Category

オピニオン一覧

  • 15万人の県民の声を生かしてほしい

    再稼働を問う県民投票署名

    齋木 文夫 (年金生活者)

     「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」による県民投票条例の制定を求める署名活動が終了し、署名数は15万128筆となった。

    2025年2月8日号

  • 私の宝物、『ゆすり葉』も『水曜会』も『十日町』も

    卒業宣言

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     自分も年を重ね、お付き合いをして下さる方々も、同様に年を重ねる。

    2025年2月1日号

  • 外国人観光客に焦点絞った誘客を

    円安、10年で2・7倍の訪日客

    村山 朗 (会社員)

     政府の発表によれば、昨年の訪日外国人観光客(以下訪日客)は史上最高の3686万人に達したということです。同じく政府統計では、2014年が1341万人ですので、10年間で約2・7倍に増えたことになります。コロナ期が3年ありますので、実質7年で大幅な伸びですね。
     東南アジア諸国に対する査証発給条件の緩和や格安航空会社の大幅就航増などが原因と言われていますが、なんといっても大きいのが円安の影響だと思います。2012年に1米ドル80円弱だったのが、2013年に100円弱、2015年になると120円台になり、コロナ後の円安でとうとう150円台後半になって現在に至っています。
     振り返ると、大きく円安に振れた年に訪日客の増加率がぐんと高まっています。米ドルと比較すると円の価値は12年前の2分の1です。欧米の物価が異常に高くなっている中で、日本の物価上昇は我々庶民には大いに痛手でも、彼らから見れば、かつての半分のコストで食事や買い物ができるわけですから、安い日本はとても魅力的に映るわけです。筆者にとって好物のラーメンが1杯千円時代になり、以前より足が遠のくようになりましたが、ラーメン好きの訪日客はこんなにうまいラーメンが故国の半値以下で食べられるなんて天国のようだ、と話します。 
     普段ニュースや動画サイトで目にする有名観光地は日本人の姿を見つけるのが困難なほど訪日客であふれています。冬のシーズンのスキー場も訪日客が多く、近くの苗場や妙高のスキー場でも知人の話ではスキー客のおおよそ9割が訪日客だとのことです。
     訪日客が有名観光地に殺到するオーバーツーリズムという言葉も耳慣れてしまいました。決して外国人嫌いというわけではありませんが、個人的にはとてもそんなところに行きたいとは思いません。
     消費額も国内のアパレル業界の市場規模に匹敵する8兆円に達したそうです。政府は訪日客を6千万人、15兆円の消費額を目標にしています。もしそうなったらどうなるんだろう、超オーバーツーリズム?
     昨年開催された大地の芸術祭、週末ごとに主な作品を巡りました。オーバーツーリズムとは全く無縁で、訪日客もちらほらでした。史上最高の訪日客はどこに行ったんでしょうか。開催年であっても、地元紙の報道を見ると経済効果はそれ程でもないようです。当地が大地の芸術祭の里を掲げている以上、オーバーツーリズムは論外としても、訪日客に焦点を絞った誘客を真剣に考えなくてはならないと思います。

    2025年1月25日号

  • 「自律社会」の次に来る「自然社会」とは

    2025年の予測

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     早いもので2025年(令和7年)が幕を開けてから半月がたちました。
     年初には様々な方々や専門家が、その年の予測をします。そのなかで、『S I N I C(サイニック、Seed-Innovation to Need-Impetus Cyclic Evolution)理論が描く未来』が、注目を集めています。
     これは、京都に本社がある血圧計で有名なオムロンの創業者が1970年に提唱したもので、そこでの予測が当たり続けていると言われています。S I N I C理論は約50年前に考えられたものですが、2025年に新しい社会が始まると予測しているのです。
     ちなみに、これまで、2005年から2024年の20年間は「最適化社会」、その前の1974年から2004年は「情報化社会」が来ると予測して的中させました。そして、2025年からの「自律社会」、さらに2033年からの「自然社会」を予測しています。
     「自律社会」では、世の中の価値観が、これまでの利便性や快適性、分業化といったものから大きく変化し、心の豊かさを求め、自立した個が相互に支えあう社会へ移行するとしています。そこでは、個の心とそのつながりにより、新しいものが創造される、としています。
     『いま大きな転換期を迎えている』という感覚を持っていらっしゃる方々は多いと思います。そのためか、最近、『グレート・リセット』などという言葉を耳にするようになりました。
     ただ、そのような大きな変化が、今年からすでに始まっているのかというと、まだ早いように思うのですが、大学で20歳前後の若者を見ていると、若者の行動というのはこれからの時代をすでに体現しているのでしょうか、利便性を重視するより、個の心を大切にしているように見受けられます。
     「自律社会」の次に来るとされている「自然社会」は、一段高いレベルに発展を遂げた、ハイパー原始社会とのことですが、さすがにそこまで想像が追いつきません。とはいえ、それも8年後の2033年から始まると予測されており、もしそうだとしたら、これから何が起こるのだろう…と思ってしまいます。
     映画の中だけでの話だろうと思っていたパンデミックが実際に起き、それにより多くの人々の意識が変わったことを考えると、何が起きるかは分からないような気もします。
     そのようなことを思う2025年の始まりでした。

