〇…「ここの野沢菜を食べると、ほかのでは満足できなくなる」。そんな声が溢れる人気イベント、津南町相吉「野沢菜収穫大会」は3日開催。開始30分前から60人余が並ぶ、いつもの状況が今年も出現。一本65㌢のヒモは2百円で販売、5㌔以上を束ねられ、市場価格よりはるかに安く一味違う野沢菜を採れる機会。開始時刻の午前9時になると、みな一斉に持参包丁で青々とした野沢菜を刈っていた。
2024年11月9日号
人口減少のなかで高度・救急医療を行う魚沼基幹病院を中核とした、地域医療再編を進める必要が生まれている魚沼医療圏(人口約14万5千人、うち妻有地域約5万3千人)。団塊の世代が後期高齢者となる75歳以上の人口は2030年頃にピークとなり、さらに26年後の2050年は「人口9万人余」となる見通しが出ており、医療機能の役割分担による効率化などをさらに検討している。魚沼医療圏は2649平方㌔、東京都や神奈川県より広い範囲に中山間地が広がるエリアだが「地域でひとつの病院」をめざしている。現状と課題を最前線で働く看護師が情報共有する「魚沼圏域看護職員代表者会議」(代表=髙橋みはる・魚沼基幹病院副院長)の5年ぶりの交流研修会を9月末に同病院で開き、看護師70人余が将来必要な医療看護体制など学び合った。
国は医療機関の機能分化・連携を進める目的で地域医療構想の指針を示すが、現想定は『2025年』までで、現在は『2040年』に向けた「新たな地域医療構想等に関する検討会」を実施中。
2024年11月9日号
小さな頃から身近に家づくり職人がいて、その技を間近で見ていた。「いつか自分も大工になりたい、ずっと思っていました」。十日町市八箇に生まれ、祖父は大工職人。鋸(のこぎり)や鉋(かんな)
鑿(のみ)で
木を切り、
木を刻む姿を、憧れの眼差しで見ていた。「おじいちゃんのような職人になりたいと、その道に進みました」。
八海高校体育科を卒業後、迷いなく大工の道へ。津南町の工務店に勤務。「まさに職人気質の現場でした。憧れと現実は違いました」。3年間頑張って働き転職。建築や土木関連の塗装会社へ。「手に職をつけたいし、何かを創り上げる仕事に携わりたかったんです」。十日町市の新装へ。
塗装は見た目と共に保護や保存効果が高い。屋根や壁など住宅全般から野外の公共物など幅広い。「形も大きさも色も全て違います。それだけに奥が深く技術的な難しさもあり、日々学びでした。特に色の配合は、求められた色がぴったり合った時は本当に嬉しいですね」。
どんな職も、その道のプロからは学ぶことが多く、人としてのあり方も学んだ。「厳しく、優しく教えていただき、それが今の自分につながっています」。19年間、地道に実績を積んだ。先輩から「そろそろ自分の力を試してみたらどうだ」と進言を受け、40歳で独立を決意。『雲野塗装』を立ち上げた。妻・美恵さんの後押しも大きかった。
「事務を妻が担当してくれ、新装さんからのご支援も受けやっています」。誠実な仕事ぶりが人から人へとつながりを生み、市内外から声がかかる。「やりがいと不安の両方がありますが、いい仕事がしたい、これだけです。お客さんが喜んでくれる顔が私のやりがいです」。
祖父の職人ぶりを間近で見て育ったが、それに通じる地域の伝統活動、『八箇太鼓』に八箇小学校時代、6年間みっちり取り組んだ。卒業後、ご無沙汰していたが26歳の時、母校の閉校を聞く。同時に「小学校が無くなると地域との関わりが途絶えてしまう。なんとか八箇太鼓を復活させてくれないか、と頼まれたんです」。
すぐに当時の仲間たちと動き、2007年にメンバー10人余で『八箇太鼓』を復活。その年、世界で活躍する太鼓集団『鼓童』公演を見て、さらに刺激を受けた。
「よしっ、やろうぜ、やろう…だったんですが…」、始めると「温度差を感じたんです」。3年が過ぎた時、「十日町大太鼓の『雪花会』から、生誕地祭りの助っ人に来ないか、と声を掛けられました」。3㍍の大太鼓。本町メインストリートを叩きながら練り歩く生誕地祭りの大太鼓だ。これまでにない高揚感を体感、魅了された。
コロナ禍で活動自粛が続き、昨年4年半ぶりに再開。「私からそろそろ始めませんかって声を掛けたんです。そしたら、そのまま代表になってしまいました」。『雪花会』代表として活動する。メンバーの異動もあったが、いま子どもたちも含め16人で活動している。
先輩から受け継いだ伝統を次代へ伝える責務を感じている。「曲、動き、一つ一つ細かい所の習得には苦労しますが、太鼓の音が合い、仲間との思いが一つになった時は最高ですし、演奏への声援や拍手は最高の励みですね。これまで頂いたご恩に、今度は我々が恩返しです。太鼓で地域を元気に盛り上げたいですね」。
