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妻有新聞掲載記事一覧

  • 「無視できない署名数に」

    県民投票で決める会 スタートアップ集会

    28日から署名集め開始、柏崎刈羽原発再稼働

     「原発再稼働は県民自身が決める」を合言葉に、全県で広がる市民運動「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」。条例制定による県民投票の実施をめざし、衆院選の投開票日翌日の今月28日から署名集めを開始することを決めている。条例制定を県議会に直接請求するためには60日間で有権者の50分の1以上の自筆署名が必要で、9月1日付では「約3万6400人」。全県20万人署名をめざし、妻有地域の「県民投票で決める会十日町・津南」では1万人をめざしている。

    2024年10月19日号

  • 「やっぱり、パンを作りたい」

    金谷 日向さん(1989年生まれ)

     歩み続けて来た人生、その度、その度、自分の気持ちと向き合ってきた。「何をしたいのか、将来何をして生きていきたいのか。その時々、自分の気持ちと向き合いました。食のこと、飲食に関わることへの思いが強くなっていきました」。
     そのきっかけは大地の芸術祭だった。首都圏の大学で心理学を学んでいた4年の夏休み。2012年帰省した時、父からの言葉だった。「大地の芸術祭巡りに行こうと父から誘われました。生まれ育った妻有ですが、地域を巡りながら、改めて妻有の素晴らしさを感じたんです」。自然の心地良さ、リラックスできる地域環境、生まれ育った地を離れて分かったこの地の解放感だった。「芸術祭もきっかけでしたが、帰ろうと決めました」。

     十日町生活が始まったある日。「本屋に行ったんです。たまたま目に留まったのが『手ごねパン』の作り方の本でした」。その本の作り方を見ながらパンを自作した。何度も何度も作り、次第に夢中になっていく自分を感じ、さらに打ち込んだ。
     「これは面白い、楽しいと、市外のパン作り教室にも通いました」。この時、26歳。友だちや周囲から結婚や出産の話しが次々と聞こえた。「自分は何がしたいのか、その時も自分と向き合い、考えました。これも出会いなんですね、パンづくりがしたい、これでした」。20代最後のチャレンジ、これも自分の人生、どんな経験も無駄な経験はないと、自分で探し、首都圏のパン屋に就職した。
     厳しい現実が待っていた。予想以上に過酷でハードな業務。「朝暗いうちから夜遅くまで働きました。振り返ると辛かった気持ちも正直大きいですね」。 
     ただ経験から一つの確信を得た。「パンづくりがさらに好きになり、職人の世界に触れることができ、とっても勉強になったと思っています」。職人が手慣れた作業を淡々とこなすが、そこには秒刻みの手順やしっかりした準備と段取りが必要、その基本の基本を体感できた。「あの経験は本当に大変でしたが、それが今に活かされています」。

     早朝から夜遅くまで1年間、みっちりパンづくりを学んだ。その後、販売経験を積むためカフェへ転職。2018年大地の芸術祭の年だった。「カフェ転職までの1ヵ月間、大地の芸術祭に行こうと調べていたら、里山食堂の短期アルバイト募集があり、すぐに応募しました」。
     玄米を主体に、主菜の穀類に旬の地元食材の美味しさをそのまま提供する里山食堂。「毎日まさに目の回る忙しさでしたが、スタッフの皆さんがとても温かくって、パワフルで楽しく、あっという間の1ヵ月でした」。 都内へ戻ったが、大地の芸術祭の食関係の仕事をしたい思いが募り、2019年、二度目のUターン。再び十日町生活が始まった。
     市内の飲食店で働き始めた頃、里山食堂から声が掛かった。帰っているという情報が流れたらしい。アルバイトから正規職員になり、やりがいや責任感が増していった。
    「経験も積み、30歳を超えて、もう一度自分と向き合ったんです」。歩みを振り返ると、自分の気持ちが見えて来た。『パンづくりをしたい。自分のお店を持ちたい』だった。2023年3月退職。

     様々なイベントなどに自作パンを出店しながら自分の店づくりの準備を進めた。今年4月、『パンと暮らしとヤナギヤ』を開店。そのお店は自宅である津南町鹿渡新田の古民家。店名は屋号『柳』から。「柳の家の雰囲気を活かせるパン屋ができれば素敵だなって思って、そのまま店名にしました」。 築100年余、太い柱や梁が雰囲気を作り出す古民家。そのひと部屋を改修し、古民家に残る民具や家具など活用。丹精込めて作ったパンは、古道具店で一目ぼれしたアンティークなショーケースに並ぶ。
     北海道産小麦を使用し、ぶどうやりんごなど様々な素材による自家製酵母で焼き上げるこだわりパン。「地元で採れた季節が感じられる旬の食材をパンにアレンジし、彩りを考え、目でも楽しめ、美味しそうなものをと考えています」。
     思いを込め、こだわりぬいたパンは評判を呼び、地元はじめ十日町市や南魚沼市、県外からの芸術祭や行楽客などネットを通じて広範囲から多くの人が足を運ぶ。
     「旬のもの、季節の野菜を活かす料理は前職の里山食堂で学んだことが生きています。できるだけ手作りで、季節のものを使ってお客様に届けたいですね」。