    2025年1月18日号

  • スマホと「落とし紙」、ご破算で変わりゆく世

    時代への慣れ方

    長谷川 好文 (秋山郷山房もっきりや)

     大雪の屋根掘りを栄村救助員の方に助けてもらって、脳梗塞後、自身の状態を東京の従兄弟達に伝え、今後、何時会えなくなるか分からないので別離の挨拶をしに出た。
     移動しながら見る、東京あたりの電車のほぼ90%の乗客はスマホを手にして動画を見ていたようだ。なかには画面を両指で叩きながらドアの閉まる間際に車両から降りる人もいた。度々東京には出なくなったせいもあるが、出る度に都会の人たちの性向が過激になっているように感じた。多分スマホを手にする時間が増え、その分、電子機械に馴染んでくるのだろう。
     しかし今では髪の白い老人も、綺麗に和服を着た奥様も、みんなスマホに視線を落としている。もっともパソコンを使い始めて10年以上経って、「こんなの分かるものか!」と匙を投げていた60歳だった私も、分からないなりに人差し指一本でキーボードを叩いている。
     もちろん、分かっているのではないが指を動かしながら、間違いながら年賀状もできるようになる。あれだけ嫌がっていたのに、時間がそれに慣れさせ、受け入れざるを得なくさせたのだ。今では分からないまま新聞を拡げるように付き合っている。

     秋山郷でトイレ用の落とし紙などない頃の話だから70年以上前になるのだろうが、新聞も届かない時はシダ類の山取りゼンマイを冬になる前に取って、玉にして冬の便所で使う落とし紙代わりにしていたという。相当の量で子供の仕事だった。
     春に若芽は食用にするからか(カクマ)と呼んで区別していたのかも知らん? 春近くなるとそのカクマの玉も乾いて便が手に付いたりして嫌なものだったという。すると、そのカクマの玉は荒縄に代わっていき、僕の子供の頃になって便所には新聞紙が手のひらサイズに切られて、便器の脇に置かれてそれを揉んで使っていた。柔らかい落とし紙になったのは多分10歳くらいの頃だろう。
     スマホと落とし紙を一緒に論じては申し訳ないが、何だってそうですが、そこで暮らして慣習が嫌だと思いながら、慣れてしまうもののようです。思えば時代が進むと今までのものが、ご破算になって変わっていき、新しい道具や器械に慣れるしかないのでしょう。
     今では固定電話は消えつつあり、携帯電話も少なくなりパソコンだってそのうち無くなるだろうし、wi-fiも日本全国で普通に使えるようになる。列車の改札も切符も無くなるというのだし、むかし携帯のメールが打てず苛立ってぶち投げたこともあった私の思い出が、笑い話になるまでの時間は、時が進むにつれ、どんどん短くなるようだ。ただカクマの落とし紙が延々と続いて無くなるまでの時間と、今の携帯電話の消滅との対比に慣れるか、慣れずに超老人になるかなのだろう。
     これからもどんどん新しい物に囲まれて、今の若者も中年、老人になる事だし、そのうちに宇宙の住宅が売りに出される日もあるのだろう。でもそんなものに気を使わず放っているうちに、驚いたり呆れたり間違いながらも、慣れていくのだろう。
     ただ、今ようやく賀状がPCで打てるようになった者として、年賀状じまいなどしないで100枚を目標に師走の25日までにちゃんと投函して、郵便局がそれで利益を出した時代があったのだから、局が潰れるまで元旦の年賀状を届ける義務があると思う。届かない時は、局に文句を言い続けることにする。それが国の時代を越えた仕事の責任なのだから。