▼バトンタッチします
佐藤弘祐さん
2024年11月9日号
10月27日の衆院選では、自民・公明が大幅に議席を減らし、立憲、国民が躍進しました。気がかりなのは、「護憲、反戦・反核・反原発」を掲げる勢力が伸びなかったこと。本来、これらも大きな争点になるべきだったのに、「裏金」と「経済」に絞られてしまったのは、マスコミの責任でもあります。
これを書いている11月6日夜、米国大統領選は、トランプ氏の当選が確実となったようです。どちらが勝っても、米国はガザで虐殺を続けるイスラエルへの支援を継続するでしょう。私が米国大統領選に興味を持てない理由はこれです。
さて、新潟県内では柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決めるため、条例制定を求める署名活動が始まりました。
世界最大級の柏崎刈羽原発は、1~7号機とも運転停止中です。東京電力は2013年に6・7号機の再稼働の審査を原子力規制委員会に申請し、2023年12月にようやく再稼働準備ができるようになりました。
再稼働にあたっては、規制委員会の審査のほか、柏崎市、刈羽村、新潟県の同意が必要です。柏崎市と刈羽村は、議会、首長とも再稼働に同意する意向のようです。
一方、新潟県では、花角知事は18年に、柏崎刈羽原発の再稼働について「自ら判断し、県民に信を問う」と公約に掲げて当選しました。しかし、「信を問う」具体的な方法や時期は明確にしないまま今日に至っています。
柏崎刈羽原発の再稼働は、県民のいのちや暮らしに関わる大きな問題です。県知事や県議会に任せるのでなく、県民の一人ひとりが、県政の主人公として意思表示するべきではないでしょうか。
私たちは、地方自治法に基づき、「柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例」の制定を請求することにしました。請求のためには、新潟県民有権者の50分の1以上の署名が必要です。「条例を制定してください」という署名で、原発反対署名ではありません。
①県民のすべてが柏崎刈羽原発の再稼働の問題に向き合い、賛成・反対の立場を超えて話し合うこと、②柏崎刈羽原発の再稼働の是非を県民投票で問い、投票の結果を県の方針に反映させることが、新潟の民主主義を育て、未来をひらくことにつながると確信しています。どうか署名をお願いします。
署名と署名集めをしてくださる方は、齋木までご連絡ください。電話090‒4946‒7570。
2024年11月9日号
「カマキリの卵が高いところに産み付けられていれば今年は大雪だ」という雪国の言い伝えのような話を皆さん一度は聞いたり、話したことがあると思います。
この話は本当なのか? 平成9年(1997)にカマキリの卵が産み付けられる高さと、最大積雪深に関する研究発表が新潟県出身の酒井氏からされ、それがテレビなどのメディアを通じて広く知られるようになったようです。
しかし、近年弘前大学の安藤喜一氏によってそれは間違いであるということが書物でも書かれており、そもそもカマキリの卵は寒さや雪、耐水性にも優れており、雪に埋もれても春には羽化することがわかっています。
研究内容を見るとカマキリ自身が積雪予想をして卵を産み付ける高さを変えているわけではなさそうですが、気候の変化によって大気中の水分量や樹木の成長具合によって産卵場所が異なっているように感じました。
個人的にはこの秋見かけたカマキリの卵は3ヵ所で全て地上から約140cmのところに付いていたことや、ヘクサムシの数も見逃せませんが、ぜひ皆さんも今年の積雪量を予想してみてください。
2024年11月9日号
だから、と聞き返したくなる。JR東は衆院選が終わった2日後の先月29日、管内の地方赤字路線の収支状況を公表した。5年前から収支公表しており、予想通り飯山線の路線名が赤字ローカル線の代名詞として新聞やメディアに流れた。「百円の収入を得るのにかかる費用」をJRは『営業係数』と表示する。公表72路線で営業係数1万円を超えるのは4路線区間ある。「飯山線・戸狩野沢温泉―津南」は1万316円。だから、どうした、と聞き返したくなる。利用者が少ない現実はあるが、一方で経済活動から見れば「営業努力が足りない」となる。沿線に暮らす我々、さて、どうする。数字が続くが現実がよく分かる。
営業係数1万円を超える4路線区間で最多は1万3580円の「久留里線・久留里―上総亀山」。次が陸羽線・鳴子温泉―最上で1万3465円、さらに花輪線・荒屋新町―鹿角花輪の1万916円、その次が飯山線。このデータには興味深い数字も出ている。
