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妻有新聞掲載記事一覧

  • 危うい、地方自治法改正

     またも「その他」の危うさが表出している。国と地方の関係を『対等』と法で規定する地方自治法。その改正案が今国会に提案された。改正案の中で『指示権』を拡大し、国の裁量を広げる余地を作った。それが『その他』。改正案では国が指示権を発動できる場面として「大規模な災害」「感染症の蔓延」「その他」とする。この「その他」は『国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、または発生する恐れがある場合』と、字面は一般的な表現だが、それは逆に「国・政府の解釈による裁量部分が広がり『思いのまま』の指示権」となる怖れがある。相当なる危うさが秘められている。
     なぜ国・政府は地方自治法の改正に踏み切るのか。その説明では新型コロナウイルス感染拡大の時の国と地方の関係性から見える教訓を上げる。新型コロナ禍で地方が国方針に異を唱えたことが、改正論議を進め、首相の諮問機関で政権の後押し機関でもある地制調・地方制度調査会が昨年12月、「必要な指示を行えるように」と答申し、今国会への改正案提出となった。
     一方的な指示権ではないにしろ、事前に地方自治体の意見を聞くなど「適切な対応に努めなければならない」との文言はあるが、適切な対応とは、ここもかなり危うい。『その他』の範囲は政府の裁量にあり、相当に広い解釈が可能になっている。
     この国の危うさは、憲法の解釈を都合良く「拡大解釈」や「独自解釈」により、有事法制や最近の武器輸出など、法治国家を逆手にとった政策がまかり通っている現実にあり、相当に危うい。
     今国会に提案の地方自治法改正、これまでの「対等」から「上下・主従」を含ませた改正案である点は、とても看過できない。国政策をゴリ押ししたマイナンバー、その登録率を地方交付税交付に反映など、指示権につながる危うさだ。地方の声上げの時だ。

    2024年4月6日号

  • 「早期開通を」、中京・関西圏繋ぐ

    トンネル貫通、供用開始3年後

    灰雨バイパス

     改良により地域の安心安全道路であり、中京圏や関西圏と妻有地域を繋ぐ物流・交流道としての期待が高まっている国道117号「灰雨バイパス(仮称)」(延長1180㍍、トンネル827㍍)。昨年11月にトンネルが貫通。さらなる整備促進が求められるなか、貫通式は27日に現地で実施。供用開始は3年後の2027年度(令和9年度)を見込んでいる。住民は「いまの灰雨スノーシェッドは狭い。安全に通行できるよう早くバイパス化してほしい」と早期開通に期待している。

    2024年3月30日号

  • 「まずは一歩」、広域連携で

    結婚支援「ハピ婚」に津南町も

     全国的に社会問題として深刻化している地方の人口減少。その要因に挙げられているのが『未婚者』の増加。十日町市は昨年、新たな婚活支援で小千谷市との広域連携に取り組み、婚活イベントや婚活支援センター登録者同士のマッチングで、合わせて11組が誕生するなど連携効果が出ている。新年度はさらに津南町が連携に加わることになり、十日町市の結婚支援センターは『越後妻有ハピ婚サポートセンター』に名称変更して取り組む。栄村でも十日町市や津南町で働く人は会員登録できることから、より広域的な効果が期待され、人口対策の決め手になるか関心が集まる。

