Category

妻有新聞掲載記事一覧

  • 地元企業の期待感、学生奨学金支援も

    「ものづくり」、三条市立大学

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     新潟県三条市に設立された三条市立大学に先日行ってきました。地域の特徴を活かした「ものづくり」に特化した工学系の公立大学です。
     上越新幹線の停車駅・燕三条駅から徒歩で約10分、整備中の土地の一画に、今までの大学のイメージをくつがえす開放的で明るい雰囲気の建物が建っています。
     大学には一般開放されている食堂があり、美味しそうな定食やカレーなどが並び、地元ボランティアの方がお手伝いをされていました。食堂に女子学生の姿が多いと感じたところ、同じ屋根の下、隣は三条看護•医療•歯科衛生専門学校とのことでした。
     三条市立大学の1学年の学生数は80名。全員が一同に集まれるホールは前面がガラス張りで、その先に弥彦山の全貌が一枚の絵画のように現れ、ホール名に地元企業の経営者だった方の名前が付けられていました。地元のためにと多額の寄付をされたそうです。
     校内に、天井が高く、実習用の大きな機械がいくつも設置されている広い空間があり、上の方から、その空間を見渡せられるようになっていました。そこは、先生や学生から〝劇場〟と呼ばれており、機械を扱う際、危険がないように緊張感を持って動きに注意を払い、かつ美しく振る舞うことを学ぶのだそうです。
     個々の教室が並ぶ廊下を歩くと、教室との壁が半透明となっており、学生が熱心に講義を聞いたりディスカッションをしたりしている様子が感じられます。情報処理を学ぶ教室の机やパソコンの配置などにも細かい工夫がなされていました。
     今年で4年生まで揃い、毎年の入学の倍率は5倍を超えているとのことです。この数字は、少子化で受験生が減っているなか、全国的にみてもたいへん高い数字です。
    人気の理由は、やはり地域の特徴を活かした学び舎であることで、ここでしか実現できない教育を実施していることだと思います。
     「ものづくり」が盛んな地域という特徴を活かしていることから、地元企業からの期待も大きく、様々な協力を得られています。学生の実習の受け入れに協力している地元企業が百社を超えていることは驚きですし、学生奨学金の支援をしている地元企業もあります。
     来春、大学は初めての卒業生を送り出す予定で、それまでに学生時代にできる経験の多くの機会を得られ、そして、なるべく多くの学生が地元での就職を希望することを地域は望んでいることでしょう。
     これからも、学生と大学と地元とのよき関係をつくりながら歩んでほしいと思いました。

    2024年7月27日号

  • 矢櫃村跡まで探検ツアー

    小林 幸一(津南案内人)

     苗場山麓ジオパークで復活した中津川左岸のトレイルコースの中で、今回は大赤沢の対岸の秋山林道から矢櫃村跡までのコースを歩きました。
     ブナ林を下るコースは快適に整備され40分ほどで矢櫃村跡に到着。村跡には天明の飢饉で途絶えた供養塔と住居跡とみられる石垣が残っているだけで、そこでどのような暮らしをしていたのか、その形跡は深い森に飲み込まれていました。
     そこから少し下ると矢櫃橋があり、現在の橋跡と100年程前の写真を見比べ、橋が何処にかかっていたのか見回すと、川の流れは変わっていますがほとんど同じ位置に架かっていたようです。
     古い写真は小赤沢秋山館発行のもので、要約すると「この断崖清流を眺めればどんな人でも爽快で歓声を上げない人はいないだろう。歴史の言い伝えに寄ればこの岩の洞穴の中に内大臣は弓矢と甲冑を秘蔵したとゆうのでこの呼び名がある」と書かれています。
     苗場山麓ジオパークの中津川左岸ルートの終点にしては対岸の大赤沢に渡れないのが残念です。徳島県祖谷のかずら橋などは世界から観光客が訪れていますので、残された鉄骨製の塔やワイヤーを元にちょっと工夫をしてスリル満点の橋にすれば小赤沢までの歴史ある旧道復活と新たな観光資源となることでしょう。

    2024年7月27日号

  • 郷土のリズム繋ぐ

    うらだ屋太鼓 15年目

    指導の南雲紘海さん、貝沼拓さん

     県外からの山村留学生と地元の子たちが一緒に取り組める活動として25年余前に松之山・旧浦田小学校で始まった太鼓活動を、当時関わった人たちが引き継ぎ15年前に『うらだ屋太鼓』を立ち上げ、今につなげている。当時高校生だった指導者の南雲紘海さん(30)。山村留学生で地元定住した仲間も加わり、太鼓活動の伝統を次の世代に引き継ぐため、さらに活動の輪を広げている。来月11日の浦田地区盆踊りで「うらだ屋」が太鼓演奏し、盛り上げる計画だ。

