Category

妻有新聞掲載記事一覧

  • 『川西町』縁で移住、「ええ人多いね」

    奈良・川西町出身の深澤達彦さん

     「前から旧川西町や十日町市は良いところだと思っていたけど、ええ人が多くて、しゃべりやすいね」。奈良県川西町出身、3年前から松之山湯山で暮らし、松之山公民館臨時職で働く深澤達彦さん(63)は話す。
     深澤さんは高卒後、町役場に勤務しながら奈良県立大学の2部に通った。大学卒業と共に教育委員会に配属。ある日、「川西町という自治体は探せば全国のどこかにあるのでは?」と興味を抱き、探すと新潟県川西町と山形県川西町が見つかり、交流を深めたいと手紙を出した。手紙を受け取り、交流が始まったのが今の十日町市教育委員会の渡辺正範教育長。連絡を重ね交流は続いた。

    2024年6月8日号

  • 協力隊という人材、もっと声を聞きたい

     「地域おこし協力隊」。国が事業化している人材に対する補助事業で、成果を上げている成功事業は少ない。だが、唯一と言っていいほど、この地域おこし協力隊事業は2009年のスタートから年ごとに全国に広がっている。2024年3月末で7200人が全国の市町村や団体で活動し、成功している人材補助事業になっている。
     任期後の定住率は全国平均65%で、十日町市は7割を超えている。総務省の発表データには興味深い数値がある。退任後、地域の酒蔵や宿泊施設の跡取りに入った事業継承者が過去5年間で56人いる。さらに全国にその存在が知られているのが協力隊退任後、村長に就いた藤城栄文・長野県南箕輪村長。地域おこし協力隊退任者では初の自治体トップという。
     藤城氏はなぜ赴任した自治体の村長をめざしたのか。人口1万6千人余の南箕輪村。最近のデータではなんと転入者が村民の7割を超えているという。藤城氏は協力隊退任後、村議選に出て議席を得る。妻の出身地が南箕輪村だった縁があるとはいえ、協力隊活動の延長線上に行政・政治をめざすのは、相当ハードルが高い。だが、村議在職3年目にあった村長選に出た。新人同士の一騎打ちを制し村長に就いた。移住者が動き、新たな村政の誕生を後押しした形だ。その背景には15歳~49歳の女性人口が増えており、子育て重視を掲げた政策が受け入れられ44歳の藤城村長を誕生させた。来年、村制150周年を迎える村だ。
     様々なバックボーンを持つ協力隊という人材。在職中は特別公務員だ。だからと言って行政に口出し出来ないわけではないだろう。協力隊は様々な価値観を持ち、地域を見ている。その視点こそ、これからの地域づくりの新たな視点になるはず。遠慮はいらない。もっと果敢に発言、発信してはどうか。その声を、意見を聞きたい。

    2024年6月8日号

  • 「残して」、住民要望の行方は

    赤沢・倉俣・土市駐在所、来年3月廃止方針

    十日町署管内

     十日町署管内の3駐在所の廃止・統合が進められている。来年3月末で廃止方針が出ているのは、津南町の赤沢駐在所、十日町市中里地域の倉俣駐在所、同市水沢地区の土市駐在所。赤沢駐在所は津南交番に、倉俣駐在所は田沢駐在所に、土市駐在所は十日町駅前交番の管轄にそれぞれ移行。ただ駐在所廃止で「地域に警察官がいなくなるのは不安」という声が根強く上がっている。

    2024年6月1日号

  • 理想の看護の道、28人が誓う

     「最善の看護を提供できる看護師になることを誓います」、「何があっても折れない芯のある看護師をめざします」。これから本格的な実習に向かう、看護師の卵たちがナイチンゲール像の前から灯りを受け取り、理想の看護の道を進む誓いの言葉を語った。

    2024年6月1日号

  • 『毎朝書く「あ」、その日の始まり』

    田邊 武さん(1960年生まれ)