    ▼バトンタッチします
     太島勝重さん

    2024年10月19日号

  • 「Small is Beautiful」がある

    隠岐の島々を訪れて

    清水 裕理 (経済地理学博士)


     早いもので今年も残すところ2ヵ月半となり、夏の暑さがやっと和らいできたところ、島根県の隠岐の島々に行ってきました。
     新潟県の佐渡と同じように、奈良時代ごろから、天皇や公家の方々などが遠流された歴史を有します。この地がそのような地に選ばれたのは、都から遠く離れているだけでなく、貴人が食べ物に苦労したり生活に危険が生じたりしないところとして選ばれたという話があります。江戸時代には、北前船の寄港地としても栄えました。
     最近は、隠岐の島にIターンやUターンをする人々が増え、子供の数が増えていることが注目されます。5年位前は小学校の1学年に1〜2名しかいなかったのが、最近は5名を超えるようになってきているとのことでした。
     ここに住むと、ここで結婚をすると、ここで子供を授かると、それぞれの段階で自治体は支援金を準備し、そのような思い切った施策を行なってきたことも功を奏しているのでしょう。
     地域おこし協力隊として島にやってきた若者が、地域に溶け込み頼りにされている姿も至るところで見られました。
     釣り好きと島好きが島で出会って結婚し、夫婦で農業漁業や観光業の仕事をしながらの子育て中。年会費のアマゾンプライムに入っているので、おむつも送料無料で2日後に届き便利です、と話してくれました。
     さらに最近の島の話題は、フランス料理のレストラン、おしゃれな美容院、こだわりのパン屋さんが、新たにできたことです。
     飲食店や美容の業種は、今までも島にある仕事ですが、最近は、本土で一流の腕をふるっていた人たちが島にやってきて移住し、自分たちの小さなお店を持ち、提供するサービスのわりに良心的な価格で、島の住民と観光客から人気とのことでした。
     この話を聞いて、これらの方々に共通して「Small is Beautiful 」とよばれるような美学がおありになるのかなと、ふと感じてしまいました。
     「Small is Beautiful」は、欧州の経済学者が1973年に記した著書の日本語タイトルとして有名になった言葉です。
     大分県湯布院で温泉宿を営まれ、観光カリスマでいらした中谷健太郎氏は、町のあり様について、
    小さいから、身近に暖かい関係が生まれる。小さいから、個性的な価値を生み出せる。 小さいから、大きな資本を必要としない。と語られていたと、かつての勤務先の先輩から聞いたことを思い出し、島を後にしました。

    2024年10月19日号

  • 女性ホルモンとドライマウス

    よく噛む、笑う、口を開き腹式呼吸を

    Vol 108

     先週末に開催したフェムテックフェスは大勢の方にご来場いただき大変賑わいました。「こんなものがあるのかとびっくりした!」という感想を多くいただき、やって良かったなと思っています。お子さん連れの方からご年配の方、女性だけでなく男性も、足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました!
     さて、ついに歯周病と女性ホルモンの関係のお話の最終回です。今回は閉経後のホルモン変化と歯周病の関係です。
     女性は閉経後、女性ホルモンの枯渇によって、ズバリ、既存の歯周病が悪化します。その原因はひとつに骨量減少により、あごの骨も骨量が減り、歯を支える土台となる骨、歯槽骨がもろくなることで歯周ポケットができやすくなるから。
     もう一つにエストロゲンが低下することで歯周病菌と戦う免疫力が低下し、歯と歯ぐきの境目では炎症を起こす物質の分泌が盛んになるから、といわれています。そしてさらに歯周病悪化にむけて追い打ちをかけるのが、更年期から見られ始める「ドライマウス」です。
     ドライマウスは唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥状態になること。他の疾患の一症状として現れることもありますが、女性ホルモンのバランスが乱れてくると、唾液の分泌が減り、ドライマウスになりやすくなります。
     ドライマウスは口腔内のねばねば感、ヒリヒリする症状などから始まり、虫歯が進行して口臭の悪化が起こる他、重症になると、舌表面のひび割れ、摂食障害、味覚障害、発音障害なども現れます。
     更年期世代の女性は「首や肩がこる」という症状を訴えられる方が多いですが、この首から肩への血流障害は、実はドライマウスに繋がっているかもしれません。
     例えば、年々増えている「スマホ首」。スマホに集中している時は体を動かさないため、うつむいた姿勢を長時間続けることになり、首の後ろの筋肉に負担がかかります。これにより、首に痛みやこりの症状が現れ、体中に不調が出てしまうのが「スマホ首」なのですが、実はドライマウスを引き起こします。
     ということは、スマホ首ではないものの、首や肩がこるなどの症状がある人も、注意をしたほうが良いのではないでしょうか。
     では、ドライマウス対策としては何があるかというと、口をよく動かし口周りの筋肉を鍛えることが大切なので、①よく噛んで食べる②口角を上げて笑顔をつくる③大きく口を開けて腹式呼吸でストレス発散しながら好きな歌を歌う④上唇だけを10秒間大きく膨らませ、これを3回繰り返す。
    1日2セットを目安にチャレンジし、唾液腺を刺激する体操をする⑤歯磨きのときに、歯ブラシ、または指で歯茎や舌の裏などを優しくマッサージして刺激して口周りの血行を良くする。そして、⑥ハーブウォーターでうがい、はいかがでしょうか?
     狭い空間ですが、体全体の不調に関わる口の中。特に女性ホルモンに一生を支配されている女性は、すべてのライフステージで歯周病になりやすいので日々のケアを忘れずに!!(たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年10月19日号