    2024年3月30日号

  • 中学生の疑問、「なぜ結婚を…」「なぜ子を産むの…」

    You tube「ハダカベヤ」にゲスト出演

    vol 95

     実家の十日町市に戻ってきてから、母のやっていた講演会活動を引き継いで、かれこれ16年目に入ります。最近、中学校で性のお話講演会をさせていただくときに、この質問よく受けるなあというものがあります。それは、「必ず結婚しないとダメですか?」「子どもを産まないとダメですか?」です。
     先月2月27日に厚生労働省は人口動態統計の速報値を公表し、それによると2023年の出生数は過去最少の75万8631人(前年比マイナス1万116人)で、 婚姻件数も戦後初めて50万組を下回り、48万9281組となったとのこと。これは国立社会保障・人口問題研究所の推計より、およそ12年早いペースで少子化が進んでいるということなのだとか。16年前にちょうど「草食系男子」ということばが流行語大賞になりましたが、今の様子は草食系を通り越して「絶食系」に近いともいえます。
     性のお話講演会は全国的に、以前は怖がらせて安易な性行為はやめさせよう、といった傾向が強かったのですが、最近は少子化を少しでも解消するために、「なるべく子どもを産みたいと思う話をしよう!」という風潮になっているようです。でもどうして既に中学生たちは、その年齢で「結婚したくない」「子どもを産みたくない」と思っているのでしょうか?  
     『SRHR』という言葉を知っていますか。英語のSexual and Reprod
    uctive Health and Rightsの頭文字をとったもので、日本語では、「性と生殖に関する健康と権利」と訳されます。具体的に言うと、Sexual Health(性の健康)=自分の「性」に関することについて、心身ともに満たされて幸せを感じられ、またその状態を社会的にも認められていること。Reproductive Health(生殖の健康)=妊娠したい人、妊娠したくない人、産む・産まないに興味も関心もない人、アセクシャルな人(無性愛、非性愛の人)問わず、心身ともに満たされ健康にいられること。Sexual Rights(性の権利)=セクシュアリティ「性」を、自分で決められる権利のこと。自分の愛する人、自分のプライバシー、自分の性的な快楽、自分の性のあり方(男か女かそのどちらでもないか)を自分で決められる権利のこと。Reproductive Rights(生殖の権利)=産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める権利。妊娠、出産、中絶について十分な情報を得られ、「生殖」に関するすべてのことを自分で決められる権利のこと、です。また、これらの権利は、『生まれながらに持つべき権利(人権)』であり、どう人生設計するのかは個人個人が決めたらよいことではあるが、そのためには十分な情報を各自がしっかりと得る必要があることも明記されています。
    3月8日は国際女性デーでもありました。それにちなんで『SRHR』についてタレントのIMALUさんが中心になってやっているYouTube番組「ハダカベヤ」に出させていただきました。もし良かったら、3月25日から公開されていますので見てみてくださいね!
     「結局は未来の産んだ子どもの生活に不安があるから産まないんだよ」という意見でその場にいた友人たちがみんな納得したんだよと教えてくださった方がいます。中学生たちも同じなのでしょうか? 何が不安なのか、なぜこれから子どもを産む年齢の若い人たちがそう思うのかをもっと政府が汲み取らなければ、とても少子化は解決しそうにありません。私も講演活動を通じて、今後そのあたりを追求していきたいと思います。(たかき医院・仲栄美子医師)

    2024年3月30日号

  • 正規職員と非正規職員、待遇格差の改善を

    教育支援員54人?

    村山 朗 (会社員)

     地元紙の1面に十日町市の新年度予算の記事が掲載されていました。見出しは「子育て・教育に細かく展開」とありました。私立保育園・こども園の支援、子育て支援の充実、学校教育の充実、特色ある教育活動の推進、などです。馬場小学校が来年度末で閉校になるため、閉校支援予算もありました。筆者がかつて通ったT小学校も地域の役員の話では、新1年生の入学がついに30人を切り、1クラスになるそうです。半世紀以上も前の話ですが、1学年に250人以上もいましたので、少子化が加速してまるで別の国のはなしを聞いているような気がします。 
     過日「十日町市立中学校のあり方についての提言」が公表され、小学校に次いで中学校も改廃論議の現実味が増してきました。今回の予算案に戻ると、校舎の整備・更新などに次ぐ予算額で目を引いたのが、「学校生活や適切な学びの場をサポートする教育支援員を8名増やし54人を配置」という項目です。予算額約1億2千万円。市の公開資料には教育支援員は50人に満たず、中々応募がなくて大変だ、との記述があります。そんな状況の中で8人増やす(増やせる)というのは何か秘策でもあるのでしょうか。
     支援が必要な子供が増えている(これも公開情報より)中で教育支援員を増やすという計画なのでしょうが、1億2千万円を54人で割ると1人当たり約220万円です。コロナ禍の時期に話題になったエッセンシャルワーカーという言葉がありますが、教育支援員も学校教育のエッセンシャルワーカーではないかと思います。
     エッセンシャルワーカーには非正規社員(職員)が多く、賃金も低いという報道もよく目にしました。なぜ大切な仕事をしている人の賃金が低いのか、低賃金は当然なのでしょうか。昨今賃上げが好調だと報道されていますが、非正規のエッセンシャルワーカーの待遇改善は置き去りにされているような気がします。
     十日町市の正規職員は500人余りで、平均給与は550万円前後。非正規職員の人数もほぼ同数。この教育支援員の予算からわかるように、市の非正規職員の待遇はとても良くない上に、採用期間も1年区切りです。 正規職員が頑張ればいいじゃないかと皮肉の一つも言いたくなりますが、非正規職員のなり手がいなくなれば、正規職員も働き方改革どころではありません。市として非正規職員の待遇改善に大きく力を入れるべきではないでしょうか。
     そして誰もいなくなった、となりませんように。

