任期満了に伴う十日町市議選は来年4月20日告示、27日投票の市長選と同時選で行うことが決まった。現定数24を5人削減し、改選定数19で実施する。すでに来春への動きが始まっている。元議長・庭野政義氏の地元で後継擁立が実現し、岡村一彦氏(62・本町7)が出馬決意を固めている。すでに地元七和地区総会で支援承認を受け、後援会づくりがスタートしている。岡村氏は「60代になり新たな挑戦をしたい気持ちがあった。住みよい十日町づくりのために頑張りたい」と決意を語る。来春の市議選改選は、定数5人減の厳しい状況で実施され、ベテラン現職の退任意向が流れるなか、今秋から年末にかけて新旧交代、現職退任表明などが相次ぐと見られている。
2024年9月28日号
『フランスに行くか、娘を選ぶか』。この言葉が人生のターニングポイントになった。
高卒後、好きな音楽をめざしギターの専門学校に上京しその後は、ブランド商品を扱う会社に入り、バイヤーを担当。その会社で上司に言われたのが『フランスで一緒に仕事をしないか』。だが、その時付き合っていた女性が居た。思い切って父親に会うと、言われたのが、あの言葉だ。
返事は、「結婚します」。生まれ、育ててくれた十日町市に戻り、所帯を持つと共に、魚沼木材協同組合に入り、建築業を下支えしている。
全く未知の業界の建築業。若い自分にとって何も分からない業界なだけに、がむしゃらになれた。早や20数年、建築業界に身を置きながら、厳しい現実と向き合う日々だ。
「職人不足」、
「なり手不足」…人の暮らしを支える根源的な業種・職人が激減している現実を目の当たりにしている。魚沼木材協同組合は製材業者が共同で丸太を購入する為に設立。しかし時代の流れで今では工務店が9割を占める事業体。初心者にとって大工職人との付き合いは、なかなか厳しいものだった。
『なにやってらんだ、こんな事もしらねぇんか、出直して来い』…など、職人気質がむき出しの業界だが、そのぶっきらぼうの中に、いつも「愛情」を感じていた。『いいか、分からなければ、聞くことだ。そうすれば教えてやら』。その言葉の通り、何度も何度も聞くと、ていねいに教えてくれ、それが自分の自信・知識につながった。商品の配達から営業まで担当するようになり、少しずつ信頼関係が出来ていった。
家づくりも時代と共に変わって来た。だが、「一人ひとりの思いは違っていても、家づくりという事は同じです。でも、その家は一つとして同じものはありません。職人の皆さんは、そこをとても大事にしています」。人口減少で家づくりは減少し、中魚沼地域では25年前に比べ新築着工棟数は4分の1まで落ち込んでいる。「家づくりから、新たな需要を掘り起こす取り組みが必要になっています」。
役員になり、組合加盟60社余りを回る。各社の事情は様々だが、共通する一つが職人不足。「若い人たちは建築という仕事には関心がありますが、年間通じての安定性や福利厚生の部分を先ず考えるようで、雇用体制が課題です」。
5月から11月が建築ラッシュ。大工職人は時には昼夜なく働く。だが冬季は「休業状態」。出稼ぎや冬季解雇、スキー場で働く人も。苦い経験もある。「入組2年目の冬でした。大工さんの工場へ行くと車の塗装をしてました。『おい石、どっかに仕事ねぇーか、大工してぇーよ』と言われたんですが、自分には何もできない、それが悔しかったですね」。だがその時思った。「いつか必ずお世話になった恩を返したい」と。
伝統業である建築をなんとかしたい思いは人一倍強い。「新築やリフォームのほかに、他の形でこの伝統業、大工職人の技を使った仕事が作れないかと考えています。特に冬場の空く時間で出来る事が無いかとアイデアを出し合い、伝統ある建築業をもっと元気にしたいと今は動いています」。それは市外、県外、国外へも視野を広げている。「先ずはチャレンジです。何事も挑戦しなければ始まらないですから」。
次代を担う子どもたちから建築に目を向ける場を創り出している。木工教室、まちの産業発見塾、建前体験などの各催事に出店しPR。「小さい時のモノ創り体験の喜びは、大きくなった時に記憶がよみがえり、将来の仕事の選択肢になってもらえれば嬉しい。大工職人の技術の素晴らしさ、その魅力を多くの人からもっと知ってもらいたいですね」。
地震など災害による住宅被害は年々増している。「頼りになるのは身近な大工さんですよ。職人不足は地域の防災にもつながります。この伝統業、大工職人を後世につなげる取り組み、皆さんで取り組みませんか」。
▼バトンタッチします
斉木宏幸さん