    2025年1月11日号

  • 昭和100年、節目の年の予感

    沈没寸前の泥船か

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     謹賀新年、心清々しく深呼吸。おめでたい新年第一原稿だが、大人の都合でこの原稿を書いているのはせわしい師走、世の中は何故か華やいだ気分になれないニュースばかりだ。ざっと縦読みすると…
     *復興の進まない苦労の一年が過ぎようとしている能登(住民のお正月を思うと心が痛む)
     *何一つ解明されず変わりない裏金問題と官房機密費の選挙流用(脱税・公金流用だよ)
     *増税+物価高(ガソリンどうにかして~トリガー条項どこ行った?)
     *円安…完全に行き詰まる日銀(出口なき金融政策)
     *コロナ・インフルエンザ・マイコプラズマのトリプル流行と薬不足。
     *年末に続いた強盗や殺傷事件
     *増え続ける子ども食堂
     *三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗事件(銀行の信頼の底が抜けたなあと思った。ご先祖様は江戸時代から続く信用で成り立つ鴻池両替商なのに)
     *島根県では農家が食料安全保障と持続可能な農業を訴えてトラクターデモ。一方、国会を見てみると「国民の皆さま方は輸入した物が食べたいんです」って農水大臣が答弁していて目が点(自給率上げようとしている農家さんに大臣席に座って欲しい)
     *手のひら返しのエネルギー基本計画。原子力を「依存度を低減する」としてきた素案が、「最大限活用していく」方針に変わってしまい、すっかり原発回帰(何億円も企業献金もらっただろうなあ…)
     *総理大臣は衆議院のマイナ保険証の質疑で「当選したからといって私の掲げた公約通りやりません」と言う有り様…いやはや政治家もお役人も検察も裁判官も医療も銀行も報道も、日本中が私利私欲で法治と倫理の底が抜けた国になってしまったなあ…

     世界に目を向けるとトランプ氏の再登場するアメリカ、アサド政権終焉後のシリアやウクライナ情勢、韓国や台湾など一斉に変わり目を感じる。 経済はドル基軸からBRICSの拡大で変わるし、エネルギーやIT、医療の技術も主導国が移り、いつまでも利権を奪い合っている日本は追米従属の立ち位置のまま後進国になっていくのか。国民生活はギリギリ、沈没寸前の泥船に乗っている気分だ。 
     おっと、ボヤキばかりじゃ暗くなる。新年くらい宝船に乗らないと…と言うわけで冬至の日、冬至点の時刻に一足お先に新年の願い事をした。
     どうか皆様が明るく穏やかに健やかに笑って暮らせますように。そう言えば新年はちょうど昭和100年、節目のようで大きく世の中が変わる気がする。昭和生まれの私も、ボケてはいられないな…。

    2025年1月4日号

  • 原発再稼働について丁寧な説明を

    県民投票で決めよう

    齋木 文夫 (年金生活者)

     17日、経済産業省は「エネルギー基本計画」改定案を公表した。東電福島第一原発事故以降、明記してきた「原発依存度を低減する」という文言を削除し、原発建て替えの要件も緩和する。

    2024年12月21日号

  • 中村哲医師と日本被団協のノーベル平和賞

    ざわつく世界の中で

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     12月4日は中村哲医師の命日、何者かに銃撃されて崇高な命が失われた。アフガン難民キャンプで巡回医療を開始し、91年から、山岳地域に診療所を相次いで開いた。その活動を支援する人たちもどんどん増えた。次に続く医師たちも増えた。

    2024年12月14日号

  • 百人の市民、JR東日本交響楽団に拍手

    「よろこびの歌」に感動

    村山 朗 (会社員)