    2024年3月30日号

  • 『街の日常にもっときものを』

    河田 千穂さん(1993年生まれ)

     桜が満開になる4月中旬過ぎに、街をきもので歩くイベントを企画している。「以前、ネットを通じてアンケートをしました。きものについて一番困っていることのトップは、きものを着る機会、場がないという回答でした。きものが好きな方が多い街ですから、もったいないですね」。
     このきものは知人から譲り受けた「小紋」。幼少期から絵を描くことが好きで、大学では服飾関係のテキスタイル・デザインを専攻。「そのままデザイン系に進むと自分では思っていましたが、『るろうに剣心』との出会いで、和の世界観、きものへの関心が増し、思いはさらに増しています」。
     学生時代に刺激を受け、「推し」バンドになった『デッド・オア・アライヴ』のボーカルの世界観に魅かれ、「追っかけでロンドンを何往復もしました」。大学卒後の進路は「路線変更」。すぐに就職せず、都内の料亭でバイトし、推しバンドのライブ日程に合わせロンドンへ。渡り鳥生活を1年余り続ける。「ロンドンでは、日本文化を通じて和の雰囲気をさらに感じ、きものを着ていると、きものを『作品』と見てくれます。これだ、と思いました」。
     きもの関連企業をリサーチし、十日町市の「きものブレイン」でテキスタイルデザイナーとして入社。在社中に地元の十日町服飾専門学校に通い、実務3年以上で受験できる「着付け師」資格を取得。同じ会社でパートナーと出会い退社。きものレンタル『kcda』(クダ)を立ち上げ、成人式の前撮りやきものイベントで着付を担当している。kcdaはKawadaChihoを入れ替えアレンジした。
     好きな「絞り」や「小
    紋」「訪問着」「振袖」など100着ほど持つ。専用クローゼットに三つ折りでハンガーに吊るし保管している。
     「飲み会も多いので、そういう時は周りに気を使わせないようにポリエステルのきもので行きます。タイムスリップできれば、るろうに剣心の時代に行きたいですね」。聖地巡礼で会津若松を何度も訪れている。
     絵も好きで、昨年の十日町きものまつりでは路上ライブ・ペイントを行い、出没で話題になった熊を自分のイメージで描いた。「なかなか描いている時間がないですね」。
     「私は歴史が好きで、バックグラウンドがあるものに魅かれます。歴史と伝統があるきものです。雪まつり、きものまつり、もっとファッションショーに力を入れてもいいのでは。きものを身近なものにしていきたいですね。街なかで日常的にきもの姿が見られれば、もっとすてきな雰囲気の街になるのではないでしょうか」。
    ◆バトンタッチします。
     「廣田伸子さん」

    2024年3月30日号

  • ナラハヒラタマルタマフシ

    照井 麻美(津南星空写真部)