37年前の1987年度と2023年度の一日乗者数(平均通過数)の比較だ。1万円を超える飯山線同区間の37年前は822人、昨年度は84人、実に90%の減少率。JR東が調査区間とする飯山線4区間では、豊野―飯山の減少率58%(37年前3368人、2023年度1398人)。津南―越後川口は減少率64%(37年前949人、2023年度342人)。公表72路線区間では減少率が少ない部類に入る。だが飯山―戸狩野沢温泉81%、戸狩野沢温泉―津南90%と深刻な数字を示す。まさに人口減少がそのまま具体化している。
サイクルトレイン、おいこっと、企画列車など経営努力の取り組みは見られ、最たるは8年前のSL運行だろう。人口減少、特に少子化で列車通学者が激減している現実だ。県を超え連携する飯山線沿線協議会がある。JR東と、とことん話してはどうか。
2024年11月9日号
裏金問題や選挙中の政党交付金2千万円問題など自民政権に対する有権者の厳しい審判が下った。衆院選投開票の27日、新潟県小選挙区5選挙区すべてで立憲が勝利。長らく続いた保守王国新潟での自民完敗に全国が注目。県内議席全てで野党独占は15年前の民主党政権誕生時以来。共に党処分を受けた立憲・自民候補の四度目の一騎打ちの5区。立憲・梅谷守氏(50)が二度目の当選を果たし、6期めざした自民・高鳥修一氏(64)に2万1千票の大差をつけ、有権者の自民不信を象徴する結果となった。梅谷氏は5区8市町村のうち糸魚川市以外すべてで高鳥氏を上回った。選挙区再編後の初の改選で、新編入した南魚・北魚の票の行方に関心が集まったが、結果は南魚沼市・魚沼市・湯沢町の2市1町はいずれも梅谷氏が勝利し、ここでも自民不信が際立った。再選した梅谷氏は今年早々の日本酒配布で公選法違反で刑事告発されており、今後検察がどう判断するか関心が集まる。重複立候補禁止で比例復活できなかった高鳥氏は、今後も政治活動を継続する方針を早々に示し次期をめざす意向だ。今回の衆院選、有権者の政治不信が多数の無効票として表れ、5区では県内最多の無効票6833票が出て、有権者の大きな「無言の抗議」が読み取れる。5区の投票率は62・62%(前回の旧6区67・79%、旧5区魚沼67・42%)。 (関連記事2面)
2024年11月2日号
オーストラリア、ニュージーランド、東ティモール、インドネシア…、国を巡るなかで見えてきたのは、「世界のカラフルさでしょうか」。多様な人たちと暮らし、様々な考え方、まさに「価値観の多様性」を肌で感じ、その感覚がいまにつながっている。
「思いついたことは全てやってみたい。先ず行動する、これですね」。十日町南中時代、陸上100㍍に取り組み、練習で自己ベストを次々更新。「その年の全中は北海道だったんです。ウニ丼が食べたい、これは全国だと、そこからエンジンがかかったんです」。
全国への壁は高く叶わなかったが、努力が認められ、スポーツ推薦で東京学館新潟高校へ。陸上に集中し始めた1年生の10月、あの中越地震が発生。「なにがきっかけだったのか自分でも分からないんですが、やる気がなくなってしまったんです」。
陸上をやめ、自分と向き合った。「何か目標を持たないとダメなたちなんで、『やりたいことノート』を作り、かたっぱしから制覇していきました」。
スキューバ免許取得、アメフト、ボクシングなどやりたいことでノートが埋まっていった。資金はアルバイトで稼いだ。「高校2年の時、国内を一人旅し、次は世界一周だと思ったんです」。そのためには英語が必要と高卒後、都内の語学系大学へ進んだ。だが、「日本にいたって話せないと思って、その年に大学を辞めました」。
その時19歳。ワーキングホリデーでオーストラリアへ行き、地元の人との交流で英語を習得。自然を求めニュージーランドにも行った。外国の生活で自分の中の価値観も変わってきた。「当たり前のことですが、実際に外国の地で暮らし、人と交わり、自分の世界観がカラフルになりましたね」。目標の世界一周が見えて来たなか、オーストラリアに7ヵ月滞在し、東ティモール、インドネシアを巡る。そしてバリ島で今につながる「ヨガ」と出会った。
心と身体に向き合うヨガ。その瞑想の素晴らしさと神秘性に魅かれ、本格的な習得のために帰国。都内で集中的に学び、指導できるまでになり講師に。15年間勤める。外国人受講生も多く、習得した英語が役立った。ヨガ教室のPRデザインや映像編集、ユーチューブ運営なども独学で習得し担当。「やっぱり自然が良い」と今年3月、十日町に戻る。