     毎朝、15分ほどひたすら『あ』を書く。梵字。アジアをルーツの古代インド・サンスクリット語に由来を持つという。書ではあるが「書く」というより「描く」世界観から、仏教国以外でもその形状の妙で、外国でも関心を集める「書」だ。
     梵字『あ』
    は、これ。書
    くことで自分の体調や精神のありようが分かる。「時間がない時は自分の手のひらに書き、その時の自分が分かります。体調が悪い時は、思うように書けないし、何か気になることがある時も、やはり出来は良くないです」。20年前から自宅で梵字教室を開き、昨年9月には小千谷市街地でも教室を開く。「初めの頃は数人でした。いまは20人を超える方々が梵字と向き合っています。写経に通じるものがありますが、梵字には独特の世界観と精神性があります」。

     小学時代から書道が好きだった。書の面白さと奥深さに取りつかれ、30代の時、十日町市展で市展賞を取った。だが、「なんと言えばいいのでしょうか、市展賞を取ったことへの妬みでしょうか、そんな声が回りから聞こえ、嫌な感じを受けました。競うコンテストはもう止めようと、自分の世界を求めていこうと、そんな思いの時、梵字に出会いました」。
     書は続けた。川西なかまの家での書道指導は20年余り続け、いまも子どもたち向け書道教室を川西・野口の自宅で開く。 一方で梵字は、自分の思いが放たれたように、繋
    がりの世界を広げている。 すべてのモノの始まりの「あ(阿)」、すべてのモノの終わりの「うん(吽)」から、神羅万象の世界観を求め、梵字工房 「阿吽(あうん)」を主宰。号は『田邊奝武(ちょうぶ)』。国際梵字佛協会講師、梵字佛書道家であり書家である。

     今春3月25日から4月24日まで、インド南北3000㌔を旅した。インド洋・アラビア海・ベンガル湾の三つの海が交わるインド最南端「コモリン岬」から最北地カシミールまで梵字奉納の旅。インドの大学留学経験を持つ研究者と同行。南部はヒンドゥー教、いまも紛争地になっている北部カシミールはイスラム教の地。インドの国情の複雑さを肌で感じた。
     カシミールで14歳の少年、というより大人の雰囲気を持つ学生と出会った。「自分たちの言葉を含め英語など3ヵ国語を話します。彼らは生きるために言葉を覚えます。私たちを迎えてくれた人は英語はじめ地元の言葉など10ヵ国語を話します。話せなければ商売も取引もできない。生きるために言葉を身につける、日本との違いは大きいですね」。
     インド旅の道中、持参した自書の梵字『あ』と意味を英訳した資料を、出会う人たちに手渡した。その形が少しアラビア語に似ているためか関心を示した。14歳の少年は、アラビア語で書かれた「コーラン」のハンドブックを譲ってくれた。「私たちの前で、コーランを詠んでくれました。独特の抑揚の声と言葉でした。イスラム教の精神性を感じました」。
     2022年にはネパールへ梵字奉納で訪れた。「長野の小児科医の先生が、現地の乾燥地に100万本の木を植える活動を長年続け、先生が高齢で行けないため、代わりに活動支援する方と一緒に現地を訪ねました。乾燥の荒廃地が緑に変わっていて、子どもたちの病気も少なくなっていると聞きました。100万本の木運動で緑の土地に変わっていました」。
     
     梵字がつなぐ不思議な縁は、日本でも出会いを生み出している。2011東日本大震災地の地、福島・会津若松で震災供養を込め梵字展を開いた。そのギャラリー・オーナーが宇宙開発機構JAXA勤務退職の人で、ロケット開発者で奝円流梵字を広めた三井奝円氏の導きを感じている。
     一昨年は奈良・大神(おおみや)神社や三条市で梵字展を開き、今年も今月4日から21日まで大神神社で日本画などと展示会を開き、9月14日から22日までは十日町情報館で梵字展を開く。
     
     「梵字を学ぶ人が増えていることは、自分と向き合う時間を求める人が増えている証しでもあります。筆を動かし、和紙に書く、その所作の中に高い精神性があります。特に梵字はその形ひとつ一つに意味がありますから」。
     梵字奉納の国内巡りを続けている。「そうですね、まだ20都府県ちょっとでしょうか。全国を回るつもりです」。
      