2024年9月28日号
いつも好きなことを書いているように思われているらしいが、こちらはこちらで苦労がある。
まず、これでも遠慮しながら書いている。2つ目には、原稿を書いてから発行日までのタイムラグによって的外れなものになることがある。3つ目に、「オピニオン」全体のバランスを見、私の個性が出ていて、読者から喜んで読んでいただけるものを書きたい。原発問題を3回続けて書いたくせに。4つ目に、年取って原稿を書くのに時間がかかる。まだまだあるが、本題である。
私は「十日町・津南地域自治研究所」という小さな会の代表になっている。自治研で6月に「エネルギー問題連続講座」を開き、本紙でも大きく取り上げていただいた。
講演後、一人の参加者から「学習会でなく運動を始める段階だ」と発破をかけられ、私は7月6日本欄で振り返り記事を書き、「柏崎刈羽原発再稼働は県民投票で」とタイトルを付けた。
それがいよいよ実現する。11月から「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」が各市町村で一斉に県民投票条例の制定を求める署名活動に入るのだ。十日町市・津南町でも態勢が整いつつある。
昨年末に規制委が運転禁止命令を解除してから、国、東電による再稼働準備は急ピッチで進みつつある。柏崎・刈羽の再稼働同意はほぼ間違いない。残るは県の同意だけ。
花角知事は「県民の信を問う」と繰り返すばかりで、その手法は明らかにしていない。県知事が迷っておられるのなら、県民投票をお勧めしたい。
この4月、福島第一原発事故の現地を見てきた。大勢の人が故郷に戻れず、強制避難区域9町村の産業は立ち直れない。770㌧のデブリのほんの数グラムの取り出しでもたついているようでは廃炉の見通しは暗い。
この重大事故を見れば、県知事一人の判断、専門家の答申、議会の意見など、空しいばかりだ。
地方自治とは、自分たちのことは、自分たちで決めること。それには、県民投票しかない。県議会で県民投票条例を作らせるためには、圧倒的な数の署名が必要になる。どうかご協力を。
また、自治研では11月4日に全国農民運動連合会会長の長谷川敏郎氏を招いて農業講演会を開催する。この地域では農業が主産業で、農業の発展なくして地域の未来はない。全国農民連会長とともにこの地の農業について考えよう。
別途、ご案内します。
2024年9月28日号
カラムシは繊維を採るために古くから栽培されてきた植物である。その葉を食草として繁栄してきた昆虫が「フクラスズメ」という蛾と「アカタテハ」という蝶である。
フクラスズメの幼虫(左・写真)は派手な色合いだからよく目だつ。時々大発生して、カラムシを丸坊主にしてしまうことがある。近づくと上半身を細かく振って威嚇するのが嫌だ。捕まえようとすると地面に落っこちて逃げ延びる。
アカタテハの幼虫(右・写真)も人目を引く。といっても幼虫自体の色合いは地味だ。目だつのは葉を綴って作る巣である。カラムシの葉は裏に綿毛が密生することから白い袋がぶら下がったように見えるのだ。その中で蛹となる。
秋に発生したものはどちらも成虫となって越冬する。暖冬だと途中で目覚めてしまい命を落とすことも多い。
2024年9月28日号
「日々一生懸命なだけです。私が頼りないから、いろんな方が助けてくれたおかげで今があります」。今月1日に開業10年を迎えた津南町正面の菓子店『ママのおやつ』店主の早河史恵さん(52、羽倉)は微笑んだ。これからも地域の食材を取り入れたお菓子作りに変わらず挑み続けるつもりだ。
夫が代表を務める農業法人フェアリーズファーム(早河聖光社長)の6次産業化をめざす菓子店として始まったママのおやつ。津南産コシヒカリ米粉使用のロールケーキやシュークリーム、自家産卵使用のプリンの3種類から始まった。開店後から史恵さんの出身地である神奈川県に住む洋菓子シェフの指導を受けながらレシピを増やし、今は4百種余になった。「外に名前が出ることを好まない先生なので名前は出せんが、日本の洋菓子界をけん引してきた方。SNSを通し社長と縁が生まれ、指導を受け続けています」。
2024年9月28日号
秋は政治の季節、いつ頃からか呼称が付いた。与野党対決、その代名詞は衆院総選挙。特に小選挙区制になってから対決の構図はより鮮明になっている。だが、この小選挙区制、政権与党にとっては政権維持の最良の選挙制度だ。事実、自民・公明の自公政権の維持・継続はこの小選挙区制が後押ししているといえる。まして比例復活、惜敗率復活など、救済措置が議席維持、政権維持を支えている。選挙制度改正は、そうそう簡単には出来ないが、この秋、初秋になるか晩秋になるかは不確定だが、衆院選は確実にある。それも現行制度の小選挙区制で。自公政権に対抗する野党、立憲民主を軸にした野党戦力が、どれだけ集結できるか、この一点に掛かっている。