だが、すぐに動きだした。マイカーを改修し日本一周の旅に出発。「3ヵ月余りで47都道府県を巡りました。楽しかったですねぇ~」。十日町に帰り、出会いが待っていた。「ヨガの生徒だった横浜の方が十日町に移住してたんです。すごい偶然ですよね。その方に太鼓に誘われたんです」。
高校時代のバンド活動でドラムをやり、ニュージーランドでは打楽器ジャンベを経験。「誘われたら、なんでもトライなんです」。
十日町大太鼓『雪花会』に入り、直径3㍍余のビッグな太鼓を、野球バットより重いばち2本で叩く。「音が跳ね、全身に響いてすごいんです。はじめはメンバー3人位だったんですが、誘い合って今では子ども含め16人のメンバーで取り組んでいます」。早3ヵ月、すっかり板についている。
人と人とのつながりが自分の成長になっていると考える。「南中時代の陸上部後輩とも偶然再会し、それをきっかけに仕事をいただいて、人とのつながりもグンっと増え、仕事の幅もがりました」、「映像クリエイターも太鼓も、人と繋がるツールです」。映像企画・編集やユーチューブ運営代行など、県内外からも依頼の声がかかる。
「十日町市で出会った人と楽しく仕事をしながら、そこからさらに全国、そして世界へと視野を広げていけたらと考えています」、「ココで暮らしながら世界と仕事をする…こんな暮らしができたらステキですよね。出会い、大切にしたいです」。
▼バトンタッチします
雲野誠さん
2024年11月2日号
先日たかき医院で行われましたフェムテックフェスティバル、三連休の晴天の日にもかかわらず百人超の方が足を運んでいただき本当にありがとうございました。女性が輝いて過ごすための国内外のテクノロジーが待合ホールに所狭しと並ぶ中、みなさまから「びっくりしました!」と良い意味で驚きの声をもらいました。大変好評だったので、来年も企画していきたいと思っております。
さて、先日某病院主催の「依存症フォーラム」に参加してきました。主催病院の精神科医師、依存症の当事者としてアルコール・ギャンブル・薬物の依存症の患者さん数名、依存症家族や支援団体の代表の方たちが代わる代わるお話をして下さったり、最後は会場からの質問にそれらの人たちが答えるクロストークがあったりして、依存症についてさまざまな角度から勉強する時間となりました。
精神科医師からの言葉でなんといっても印象的だったのは「依存症は脳の病気」でした。以前、肉のあぶらは強い依存を生む、という話をこの場を借りて書きました。肉のあぶらを過剰に摂り続けると、「満足」という感覚を生み出す脳のドーパミン受容体の遺伝子自体が変化して、食事による喜びや満足を感知させないようにするため、脳が「満足できない脳」に変わり、満足感を得るために脳が「もっと」と指令を出すようになり、これが麻薬・アルコール・タバコ・買い物・ギャンブルなどのさまざまな依存症の脳内メカニズムに似ていますよ、という話でした。
つまり、もう一度言いますが、依存症は気持ちが弱くてやめられない、という精神論的な問題ではなく、脳細胞が遺伝子レベルで形を変えてしまう脳の病気なのだということを知って欲しいのです。
依存症が脳の病気ということは、たとえばギャンブル依存症の人が作った借金を家族が肩代わりをして、なかったことにしたり、次回はお金を使い込んでしまわないようにクレジットカードを止めたり、銀行口座からお金をおろせなないように工夫をして、しばらくギャンブルをできないようにすれば反省してギャンブルのことを忘れてしなくなるだろう、という周りの人の考えや対応はすべて間違いだということです。
依存症本人は他の病気と一緒で、きちんと専門医を受診して治療をし患者会に参加すること、家族も依存症のことや患者対応を家族会で勉強していく必要があります。多くの人と関わり助け合う、「ひとの輪」の中で癒していくと依存症から抜け出るゴールが近づくと思ってください。
だから、もしも「明日はきっと立ち直ってくれるはず」と思うような依存をお持ちの方がご家族の中にいるようであれば、一日でも早く専門病院への受診につないでいただきたいと思います。
依存症に関しては新潟県福祉保健部の障害福祉課に「いのちとこころの支援室」(℡025・280・5201)があります。ここ十日町・津南から近い依存症治療をしている病院は、上越市のさいがた医療センター、柏崎市の関病院です。これらの病院にお尋ねいただければ、家族会の紹介もしてくれます。
まずは依存症に対しての間違った認識を正すこと、そして正しい知識を知ることがとても大事です。ちなみに、生理痛で痛み止めの依存になっている方は、痛み止めは過剰に摂りすぎると肝臓や腎臓に負担をかけますので、是非婦人科にご相談くださいね。
(たかき医院・仲栄美子院長)
2024年11月2日号