    ◆バトンタッチします。
     「北村フミ子さん」

    2024年6月1日号

  • 中津川発電所と正面ヶ原開田

    小林 幸一(津南案内人)

     中津川電源開発は、都市に送る電力以外に地元の開田にも利用されました。大正8年正面ヶ原の開田事業の水源として県が発注し、用水が不足した際には、補給をするという目的で、穴藤の中津川第2発電所の取水口から従来の秋成の古田用に合流するよう灌漑用水路が引かれました。
     この灌漑用水路は、発電所工事の軌道と併設してつくられたため度々問題を起こし、地元に設立された水利組合は引き渡しを拒否し、維持管理は昭和26年まで電力側が行っていました。
     津南町史や反里口の頭首口に建立された石碑によれば、取水口から中深見の合流地点までには8か所の隧道があり、管理が大変でした。また水路の開閉権は電力会社が握っており、充分な用水は供給できませんでした。
     中津川第一発電所が完成した大正13年夏には水不足が生じ、開墾が進んだ大正15年には、正面ヶ原の5分の4の水田が枯れ死寸前になり、電力会社の利害に振り回されました。また軌道脇に併設されたことから中津川の氾濫をもろに受け、昭和23年アイオン、24年にキティと立て続きに来襲した台風で地山もろとも決壊し水田への用水は途絶えました。
     そこで多方面に陳情し、下流の石坂から揚水設備を設けたものの水路全体の老朽化が甚だしく現在の反り口頭首工工事に取り掛かりました。
    このエリアは秋山林道のような戦後の開発から外れ、土砂崩壊した場所以外は百年前の姿が残っている貴重なエリアです。

    2024年6月1日号

  • 【ありたけの金を御国へ捧げませう】

    これって開戦前夜

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     内閣官房の国民保護ポータルサイトには武力攻撃から身を守る事態への対処として全国の緊急時避難施設が載っている。例えば私の住んでいる集落なら清津峡小学校になっていて、ミサイルなどの飛来時には避難することになる。う~ん… これって戦争の準備じゃないの? でも地下構造物と違って、校舎は窓が多い造りで危なくない? と一人でブツブツ…
     他にも化学物質や生物兵器、核兵器の対処法も書いてあるが、どれも同じ口と鼻をハンカチでふさいで逃げ、避難した部屋で窓を目張りするイラストが描いてある。国民の命を守る方法としてこれで大丈夫? つまり命を守る具体策を国は自治体に丸投げして予算をつけてないのではないか? 一方で今年度の防衛費と防衛力強化関連経費の合計額は約8兆900億円(GDP比で約1・6%)に上る。【ありたけの金を御国へ捧げませう】 【黙って働き笑って納税】 先週、国会衆院本会議では有事で食料危機に陥ったとき、農家に増産を指示する食料供給困難事態対策法が可決した。これも戦争の準備では?今まで減反や農作物輸入や種苗法など農家をいじめて食料自給率を落としておいて、今度は生産計画に従わないと氏名を公表して罰金ですよ。いやはや既に戦争は始まっているのかもしれない。【増産は土の戦士の殊勲甲】
     27日の夜、沖縄県では「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中や地下に避難して下さい」とJアラートが響いた。2日前に予め北朝鮮から海上保安庁に対し、人工衛星を打ち上げると通報があった。冷静に見ればミサイルと人工衛星が同じ警報? わざと戦争の危機感を煽ってない? と思う。警報慣れしてしまうよ。【敵より怖い心のゆるみ】
     憲法改正をめぐって岸田総理は、「緊急事態・混乱の中で、国会などの機能を維持できるのかは、今まさに国民に問うべきテーマ。時代にそぐわない部分、不足している部分については、果断に見直しを行っていかなければならない」と言う。いやいや緊急時には現行法でも対処できる。緊急事態条項を含む憲法改変は必要ない。憲法遵守義務を負う立場の総理が拙速に改変を言い出すのは戦争準備のため? 緊急時となれば国民の権利や自由は制限され、権限は政府に集められる。【進め一億火の玉だ】
     このところのニュースを見ていると昔の戦争標語が頭の中をグルグル回って開戦前夜みたいな気分になってしまう。さて一杯飲んで気分転換しようかなあ…【酒で乱すな銃後の護り】 