     十日町の音楽文化は素晴らしい! 筆者は音楽好きではありますが、普段クラシック音楽は聞かないし、むしろクラシック嫌いです。そんな筆者でも知っている超有名曲、ベートーベンの交響曲第九番「合唱付き」のコンサートが、十日町市文化協会設立30周年記念ということで開かれました。
     それも市民から百人の歌手を募って合唱するというではありませんか。初めて募集の話を聞いたときは、そんな人数が集まるのかと野次馬根性丸出しでしたが、杞憂に終わりました。女性に比べ男性が少ないものの百人以上の合唱団が見事に勢揃い。独唱の後の合唱が始まった瞬間、百人を超える合唱の音圧が二階席にいた筆者の体にドーンと届き、思わず鳥肌が立ちました。
     半年以上の練習をやり通した合唱団員と素人集団をまとめ上げて本番に臨んだ指導者の苦労が喜びに代わり、聴衆と一体になった瞬間でした。
     もう一つ、ステージにどうやって百人の合唱団とオーケストラを乗せるのか、これも興味津々でしたが、花道も使って打楽器を配し、ステージの前面に張り出しをつけ、見事に合唱団とオーケストラが一体化しておりました。
     ところで、日本人なら多分だれでも歌える「よろこびの歌」~晴れたるあおぞら ただよう雲よ~の部分は全曲のうちのごく一部です。合唱だけが話題になりがちですが、全曲を通すと70分以上の大曲なんですね。はたして居眠りをせずに全曲聴き通せるのか、オーケストラ演奏の部分はどんな曲なのか。全曲通しては未聴だったため、予習のためCDを購入し、毎朝のように家族の迷惑も顧みずこの曲を流すようにしました。
     まったく興味のない音楽でも聞く毎に親しみを覚え、聴き通すことも楽しみに変わるんですね。まさに名曲というべきでしょうか。こんなことを書くとクラシックファンには顰蹙を買うこと必至ですが、合唱部以外もとても素晴らしい。
     さて、演奏したJR東日本交響楽団は、なんと発足30年を超えるアマチュアのオーケストラ。JR東日本の社員有志が仕事終了後に集まって定期的に練習を行っているそうです。オーケストラの演奏の良し悪しもよくわからない筆者ですが、プロの指揮者がまとめ上げた演奏は合唱に劣らず本当に聴きごたえがありました。
     この素晴らしいコンサートを企画実行した主催者や裏方の皆さん、ホールのスタッフの仕事にも大きな拍手を送りたいと思います。5年後の35周年の演奏会も大いに期待しております。

    2024年12月7日号

  • 選挙イヤーとトランプ次期大統領

    時代の転換点か

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     今年は、世界中で多くの選挙が行われた注目の年で、米国、ロシア、台湾、韓国、インド、インドネシア、メキシコ、EUなどで、選挙が実施された選挙イヤーでした。
    今年の初めごろは、日本では選挙の予定がなく、安定した政権が続くと余裕を感じていましたが、急転直下、10月に解散による衆議院選挙が行われ、結果は与党が負け、政権が一気に不安定化してしまいました。
     そこに、アメリカ・ファーストを掲げるトランプ氏が米国の大統領選挙に勝利して復活。うまく対峙するため、日本の首相には、今まで以上のリーダーシップが求められています。
     トランプ次期大統領の今後の政策を知るため、選挙中に行われた演説を、フルで聞きなおしてみました。
     演説で、最初に最も時間をかけて話がなされたのは、不法移民の問題でした。メキシコ国境からの不法移民により多くの国民が職を奪われ、侵略という言葉まで出るほど、大きな問題として捉えられていました。来年1月20日の就任1日目に、国境の壁の建設を強化すると発言しています。
     次に演説で力が入っていたのは、物価高に対する政策でした。具体的な対策について述べられており、物価高の主な原因は、太陽光などの自然エネルギーや電気自動車の利用にコストがかかりすぎていることとし、それならば米国の石油産業を復活させることで、コストを下げるとしています。
     これらの移民と物価高の問題は、日本でも問題になり始めており、半歩あるいは一歩先をいく米国で、思い切った対策を打ち出すとされるトランプ次期大統領の動きや、それによりもたらされる成果を、十分に参考としていくことが重要と思います。
     さらに気になるのが、いま米国にとっての最大の貿易赤字国である中国に対する強硬姿勢が、どのくらいになるかということです。今後、経済面と安全保障面の両面において、世界や東アジアでの緊張感が増すことになるかもしれません。
     また、国内産業を守るため、トランプ次期大統領は、国外からの輸入品に今までより高い関税を、どの国に対しても課すのではないかとされています。日本の輸出産業にどれくらいの影響がでるか…ディール(取引)外交を得意とするトランプ次期大統領ですので、ハードな交渉が考えられます。
     大きな時代の転換点を迎えているとされているいま、来年はそのことがより感じられ表面化してくる年になるかもしれないと思いました。