一足早く立憲民主の代表が決まった。その顔は、自民・安倍首相との党首討論で「売られたケンカを買ってしまった」野田氏が返り就いた。あの時、政治の流れが急展開し、その時の衆院選で民主は下野し、自公政権が復活し、その後は安倍政治が続き、次々と「解釈変更」や「制度改悪」で国の行政システムを変え、政権者の都合が良い国のシステムが出来上がってしまった。その弊害多き政治状況を、今度の衆院選でどう改善できるか、それもこれも獲得する議席数で全てが決まる。やはり、現行の小選挙区制は時の政権維持のための選挙制度だ。
注目は野党共闘・協力の実現の進度だろう。衆院新潟新5区。現状は共に現職の立憲・梅谷守氏と自民・高鳥修一氏の4度目の対決が濃厚だ。だが、両氏とも「傷」を持つ身だ。第三の候補が手を上げれば、ここ新5区は全国注視の選挙区になるだろう。見渡せば、居ないことはないようだ。
政治の秋。全山紅葉のように熱く燃えるのか、秋冷のように有権者の視線は冷え冷えするのか。次の時代の選択の選挙、それが今度の衆院選だ。
2024年9月28日号
「今年こそ多く帰って来てほしいが…」。サケ遡上期が本格化する前に関係者は願うが、自然環境は厳しそうだ。JR東日本は18日、サケ捕獲調査のためのトラップを宮中取水ダムの大型魚道に今年も2機設置。サケ遡上の最盛期である10月1~31日の期間、毎日朝昼晩3回調査を行う。ただサケ遡上は近年減少。JR東の調査では一昨年は141匹(調査期間9月11日~11月10日の61日間)、昨年は49匹(同10月1~31日の31日間)に留まる。日本海の海水温が高い状況が続く影響などが考えられているが、「1匹でも多く帰って来て」と願う声は多い。
2024年9月21日号
中学部活動の地域移行に伴うクラブ化が今大会の県中学駅伝に影響が出そうだ。来月から地区予選が始まるなか、女子チームを中心に力のある選手をクラブに獲得して大会に出場する動きが出ている模様だ。昨年、男女そろって3年連続4回目の全国出場をめざした十日町南中・瀧澤慶太監督は「強い選手を集めているというクラブチームがあると聞いている。過熱しすぎないといいのだが」と一部クラブチームの動きを疑問視している。
2024年9月21日号
人と人とに流れる時間、時には酒、時には美容、時には手芸クラフト…その繋がりを、時には居酒屋で、時には寿司屋で、時にはイベント、人と人を繋いできた。その時々にいつも思っていた。『いつか自分の店がもちたい、と』。
2年前の正月、親戚同士のいつもの集まりがあった。「旦那のいとこが千葉の自宅でエステサロンと脱毛サロンもしていると聞いて興味を持ちました」。
脱毛サロンがあまりない十日町市で開業したら喜ばれると感じた瞬間、体は動いていた。
「すぐに自分で色々調べ、オンライン授業や実技研修ができるところを探していましたね」。講師を探すと同時に「もう店を開くって決めていたので、店舗も同時に探していました」。店舗を探し始めると、偶然か必然か、元美容室だった物件が見つかった。「いい場所だなって、すぐに決めたんです」。昨年10月から受講を進め、今年7月29日に脱毛サロン『NICORI』を中条にオープン。
十日町市吉田に生まれ小学時はクロスカントリースキーに打ち込んだ。「市内で1位をとるほど頑張っていたんですよ」。20歳の時に「突然、東京に行きたい、と思って上京しました」。都内に引っ越し、飲食業やテレアポなど様々な業種を経験。全て人と関わる仕事だった。十日町市にある『タナカクマキチ。』の姉妹店『タナカクマキチTOKYO.』も、その一つ。「タナカクマキチ。のフジロック出店スタッフ募集をみて応募し、それがきっかけでタナカクマキチTOKYO.で働くようになりました」。
働く中で、多くの地元人とも知り合い仲間が増えていく喜びを感じた。「知らなかった地元の人とも出会えて多くの友だちもできました。仲間で飲める時間が楽しかったですね」。 仲間内で出会いがあり結婚を機に十日町市に帰郷。その後も市内『タナカクマキチ。』で働き、接客業を学んだ。「クマキチさんには東京も含めて10年程お世話になり感謝しています」。