    2024年6月1日号

  • 人の心を動かす「天狗」に

    赤澤神楽7年ぶり本舞台

    バトン受け継ぐ滝沢了さん

     郷土芸能『赤澤神楽』を現代に繋ぐ、津南町赤沢集落(123世帯)。2010年に町無形文化財指定を受けている。地元の赤澤神楽保存会(滝沢正男会長、19人)が伝統を継ぐなか、今夏8月18日、7年ぶりの本舞台公演が決まっている。演者の世代交代があるなか、赤澤神楽のエースといえる天狗を28年間務めた演者から昨年バトンを受け、令和の新たな天狗となった滝沢了さん(39)。昨秋の津南芸能フェスティバルで初舞台。

    2024年6月1日号

  • 再エネの源、それは「雪」

     再生可能エネルギーの分野は広い。太陽光・風力・地熱・有機質バイオマス、さらに自然の力を活用の再エネは多分野ある。だが、安定性から再注目は「水力発電」。昭和初期、国家事業で全国の河川で発電事業に取り組み、電力会社再編で関東エリアの東京電力はじめ、東北電力、北海道電力など全国をエリア分けした電力会社が誕生、今に至る。余談だが、東京電力だけが特定地名の社名だ。財閥のドンの一声で決まったという。「将来日本の中心は東京になる。世界に向けて日本の代表は東京。だから東京電力」なのだそうだ。
     水力発電は、ここ妻有地域にとって「共存共栄」の関係だ。発電事業者はこの国を代表する企業の東京電力・東北電力・JR東日本だ。さらに注目は、妻有の地は信濃川が創り出した日本有数の河岸段丘の地。つまり水力発電に欠かせない落差を自然が創り出し、その段丘ごとに小河川が流れている。これは「水力発電をしなさい」と天の声が言っているような地形だ。
     津南町は民間企業と組み、この段丘地を活用した小水力発電を新たに2基設ける。その発電は「地産地消」を名目に売電する。いまの東北電力より安価で提供できるかどうか、それが課題だが取組みの可能性は広がる。それはこの河岸段丘の地形が物語っている。
     その課題になるのが「水利権」の存在。今回は農業用水を活用した小水力発電だが、さらにスケールアップするには水利権が大きな課題になる。だが、様々な分野で規制緩和が進むなかで見えてくる分野がある。それは「雪」。水の前の姿である。雪が融けて水になり、流れて川になり、その水の流れがエネルギーを生む。ならば、この有り余る「雪」の権利主張をしてはどうか。
     山に降る雪、段丘地が蓄える雪、すべて水エネルギーの源である。「この雪は我が自治体の雪です」、そんな主張をしても、もういい時代ではないか。

    2024年6月1日号

  • 小水力の適地、電気「地産地消」を

    みらい・パートナーズが2発電所建設

    津南町農業用水活用

     福島第一原発事故後、より関心を集める自然エネルギー。国は温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる「2050年カーボンニュートラル」実現を掲げている。各自治体も国目標に合わせ活動を進めるなか、昨年に「ゼロカーボン戦略」を策定した津南町で、新たな小水力発電事業がスタートする。津南原高原地内に、水力発電所の開発など手がける株式会社みらい・パートナーズ」(東京・中央区、資本金8800万円。以下みらい社)が農業用水活用の水力発電所を2ヵ所(最大出力計965㌔㍗)新設する。町内の小水力発電は、農業用水活用の町直営「雑水山第二発電所」(同39㌗、2015稼働)、砂防ダム活用の関電工「上結東水力発電所」(同990㌗、2020年稼働)に続き3ヵ所目になる。