    2024年11月30日号

  • 15万人の県民の声を生かしてほしい

    再稼働を問う県民投票署名

    齋木 文夫 (年金生活者)

     「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」による県民投票条例の制定を求める署名活動が終了し、署名数は15万128筆となった。

    2025年2月8日号

  • 私の宝物、『ゆすり葉』も『水曜会』も『十日町』も

    卒業宣言

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     自分も年を重ね、お付き合いをして下さる方々も、同様に年を重ねる。

    2025年2月1日号

  • 外国人観光客に焦点絞った誘客を

    円安、10年で2・7倍の訪日客

    村山 朗 (会社員)

     政府の発表によれば、昨年の訪日外国人観光客(以下訪日客)は史上最高の3686万人に達したということです。同じく政府統計では、2014年が1341万人ですので、10年間で約2・7倍に増えたことになります。コロナ期が3年ありますので、実質7年で大幅な伸びですね。
     東南アジア諸国に対する査証発給条件の緩和や格安航空会社の大幅就航増などが原因と言われていますが、なんといっても大きいのが円安の影響だと思います。2012年に1米ドル80円弱だったのが、2013年に100円弱、2015年になると120円台になり、コロナ後の円安でとうとう150円台後半になって現在に至っています。
     振り返ると、大きく円安に振れた年に訪日客の増加率がぐんと高まっています。米ドルと比較すると円の価値は12年前の2分の1です。欧米の物価が異常に高くなっている中で、日本の物価上昇は我々庶民には大いに痛手でも、彼らから見れば、かつての半分のコストで食事や買い物ができるわけですから、安い日本はとても魅力的に映るわけです。筆者にとって好物のラーメンが1杯千円時代になり、以前より足が遠のくようになりましたが、ラーメン好きの訪日客はこんなにうまいラーメンが故国の半値以下で食べられるなんて天国のようだ、と話します。 
     普段ニュースや動画サイトで目にする有名観光地は日本人の姿を見つけるのが困難なほど訪日客であふれています。冬のシーズンのスキー場も訪日客が多く、近くの苗場や妙高のスキー場でも知人の話ではスキー客のおおよそ9割が訪日客だとのことです。
     訪日客が有名観光地に殺到するオーバーツーリズムという言葉も耳慣れてしまいました。決して外国人嫌いというわけではありませんが、個人的にはとてもそんなところに行きたいとは思いません。
     消費額も国内のアパレル業界の市場規模に匹敵する8兆円に達したそうです。政府は訪日客を6千万人、15兆円の消費額を目標にしています。もしそうなったらどうなるんだろう、超オーバーツーリズム?
     昨年開催された大地の芸術祭、週末ごとに主な作品を巡りました。オーバーツーリズムとは全く無縁で、訪日客もちらほらでした。史上最高の訪日客はどこに行ったんでしょうか。開催年であっても、地元紙の報道を見ると経済効果はそれ程でもないようです。当地が大地の芸術祭の里を掲げている以上、オーバーツーリズムは論外としても、訪日客に焦点を絞った誘客を真剣に考えなくてはならないと思います。

    2025年1月25日号

  • 「自律社会」の次に来る「自然社会」とは

    2025年の予測

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     早いもので2025年(令和7年)が幕を開けてから半月がたちました。
     年初には様々な方々や専門家が、その年の予測をします。そのなかで、『S I N I C(サイニック、Seed-Innovation to Need-Impetus Cyclic Evolution)理論が描く未来』が、注目を集めています。
     これは、京都に本社がある血圧計で有名なオムロンの創業者が1970年に提唱したもので、そこでの予測が当たり続けていると言われています。S I N I C理論は約50年前に考えられたものですが、2025年に新しい社会が始まると予測しているのです。
     ちなみに、これまで、2005年から2024年の20年間は「最適化社会」、その前の1974年から2004年は「情報化社会」が来ると予測して的中させました。そして、2025年からの「自律社会」、さらに2033年からの「自然社会」を予測しています。
     「自律社会」では、世の中の価値観が、これまでの利便性や快適性、分業化といったものから大きく変化し、心の豊かさを求め、自立した個が相互に支えあう社会へ移行するとしています。そこでは、個の心とそのつながりにより、新しいものが創造される、としています。
     『いま大きな転換期を迎えている』という感覚を持っていらっしゃる方々は多いと思います。そのためか、最近、『グレート・リセット』などという言葉を耳にするようになりました。
     ただ、そのような大きな変化が、今年からすでに始まっているのかというと、まだ早いように思うのですが、大学で20歳前後の若者を見ていると、若者の行動というのはこれからの時代をすでに体現しているのでしょうか、利便性を重視するより、個の心を大切にしているように見受けられます。
     「自律社会」の次に来るとされている「自然社会」は、一段高いレベルに発展を遂げた、ハイパー原始社会とのことですが、さすがにそこまで想像が追いつきません。とはいえ、それも8年後の2033年から始まると予測されており、もしそうだとしたら、これから何が起こるのだろう…と思ってしまいます。
     映画の中だけでの話だろうと思っていたパンデミックが実際に起き、それにより多くの人々の意識が変わったことを考えると、何が起きるかは分からないような気もします。
     そのようなことを思う2025年の始まりでした。