出産後、ハンドメイドに夢中になった。「子どもが生まれた後、可愛い帽子の写真があって、周りには売ってないから自分で作ってみたのが始まりでした」。我が子に作ったはずが、まわりからの要望もありイベントなどで出品。生花を加工したアクセサリーも作り喜ばれた。
「今は、制作は少しお休みしていますが、その時のお店の名前が『NICORI』だったのでそのまま使いました。NICORIは、ニコニコという意味で、お客さんに笑顔になって欲しくて名付けたんです」。
脱毛サロンは、自然素材の砂糖、水、レモン果汁を合わせたペースト
状のものを肌に塗り、はがしていくシュガーリング施術。「抜く時は少し痛い
んですが、安心できる素材で作ってあるのでお肌にも地球にも優しいんです」。肌に優しいと小学生から大人まで幅広く来客がある。
「皆さん、脱毛後は綺麗になった、つるつるになったーって喜んでもらえるのが本当にうれしいですね」今後は、光フェイシャルや光脱毛も取り入れ、男性客なども視野に入れてる。「お客さんが癒された姿を見るのが癒しですね。接客って楽しいです」。
元気盛りの小学生の息子2人がエネルギー源。「自分の店が持ちたいという夢が1つ叶ったので、次は自分の家を持つことが私の、そして子どもたちの夢でもあります」。子どもたちから「ママ頑張れって言ってもらうことが励みになりますね」。
▼バトンタッチします
石沢陽一さん
2024年9月21日号
口腔ケアと病気についてシリーズでお送りしています。前回お話したティートゥリーのアロマオイルやハーブウォーター、たかき医院の在庫がなくなるほど皆さんにご購入いただいております。まだ手にしていないという方は是非いらしてくださいね!
さて、最近の研究で、女性ホルモンと歯周病が大きく関係していることが分かっています。特にエストロゲンという女性ホルモンがある特定の歯周病原細菌の増殖を促すこと、また、歯肉を形作る細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。
そのほか、プロゲステロンというホルモンは歯肉の浮腫を誘発して歯磨き時の出血を引き起こしたり、免疫システムの働きを抑制したり、炎症の元であるプロスタグランジンを刺激します。
「月経前になると食欲がすごくなる!」という話を聞いたことがありませんか? 実際に食欲だけでなく味覚や味の好みなども、女性ホルモンのバランスの変化などに伴い影響を受けます。月経のある女性なら一度は経験したことではないでしょうか。
思春期は成長のために身体の中を流れるホルモンに変化が生じ、プロゲステロンやエストロゲンといったホルモンが増え続け、歯肉への血流量が増えます。
その結果、新陳代謝が活発になり、プラークなどの刺激物への反応が高くなり、歯ぐきが腫れて破れやすくなるのです。月経のたびに歯ぐきが腫れやすくなるほか、試験勉強などでストレスがかかり、免疫力が低下して悪化することもあります。
「ストレスは万病のもと」とよく言いますが、強いストレスや緊張がかかると、唾液の分泌量はリラックス時に比べて約3割減少するといわれています。
唾液は口の中の細菌を洗い流し、免疫を高め、虫歯菌で溶かされ始めた歯の表面を修復したり、そのものに抗菌作用があるため、分泌量が減るというのは歯周病のリスクを高めます。
コロナ禍はマスクをずっと着用していなければならず、水分摂取が少なくなってドライマウスになりやすく、さらに感染に恐々としてストレスの大きい日々だったといえます。
ストレスが大きいときは、自律神経のうちの交感神経という私たちが活動時に働く神経活動が優位になります。交感神経が優位な状態では、粘り気の強い唾液を多く分泌する顎下腺と舌下線が刺激されます。
唾液の分泌量が減り、口の中がねばねばした状態になることでのどが渇きます。
リラックスしているときは、私たちが安静時に働く副交感神経活動が優位になります。副交感神経が優位な状態では、粘り気の低いサラサラの唾液を多く分泌する耳下腺が刺激されるため、口の中が潤います。
日ごろのストレスを解消する方法として良い音楽を聴く、という方も多いかと思います。
来たる10月4日の18時半から90分、たかき医院の待合ホールでクリスタルボウル演奏の第一人者である牧野持侑さんをお招きして「音による癒し」倍音浴のコンサートを行います。20分の生演奏を聴くことで8時間の睡眠に匹敵するともいわれるクリスタルボウルの演奏をお聞きになりたい方、ぜひ! たかき医院までご連絡ください。(たかき医院・仲栄美子院長)
2024年9月21日号