    2024年5月25日号

  • 『川西町』縁で移住、「ええ人多いね」

    奈良・川西町出身の深澤達彦さん

     「前から旧川西町や十日町市は良いところだと思っていたけど、ええ人が多くて、しゃべりやすいね」。奈良県川西町出身、3年前から松之山湯山で暮らし、松之山公民館臨時職で働く深澤達彦さん(63)は話す。
     深澤さんは高卒後、町役場に勤務しながら奈良県立大学の2部に通った。大学卒業と共に教育委員会に配属。ある日、「川西町という自治体は探せば全国のどこかにあるのでは?」と興味を抱き、探すと新潟県川西町と山形県川西町が見つかり、交流を深めたいと手紙を出した。手紙を受け取り、交流が始まったのが今の十日町市教育委員会の渡辺正範教育長。連絡を重ね交流は続いた。

    2024年6月8日号

  • 協力隊という人材、もっと声を聞きたい

     「地域おこし協力隊」。国が事業化している人材に対する補助事業で、成果を上げている成功事業は少ない。だが、唯一と言っていいほど、この地域おこし協力隊事業は2009年のスタートから年ごとに全国に広がっている。2024年3月末で7200人が全国の市町村や団体で活動し、成功している人材補助事業になっている。
     任期後の定住率は全国平均65%で、十日町市は7割を超えている。総務省の発表データには興味深い数値がある。退任後、地域の酒蔵や宿泊施設の跡取りに入った事業継承者が過去5年間で56人いる。さらに全国にその存在が知られているのが協力隊退任後、村長に就いた藤城栄文・長野県南箕輪村長。地域おこし協力隊退任者では初の自治体トップという。
     藤城氏はなぜ赴任した自治体の村長をめざしたのか。人口1万6千人余の南箕輪村。最近のデータではなんと転入者が村民の7割を超えているという。藤城氏は協力隊退任後、村議選に出て議席を得る。妻の出身地が南箕輪村だった縁があるとはいえ、協力隊活動の延長線上に行政・政治をめざすのは、相当ハードルが高い。だが、村議在職3年目にあった村長選に出た。新人同士の一騎打ちを制し村長に就いた。移住者が動き、新たな村政の誕生を後押しした形だ。その背景には15歳~49歳の女性人口が増えており、子育て重視を掲げた政策が受け入れられ44歳の藤城村長を誕生させた。来年、村制150周年を迎える村だ。
     様々なバックボーンを持つ協力隊という人材。在職中は特別公務員だ。だからと言って行政に口出し出来ないわけではないだろう。協力隊は様々な価値観を持ち、地域を見ている。その視点こそ、これからの地域づくりの新たな視点になるはず。遠慮はいらない。もっと果敢に発言、発信してはどうか。その声を、意見を聞きたい。

    2024年6月8日号

  • 「残して」、住民要望の行方は

    赤沢・倉俣・土市駐在所、来年3月廃止方針

    十日町署管内

     十日町署管内の3駐在所の廃止・統合が進められている。来年3月末で廃止方針が出ているのは、津南町の赤沢駐在所、十日町市中里地域の倉俣駐在所、同市水沢地区の土市駐在所。赤沢駐在所は津南交番に、倉俣駐在所は田沢駐在所に、土市駐在所は十日町駅前交番の管轄にそれぞれ移行。ただ駐在所廃止で「地域に警察官がいなくなるのは不安」という声が根強く上がっている。

    2024年6月1日号

  • 理想の看護の道、28人が誓う

     「最善の看護を提供できる看護師になることを誓います」、「何があっても折れない芯のある看護師をめざします」。これから本格的な実習に向かう、看護師の卵たちがナイチンゲール像の前から灯りを受け取り、理想の看護の道を進む誓いの言葉を語った。

    2024年6月1日号

  • 『毎朝書く「あ」、その日の始まり』

    田邊 武さん(1960年生まれ)