     皆さんは山の中でこんな不思議な赤い実を見たことはありませんか?
     この写真は9月に撮影したものですが、ナラの葉っぱの上に違和感を感じるようにくっついているこの実。
     パッ見ると美味しそうにも見えますが、実はこれはナラハヒラタマルタマバチという体長1㎜ほどの小さな羽の無いハチの卵だそうです。
     この赤い実のように虫に寄生され、植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のことを「虫えい」または「虫こぶ」と言い、タマバチの寄生で起こる虫えいをナラハヒラタマルタマフシと呼びます。
     ナラハヒラタマルタマバチは幼虫から成虫へと羽化するまで虫えいの中で過ごします。6~7月ごろ産卵が始まり、8~9月にかけて幼虫が入ったまま赤い実のような虫えいが落下し、その虫えいの中で内側を食べながら成長・越冬し、翌年4~5月に成虫となり羽化するそうです。
     長引いていた雪も本当に終わりが見え、春の日差しを感じる日が多くなってまいりました。ナラハヒラタマルタマフシを破って小さなハチが出てくる季節です。目にはきっと見えませんが山菜取りなどで山に入った時思い出してもらえたら嬉しいです。

    2024年3月30日号

  • 原発論議がなかった3月議会

     新年度4月から自治体が使う事業予算を決める3月議会が終わり、区切りよく来週月曜、4月1日から新年度がスタートする。政治の行方も気になるが、新年度の最大課題は「原発再稼働の是非」だろう。新潟県の花角知事は「信を問う」と、辞職を視野に知事選で再稼働の是非を問い、新潟県の意志を示す方針のようだ。その根拠は? と問うだろうが、国の経産省の動き、立地自治体の柏崎市、刈羽村の両議会の再稼働要請の請願採択など、再稼働問題を前に進める動きが具体化し、その後ろで花角知事がタイミングを見ている、そんな景色が見えてくる。
     真っ先に動いたのは原発が立地する柏崎市議会と刈羽村議会。地元経済団体が提出した原発再稼働を求める請願を、両議会とも3月議会で賛成多数で採択している。県や県議会に対し、花角知事に対して「早く進めろ」というアピールか。一方、新潟県議会は3月に経産省幹部が知事と面談し、再稼働要請を促したが、県議からは「なぜこのタイミングなのか、まだ早い」と疑義の声が出た。だが、県民世論を相当意識した発言であり、「出来レース」の声もある。県議会、特に自民系勢力が心底そう思っているなら、原発事故時の避難計画の遅れ、さらに冬季の避難確保など疑義が多い課題に、真正面から取り組む発言をすべきだろう。
     原発30㌔のUPZ圏に入る十日町市、さらに隣接する津南町、栄村の3月議会では、原発論議は聞かれなかった。新年度、相当な確度で原発再稼働が重要案件になることが濃厚のなかでも、議会の場での議論がなかったのは、住民代表の議員の感度のボリュームの低さを問いたい。関口市長はこれまでの議会答弁で「積雪地に原発はそぐわない」など、踏み込んだ発言をしている。地方自治体からの発信が県を動かし、国の目を向ける契機になる。
     事は、間近に迫っている。

    2024年3月30日号

  • 10年後『新設2~3校』提言

    専任教員増で1学年3学級確保、30年後『全市1校』

    十日町市立中学校再編答申

     『10年後に新設中学校2~3校で各学年3学級』、そして『30年後全市で1校』の答申がまとまった。5年前に出た十日町市中学校再編案への地域反発を受け、一昨年11月から再見直しを行ってきた「十日町市立中学校のあり方検討委員会」(委員長・雲尾周=新潟大教職大学院教授、25人)。最後となる第18回会議を行った19日、「より良い十日町市立中学校の想像と実現のために~十日町市立中学校のあり方についての提言」を渡辺正範教育長に答申。4項目14提言があり、注目の再編学校名の明記はないが、『10年後に新設の2~3中学校』と、前回より広域的な再編を求める一歩踏み込んだ内容になっている。提言は市ホームページでも公開予定。市中学校再編は、再び地域にボールが戻される。

    2024年3月23日号

  • 妻有巡る「チャドカン」、ラストラン

    キッチンカー・カレー店 来月7日、5年間の活動に幕

     香ばしくまろやかな風味が特徴で人気を集めているキッチンカー・カレー店『チャドカン』が来月7日、5年間の活動に幕を閉じる。妻有地域のイベント会場やコンビニ、公共施設の駐車場など様々な場所で店開きし人気を集めてきた。「本当に多くの皆さんから応援してもらいました」と店主の藤村真美子さん(40)。今月19日からはこれまでキッチンカーを受け入れてくれた会場を回る『ラストラン』。最後となるバングラディッシュカレーを届けている。