    2025年1月18日号

  • スマホと「落とし紙」、ご破算で変わりゆく世

    時代への慣れ方

    長谷川 好文 (秋山郷山房もっきりや)

     大雪の屋根掘りを栄村救助員の方に助けてもらって、脳梗塞後、自身の状態を東京の従兄弟達に伝え、今後、何時会えなくなるか分からないので別離の挨拶をしに出た。
     移動しながら見る、東京あたりの電車のほぼ90%の乗客はスマホを手にして動画を見ていたようだ。なかには画面を両指で叩きながらドアの閉まる間際に車両から降りる人もいた。度々東京には出なくなったせいもあるが、出る度に都会の人たちの性向が過激になっているように感じた。多分スマホを手にする時間が増え、その分、電子機械に馴染んでくるのだろう。
     しかし今では髪の白い老人も、綺麗に和服を着た奥様も、みんなスマホに視線を落としている。もっともパソコンを使い始めて10年以上経って、「こんなの分かるものか!」と匙を投げていた60歳だった私も、分からないなりに人差し指一本でキーボードを叩いている。
     もちろん、分かっているのではないが指を動かしながら、間違いながら年賀状もできるようになる。あれだけ嫌がっていたのに、時間がそれに慣れさせ、受け入れざるを得なくさせたのだ。今では分からないまま新聞を拡げるように付き合っている。

     秋山郷でトイレ用の落とし紙などない頃の話だから70年以上前になるのだろうが、新聞も届かない時はシダ類の山取りゼンマイを冬になる前に取って、玉にして冬の便所で使う落とし紙代わりにしていたという。相当の量で子供の仕事だった。
     春に若芽は食用にするからか(カクマ)と呼んで区別していたのかも知らん? 春近くなるとそのカクマの玉も乾いて便が手に付いたりして嫌なものだったという。すると、そのカクマの玉は荒縄に代わっていき、僕の子供の頃になって便所には新聞紙が手のひらサイズに切られて、便器の脇に置かれてそれを揉んで使っていた。柔らかい落とし紙になったのは多分10歳くらいの頃だろう。
     スマホと落とし紙を一緒に論じては申し訳ないが、何だってそうですが、そこで暮らして慣習が嫌だと思いながら、慣れてしまうもののようです。思えば時代が進むと今までのものが、ご破算になって変わっていき、新しい道具や器械に慣れるしかないのでしょう。
     今では固定電話は消えつつあり、携帯電話も少なくなりパソコンだってそのうち無くなるだろうし、wi-fiも日本全国で普通に使えるようになる。列車の改札も切符も無くなるというのだし、むかし携帯のメールが打てず苛立ってぶち投げたこともあった私の思い出が、笑い話になるまでの時間は、時が進むにつれ、どんどん短くなるようだ。ただカクマの落とし紙が延々と続いて無くなるまでの時間と、今の携帯電話の消滅との対比に慣れるか、慣れずに超老人になるかなのだろう。
     これからもどんどん新しい物に囲まれて、今の若者も中年、老人になる事だし、そのうちに宇宙の住宅が売りに出される日もあるのだろう。でもそんなものに気を使わず放っているうちに、驚いたり呆れたり間違いながらも、慣れていくのだろう。
     ただ、今ようやく賀状がPCで打てるようになった者として、年賀状じまいなどしないで100枚を目標に師走の25日までにちゃんと投函して、郵便局がそれで利益を出した時代があったのだから、局が潰れるまで元旦の年賀状を届ける義務があると思う。届かない時は、局に文句を言い続けることにする。それが国の時代を越えた仕事の責任なのだから。