     毎朝、15分ほどひたすら『あ』を書く。梵字。アジアをルーツの古代インド・サンスクリット語に由来を持つという。書ではあるが「書く」というより「描く」世界観から、仏教国以外でもその形状の妙で、外国でも関心を集める「書」だ。
     梵字『あ』
    は、これ。書
    くことで自分の体調や精神のありようが分かる。「時間がない時は自分の手のひらに書き、その時の自分が分かります。体調が悪い時は、思うように書けないし、何か気になることがある時も、やはり出来は良くないです」。20年前から自宅で梵字教室を開き、昨年9月には小千谷市街地でも教室を開く。「初めの頃は数人でした。いまは20人を超える方々が梵字と向き合っています。写経に通じるものがありますが、梵字には独特の世界観と精神性があります」。

     小学時代から書道が好きだった。書の面白さと奥深さに取りつかれ、30代の時、十日町市展で市展賞を取った。だが、「なんと言えばいいのでしょうか、市展賞を取ったことへの妬みでしょうか、そんな声が回りから聞こえ、嫌な感じを受けました。競うコンテストはもう止めようと、自分の世界を求めていこうと、そんな思いの時、梵字に出会いました」。
     書は続けた。川西なかまの家での書道指導は20年余り続け、いまも子どもたち向け書道教室を川西・野口の自宅で開く。 一方で梵字は、自分の思いが放たれたように、繋
    がりの世界を広げている。 すべてのモノの始まりの「あ(阿)」、すべてのモノの終わりの「うん(吽)」から、神羅万象の世界観を求め、梵字工房 「阿吽(あうん)」を主宰。号は『田邊奝武(ちょうぶ)』。国際梵字佛協会講師、梵字佛書道家であり書家である。

     今春3月25日から4月24日まで、インド南北3000㌔を旅した。インド洋・アラビア海・ベンガル湾の三つの海が交わるインド最南端「コモリン岬」から最北地カシミールまで梵字奉納の旅。インドの大学留学経験を持つ研究者と同行。南部はヒンドゥー教、いまも紛争地になっている北部カシミールはイスラム教の地。インドの国情の複雑さを肌で感じた。
     カシミールで14歳の少年、というより大人の雰囲気を持つ学生と出会った。「自分たちの言葉を含め英語など3ヵ国語を話します。彼らは生きるために言葉を覚えます。私たちを迎えてくれた人は英語はじめ地元の言葉など10ヵ国語を話します。話せなければ商売も取引もできない。生きるために言葉を身につける、日本との違いは大きいですね」。
     インド旅の道中、持参した自書の梵字『あ』と意味を英訳した資料を、出会う人たちに手渡した。その形が少しアラビア語に似ているためか関心を示した。14歳の少年は、アラビア語で書かれた「コーラン」のハンドブックを譲ってくれた。「私たちの前で、コーランを詠んでくれました。独特の抑揚の声と言葉でした。イスラム教の精神性を感じました」。
     2022年にはネパールへ梵字奉納で訪れた。「長野の小児科医の先生が、現地の乾燥地に100万本の木を植える活動を長年続け、先生が高齢で行けないため、代わりに活動支援する方と一緒に現地を訪ねました。乾燥の荒廃地が緑に変わっていて、子どもたちの病気も少なくなっていると聞きました。100万本の木運動で緑の土地に変わっていました」。
     
     梵字がつなぐ不思議な縁は、日本でも出会いを生み出している。2011東日本大震災地の地、福島・会津若松で震災供養を込め梵字展を開いた。そのギャラリー・オーナーが宇宙開発機構JAXA勤務退職の人で、ロケット開発者で奝円流梵字を広めた三井奝円氏の導きを感じている。
     一昨年は奈良・大神(おおみや)神社や三条市で梵字展を開き、今年も今月4日から21日まで大神神社で日本画などと展示会を開き、9月14日から22日までは十日町情報館で梵字展を開く。
     
     「梵字を学ぶ人が増えていることは、自分と向き合う時間を求める人が増えている証しでもあります。筆を動かし、和紙に書く、その所作の中に高い精神性があります。特に梵字はその形ひとつ一つに意味がありますから」。
     梵字奉納の国内巡りを続けている。「そうですね、まだ20都府県ちょっとでしょうか。全国を回るつもりです」。
      