    2024年3月23日号

  • 危うい、地方自治法改正

     またも「その他」の危うさが表出している。国と地方の関係を『対等』と法で規定する地方自治法。その改正案が今国会に提案された。改正案の中で『指示権』を拡大し、国の裁量を広げる余地を作った。それが『その他』。改正案では国が指示権を発動できる場面として「大規模な災害」「感染症の蔓延」「その他」とする。この「その他」は『国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、または発生する恐れがある場合』と、字面は一般的な表現だが、それは逆に「国・政府の解釈による裁量部分が広がり『思いのまま』の指示権」となる怖れがある。相当なる危うさが秘められている。
     なぜ国・政府は地方自治法の改正に踏み切るのか。その説明では新型コロナウイルス感染拡大の時の国と地方の関係性から見える教訓を上げる。新型コロナ禍で地方が国方針に異を唱えたことが、改正論議を進め、首相の諮問機関で政権の後押し機関でもある地制調・地方制度調査会が昨年12月、「必要な指示を行えるように」と答申し、今国会への改正案提出となった。
     一方的な指示権ではないにしろ、事前に地方自治体の意見を聞くなど「適切な対応に努めなければならない」との文言はあるが、適切な対応とは、ここもかなり危うい。『その他』の範囲は政府の裁量にあり、相当に広い解釈が可能になっている。
     この国の危うさは、憲法の解釈を都合良く「拡大解釈」や「独自解釈」により、有事法制や最近の武器輸出など、法治国家を逆手にとった政策がまかり通っている現実にあり、相当に危うい。
     今国会に提案の地方自治法改正、これまでの「対等」から「上下・主従」を含ませた改正案である点は、とても看過できない。国政策をゴリ押ししたマイナンバー、その登録率を地方交付税交付に反映など、指示権につながる危うさだ。地方の声上げの時だ。

    2024年4月6日号

  • 「早期開通を」、中京・関西圏繋ぐ

    トンネル貫通、供用開始3年後

    灰雨バイパス

     改良により地域の安心安全道路であり、中京圏や関西圏と妻有地域を繋ぐ物流・交流道としての期待が高まっている国道117号「灰雨バイパス(仮称)」(延長1180㍍、トンネル827㍍)。昨年11月にトンネルが貫通。さらなる整備促進が求められるなか、貫通式は27日に現地で実施。供用開始は3年後の2027年度(令和9年度)を見込んでいる。住民は「いまの灰雨スノーシェッドは狭い。安全に通行できるよう早くバイパス化してほしい」と早期開通に期待している。

    2024年3月30日号

  • 「まずは一歩」、広域連携で

    結婚支援「ハピ婚」に津南町も

     全国的に社会問題として深刻化している地方の人口減少。その要因に挙げられているのが『未婚者』の増加。十日町市は昨年、新たな婚活支援で小千谷市との広域連携に取り組み、婚活イベントや婚活支援センター登録者同士のマッチングで、合わせて11組が誕生するなど連携効果が出ている。新年度はさらに津南町が連携に加わることになり、十日町市の結婚支援センターは『越後妻有ハピ婚サポートセンター』に名称変更して取り組む。栄村でも十日町市や津南町で働く人は会員登録できることから、より広域的な効果が期待され、人口対策の決め手になるか関心が集まる。