  • 魚野川取水堰 その2

    小林 幸一(津南案内人)

     先日意を決して魚野川の水門の遺構を調査しました。
     水門は完成した当時は9本の柱が上部で連結し洪水で水嵩が増した時の捌け口だったようですが、現在は右半分ほど残り、あとは土砂崩の中に埋まっていいます。
     石柱は割石にセメントを充填したつくりで2本の溝が切られています。溝には厚い板を2重に落とし込む方式で柱の両側に刻まれています。
     現場はガレ場で大変危険な所です。また河川敷以外は私有地で立ち入ことは出来ません。
     続く。次回は水門の裏にある不気味な…。

    写真:100年前の水門(東京電力ホールディングス株式会社電気の史料館より借用)

    2024年10月19日号

  • 元気の素、「親父バンド」60年史

    高校時代から70代の今も現役

    持ち歌56曲、ラポートで6年前から演奏会

     「好きじゃなきゃぁ、こんなに長くやってないよ」。松之山天水越を拠点に音楽活動する『親父バンド』。リーダーの佐藤勝一さん(75)、元リーダーの髙橋重一さん(76)は小中学校からの同級生、音楽好きの幼馴染だ。
     1964年、地元の松高(松之山分校)1年の時、十日町市にブルーコメッツが来ることを聞いた。「これは行かなきゃってね、2人でいったんですよ」。初めて触れるプロの音楽、音の響きがズドーンと心を打った。「響きましたね~、音にほれ込みました。これはやんなきゃと、すぐに仲間を集めて、親に頼み込み、立て替えてもらって十日町で楽器を買ってバンドを始めたんですよ」。

    2024年10月19日号

  • 投票結果の一桁は、自分の1票

     選挙のたびに言われるのが投票率の低下。2015年から18、19歳が有権者となり9年経過。これまで数多くの選挙が行われたが18歳~20代、30代も含めてもこの世代の投票率は20%台、よくて30%台。一方で60代~90代はどの選挙も高い投票率を示す。
     10代・20代・30代投票率を上げるにはこの世代が立候補するか、あるいは極論だが、この世代に絶大人気の俳優、あるいは音楽アーティストでも出馬すればこぞって投票する、かもしれない。投票率という数字を上げる方法は、結局は候補者への関心度に尽きるともいえる。
     政治に直結する投票という行為は、そのまま端的に数字に表れる。『投票結果の一桁に自分がいる』といわれる。自分が入れた候補得票の最後の数字、一桁の数字は自分が入れた1票だ。自分が入れなければその数字は1票少なくなる。こう考えると、各候補の得票結果の一桁は、紛れもなく「自分の1票」。見える1票である。それが積み重なり、百になり千になり万になる。
     その前提が重要だ。「1票を入れたい候補」「入れたい政党」でなければならない。だが、そこで投票所へ一歩踏み出せない有権者が多い、それが低投票率という現象を生み出している。今回の衆院選、全国の選挙区を見ると、かなり興味深い選挙区が多い。ただそれは投票したくなる選挙区というより、結果が興味深い選挙区だ。
     ここ新潟新5区はどうか。自民と立憲の一騎打ちというこれ以上ない対決構図だが、関心の度合いが低いのは両前職とも「ルール違反」を犯した身。今度の選挙を「みそぎ」と考えているなら大間違いだ。うやむやのまま突入した衆院総選挙。選挙で決着をつけようにも、両前職以外に選択肢がなく、有権者の困惑はさらに増している。
     だが選ばなくてはならない。両前職の政党の比較、ここに大きな差がある。

    2024年10月19日号

  • 四度決戦、命運は魚沼の行方

    「傷負い」両現職、新5区34万票、困惑の有権者

    衆院選27日投開票

     衆院解散、総選挙は今月15日公示、27日投票で行うが、選挙区再編の新潟県小選挙区5つは、与野党伯仲の選挙戦になっている。特にここ新5区は、前回選で小選挙区勝者の立憲現職・梅谷守氏(50)と比例復活の自民現職・高鳥修一氏(63)との四度目の対決が濃厚。特に今回、自民本部が打ち出した「政治資金不記載問題」に牴触する現職の比例重複立候補を禁止したため、544万円の不記載が党本部規定に該当する高鳥氏は比例区立候補が出来ず、まさに「背水の陣」。一方の梅谷氏も今年早々の新年行事で有権者に日本酒を配り、公選法違反で告発を受けている身だ。新5区の現職2人は共に「傷負い」状態で、有権者の選択を困惑させている。両現職ともすでに選対を立ち上げ臨戦態勢に入っているが、新たに新5区入りの魚沼3市町7万9千人余の有権者への浸透が、勝敗に大きく影響すると見られ、両選対は魚沼エリアの攻勢に力を入れている。