    ◆バトンタッチします。
     「北村フミ子さん」

    2024年6月1日号

  • 中津川発電所と正面ヶ原開田

    小林 幸一(津南案内人)

     中津川電源開発は、都市に送る電力以外に地元の開田にも利用されました。大正8年正面ヶ原の開田事業の水源として県が発注し、用水が不足した際には、補給をするという目的で、穴藤の中津川第2発電所の取水口から従来の秋成の古田用に合流するよう灌漑用水路が引かれました。
     この灌漑用水路は、発電所工事の軌道と併設してつくられたため度々問題を起こし、地元に設立された水利組合は引き渡しを拒否し、維持管理は昭和26年まで電力側が行っていました。
     津南町史や反里口の頭首口に建立された石碑によれば、取水口から中深見の合流地点までには8か所の隧道があり、管理が大変でした。また水路の開閉権は電力会社が握っており、充分な用水は供給できませんでした。
     中津川第一発電所が完成した大正13年夏には水不足が生じ、開墾が進んだ大正15年には、正面ヶ原の5分の4の水田が枯れ死寸前になり、電力会社の利害に振り回されました。また軌道脇に併設されたことから中津川の氾濫をもろに受け、昭和23年アイオン、24年にキティと立て続きに来襲した台風で地山もろとも決壊し水田への用水は途絶えました。
     そこで多方面に陳情し、下流の石坂から揚水設備を設けたものの水路全体の老朽化が甚だしく現在の反り口頭首工工事に取り掛かりました。
    このエリアは秋山林道のような戦後の開発から外れ、土砂崩壊した場所以外は百年前の姿が残っている貴重なエリアです。

    2024年6月1日号

  • 【ありたけの金を御国へ捧げませう】

    これって開戦前夜

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     内閣官房の国民保護ポータルサイトには武力攻撃から身を守る事態への対処として全国の緊急時避難施設が載っている。例えば私の住んでいる集落なら清津峡小学校になっていて、ミサイルなどの飛来時には避難することになる。う~ん… これって戦争の準備じゃないの? でも地下構造物と違って、校舎は窓が多い造りで危なくない? と一人でブツブツ…
     他にも化学物質や生物兵器、核兵器の対処法も書いてあるが、どれも同じ口と鼻をハンカチでふさいで逃げ、避難した部屋で窓を目張りするイラストが描いてある。国民の命を守る方法としてこれで大丈夫? つまり命を守る具体策を国は自治体に丸投げして予算をつけてないのではないか? 一方で今年度の防衛費と防衛力強化関連経費の合計額は約8兆900億円(GDP比で約1・6%)に上る。【ありたけの金を御国へ捧げませう】 【黙って働き笑って納税】 先週、国会衆院本会議では有事で食料危機に陥ったとき、農家に増産を指示する食料供給困難事態対策法が可決した。これも戦争の準備では?今まで減反や農作物輸入や種苗法など農家をいじめて食料自給率を落としておいて、今度は生産計画に従わないと氏名を公表して罰金ですよ。いやはや既に戦争は始まっているのかもしれない。【増産は土の戦士の殊勲甲】
     27日の夜、沖縄県では「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中や地下に避難して下さい」とJアラートが響いた。2日前に予め北朝鮮から海上保安庁に対し、人工衛星を打ち上げると通報があった。冷静に見ればミサイルと人工衛星が同じ警報? わざと戦争の危機感を煽ってない? と思う。警報慣れしてしまうよ。【敵より怖い心のゆるみ】
     憲法改正をめぐって岸田総理は、「緊急事態・混乱の中で、国会などの機能を維持できるのかは、今まさに国民に問うべきテーマ。時代にそぐわない部分、不足している部分については、果断に見直しを行っていかなければならない」と言う。いやいや緊急時には現行法でも対処できる。緊急事態条項を含む憲法改変は必要ない。憲法遵守義務を負う立場の総理が拙速に改変を言い出すのは戦争準備のため? 緊急時となれば国民の権利や自由は制限され、権限は政府に集められる。【進め一億火の玉だ】
     このところのニュースを見ていると昔の戦争標語が頭の中をグルグル回って開戦前夜みたいな気分になってしまう。さて一杯飲んで気分転換しようかなあ…【酒で乱すな銃後の護り】 