    2025年1月11日号

  • 昭和100年、節目の年の予感

    沈没寸前の泥船か

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     謹賀新年、心清々しく深呼吸。おめでたい新年第一原稿だが、大人の都合でこの原稿を書いているのはせわしい師走、世の中は何故か華やいだ気分になれないニュースばかりだ。ざっと縦読みすると…
     *復興の進まない苦労の一年が過ぎようとしている能登(住民のお正月を思うと心が痛む)
     *何一つ解明されず変わりない裏金問題と官房機密費の選挙流用(脱税・公金流用だよ)
     *増税+物価高(ガソリンどうにかして~トリガー条項どこ行った?)
     *円安…完全に行き詰まる日銀(出口なき金融政策)
     *コロナ・インフルエンザ・マイコプラズマのトリプル流行と薬不足。
     *年末に続いた強盗や殺傷事件
     *増え続ける子ども食堂
     *三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗事件(銀行の信頼の底が抜けたなあと思った。ご先祖様は江戸時代から続く信用で成り立つ鴻池両替商なのに)
     *島根県では農家が食料安全保障と持続可能な農業を訴えてトラクターデモ。一方、国会を見てみると「国民の皆さま方は輸入した物が食べたいんです」って農水大臣が答弁していて目が点(自給率上げようとしている農家さんに大臣席に座って欲しい)
     *手のひら返しのエネルギー基本計画。原子力を「依存度を低減する」としてきた素案が、「最大限活用していく」方針に変わってしまい、すっかり原発回帰(何億円も企業献金もらっただろうなあ…)
     *総理大臣は衆議院のマイナ保険証の質疑で「当選したからといって私の掲げた公約通りやりません」と言う有り様…いやはや政治家もお役人も検察も裁判官も医療も銀行も報道も、日本中が私利私欲で法治と倫理の底が抜けた国になってしまったなあ…

     世界に目を向けるとトランプ氏の再登場するアメリカ、アサド政権終焉後のシリアやウクライナ情勢、韓国や台湾など一斉に変わり目を感じる。 経済はドル基軸からBRICSの拡大で変わるし、エネルギーやIT、医療の技術も主導国が移り、いつまでも利権を奪い合っている日本は追米従属の立ち位置のまま後進国になっていくのか。国民生活はギリギリ、沈没寸前の泥船に乗っている気分だ。 
     おっと、ボヤキばかりじゃ暗くなる。新年くらい宝船に乗らないと…と言うわけで冬至の日、冬至点の時刻に一足お先に新年の願い事をした。
     どうか皆様が明るく穏やかに健やかに笑って暮らせますように。そう言えば新年はちょうど昭和100年、節目のようで大きく世の中が変わる気がする。昭和生まれの私も、ボケてはいられないな…。

    2025年1月4日号

  • 原発再稼働について丁寧な説明を

    県民投票で決めよう

    齋木 文夫 (年金生活者)

     17日、経済産業省は「エネルギー基本計画」改定案を公表した。東電福島第一原発事故以降、明記してきた「原発依存度を低減する」という文言を削除し、原発建て替えの要件も緩和する。

    2024年12月21日号

  • 中村哲医師と日本被団協のノーベル平和賞

    ざわつく世界の中で

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     12月4日は中村哲医師の命日、何者かに銃撃されて崇高な命が失われた。アフガン難民キャンプで巡回医療を開始し、91年から、山岳地域に診療所を相次いで開いた。その活動を支援する人たちもどんどん増えた。次に続く医師たちも増えた。

    2024年12月14日号

  • 百人の市民、JR東日本交響楽団に拍手

    「よろこびの歌」に感動

    村山 朗 (会社員)