    2024年3月30日号

  • 中学生の疑問、「なぜ結婚を…」「なぜ子を産むの…」

    You tube「ハダカベヤ」にゲスト出演

    vol 95

     実家の十日町市に戻ってきてから、母のやっていた講演会活動を引き継いで、かれこれ16年目に入ります。最近、中学校で性のお話講演会をさせていただくときに、この質問よく受けるなあというものがあります。それは、「必ず結婚しないとダメですか?」「子どもを産まないとダメですか?」です。
     先月2月27日に厚生労働省は人口動態統計の速報値を公表し、それによると2023年の出生数は過去最少の75万8631人(前年比マイナス1万116人)で、 婚姻件数も戦後初めて50万組を下回り、48万9281組となったとのこと。これは国立社会保障・人口問題研究所の推計より、およそ12年早いペースで少子化が進んでいるということなのだとか。16年前にちょうど「草食系男子」ということばが流行語大賞になりましたが、今の様子は草食系を通り越して「絶食系」に近いともいえます。
     性のお話講演会は全国的に、以前は怖がらせて安易な性行為はやめさせよう、といった傾向が強かったのですが、最近は少子化を少しでも解消するために、「なるべく子どもを産みたいと思う話をしよう!」という風潮になっているようです。でもどうして既に中学生たちは、その年齢で「結婚したくない」「子どもを産みたくない」と思っているのでしょうか?  
     『SRHR』という言葉を知っていますか。英語のSexual and Reprod
    uctive Health and Rightsの頭文字をとったもので、日本語では、「性と生殖に関する健康と権利」と訳されます。具体的に言うと、Sexual Health(性の健康)=自分の「性」に関することについて、心身ともに満たされて幸せを感じられ、またその状態を社会的にも認められていること。Reproductive Health(生殖の健康)=妊娠したい人、妊娠したくない人、産む・産まないに興味も関心もない人、アセクシャルな人(無性愛、非性愛の人)問わず、心身ともに満たされ健康にいられること。Sexual Rights(性の権利)=セクシュアリティ「性」を、自分で決められる権利のこと。自分の愛する人、自分のプライバシー、自分の性的な快楽、自分の性のあり方(男か女かそのどちらでもないか)を自分で決められる権利のこと。Reproductive Rights(生殖の権利)=産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める権利。妊娠、出産、中絶について十分な情報を得られ、「生殖」に関するすべてのことを自分で決められる権利のこと、です。また、これらの権利は、『生まれながらに持つべき権利(人権)』であり、どう人生設計するのかは個人個人が決めたらよいことではあるが、そのためには十分な情報を各自がしっかりと得る必要があることも明記されています。
    3月8日は国際女性デーでもありました。それにちなんで『SRHR』についてタレントのIMALUさんが中心になってやっているYouTube番組「ハダカベヤ」に出させていただきました。もし良かったら、3月25日から公開されていますので見てみてくださいね!
     「結局は未来の産んだ子どもの生活に不安があるから産まないんだよ」という意見でその場にいた友人たちがみんな納得したんだよと教えてくださった方がいます。中学生たちも同じなのでしょうか? 何が不安なのか、なぜこれから子どもを産む年齢の若い人たちがそう思うのかをもっと政府が汲み取らなければ、とても少子化は解決しそうにありません。私も講演活動を通じて、今後そのあたりを追求していきたいと思います。(たかき医院・仲栄美子医師)

    2024年3月30日号

  • 正規職員と非正規職員、待遇格差の改善を

    教育支援員54人?

    村山 朗 (会社員)

     地元紙の1面に十日町市の新年度予算の記事が掲載されていました。見出しは「子育て・教育に細かく展開」とありました。私立保育園・こども園の支援、子育て支援の充実、学校教育の充実、特色ある教育活動の推進、などです。馬場小学校が来年度末で閉校になるため、閉校支援予算もありました。筆者がかつて通ったT小学校も地域の役員の話では、新1年生の入学がついに30人を切り、1クラスになるそうです。半世紀以上も前の話ですが、1学年に250人以上もいましたので、少子化が加速してまるで別の国のはなしを聞いているような気がします。 
     過日「十日町市立中学校のあり方についての提言」が公表され、小学校に次いで中学校も改廃論議の現実味が増してきました。今回の予算案に戻ると、校舎の整備・更新などに次ぐ予算額で目を引いたのが、「学校生活や適切な学びの場をサポートする教育支援員を8名増やし54人を配置」という項目です。予算額約1億2千万円。市の公開資料には教育支援員は50人に満たず、中々応募がなくて大変だ、との記述があります。そんな状況の中で8人増やす(増やせる)というのは何か秘策でもあるのでしょうか。
     支援が必要な子供が増えている(これも公開情報より)中で教育支援員を増やすという計画なのでしょうが、1億2千万円を54人で割ると1人当たり約220万円です。コロナ禍の時期に話題になったエッセンシャルワーカーという言葉がありますが、教育支援員も学校教育のエッセンシャルワーカーではないかと思います。
     エッセンシャルワーカーには非正規社員(職員)が多く、賃金も低いという報道もよく目にしました。なぜ大切な仕事をしている人の賃金が低いのか、低賃金は当然なのでしょうか。昨今賃上げが好調だと報道されていますが、非正規のエッセンシャルワーカーの待遇改善は置き去りにされているような気がします。
     十日町市の正規職員は500人余りで、平均給与は550万円前後。非正規職員の人数もほぼ同数。この教育支援員の予算からわかるように、市の非正規職員の待遇はとても良くない上に、採用期間も1年区切りです。 正規職員が頑張ればいいじゃないかと皮肉の一つも言いたくなりますが、非正規職員のなり手がいなくなれば、正規職員も働き方改革どころではありません。市として非正規職員の待遇改善に大きく力を入れるべきではないでしょうか。
     そして誰もいなくなった、となりませんように。