    2024年10月12日号

  • 「夢を持つ、自分を変える、自分に挑む」

    東京五輪マラソン出場の服部勇馬選手

    陸上歴20年余を語る、故郷の後輩たちに想いを

     「夢を持つ、日常に感謝、過去に囚われない、自分をまず変える、敵は自分自身」。十日町市出身で東京オリンピックに出場した服部勇馬選手(31、トヨタ自動車)は故郷の中学生に自身が大事に思う5つの言葉を語り「夢を持つこと、これが一番。何のために走るのか、何のために勉強するのか、それを考えることが大切」と語った。
     故郷に戻り、4日は吉田中学、7日に母校の中里中学で講演した服部選手。中里中学‐仙台育英高に進んだ。「小学時代はサッカーに熱中し、中学では母が保育士だったので、自分の将来の目標は保育士だった。まさかマラソンやオリンピックをめざすとは思ってもいなかった」と振り返る。「マラソンは42・195㌔を走る競技で、吉田中から長岡のリバーサイド千秋までを走る距離」。今は1日30㌔ほど走り、1ヵ月で1000㌔、3年で地球1周ほど走っていると語り「いまのところ、地球3周くらいはしている」と会場を驚かせた。

    2024年10月12日号

  • 「食、すべての基本ですね」

    関 綾子さん(1987年生まれ)

     『おいしい』、このひと言が食づくりのエネルギー源。「あれこれ組み合わせを想像してワクワクしちゃうんですよね。巾着の中にトロロをいれて蒸したり、豆腐と納豆を入れたり」。誰も思いつかないような組み合わせが次々と思い浮かび、「人にもその発想なかなかないよねぇ、
    なんて驚かれます」。
     こだわりを持った創作料理や、手作り弁当をつくる『自然食ぽのわ』を開き3年目になる。

     『食』のルーツは小中学時代を過ごした南魚沼市五十沢の自然豊かな体験がベース。「何かを作るのが好きでした。小学校から帰ってきたら、友だち3人とケーキ作ったり、またそれをアレンジしてみたり料理作りを遊びのように楽しみました。当時は、そんなに簡単にお菓子なんて買えなかったのもあると思います」。
     さらに五十沢中学ではアウトドア活動に魅力を持つ。「川がきれいで、イワナ、ヤマメ、カジカを突いて、その場で焼いて食べたりしていました。獲りたての魚の味は最高に美味しかったです」。
     中3の時、十日町市に引っ越す。高卒後、幼少から夢だった保育士をめざし専門学校へ。だが…、「憧れが強かったのもあって、理想と現実の大きな違いに私のめざす保育ではないと感じ2年で十日町に帰ってきました」。

     そこから人生が方向転換。大きく動き出した。弁当屋に始まり、様々な施設など「食」に関わる業務を次々と経験。「いつか、自分のお店が持ちたいなぁって思い始めたんです。夢が叶うといいなぁって」。
     転機は、まつだい農舞台「里山食堂」勤務の時だった。「マクロビオティックという調理法との出会いでした」。玄米を主体に穀物を主菜として旬の地元食材の美味しさをそのまま提供する里山食堂。今までとは違った調理法、考え方に驚いた。「その時、息子が食物アレルギーでしたが、無農薬や無添加食品に代えたら症状が良くなったんです」。食の大切さを実体験として感じ、同時に、アレルギーや病気で食事制限に悩む人たちの力になりたい、その思いがさらに増し、「自分の店を持ちたい」と、開業への思いも強くなった。

     そんな時だった。『空いている店舗があるけど、どう?』。その人が声を掛けてくれた。「いまだ、自分でやろう」と決意。弁当屋「七彩」を開業。29歳だった。
     だが経営は難しい。「私は作ることは好きなんですが、思いだけじゃ継続できない。止めようかな…と考えたんです」。だが、あの人がまた声をかけてくれた。『いい人が居るよ、会ってみたら』。「不思議ですね、いつもそろそろ方向転換って思うと、その人が声をかけ連絡をくれるんです。いつも絶妙なタイミングで」と笑う。
     紹介された人は、食に対して同じ価値観を持つ人だった。2021年8月に出会い、9月には店をオープン。スピード結婚のような出会いから事業パートナーとなった。
     『自然食ぽのわ』。ハワイ語でポノは「ありのまま、精神、環境、物事、健康、全てのバランスが整った状態。正常な状態の事を言います」。それが広がっていく思いを「輪」という言葉に乗せ「ぽのわ」。子どもから大人まで喜ばれる安心安全の食の提供を二人三脚で経営、3年目を迎える。
     「車麩や大豆をお肉料理に仕立てるなど、目で見て楽しみ、味付けも変え、煮る、揚げるなど調
    理法を工夫し、変化をつけています。食材に固定概念を持ってほしくないですね」。オヤッと思う料理は、食を通して会話も弾む。「お客さんに、『これ何?』と、食からの話題の広がりも楽しみの一つです」。そんな楽しい雰囲気が口コミで広がり、来店者の幅が広がりに繋がっている。
     「現在JAべジぱーくで弁当や総菜を置き、仕出しや弁当の注文を受けています。今後はアレルギーや食事制限に悩む方にも対応した出張料理代行も準備中です」。さらにハワイアン料理「レイ」を市内宮下町で金曜夜に限定営業。レイは感謝の言葉。
     「食事は、自分で選んで自分の体内に入れるものです。なんでも手軽に入る時代だからこそ、自分で身体が喜ぶ食事を選んでほしいです。それは自然に良い身体が出来ていくことになりますから」。