〇…「ここの野沢菜を食べると、ほかのでは満足できなくなる」。そんな声が溢れる人気イベント、津南町相吉「野沢菜収穫大会」は3日開催。開始30分前から60人余が並ぶ、いつもの状況が今年も出現。一本65㌢のヒモは2百円で販売、5㌔以上を束ねられ、市場価格よりはるかに安く一味違う野沢菜を採れる機会。開始時刻の午前9時になると、みな一斉に持参包丁で青々とした野沢菜を刈っていた。
2024年11月9日号
人口減少のなかで高度・救急医療を行う魚沼基幹病院を中核とした、地域医療再編を進める必要が生まれている魚沼医療圏(人口約14万5千人、うち妻有地域約5万3千人)。団塊の世代が後期高齢者となる75歳以上の人口は2030年頃にピークとなり、さらに26年後の2050年は「人口9万人余」となる見通しが出ており、医療機能の役割分担による効率化などをさらに検討している。魚沼医療圏は2649平方㌔、東京都や神奈川県より広い範囲に中山間地が広がるエリアだが「地域でひとつの病院」をめざしている。現状と課題を最前線で働く看護師が情報共有する「魚沼圏域看護職員代表者会議」(代表=髙橋みはる・魚沼基幹病院副院長)の5年ぶりの交流研修会を9月末に同病院で開き、看護師70人余が将来必要な医療看護体制など学び合った。
国は医療機関の機能分化・連携を進める目的で地域医療構想の指針を示すが、現想定は『2025年』までで、現在は『2040年』に向けた「新たな地域医療構想等に関する検討会」を実施中。
2024年11月9日号
小さな頃から身近に家づくり職人がいて、その技を間近で見ていた。「いつか自分も大工になりたい、ずっと思っていました」。十日町市八箇に生まれ、祖父は大工職人。鋸(のこぎり)や鉋(かんな)
鑿(のみ)で
木を切り、
木を刻む姿を、憧れの眼差しで見ていた。「おじいちゃんのような職人になりたいと、その道に進みました」。
八海高校体育科を卒業後、迷いなく大工の道へ。津南町の工務店に勤務。「まさに職人気質の現場でした。憧れと現実は違いました」。3年間頑張って働き転職。建築や土木関連の塗装会社へ。「手に職をつけたいし、何かを創り上げる仕事に携わりたかったんです」。十日町市の新装へ。
塗装は見た目と共に保護や保存効果が高い。屋根や壁など住宅全般から野外の公共物など幅広い。「形も大きさも色も全て違います。それだけに奥が深く技術的な難しさもあり、日々学びでした。特に色の配合は、求められた色がぴったり合った時は本当に嬉しいですね」。
どんな職も、その道のプロからは学ぶことが多く、人としてのあり方も学んだ。「厳しく、優しく教えていただき、それが今の自分につながっています」。19年間、地道に実績を積んだ。先輩から「そろそろ自分の力を試してみたらどうだ」と進言を受け、40歳で独立を決意。『雲野塗装』を立ち上げた。妻・美恵さんの後押しも大きかった。
「事務を妻が担当してくれ、新装さんからのご支援も受けやっています」。誠実な仕事ぶりが人から人へとつながりを生み、市内外から声がかかる。「やりがいと不安の両方がありますが、いい仕事がしたい、これだけです。お客さんが喜んでくれる顔が私のやりがいです」。
祖父の職人ぶりを間近で見て育ったが、それに通じる地域の伝統活動、『八箇太鼓』に八箇小学校時代、6年間みっちり取り組んだ。卒業後、ご無沙汰していたが26歳の時、母校の閉校を聞く。同時に「小学校が無くなると地域との関わりが途絶えてしまう。なんとか八箇太鼓を復活させてくれないか、と頼まれたんです」。
すぐに当時の仲間たちと動き、2007年にメンバー10人余で『八箇太鼓』を復活。その年、世界で活躍する太鼓集団『鼓童』公演を見て、さらに刺激を受けた。
「よしっ、やろうぜ、やろう…だったんですが…」、始めると「温度差を感じたんです」。3年が過ぎた時、「十日町大太鼓の『雪花会』から、生誕地祭りの助っ人に来ないか、と声を掛けられました」。3㍍の大太鼓。本町メインストリートを叩きながら練り歩く生誕地祭りの大太鼓だ。これまでにない高揚感を体感、魅了された。
コロナ禍で活動自粛が続き、昨年4年半ぶりに再開。「私からそろそろ始めませんかって声を掛けたんです。そしたら、そのまま代表になってしまいました」。『雪花会』代表として活動する。メンバーの異動もあったが、いま子どもたちも含め16人で活動している。
先輩から受け継いだ伝統を次代へ伝える責務を感じている。「曲、動き、一つ一つ細かい所の習得には苦労しますが、太鼓の音が合い、仲間との思いが一つになった時は最高ですし、演奏への声援や拍手は最高の励みですね。これまで頂いたご恩に、今度は我々が恩返しです。太鼓で地域を元気に盛り上げたいですね」。