任期満了に伴う十日町市議選は来年4月20日告示、27日投票の市長選と同時選で行うことが決まった。現定数24を5人削減し、改選定数19で実施する。すでに来春への動きが始まっている。元議長・庭野政義氏の地元で後継擁立が実現し、岡村一彦氏(62・本町7)が出馬決意を固めている。すでに地元七和地区総会で支援承認を受け、後援会づくりがスタートしている。岡村氏は「60代になり新たな挑戦をしたい気持ちがあった。住みよい十日町づくりのために頑張りたい」と決意を語る。来春の市議選改選は、定数5人減の厳しい状況で実施され、ベテラン現職の退任意向が流れるなか、今秋から年末にかけて新旧交代、現職退任表明などが相次ぐと見られている。
2024年9月28日号
『フランスに行くか、娘を選ぶか』。この言葉が人生のターニングポイントになった。
高卒後、好きな音楽をめざしギターの専門学校に上京しその後は、ブランド商品を扱う会社に入り、バイヤーを担当。その会社で上司に言われたのが『フランスで一緒に仕事をしないか』。だが、その時付き合っていた女性が居た。思い切って父親に会うと、言われたのが、あの言葉だ。
返事は、「結婚します」。生まれ、育ててくれた十日町市に戻り、所帯を持つと共に、魚沼木材協同組合に入り、建築業を下支えしている。
全く未知の業界の建築業。若い自分にとって何も分からない業界なだけに、がむしゃらになれた。早や20数年、建築業界に身を置きながら、厳しい現実と向き合う日々だ。
「職人不足」、
「なり手不足」…人の暮らしを支える根源的な業種・職人が激減している現実を目の当たりにしている。魚沼木材協同組合は製材業者が共同で丸太を購入する為に設立。しかし時代の流れで今では工務店が9割を占める事業体。初心者にとって大工職人との付き合いは、なかなか厳しいものだった。
『なにやってらんだ、こんな事もしらねぇんか、出直して来い』…など、職人気質がむき出しの業界だが、そのぶっきらぼうの中に、いつも「愛情」を感じていた。『いいか、分からなければ、聞くことだ。そうすれば教えてやら』。その言葉の通り、何度も何度も聞くと、ていねいに教えてくれ、それが自分の自信・知識につながった。商品の配達から営業まで担当するようになり、少しずつ信頼関係が出来ていった。
家づくりも時代と共に変わって来た。だが、「一人ひとりの思いは違っていても、家づくりという事は同じです。でも、その家は一つとして同じものはありません。職人の皆さんは、そこをとても大事にしています」。人口減少で家づくりは減少し、中魚沼地域では25年前に比べ新築着工棟数は4分の1まで落ち込んでいる。「家づくりから、新たな需要を掘り起こす取り組みが必要になっています」。
役員になり、組合加盟60社余りを回る。各社の事情は様々だが、共通する一つが職人不足。「若い人たちは建築という仕事には関心がありますが、年間通じての安定性や福利厚生の部分を先ず考えるようで、雇用体制が課題です」。
5月から11月が建築ラッシュ。大工職人は時には昼夜なく働く。だが冬季は「休業状態」。出稼ぎや冬季解雇、スキー場で働く人も。苦い経験もある。「入組2年目の冬でした。大工さんの工場へ行くと車の塗装をしてました。『おい石、どっかに仕事ねぇーか、大工してぇーよ』と言われたんですが、自分には何もできない、それが悔しかったですね」。だがその時思った。「いつか必ずお世話になった恩を返したい」と。
伝統業である建築をなんとかしたい思いは人一倍強い。「新築やリフォームのほかに、他の形でこの伝統業、大工職人の技を使った仕事が作れないかと考えています。特に冬場の空く時間で出来る事が無いかとアイデアを出し合い、伝統ある建築業をもっと元気にしたいと今は動いています」。それは市外、県外、国外へも視野を広げている。「先ずはチャレンジです。何事も挑戦しなければ始まらないですから」。
次代を担う子どもたちから建築に目を向ける場を創り出している。木工教室、まちの産業発見塾、建前体験などの各催事に出店しPR。「小さい時のモノ創り体験の喜びは、大きくなった時に記憶がよみがえり、将来の仕事の選択肢になってもらえれば嬉しい。大工職人の技術の素晴らしさ、その魅力を多くの人からもっと知ってもらいたいですね」。
地震など災害による住宅被害は年々増している。「頼りになるのは身近な大工さんですよ。職人不足は地域の防災にもつながります。この伝統業、大工職人を後世につなげる取り組み、皆さんで取り組みませんか」。
▼バトンタッチします
斉木宏幸さん