    ▼バトンタッチします
     金谷日向さん

    2024年10月12日号

  • 「無視できない署名数に」

    県民投票で決める会 スタートアップ集会

    28日から署名集め開始、柏崎刈羽原発再稼働

     「原発再稼働は県民自身が決める」を合言葉に、全県で広がる市民運動「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」。条例制定による県民投票の実施をめざし、衆院選の投開票日翌日の今月28日から署名集めを開始することを決めている。条例制定を県議会に直接請求するためには60日間で有権者の50分の1以上の自筆署名が必要で、9月1日付では「約3万6400人」。全県20万人署名をめざし、妻有地域の「県民投票で決める会十日町・津南」では1万人をめざしている。

    2024年10月19日号

  • 「やっぱり、パンを作りたい」

    金谷 日向さん(1989年生まれ)

     歩み続けて来た人生、その度、その度、自分の気持ちと向き合ってきた。「何をしたいのか、将来何をして生きていきたいのか。その時々、自分の気持ちと向き合いました。食のこと、飲食に関わることへの思いが強くなっていきました」。
     そのきっかけは大地の芸術祭だった。首都圏の大学で心理学を学んでいた4年の夏休み。2012年帰省した時、父からの言葉だった。「大地の芸術祭巡りに行こうと父から誘われました。生まれ育った妻有ですが、地域を巡りながら、改めて妻有の素晴らしさを感じたんです」。自然の心地良さ、リラックスできる地域環境、生まれ育った地を離れて分かったこの地の解放感だった。「芸術祭もきっかけでしたが、帰ろうと決めました」。

     十日町生活が始まったある日。「本屋に行ったんです。たまたま目に留まったのが『手ごねパン』の作り方の本でした」。その本の作り方を見ながらパンを自作した。何度も何度も作り、次第に夢中になっていく自分を感じ、さらに打ち込んだ。
     「これは面白い、楽しいと、市外のパン作り教室にも通いました」。この時、26歳。友だちや周囲から結婚や出産の話しが次々と聞こえた。「自分は何がしたいのか、その時も自分と向き合い、考えました。これも出会いなんですね、パンづくりがしたい、これでした」。20代最後のチャレンジ、これも自分の人生、どんな経験も無駄な経験はないと、自分で探し、首都圏のパン屋に就職した。
     厳しい現実が待っていた。予想以上に過酷でハードな業務。「朝暗いうちから夜遅くまで働きました。振り返ると辛かった気持ちも正直大きいですね」。 
     ただ経験から一つの確信を得た。「パンづくりがさらに好きになり、職人の世界に触れることができ、とっても勉強になったと思っています」。職人が手慣れた作業を淡々とこなすが、そこには秒刻みの手順やしっかりした準備と段取りが必要、その基本の基本を体感できた。「あの経験は本当に大変でしたが、それが今に活かされています」。

     早朝から夜遅くまで1年間、みっちりパンづくりを学んだ。その後、販売経験を積むためカフェへ転職。2018年大地の芸術祭の年だった。「カフェ転職までの1ヵ月間、大地の芸術祭に行こうと調べていたら、里山食堂の短期アルバイト募集があり、すぐに応募しました」。
     玄米を主体に、主菜の穀類に旬の地元食材の美味しさをそのまま提供する里山食堂。「毎日まさに目の回る忙しさでしたが、スタッフの皆さんがとても温かくって、パワフルで楽しく、あっという間の1ヵ月でした」。 都内へ戻ったが、大地の芸術祭の食関係の仕事をしたい思いが募り、2019年、二度目のUターン。再び十日町生活が始まった。
     市内の飲食店で働き始めた頃、里山食堂から声が掛かった。帰っているという情報が流れたらしい。アルバイトから正規職員になり、やりがいや責任感が増していった。
    「経験も積み、30歳を超えて、もう一度自分と向き合ったんです」。歩みを振り返ると、自分の気持ちが見えて来た。『パンづくりをしたい。自分のお店を持ちたい』だった。2023年3月退職。

     様々なイベントなどに自作パンを出店しながら自分の店づくりの準備を進めた。今年4月、『パンと暮らしとヤナギヤ』を開店。そのお店は自宅である津南町鹿渡新田の古民家。店名は屋号『柳』から。「柳の家の雰囲気を活かせるパン屋ができれば素敵だなって思って、そのまま店名にしました」。 築100年余、太い柱や梁が雰囲気を作り出す古民家。そのひと部屋を改修し、古民家に残る民具や家具など活用。丹精込めて作ったパンは、古道具店で一目ぼれしたアンティークなショーケースに並ぶ。
     北海道産小麦を使用し、ぶどうやりんごなど様々な素材による自家製酵母で焼き上げるこだわりパン。「地元で採れた季節が感じられる旬の食材をパンにアレンジし、彩りを考え、目でも楽しめ、美味しそうなものをと考えています」。
     思いを込め、こだわりぬいたパンは評判を呼び、地元はじめ十日町市や南魚沼市、県外からの芸術祭や行楽客などネットを通じて広範囲から多くの人が足を運ぶ。
     「旬のもの、季節の野菜を活かす料理は前職の里山食堂で学んだことが生きています。できるだけ手作りで、季節のものを使ってお客様に届けたいですね」。

    ▼バトンタッチします
     太島勝重さん

    2024年10月19日号

  • 「Small is Beautiful」がある

    隠岐の島々を訪れて

    清水 裕理 (経済地理学博士)