▼バトンタッチします
佐藤弘祐さん
2024年11月9日号
10月27日の衆院選では、自民・公明が大幅に議席を減らし、立憲、国民が躍進しました。気がかりなのは、「護憲、反戦・反核・反原発」を掲げる勢力が伸びなかったこと。本来、これらも大きな争点になるべきだったのに、「裏金」と「経済」に絞られてしまったのは、マスコミの責任でもあります。
これを書いている11月6日夜、米国大統領選は、トランプ氏の当選が確実となったようです。どちらが勝っても、米国はガザで虐殺を続けるイスラエルへの支援を継続するでしょう。私が米国大統領選に興味を持てない理由はこれです。
さて、新潟県内では柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決めるため、条例制定を求める署名活動が始まりました。
世界最大級の柏崎刈羽原発は、1~7号機とも運転停止中です。東京電力は2013年に6・7号機の再稼働の審査を原子力規制委員会に申請し、2023年12月にようやく再稼働準備ができるようになりました。
再稼働にあたっては、規制委員会の審査のほか、柏崎市、刈羽村、新潟県の同意が必要です。柏崎市と刈羽村は、議会、首長とも再稼働に同意する意向のようです。
一方、新潟県では、花角知事は18年に、柏崎刈羽原発の再稼働について「自ら判断し、県民に信を問う」と公約に掲げて当選しました。しかし、「信を問う」具体的な方法や時期は明確にしないまま今日に至っています。
柏崎刈羽原発の再稼働は、県民のいのちや暮らしに関わる大きな問題です。県知事や県議会に任せるのでなく、県民の一人ひとりが、県政の主人公として意思表示するべきではないでしょうか。
私たちは、地方自治法に基づき、「柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例」の制定を請求することにしました。請求のためには、新潟県民有権者の50分の1以上の署名が必要です。「条例を制定してください」という署名で、原発反対署名ではありません。
①県民のすべてが柏崎刈羽原発の再稼働の問題に向き合い、賛成・反対の立場を超えて話し合うこと、②柏崎刈羽原発の再稼働の是非を県民投票で問い、投票の結果を県の方針に反映させることが、新潟の民主主義を育て、未来をひらくことにつながると確信しています。どうか署名をお願いします。
署名と署名集めをしてくださる方は、齋木までご連絡ください。電話090‒4946‒7570。
2024年11月9日号
「カマキリの卵が高いところに産み付けられていれば今年は大雪だ」という雪国の言い伝えのような話を皆さん一度は聞いたり、話したことがあると思います。
この話は本当なのか? 平成9年(1997)にカマキリの卵が産み付けられる高さと、最大積雪深に関する研究発表が新潟県出身の酒井氏からされ、それがテレビなどのメディアを通じて広く知られるようになったようです。
しかし、近年弘前大学の安藤喜一氏によってそれは間違いであるということが書物でも書かれており、そもそもカマキリの卵は寒さや雪、耐水性にも優れており、雪に埋もれても春には羽化することがわかっています。
研究内容を見るとカマキリ自身が積雪予想をして卵を産み付ける高さを変えているわけではなさそうですが、気候の変化によって大気中の水分量や樹木の成長具合によって産卵場所が異なっているように感じました。
個人的にはこの秋見かけたカマキリの卵は3ヵ所で全て地上から約140cmのところに付いていたことや、ヘクサムシの数も見逃せませんが、ぜひ皆さんも今年の積雪量を予想してみてください。
2024年11月9日号
だから、と聞き返したくなる。JR東は衆院選が終わった2日後の先月29日、管内の地方赤字路線の収支状況を公表した。5年前から収支公表しており、予想通り飯山線の路線名が赤字ローカル線の代名詞として新聞やメディアに流れた。「百円の収入を得るのにかかる費用」をJRは『営業係数』と表示する。公表72路線で営業係数1万円を超えるのは4路線区間ある。「飯山線・戸狩野沢温泉―津南」は1万316円。だから、どうした、と聞き返したくなる。利用者が少ない現実はあるが、一方で経済活動から見れば「営業努力が足りない」となる。沿線に暮らす我々、さて、どうする。数字が続くが現実がよく分かる。
営業係数1万円を超える4路線区間で最多は1万3580円の「久留里線・久留里―上総亀山」。次が陸羽線・鳴子温泉―最上で1万3465円、さらに花輪線・荒屋新町―鹿角花輪の1万916円、その次が飯山線。このデータには興味深い数字も出ている。