    2024年3月30日号

  • 『街の日常にもっときものを』

    河田 千穂さん(1993年生まれ)

     桜が満開になる4月中旬過ぎに、街をきもので歩くイベントを企画している。「以前、ネットを通じてアンケートをしました。きものについて一番困っていることのトップは、きものを着る機会、場がないという回答でした。きものが好きな方が多い街ですから、もったいないですね」。
     このきものは知人から譲り受けた「小紋」。幼少期から絵を描くことが好きで、大学では服飾関係のテキスタイル・デザインを専攻。「そのままデザイン系に進むと自分では思っていましたが、『るろうに剣心』との出会いで、和の世界観、きものへの関心が増し、思いはさらに増しています」。
     学生時代に刺激を受け、「推し」バンドになった『デッド・オア・アライヴ』のボーカルの世界観に魅かれ、「追っかけでロンドンを何往復もしました」。大学卒後の進路は「路線変更」。すぐに就職せず、都内の料亭でバイトし、推しバンドのライブ日程に合わせロンドンへ。渡り鳥生活を1年余り続ける。「ロンドンでは、日本文化を通じて和の雰囲気をさらに感じ、きものを着ていると、きものを『作品』と見てくれます。これだ、と思いました」。
     きもの関連企業をリサーチし、十日町市の「きものブレイン」でテキスタイルデザイナーとして入社。在社中に地元の十日町服飾専門学校に通い、実務3年以上で受験できる「着付け師」資格を取得。同じ会社でパートナーと出会い退社。きものレンタル『kcda』(クダ)を立ち上げ、成人式の前撮りやきものイベントで着付を担当している。kcdaはKawadaChihoを入れ替えアレンジした。
     好きな「絞り」や「小
    紋」「訪問着」「振袖」など100着ほど持つ。専用クローゼットに三つ折りでハンガーに吊るし保管している。
     「飲み会も多いので、そういう時は周りに気を使わせないようにポリエステルのきもので行きます。タイムスリップできれば、るろうに剣心の時代に行きたいですね」。聖地巡礼で会津若松を何度も訪れている。
     絵も好きで、昨年の十日町きものまつりでは路上ライブ・ペイントを行い、出没で話題になった熊を自分のイメージで描いた。「なかなか描いている時間がないですね」。
     「私は歴史が好きで、バックグラウンドがあるものに魅かれます。歴史と伝統があるきものです。雪まつり、きものまつり、もっとファッションショーに力を入れてもいいのでは。きものを身近なものにしていきたいですね。街なかで日常的にきもの姿が見られれば、もっとすてきな雰囲気の街になるのではないでしょうか」。
    ◆バトンタッチします。
     「廣田伸子さん」

    2024年3月30日号

  • ナラハヒラタマルタマフシ

    照井 麻美(津南星空写真部)

     皆さんは山の中でこんな不思議な赤い実を見たことはありませんか?
     この写真は9月に撮影したものですが、ナラの葉っぱの上に違和感を感じるようにくっついているこの実。
     パッ見ると美味しそうにも見えますが、実はこれはナラハヒラタマルタマバチという体長1㎜ほどの小さな羽の無いハチの卵だそうです。
     この赤い実のように虫に寄生され、植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のことを「虫えい」または「虫こぶ」と言い、タマバチの寄生で起こる虫えいをナラハヒラタマルタマフシと呼びます。
     ナラハヒラタマルタマバチは幼虫から成虫へと羽化するまで虫えいの中で過ごします。6~7月ごろ産卵が始まり、8~9月にかけて幼虫が入ったまま赤い実のような虫えいが落下し、その虫えいの中で内側を食べながら成長・越冬し、翌年4~5月に成虫となり羽化するそうです。
     長引いていた雪も本当に終わりが見え、春の日差しを感じる日が多くなってまいりました。ナラハヒラタマルタマフシを破って小さなハチが出てくる季節です。目にはきっと見えませんが山菜取りなどで山に入った時思い出してもらえたら嬉しいです。