2024年9月28日号
いつも好きなことを書いているように思われているらしいが、こちらはこちらで苦労がある。
まず、これでも遠慮しながら書いている。2つ目には、原稿を書いてから発行日までのタイムラグによって的外れなものになることがある。3つ目に、「オピニオン」全体のバランスを見、私の個性が出ていて、読者から喜んで読んでいただけるものを書きたい。原発問題を3回続けて書いたくせに。4つ目に、年取って原稿を書くのに時間がかかる。まだまだあるが、本題である。
私は「十日町・津南地域自治研究所」という小さな会の代表になっている。自治研で6月に「エネルギー問題連続講座」を開き、本紙でも大きく取り上げていただいた。
講演後、一人の参加者から「学習会でなく運動を始める段階だ」と発破をかけられ、私は7月6日本欄で振り返り記事を書き、「柏崎刈羽原発再稼働は県民投票で」とタイトルを付けた。
それがいよいよ実現する。11月から「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」が各市町村で一斉に県民投票条例の制定を求める署名活動に入るのだ。十日町市・津南町でも態勢が整いつつある。
昨年末に規制委が運転禁止命令を解除してから、国、東電による再稼働準備は急ピッチで進みつつある。柏崎・刈羽の再稼働同意はほぼ間違いない。残るは県の同意だけ。
花角知事は「県民の信を問う」と繰り返すばかりで、その手法は明らかにしていない。県知事が迷っておられるのなら、県民投票をお勧めしたい。
この4月、福島第一原発事故の現地を見てきた。大勢の人が故郷に戻れず、強制避難区域9町村の産業は立ち直れない。770㌧のデブリのほんの数グラムの取り出しでもたついているようでは廃炉の見通しは暗い。
この重大事故を見れば、県知事一人の判断、専門家の答申、議会の意見など、空しいばかりだ。
地方自治とは、自分たちのことは、自分たちで決めること。それには、県民投票しかない。県議会で県民投票条例を作らせるためには、圧倒的な数の署名が必要になる。どうかご協力を。
また、自治研では11月4日に全国農民運動連合会会長の長谷川敏郎氏を招いて農業講演会を開催する。この地域では農業が主産業で、農業の発展なくして地域の未来はない。全国農民連会長とともにこの地の農業について考えよう。
別途、ご案内します。
2024年9月28日号
カラムシは繊維を採るために古くから栽培されてきた植物である。その葉を食草として繁栄してきた昆虫が「フクラスズメ」という蛾と「アカタテハ」という蝶である。
フクラスズメの幼虫(左・写真)は派手な色合いだからよく目だつ。時々大発生して、カラムシを丸坊主にしてしまうことがある。近づくと上半身を細かく振って威嚇するのが嫌だ。捕まえようとすると地面に落っこちて逃げ延びる。
アカタテハの幼虫(右・写真)も人目を引く。といっても幼虫自体の色合いは地味だ。目だつのは葉を綴って作る巣である。カラムシの葉は裏に綿毛が密生することから白い袋がぶら下がったように見えるのだ。その中で蛹となる。
秋に発生したものはどちらも成虫となって越冬する。暖冬だと途中で目覚めてしまい命を落とすことも多い。
2024年9月28日号
「日々一生懸命なだけです。私が頼りないから、いろんな方が助けてくれたおかげで今があります」。今月1日に開業10年を迎えた津南町正面の菓子店『ママのおやつ』店主の早河史恵さん(52、羽倉)は微笑んだ。これからも地域の食材を取り入れたお菓子作りに変わらず挑み続けるつもりだ。
夫が代表を務める農業法人フェアリーズファーム(早河聖光社長)の6次産業化をめざす菓子店として始まったママのおやつ。津南産コシヒカリ米粉使用のロールケーキやシュークリーム、自家産卵使用のプリンの3種類から始まった。開店後から史恵さんの出身地である神奈川県に住む洋菓子シェフの指導を受けながらレシピを増やし、今は4百種余になった。「外に名前が出ることを好まない先生なので名前は出せんが、日本の洋菓子界をけん引してきた方。SNSを通し社長と縁が生まれ、指導を受け続けています」。
2024年9月28日号
秋は政治の季節、いつ頃からか呼称が付いた。与野党対決、その代名詞は衆院総選挙。特に小選挙区制になってから対決の構図はより鮮明になっている。だが、この小選挙区制、政権与党にとっては政権維持の最良の選挙制度だ。事実、自民・公明の自公政権の維持・継続はこの小選挙区制が後押ししているといえる。まして比例復活、惜敗率復活など、救済措置が議席維持、政権維持を支えている。選挙制度改正は、そうそう簡単には出来ないが、この秋、初秋になるか晩秋になるかは不確定だが、衆院選は確実にある。それも現行制度の小選挙区制で。自公政権に対抗する野党、立憲民主を軸にした野党戦力が、どれだけ集結できるか、この一点に掛かっている。