37年前の1987年度と2023年度の一日乗者数(平均通過数)の比較だ。1万円を超える飯山線同区間の37年前は822人、昨年度は84人、実に90%の減少率。JR東が調査区間とする飯山線4区間では、豊野―飯山の減少率58%(37年前3368人、2023年度1398人)。津南―越後川口は減少率64%(37年前949人、2023年度342人)。公表72路線区間では減少率が少ない部類に入る。だが飯山―戸狩野沢温泉81%、戸狩野沢温泉―津南90%と深刻な数字を示す。まさに人口減少がそのまま具体化している。
サイクルトレイン、おいこっと、企画列車など経営努力の取り組みは見られ、最たるは8年前のSL運行だろう。人口減少、特に少子化で列車通学者が激減している現実だ。県を超え連携する飯山線沿線協議会がある。JR東と、とことん話してはどうか。
2024年11月9日号
裏金問題や選挙中の政党交付金2千万円問題など自民政権に対する有権者の厳しい審判が下った。衆院選投開票の27日、新潟県小選挙区5選挙区すべてで立憲が勝利。長らく続いた保守王国新潟での自民完敗に全国が注目。県内議席全てで野党独占は15年前の民主党政権誕生時以来。共に党処分を受けた立憲・自民候補の四度目の一騎打ちの5区。立憲・梅谷守氏(50)が二度目の当選を果たし、6期めざした自民・高鳥修一氏(64)に2万1千票の大差をつけ、有権者の自民不信を象徴する結果となった。梅谷氏は5区8市町村のうち糸魚川市以外すべてで高鳥氏を上回った。選挙区再編後の初の改選で、新編入した南魚・北魚の票の行方に関心が集まったが、結果は南魚沼市・魚沼市・湯沢町の2市1町はいずれも梅谷氏が勝利し、ここでも自民不信が際立った。再選した梅谷氏は今年早々の日本酒配布で公選法違反で刑事告発されており、今後検察がどう判断するか関心が集まる。重複立候補禁止で比例復活できなかった高鳥氏は、今後も政治活動を継続する方針を早々に示し次期をめざす意向だ。今回の衆院選、有権者の政治不信が多数の無効票として表れ、5区では県内最多の無効票6833票が出て、有権者の大きな「無言の抗議」が読み取れる。5区の投票率は62・62%(前回の旧6区67・79%、旧5区魚沼67・42%)。 (関連記事2面)
2024年11月2日号
オーストラリア、ニュージーランド、東ティモール、インドネシア…、国を巡るなかで見えてきたのは、「世界のカラフルさでしょうか」。多様な人たちと暮らし、様々な考え方、まさに「価値観の多様性」を肌で感じ、その感覚がいまにつながっている。
「思いついたことは全てやってみたい。先ず行動する、これですね」。十日町南中時代、陸上100㍍に取り組み、練習で自己ベストを次々更新。「その年の全中は北海道だったんです。ウニ丼が食べたい、これは全国だと、そこからエンジンがかかったんです」。
全国への壁は高く叶わなかったが、努力が認められ、スポーツ推薦で東京学館新潟高校へ。陸上に集中し始めた1年生の10月、あの中越地震が発生。「なにがきっかけだったのか自分でも分からないんですが、やる気がなくなってしまったんです」。
陸上をやめ、自分と向き合った。「何か目標を持たないとダメなたちなんで、『やりたいことノート』を作り、かたっぱしから制覇していきました」。
スキューバ免許取得、アメフト、ボクシングなどやりたいことでノートが埋まっていった。資金はアルバイトで稼いだ。「高校2年の時、国内を一人旅し、次は世界一周だと思ったんです」。そのためには英語が必要と高卒後、都内の語学系大学へ進んだ。だが、「日本にいたって話せないと思って、その年に大学を辞めました」。
その時19歳。ワーキングホリデーでオーストラリアへ行き、地元の人との交流で英語を習得。自然を求めニュージーランドにも行った。外国の生活で自分の中の価値観も変わってきた。「当たり前のことですが、実際に外国の地で暮らし、人と交わり、自分の世界観がカラフルになりましたね」。目標の世界一周が見えて来たなか、オーストラリアに7ヵ月滞在し、東ティモール、インドネシアを巡る。そしてバリ島で今につながる「ヨガ」と出会った。
心と身体に向き合うヨガ。その瞑想の素晴らしさと神秘性に魅かれ、本格的な習得のために帰国。都内で集中的に学び、指導できるまでになり講師に。15年間勤める。外国人受講生も多く、習得した英語が役立った。ヨガ教室のPRデザインや映像編集、ユーチューブ運営なども独学で習得し担当。「やっぱり自然が良い」と今年3月、十日町に戻る。