     早いもので今年も残すところ2ヵ月半となり、夏の暑さがやっと和らいできたところ、島根県の隠岐の島々に行ってきました。
     新潟県の佐渡と同じように、奈良時代ごろから、天皇や公家の方々などが遠流された歴史を有します。この地がそのような地に選ばれたのは、都から遠く離れているだけでなく、貴人が食べ物に苦労したり生活に危険が生じたりしないところとして選ばれたという話があります。江戸時代には、北前船の寄港地としても栄えました。
     最近は、隠岐の島にIターンやUターンをする人々が増え、子供の数が増えていることが注目されます。5年位前は小学校の1学年に1〜2名しかいなかったのが、最近は5名を超えるようになってきているとのことでした。
     ここに住むと、ここで結婚をすると、ここで子供を授かると、それぞれの段階で自治体は支援金を準備し、そのような思い切った施策を行なってきたことも功を奏しているのでしょう。
     地域おこし協力隊として島にやってきた若者が、地域に溶け込み頼りにされている姿も至るところで見られました。
     釣り好きと島好きが島で出会って結婚し、夫婦で農業漁業や観光業の仕事をしながらの子育て中。年会費のアマゾンプライムに入っているので、おむつも送料無料で2日後に届き便利です、と話してくれました。
     さらに最近の島の話題は、フランス料理のレストラン、おしゃれな美容院、こだわりのパン屋さんが、新たにできたことです。
     飲食店や美容の業種は、今までも島にある仕事ですが、最近は、本土で一流の腕をふるっていた人たちが島にやってきて移住し、自分たちの小さなお店を持ち、提供するサービスのわりに良心的な価格で、島の住民と観光客から人気とのことでした。
     この話を聞いて、これらの方々に共通して「Small is Beautiful 」とよばれるような美学がおありになるのかなと、ふと感じてしまいました。
     「Small is Beautiful」は、欧州の経済学者が1973年に記した著書の日本語タイトルとして有名になった言葉です。
     大分県湯布院で温泉宿を営まれ、観光カリスマでいらした中谷健太郎氏は、町のあり様について、
    小さいから、身近に暖かい関係が生まれる。小さいから、個性的な価値を生み出せる。 小さいから、大きな資本を必要としない。と語られていたと、かつての勤務先の先輩から聞いたことを思い出し、島を後にしました。

    2024年10月19日号

  • 女性ホルモンとドライマウス

    よく噛む、笑う、口を開き腹式呼吸を

    Vol 108

     先週末に開催したフェムテックフェスは大勢の方にご来場いただき大変賑わいました。「こんなものがあるのかとびっくりした!」という感想を多くいただき、やって良かったなと思っています。お子さん連れの方からご年配の方、女性だけでなく男性も、足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました!
     さて、ついに歯周病と女性ホルモンの関係のお話の最終回です。今回は閉経後のホルモン変化と歯周病の関係です。
     女性は閉経後、女性ホルモンの枯渇によって、ズバリ、既存の歯周病が悪化します。その原因はひとつに骨量減少により、あごの骨も骨量が減り、歯を支える土台となる骨、歯槽骨がもろくなることで歯周ポケットができやすくなるから。
     もう一つにエストロゲンが低下することで歯周病菌と戦う免疫力が低下し、歯と歯ぐきの境目では炎症を起こす物質の分泌が盛んになるから、といわれています。そしてさらに歯周病悪化にむけて追い打ちをかけるのが、更年期から見られ始める「ドライマウス」です。
     ドライマウスは唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥状態になること。他の疾患の一症状として現れることもありますが、女性ホルモンのバランスが乱れてくると、唾液の分泌が減り、ドライマウスになりやすくなります。
     ドライマウスは口腔内のねばねば感、ヒリヒリする症状などから始まり、虫歯が進行して口臭の悪化が起こる他、重症になると、舌表面のひび割れ、摂食障害、味覚障害、発音障害なども現れます。
     更年期世代の女性は「首や肩がこる」という症状を訴えられる方が多いですが、この首から肩への血流障害は、実はドライマウスに繋がっているかもしれません。
     例えば、年々増えている「スマホ首」。スマホに集中している時は体を動かさないため、うつむいた姿勢を長時間続けることになり、首の後ろの筋肉に負担がかかります。これにより、首に痛みやこりの症状が現れ、体中に不調が出てしまうのが「スマホ首」なのですが、実はドライマウスを引き起こします。
     ということは、スマホ首ではないものの、首や肩がこるなどの症状がある人も、注意をしたほうが良いのではないでしょうか。
     では、ドライマウス対策としては何があるかというと、口をよく動かし口周りの筋肉を鍛えることが大切なので、①よく噛んで食べる②口角を上げて笑顔をつくる③大きく口を開けて腹式呼吸でストレス発散しながら好きな歌を歌う④上唇だけを10秒間大きく膨らませ、これを3回繰り返す。
    1日2セットを目安にチャレンジし、唾液腺を刺激する体操をする⑤歯磨きのときに、歯ブラシ、または指で歯茎や舌の裏などを優しくマッサージして刺激して口周りの血行を良くする。そして、⑥ハーブウォーターでうがい、はいかがでしょうか?
     狭い空間ですが、体全体の不調に関わる口の中。特に女性ホルモンに一生を支配されている女性は、すべてのライフステージで歯周病になりやすいので日々のケアを忘れずに!!(たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年10月19日号