    2024年3月30日号

  • 原発論議がなかった3月議会

     新年度4月から自治体が使う事業予算を決める3月議会が終わり、区切りよく来週月曜、4月1日から新年度がスタートする。政治の行方も気になるが、新年度の最大課題は「原発再稼働の是非」だろう。新潟県の花角知事は「信を問う」と、辞職を視野に知事選で再稼働の是非を問い、新潟県の意志を示す方針のようだ。その根拠は? と問うだろうが、国の経産省の動き、立地自治体の柏崎市、刈羽村の両議会の再稼働要請の請願採択など、再稼働問題を前に進める動きが具体化し、その後ろで花角知事がタイミングを見ている、そんな景色が見えてくる。
     真っ先に動いたのは原発が立地する柏崎市議会と刈羽村議会。地元経済団体が提出した原発再稼働を求める請願を、両議会とも3月議会で賛成多数で採択している。県や県議会に対し、花角知事に対して「早く進めろ」というアピールか。一方、新潟県議会は3月に経産省幹部が知事と面談し、再稼働要請を促したが、県議からは「なぜこのタイミングなのか、まだ早い」と疑義の声が出た。だが、県民世論を相当意識した発言であり、「出来レース」の声もある。県議会、特に自民系勢力が心底そう思っているなら、原発事故時の避難計画の遅れ、さらに冬季の避難確保など疑義が多い課題に、真正面から取り組む発言をすべきだろう。
     原発30㌔のUPZ圏に入る十日町市、さらに隣接する津南町、栄村の3月議会では、原発論議は聞かれなかった。新年度、相当な確度で原発再稼働が重要案件になることが濃厚のなかでも、議会の場での議論がなかったのは、住民代表の議員の感度のボリュームの低さを問いたい。関口市長はこれまでの議会答弁で「積雪地に原発はそぐわない」など、踏み込んだ発言をしている。地方自治体からの発信が県を動かし、国の目を向ける契機になる。
     事は、間近に迫っている。

    2024年3月30日号

  • 10年後『新設2~3校』提言

    専任教員増で1学年3学級確保、30年後『全市1校』

    十日町市立中学校再編答申

     『10年後に新設中学校2~3校で各学年3学級』、そして『30年後全市で1校』の答申がまとまった。5年前に出た十日町市中学校再編案への地域反発を受け、一昨年11月から再見直しを行ってきた「十日町市立中学校のあり方検討委員会」(委員長・雲尾周=新潟大教職大学院教授、25人)。最後となる第18回会議を行った19日、「より良い十日町市立中学校の想像と実現のために~十日町市立中学校のあり方についての提言」を渡辺正範教育長に答申。4項目14提言があり、注目の再編学校名の明記はないが、『10年後に新設の2~3中学校』と、前回より広域的な再編を求める一歩踏み込んだ内容になっている。提言は市ホームページでも公開予定。市中学校再編は、再び地域にボールが戻される。

    2024年3月23日号

  • 妻有巡る「チャドカン」、ラストラン

    キッチンカー・カレー店 来月7日、5年間の活動に幕

     香ばしくまろやかな風味が特徴で人気を集めているキッチンカー・カレー店『チャドカン』が来月7日、5年間の活動に幕を閉じる。妻有地域のイベント会場やコンビニ、公共施設の駐車場など様々な場所で店開きし人気を集めてきた。「本当に多くの皆さんから応援してもらいました」と店主の藤村真美子さん(40)。今月19日からはこれまでキッチンカーを受け入れてくれた会場を回る『ラストラン』。最後となるバングラディッシュカレーを届けている。

    2024年3月23日号