一足早く立憲民主の代表が決まった。その顔は、自民・安倍首相との党首討論で「売られたケンカを買ってしまった」野田氏が返り就いた。あの時、政治の流れが急展開し、その時の衆院選で民主は下野し、自公政権が復活し、その後は安倍政治が続き、次々と「解釈変更」や「制度改悪」で国の行政システムを変え、政権者の都合が良い国のシステムが出来上がってしまった。その弊害多き政治状況を、今度の衆院選でどう改善できるか、それもこれも獲得する議席数で全てが決まる。やはり、現行の小選挙区制は時の政権維持のための選挙制度だ。
注目は野党共闘・協力の実現の進度だろう。衆院新潟新5区。現状は共に現職の立憲・梅谷守氏と自民・高鳥修一氏の4度目の対決が濃厚だ。だが、両氏とも「傷」を持つ身だ。第三の候補が手を上げれば、ここ新5区は全国注視の選挙区になるだろう。見渡せば、居ないことはないようだ。
政治の秋。全山紅葉のように熱く燃えるのか、秋冷のように有権者の視線は冷え冷えするのか。次の時代の選択の選挙、それが今度の衆院選だ。
2024年9月28日号
「今年こそ多く帰って来てほしいが…」。サケ遡上期が本格化する前に関係者は願うが、自然環境は厳しそうだ。JR東日本は18日、サケ捕獲調査のためのトラップを宮中取水ダムの大型魚道に今年も2機設置。サケ遡上の最盛期である10月1~31日の期間、毎日朝昼晩3回調査を行う。ただサケ遡上は近年減少。JR東の調査では一昨年は141匹(調査期間9月11日~11月10日の61日間)、昨年は49匹(同10月1~31日の31日間)に留まる。日本海の海水温が高い状況が続く影響などが考えられているが、「1匹でも多く帰って来て」と願う声は多い。
2024年9月21日号
中学部活動の地域移行に伴うクラブ化が今大会の県中学駅伝に影響が出そうだ。来月から地区予選が始まるなか、女子チームを中心に力のある選手をクラブに獲得して大会に出場する動きが出ている模様だ。昨年、男女そろって3年連続4回目の全国出場をめざした十日町南中・瀧澤慶太監督は「強い選手を集めているというクラブチームがあると聞いている。過熱しすぎないといいのだが」と一部クラブチームの動きを疑問視している。
2024年9月21日号
人と人とに流れる時間、時には酒、時には美容、時には手芸クラフト…その繋がりを、時には居酒屋で、時には寿司屋で、時にはイベント、人と人を繋いできた。その時々にいつも思っていた。『いつか自分の店がもちたい、と』。
2年前の正月、親戚同士のいつもの集まりがあった。「旦那のいとこが千葉の自宅でエステサロンと脱毛サロンもしていると聞いて興味を持ちました」。
脱毛サロンがあまりない十日町市で開業したら喜ばれると感じた瞬間、体は動いていた。
「すぐに自分で色々調べ、オンライン授業や実技研修ができるところを探していましたね」。講師を探すと同時に「もう店を開くって決めていたので、店舗も同時に探していました」。店舗を探し始めると、偶然か必然か、元美容室だった物件が見つかった。「いい場所だなって、すぐに決めたんです」。昨年10月から受講を進め、今年7月29日に脱毛サロン『NICORI』を中条にオープン。
十日町市吉田に生まれ小学時はクロスカントリースキーに打ち込んだ。「市内で1位をとるほど頑張っていたんですよ」。20歳の時に「突然、東京に行きたい、と思って上京しました」。都内に引っ越し、飲食業やテレアポなど様々な業種を経験。全て人と関わる仕事だった。十日町市にある『タナカクマキチ。』の姉妹店『タナカクマキチTOKYO.』も、その一つ。「タナカクマキチ。のフジロック出店スタッフ募集をみて応募し、それがきっかけでタナカクマキチTOKYO.で働くようになりました」。
働く中で、多くの地元人とも知り合い仲間が増えていく喜びを感じた。「知らなかった地元の人とも出会えて多くの友だちもできました。仲間で飲める時間が楽しかったですね」。 仲間内で出会いがあり結婚を機に十日町市に帰郷。その後も市内『タナカクマキチ。』で働き、接客業を学んだ。「クマキチさんには東京も含めて10年程お世話になり感謝しています」。