だが、すぐに動きだした。マイカーを改修し日本一周の旅に出発。「3ヵ月余りで47都道府県を巡りました。楽しかったですねぇ~」。十日町に帰り、出会いが待っていた。「ヨガの生徒だった横浜の方が十日町に移住してたんです。すごい偶然ですよね。その方に太鼓に誘われたんです」。
高校時代のバンド活動でドラムをやり、ニュージーランドでは打楽器ジャンベを経験。「誘われたら、なんでもトライなんです」。
十日町大太鼓『雪花会』に入り、直径3㍍余のビッグな太鼓を、野球バットより重いばち2本で叩く。「音が跳ね、全身に響いてすごいんです。はじめはメンバー3人位だったんですが、誘い合って今では子ども含め16人のメンバーで取り組んでいます」。早3ヵ月、すっかり板についている。
人と人とのつながりが自分の成長になっていると考える。「南中時代の陸上部後輩とも偶然再会し、それをきっかけに仕事をいただいて、人とのつながりもグンっと増え、仕事の幅もがりました」、「映像クリエイターも太鼓も、人と繋がるツールです」。映像企画・編集やユーチューブ運営代行など、県内外からも依頼の声がかかる。
「十日町市で出会った人と楽しく仕事をしながら、そこからさらに全国、そして世界へと視野を広げていけたらと考えています」、「ココで暮らしながら世界と仕事をする…こんな暮らしができたらステキですよね。出会い、大切にしたいです」。
▼バトンタッチします
雲野誠さん
2024年11月2日号
先日たかき医院で行われましたフェムテックフェスティバル、三連休の晴天の日にもかかわらず百人超の方が足を運んでいただき本当にありがとうございました。女性が輝いて過ごすための国内外のテクノロジーが待合ホールに所狭しと並ぶ中、みなさまから「びっくりしました!」と良い意味で驚きの声をもらいました。大変好評だったので、来年も企画していきたいと思っております。
さて、先日某病院主催の「依存症フォーラム」に参加してきました。主催病院の精神科医師、依存症の当事者としてアルコール・ギャンブル・薬物の依存症の患者さん数名、依存症家族や支援団体の代表の方たちが代わる代わるお話をして下さったり、最後は会場からの質問にそれらの人たちが答えるクロストークがあったりして、依存症についてさまざまな角度から勉強する時間となりました。
精神科医師からの言葉でなんといっても印象的だったのは「依存症は脳の病気」でした。以前、肉のあぶらは強い依存を生む、という話をこの場を借りて書きました。肉のあぶらを過剰に摂り続けると、「満足」という感覚を生み出す脳のドーパミン受容体の遺伝子自体が変化して、食事による喜びや満足を感知させないようにするため、脳が「満足できない脳」に変わり、満足感を得るために脳が「もっと」と指令を出すようになり、これが麻薬・アルコール・タバコ・買い物・ギャンブルなどのさまざまな依存症の脳内メカニズムに似ていますよ、という話でした。
つまり、もう一度言いますが、依存症は気持ちが弱くてやめられない、という精神論的な問題ではなく、脳細胞が遺伝子レベルで形を変えてしまう脳の病気なのだということを知って欲しいのです。
依存症が脳の病気ということは、たとえばギャンブル依存症の人が作った借金を家族が肩代わりをして、なかったことにしたり、次回はお金を使い込んでしまわないようにクレジットカードを止めたり、銀行口座からお金をおろせなないように工夫をして、しばらくギャンブルをできないようにすれば反省してギャンブルのことを忘れてしなくなるだろう、という周りの人の考えや対応はすべて間違いだということです。
依存症本人は他の病気と一緒で、きちんと専門医を受診して治療をし患者会に参加すること、家族も依存症のことや患者対応を家族会で勉強していく必要があります。多くの人と関わり助け合う、「ひとの輪」の中で癒していくと依存症から抜け出るゴールが近づくと思ってください。
だから、もしも「明日はきっと立ち直ってくれるはず」と思うような依存をお持ちの方がご家族の中にいるようであれば、一日でも早く専門病院への受診につないでいただきたいと思います。
依存症に関しては新潟県福祉保健部の障害福祉課に「いのちとこころの支援室」(℡025・280・5201)があります。ここ十日町・津南から近い依存症治療をしている病院は、上越市のさいがた医療センター、柏崎市の関病院です。これらの病院にお尋ねいただければ、家族会の紹介もしてくれます。
まずは依存症に対しての間違った認識を正すこと、そして正しい知識を知ることがとても大事です。ちなみに、生理痛で痛み止めの依存になっている方は、痛み止めは過剰に摂りすぎると肝臓や腎臓に負担をかけますので、是非婦人科にご相談くださいね。
(たかき医院・仲栄美子院長)
2024年11月2日号