     十日町の音楽文化は素晴らしい! 筆者は音楽好きではありますが、普段クラシック音楽は聞かないし、むしろクラシック嫌いです。そんな筆者でも知っている超有名曲、ベートーベンの交響曲第九番「合唱付き」のコンサートが、十日町市文化協会設立30周年記念ということで開かれました。
     それも市民から百人の歌手を募って合唱するというではありませんか。初めて募集の話を聞いたときは、そんな人数が集まるのかと野次馬根性丸出しでしたが、杞憂に終わりました。女性に比べ男性が少ないものの百人以上の合唱団が見事に勢揃い。独唱の後の合唱が始まった瞬間、百人を超える合唱の音圧が二階席にいた筆者の体にドーンと届き、思わず鳥肌が立ちました。
     半年以上の練習をやり通した合唱団員と素人集団をまとめ上げて本番に臨んだ指導者の苦労が喜びに代わり、聴衆と一体になった瞬間でした。
     もう一つ、ステージにどうやって百人の合唱団とオーケストラを乗せるのか、これも興味津々でしたが、花道も使って打楽器を配し、ステージの前面に張り出しをつけ、見事に合唱団とオーケストラが一体化しておりました。
     ところで、日本人なら多分だれでも歌える「よろこびの歌」~晴れたるあおぞら ただよう雲よ~の部分は全曲のうちのごく一部です。合唱だけが話題になりがちですが、全曲を通すと70分以上の大曲なんですね。はたして居眠りをせずに全曲聴き通せるのか、オーケストラ演奏の部分はどんな曲なのか。全曲通しては未聴だったため、予習のためCDを購入し、毎朝のように家族の迷惑も顧みずこの曲を流すようにしました。
     まったく興味のない音楽でも聞く毎に親しみを覚え、聴き通すことも楽しみに変わるんですね。まさに名曲というべきでしょうか。こんなことを書くとクラシックファンには顰蹙を買うこと必至ですが、合唱部以外もとても素晴らしい。
     さて、演奏したJR東日本交響楽団は、なんと発足30年を超えるアマチュアのオーケストラ。JR東日本の社員有志が仕事終了後に集まって定期的に練習を行っているそうです。オーケストラの演奏の良し悪しもよくわからない筆者ですが、プロの指揮者がまとめ上げた演奏は合唱に劣らず本当に聴きごたえがありました。
     この素晴らしいコンサートを企画実行した主催者や裏方の皆さん、ホールのスタッフの仕事にも大きな拍手を送りたいと思います。5年後の35周年の演奏会も大いに期待しております。

    2024年12月7日号

  • 選挙イヤーとトランプ次期大統領

    時代の転換点か

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     今年は、世界中で多くの選挙が行われた注目の年で、米国、ロシア、台湾、韓国、インド、インドネシア、メキシコ、EUなどで、選挙が実施された選挙イヤーでした。
    今年の初めごろは、日本では選挙の予定がなく、安定した政権が続くと余裕を感じていましたが、急転直下、10月に解散による衆議院選挙が行われ、結果は与党が負け、政権が一気に不安定化してしまいました。
     そこに、アメリカ・ファーストを掲げるトランプ氏が米国の大統領選挙に勝利して復活。うまく対峙するため、日本の首相には、今まで以上のリーダーシップが求められています。
     トランプ次期大統領の今後の政策を知るため、選挙中に行われた演説を、フルで聞きなおしてみました。
     演説で、最初に最も時間をかけて話がなされたのは、不法移民の問題でした。メキシコ国境からの不法移民により多くの国民が職を奪われ、侵略という言葉まで出るほど、大きな問題として捉えられていました。来年1月20日の就任1日目に、国境の壁の建設を強化すると発言しています。
     次に演説で力が入っていたのは、物価高に対する政策でした。具体的な対策について述べられており、物価高の主な原因は、太陽光などの自然エネルギーや電気自動車の利用にコストがかかりすぎていることとし、それならば米国の石油産業を復活させることで、コストを下げるとしています。
     これらの移民と物価高の問題は、日本でも問題になり始めており、半歩あるいは一歩先をいく米国で、思い切った対策を打ち出すとされるトランプ次期大統領の動きや、それによりもたらされる成果を、十分に参考としていくことが重要と思います。
     さらに気になるのが、いま米国にとっての最大の貿易赤字国である中国に対する強硬姿勢が、どのくらいになるかということです。今後、経済面と安全保障面の両面において、世界や東アジアでの緊張感が増すことになるかもしれません。
     また、国内産業を守るため、トランプ次期大統領は、国外からの輸入品に今までより高い関税を、どの国に対しても課すのではないかとされています。日本の輸出産業にどれくらいの影響がでるか…ディール(取引)外交を得意とするトランプ次期大統領ですので、ハードな交渉が考えられます。
     大きな時代の転換点を迎えているとされているいま、来年はそのことがより感じられ表面化してくる年になるかもしれないと思いました。

    2024年11月30日号