 ただ洗濯物の中にいたら要注意ですが…。
2023年12月2日号
晩秋のブナ林で、足元にオレンジ色の粒を見つけた。径3ミリほどだが鮮やかな色で人目を引く。細い柄が地中に伸びていることからキノコのようだ(写真左)。
「もしかして…」と、柄を切らないように慎重に地面を掘ると落葉の塊に辿りつく(写真右)。帰ってから落葉を取り除くと白い菌糸に覆われた正体不明の幼虫が現れた。冬虫夏草との久しぶりの出会いだった。
冬虫夏草とは虫の死骸から生えるキノコの仲間である。とりつくのはトンボやカメムシの成虫、セミやコガネムシの幼虫などいろいろだ。恐ろしいのは、生きている虫にとりつき殺した上で体内の養分で成長するところだ。
中国では冬虫夏草は漢方薬の原料のひとつ。コウモリガ類の幼虫についたものは高値で取引されている。
冬虫夏草はとにかく小さい。写真のものは地上部が6ミリほど、全体でも長さ4センチほどしかない。目立たないように暮らしているにも係わらず結実部(先端の胞子をつくるところ)の目立つオレンジ色にはどんな意味があるのだろう。
2023年11月25日号