    2024年6月1日号

  • 人の心を動かす「天狗」に

    赤澤神楽7年ぶり本舞台

    バトン受け継ぐ滝沢了さん

     郷土芸能『赤澤神楽』を現代に繋ぐ、津南町赤沢集落(123世帯)。2010年に町無形文化財指定を受けている。地元の赤澤神楽保存会(滝沢正男会長、19人)が伝統を継ぐなか、今夏8月18日、7年ぶりの本舞台公演が決まっている。演者の世代交代があるなか、赤澤神楽のエースといえる天狗を28年間務めた演者から昨年バトンを受け、令和の新たな天狗となった滝沢了さん(39)。昨秋の津南芸能フェスティバルで初舞台。

    2024年6月1日号

  • 再エネの源、それは「雪」

     再生可能エネルギーの分野は広い。太陽光・風力・地熱・有機質バイオマス、さらに自然の力を活用の再エネは多分野ある。だが、安定性から再注目は「水力発電」。昭和初期、国家事業で全国の河川で発電事業に取り組み、電力会社再編で関東エリアの東京電力はじめ、東北電力、北海道電力など全国をエリア分けした電力会社が誕生、今に至る。余談だが、東京電力だけが特定地名の社名だ。財閥のドンの一声で決まったという。「将来日本の中心は東京になる。世界に向けて日本の代表は東京。だから東京電力」なのだそうだ。
     水力発電は、ここ妻有地域にとって「共存共栄」の関係だ。発電事業者はこの国を代表する企業の東京電力・東北電力・JR東日本だ。さらに注目は、妻有の地は信濃川が創り出した日本有数の河岸段丘の地。つまり水力発電に欠かせない落差を自然が創り出し、その段丘ごとに小河川が流れている。これは「水力発電をしなさい」と天の声が言っているような地形だ。
     津南町は民間企業と組み、この段丘地を活用した小水力発電を新たに2基設ける。その発電は「地産地消」を名目に売電する。いまの東北電力より安価で提供できるかどうか、それが課題だが取組みの可能性は広がる。それはこの河岸段丘の地形が物語っている。
     その課題になるのが「水利権」の存在。今回は農業用水を活用した小水力発電だが、さらにスケールアップするには水利権が大きな課題になる。だが、様々な分野で規制緩和が進むなかで見えてくる分野がある。それは「雪」。水の前の姿である。雪が融けて水になり、流れて川になり、その水の流れがエネルギーを生む。ならば、この有り余る「雪」の権利主張をしてはどうか。
     山に降る雪、段丘地が蓄える雪、すべて水エネルギーの源である。「この雪は我が自治体の雪です」、そんな主張をしても、もういい時代ではないか。

    2024年6月1日号

  • 小水力の適地、電気「地産地消」を

    みらい・パートナーズが2発電所建設

    津南町農業用水活用

     福島第一原発事故後、より関心を集める自然エネルギー。国は温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる「2050年カーボンニュートラル」実現を掲げている。各自治体も国目標に合わせ活動を進めるなか、昨年に「ゼロカーボン戦略」を策定した津南町で、新たな小水力発電事業がスタートする。津南原高原地内に、水力発電所の開発など手がける株式会社みらい・パートナーズ」(東京・中央区、資本金8800万円。以下みらい社)が農業用水活用の水力発電所を2ヵ所(最大出力計965㌔㍗)新設する。町内の小水力発電は、農業用水活用の町直営「雑水山第二発電所」(同39㌗、2015稼働)、砂防ダム活用の関電工「上結東水力発電所」(同990㌗、2020年稼働)に続き3ヵ所目になる。

    2024年5月25日号