  • 魚野川取水堰 その2

    小林 幸一(津南案内人)

     先日意を決して魚野川の水門の遺構を調査しました。
     水門は完成した当時は9本の柱が上部で連結し洪水で水嵩が増した時の捌け口だったようですが、現在は右半分ほど残り、あとは土砂崩の中に埋まっていいます。
     石柱は割石にセメントを充填したつくりで2本の溝が切られています。溝には厚い板を2重に落とし込む方式で柱の両側に刻まれています。
     現場はガレ場で大変危険な所です。また河川敷以外は私有地で立ち入ことは出来ません。
     続く。次回は水門の裏にある不気味な…。

    写真:100年前の水門(東京電力ホールディングス株式会社電気の史料館より借用)

    2024年10月19日号

  • 元気の素、「親父バンド」60年史

    高校時代から70代の今も現役

    持ち歌56曲、ラポートで6年前から演奏会

     「好きじゃなきゃぁ、こんなに長くやってないよ」。松之山天水越を拠点に音楽活動する『親父バンド』。リーダーの佐藤勝一さん(75)、元リーダーの髙橋重一さん(76)は小中学校からの同級生、音楽好きの幼馴染だ。
     1964年、地元の松高(松之山分校)1年の時、十日町市にブルーコメッツが来ることを聞いた。「これは行かなきゃってね、2人でいったんですよ」。初めて触れるプロの音楽、音の響きがズドーンと心を打った。「響きましたね~、音にほれ込みました。これはやんなきゃと、すぐに仲間を集めて、親に頼み込み、立て替えてもらって十日町で楽器を買ってバンドを始めたんですよ」。

    2024年10月19日号

  • 投票結果の一桁は、自分の1票

     選挙のたびに言われるのが投票率の低下。2015年から18、19歳が有権者となり9年経過。これまで数多くの選挙が行われたが18歳~20代、30代も含めてもこの世代の投票率は20%台、よくて30%台。一方で60代~90代はどの選挙も高い投票率を示す。
     10代・20代・30代投票率を上げるにはこの世代が立候補するか、あるいは極論だが、この世代に絶大人気の俳優、あるいは音楽アーティストでも出馬すればこぞって投票する、かもしれない。投票率という数字を上げる方法は、結局は候補者への関心度に尽きるともいえる。
     政治に直結する投票という行為は、そのまま端的に数字に表れる。『投票結果の一桁に自分がいる』といわれる。自分が入れた候補得票の最後の数字、一桁の数字は自分が入れた1票だ。自分が入れなければその数字は1票少なくなる。こう考えると、各候補の得票結果の一桁は、紛れもなく「自分の1票」。見える1票である。それが積み重なり、百になり千になり万になる。
     その前提が重要だ。「1票を入れたい候補」「入れたい政党」でなければならない。だが、そこで投票所へ一歩踏み出せない有権者が多い、それが低投票率という現象を生み出している。今回の衆院選、全国の選挙区を見ると、かなり興味深い選挙区が多い。ただそれは投票したくなる選挙区というより、結果が興味深い選挙区だ。
     ここ新潟新5区はどうか。自民と立憲の一騎打ちというこれ以上ない対決構図だが、関心の度合いが低いのは両前職とも「ルール違反」を犯した身。今度の選挙を「みそぎ」と考えているなら大間違いだ。うやむやのまま突入した衆院総選挙。選挙で決着をつけようにも、両前職以外に選択肢がなく、有権者の困惑はさらに増している。
     だが選ばなくてはならない。両前職の政党の比較、ここに大きな差がある。

    2024年10月19日号

  • 四度決戦、命運は魚沼の行方

    「傷負い」両現職、新5区34万票、困惑の有権者

    衆院選27日投開票

     衆院解散、総選挙は今月15日公示、27日投票で行うが、選挙区再編の新潟県小選挙区5つは、与野党伯仲の選挙戦になっている。特にここ新5区は、前回選で小選挙区勝者の立憲現職・梅谷守氏(50)と比例復活の自民現職・高鳥修一氏(63)との四度目の対決が濃厚。特に今回、自民本部が打ち出した「政治資金不記載問題」に牴触する現職の比例重複立候補を禁止したため、544万円の不記載が党本部規定に該当する高鳥氏は比例区立候補が出来ず、まさに「背水の陣」。一方の梅谷氏も今年早々の新年行事で有権者に日本酒を配り、公選法違反で告発を受けている身だ。新5区の現職2人は共に「傷負い」状態で、有権者の選択を困惑させている。両現職ともすでに選対を立ち上げ臨戦態勢に入っているが、新たに新5区入りの魚沼3市町7万9千人余の有権者への浸透が、勝敗に大きく影響すると見られ、両選対は魚沼エリアの攻勢に力を入れている。