出産後、ハンドメイドに夢中になった。「子どもが生まれた後、可愛い帽子の写真があって、周りには売ってないから自分で作ってみたのが始まりでした」。我が子に作ったはずが、まわりからの要望もありイベントなどで出品。生花を加工したアクセサリーも作り喜ばれた。
「今は、制作は少しお休みしていますが、その時のお店の名前が『NICORI』だったのでそのまま使いました。NICORIは、ニコニコという意味で、お客さんに笑顔になって欲しくて名付けたんです」。
脱毛サロンは、自然素材の砂糖、水、レモン果汁を合わせたペースト
状のものを肌に塗り、はがしていくシュガーリング施術。「抜く時は少し痛い
んですが、安心できる素材で作ってあるのでお肌にも地球にも優しいんです」。肌に優しいと小学生から大人まで幅広く来客がある。
「皆さん、脱毛後は綺麗になった、つるつるになったーって喜んでもらえるのが本当にうれしいですね」今後は、光フェイシャルや光脱毛も取り入れ、男性客なども視野に入れてる。「お客さんが癒された姿を見るのが癒しですね。接客って楽しいです」。
元気盛りの小学生の息子2人がエネルギー源。「自分の店が持ちたいという夢が1つ叶ったので、次は自分の家を持つことが私の、そして子どもたちの夢でもあります」。子どもたちから「ママ頑張れって言ってもらうことが励みになりますね」。
▼バトンタッチします
石沢陽一さん
2024年9月21日号
口腔ケアと病気についてシリーズでお送りしています。前回お話したティートゥリーのアロマオイルやハーブウォーター、たかき医院の在庫がなくなるほど皆さんにご購入いただいております。まだ手にしていないという方は是非いらしてくださいね!
さて、最近の研究で、女性ホルモンと歯周病が大きく関係していることが分かっています。特にエストロゲンという女性ホルモンがある特定の歯周病原細菌の増殖を促すこと、また、歯肉を形作る細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。
そのほか、プロゲステロンというホルモンは歯肉の浮腫を誘発して歯磨き時の出血を引き起こしたり、免疫システムの働きを抑制したり、炎症の元であるプロスタグランジンを刺激します。
「月経前になると食欲がすごくなる!」という話を聞いたことがありませんか? 実際に食欲だけでなく味覚や味の好みなども、女性ホルモンのバランスの変化などに伴い影響を受けます。月経のある女性なら一度は経験したことではないでしょうか。
思春期は成長のために身体の中を流れるホルモンに変化が生じ、プロゲステロンやエストロゲンといったホルモンが増え続け、歯肉への血流量が増えます。
その結果、新陳代謝が活発になり、プラークなどの刺激物への反応が高くなり、歯ぐきが腫れて破れやすくなるのです。月経のたびに歯ぐきが腫れやすくなるほか、試験勉強などでストレスがかかり、免疫力が低下して悪化することもあります。
「ストレスは万病のもと」とよく言いますが、強いストレスや緊張がかかると、唾液の分泌量はリラックス時に比べて約3割減少するといわれています。
唾液は口の中の細菌を洗い流し、免疫を高め、虫歯菌で溶かされ始めた歯の表面を修復したり、そのものに抗菌作用があるため、分泌量が減るというのは歯周病のリスクを高めます。
コロナ禍はマスクをずっと着用していなければならず、水分摂取が少なくなってドライマウスになりやすく、さらに感染に恐々としてストレスの大きい日々だったといえます。
ストレスが大きいときは、自律神経のうちの交感神経という私たちが活動時に働く神経活動が優位になります。交感神経が優位な状態では、粘り気の強い唾液を多く分泌する顎下腺と舌下線が刺激されます。
唾液の分泌量が減り、口の中がねばねばした状態になることでのどが渇きます。
リラックスしているときは、私たちが安静時に働く副交感神経活動が優位になります。副交感神経が優位な状態では、粘り気の低いサラサラの唾液を多く分泌する耳下腺が刺激されるため、口の中が潤います。
日ごろのストレスを解消する方法として良い音楽を聴く、という方も多いかと思います。
来たる10月4日の18時半から90分、たかき医院の待合ホールでクリスタルボウル演奏の第一人者である牧野持侑さんをお招きして「音による癒し」倍音浴のコンサートを行います。20分の生演奏を聴くことで8時間の睡眠に匹敵するともいわれるクリスタルボウルの演奏をお聞きになりたい方、ぜひ! たかき医院までご連絡ください。(たかき医院・仲栄美子院長)
2024年9月21日号