    2024年10月12日号

  • 「夢を持つ、自分を変える、自分に挑む」

    東京五輪マラソン出場の服部勇馬選手

    陸上歴20年余を語る、故郷の後輩たちに想いを

     「夢を持つ、日常に感謝、過去に囚われない、自分をまず変える、敵は自分自身」。十日町市出身で東京オリンピックに出場した服部勇馬選手(31、トヨタ自動車)は故郷の中学生に自身が大事に思う5つの言葉を語り「夢を持つこと、これが一番。何のために走るのか、何のために勉強するのか、それを考えることが大切」と語った。
     故郷に戻り、4日は吉田中学、7日に母校の中里中学で講演した服部選手。中里中学‐仙台育英高に進んだ。「小学時代はサッカーに熱中し、中学では母が保育士だったので、自分の将来の目標は保育士だった。まさかマラソンやオリンピックをめざすとは思ってもいなかった」と振り返る。「マラソンは42・195㌔を走る競技で、吉田中から長岡のリバーサイド千秋までを走る距離」。今は1日30㌔ほど走り、1ヵ月で1000㌔、3年で地球1周ほど走っていると語り「いまのところ、地球3周くらいはしている」と会場を驚かせた。

    2024年10月12日号

  • 「食、すべての基本ですね」

    関 綾子さん(1987年生まれ)

     『おいしい』、このひと言が食づくりのエネルギー源。「あれこれ組み合わせを想像してワクワクしちゃうんですよね。巾着の中にトロロをいれて蒸したり、豆腐と納豆を入れたり」。誰も思いつかないような組み合わせが次々と思い浮かび、「人にもその発想なかなかないよねぇ、
    なんて驚かれます」。
     こだわりを持った創作料理や、手作り弁当をつくる『自然食ぽのわ』を開き3年目になる。

     『食』のルーツは小中学時代を過ごした南魚沼市五十沢の自然豊かな体験がベース。「何かを作るのが好きでした。小学校から帰ってきたら、友だち3人とケーキ作ったり、またそれをアレンジしてみたり料理作りを遊びのように楽しみました。当時は、そんなに簡単にお菓子なんて買えなかったのもあると思います」。
     さらに五十沢中学ではアウトドア活動に魅力を持つ。「川がきれいで、イワナ、ヤマメ、カジカを突いて、その場で焼いて食べたりしていました。獲りたての魚の味は最高に美味しかったです」。
     中3の時、十日町市に引っ越す。高卒後、幼少から夢だった保育士をめざし専門学校へ。だが…、「憧れが強かったのもあって、理想と現実の大きな違いに私のめざす保育ではないと感じ2年で十日町に帰ってきました」。

     そこから人生が方向転換。大きく動き出した。弁当屋に始まり、様々な施設など「食」に関わる業務を次々と経験。「いつか、自分のお店が持ちたいなぁって思い始めたんです。夢が叶うといいなぁって」。
     転機は、まつだい農舞台「里山食堂」勤務の時だった。「マクロビオティックという調理法との出会いでした」。玄米を主体に穀物を主菜として旬の地元食材の美味しさをそのまま提供する里山食堂。今までとは違った調理法、考え方に驚いた。「その時、息子が食物アレルギーでしたが、無農薬や無添加食品に代えたら症状が良くなったんです」。食の大切さを実体験として感じ、同時に、アレルギーや病気で食事制限に悩む人たちの力になりたい、その思いがさらに増し、「自分の店を持ちたい」と、開業への思いも強くなった。

     そんな時だった。『空いている店舗があるけど、どう?』。その人が声を掛けてくれた。「いまだ、自分でやろう」と決意。弁当屋「七彩」を開業。29歳だった。
     だが経営は難しい。「私は作ることは好きなんですが、思いだけじゃ継続できない。止めようかな…と考えたんです」。だが、あの人がまた声をかけてくれた。『いい人が居るよ、会ってみたら』。「不思議ですね、いつもそろそろ方向転換って思うと、その人が声をかけ連絡をくれるんです。いつも絶妙なタイミングで」と笑う。
     紹介された人は、食に対して同じ価値観を持つ人だった。2021年8月に出会い、9月には店をオープン。スピード結婚のような出会いから事業パートナーとなった。
     『自然食ぽのわ』。ハワイ語でポノは「ありのまま、精神、環境、物事、健康、全てのバランスが整った状態。正常な状態の事を言います」。それが広がっていく思いを「輪」という言葉に乗せ「ぽのわ」。子どもから大人まで喜ばれる安心安全の食の提供を二人三脚で経営、3年目を迎える。
     「車麩や大豆をお肉料理に仕立てるなど、目で見て楽しみ、味付けも変え、煮る、揚げるなど調
    理法を工夫し、変化をつけています。食材に固定概念を持ってほしくないですね」。オヤッと思う料理は、食を通して会話も弾む。「お客さんに、『これ何?』と、食からの話題の広がりも楽しみの一つです」。そんな楽しい雰囲気が口コミで広がり、来店者の幅が広がりに繋がっている。
     「現在JAべジぱーくで弁当や総菜を置き、仕出しや弁当の注文を受けています。今後はアレルギーや食事制限に悩む方にも対応した出張料理代行も準備中です」。さらにハワイアン料理「レイ」を市内宮下町で金曜夜に限定営業。レイは感謝の言葉。
     「食事は、自分で選んで自分の体内に入れるものです。なんでも手軽に入る時代だからこそ、自分で身体が喜ぶ食事を選んでほしいです。それは自然に良い身体が出来ていくことになりますから」。

    ▼バトンタッチします
     金谷日向さん

    2024年10月12日号