    2024年7月27日号

  • 聞きたい「関口市長シナリオ」

     『歳月人を待たず』。年月は人の都合など考えずに、どんどん過ぎ去ってゆく、という言葉だが、そんな簡単じゃないよ、という声も聞こえてきそうだ。 
     そうです、十日町市長選です。任期満了まで1年後の今春4月23日、4期在任の関口芳史市長は定例会見で翌年の市長選への思いとして言葉を重ねた。 
     「今はまだ、そういうことを考えるようなタイミングではないと思う」と述べ、「目の前の課題をしっかり解決するため全力を尽くしたい。どこかのタイミングで、また次のことを考えるような時期があったら、またしっかり皆様に示す」。無難な言葉を並べたが、この中でタイミングという言葉を2回使っている。便利な言葉ではあるが、「自分が決める」その時がタイミングであり、人に勧められる時もタイミングだ。そのタイミングは、すでに過ぎているのではないのか。
     あれから3ヵ月、まさに歳月人を待たずだ。関口市長の都合など考えずに、時間は刻々と流れ、人の思いや思惑とは関係なしに、そのタイミングは次々と変化し、時間は過ぎ去り、そこから浮かび上がる「再出馬」という時間の流れが始まっている。
     一つのシナリオがある。7月13日、大地の芸術祭が始まった。この2週間の印象は「人が来ている」。夏休みに入り、この妻有の夏は、この大地の芸術祭の夏は、人の入込みで相当に熱い夏になるだろう。平日でも街を往来する人の流れは各段に多く、このまま推移すれば過去最高の入込みが見込める。11月10日、フィナーレを迎え、その余韻が残る12月定例市議会で「出馬表明」…。これは妻有新聞のオリジナル・シナリオ。さて、関口市長のシナリオは…、そこが聞きたい。
     来週は早や8月。政治の世界でよく使う「秋風が吹く頃に…」だが、十日町市の皆さんは、そこまで待ってくれるのか。今年の残暑は厳しそうだ。

    2024年7月27日号

  • 「抵抗」のアート、現代の戦争を問う

    第9回大地の芸術祭開幕

    ウクライナのニキータ・カダン氏語る

     ロシアのミサイル攻撃で破壊された屋根の一部を旗に見立てた新作『ホストメリの彫刻』も―。13日に開幕した第9回大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ2024はロシアのウクライナ侵攻を背景に、戦争とは何かを感じさせるウクライナ色を強くしたなかで開幕した。アート拠点の里山現代美術館モネにはウクライナの現代アーティスト、ニキータ・カダン氏の作品や同国(旧ソ連)出身で抑圧された社会で生きた経験や記憶を作品に制作してきたアーティスト、イリヤ・カバコフ氏のドローイングを展示。さらに21日まで「ウクライナウィーク」として同国のアニメや絵本も紹介。開会式に出席のニキータ・カダン氏は「私のテーマは抵抗」と話す。現代アートの祭典を通し、世界に戦争とは何かを問いかけている。

    2024年7月20日号

  • 全国から800人、中里中生徒が運営ボラ

    「中里愛」で走る大地の芸術祭・ツールド妻有に

     「走る大地の芸術祭」といわれ、妻有地域120㌔を自転車で巡る「ツールド妻有」。第17回は、芸術祭期間中の8月25日に開く。ミオンなかさとを発着に全国から8百人余がすでにエントリーし、お揃いの「黄色いジャージ」が里山を駆け抜ける。今回のイベントに地元の中里中学校(上村みほ校長・67人)の全校生徒が運営ボランティアで関わり、ゴールの声援やエイドステーションを担う。

    2024年7月20日号

  • 奇跡が起きた。歩けるようになった

    92歳女性、週一回座るリハビリで

    Vol 102

     「奇跡が起こる」瞬間に立ち会ったことはありますか? 奇跡とはいっても、自分がただ「そんなことあるわけない」と硬く信じ込んでいるだけで、人生には100%必ずということは絶対にない! ということを思い出させられる出来事が時に起こることを「奇跡」というのかもしれません。
     ちょっと調べてみると、「奇跡(良いこと)が起こる前兆」というのがあり、それは①四ツ葉のクローバーを見つける ②流れ星を見る ③へびを見る ④鳥のフンが落ちてくる ⑤立て続けに物が壊れる ⑥雷が落ちるのを目撃する ⑦朝にクモを見る ⑧二重の虹を見る ⑨ゾロ目の数字をよく見る ⑩寝ても寝ても眠い ⑪嫌なことが続く ⑫イメチェンしたくなる、などだそうです。
     最近たかき医院で、「奇跡のようだ!」とご本人だけでなくご家族まで喜んだお話があり、職員と一緒に感激したその話を今日は皆さんにお伝えします。
     奇跡を起こした張本人は92歳の女性。少し前からその娘さんが、当院に設置している座るだけで骨盤底筋を鍛えられる器械にかかるために通院していました。この器械は約30分、週に1回程度6回座ると、骨盤底筋が鍛えられ尿漏れや頻尿が改善していくというものです。骨盤底筋だけでなくお尻や太ももの裏側の筋肉、インナーマッスルも一緒に鍛えてくれるので、ヒップアップや腰痛改善などの目的で使用される方もいます。娘さんが、とても良いのでお母さんにもかからせてあげたい、とある日連れてこられたのがきっかけでした。実はご本人さんは、背骨の圧迫骨折をして2ヵ月入院し、寝たきりになっていたことで歩けなくなり、リハビリをしても改善せず、自宅が高床式の3階建てだったこともあり、退院したら施設の入所を強く勧められたのだそうです。確かに、1回目に来た時は車から車椅子に移すのも2人がかり、車いすから器械に移すのも2人がかりでした。ところが、2回目に来た時、何かにつかまっていれば横歩きができるようになっており、車から玄関の中までは娘さんのサポートで歩いて入ってきました。3回目には車いすが全くいらないくらいに歩けるようになり、向かいに住んでいる娘さんが、ある朝チャイムが鳴るので出てみたら、ご本人さんが玄関先に立っていたという衝撃の事件があったそうです。足腰に自信がなくなってきたなと思っていて、自分にも奇跡の起きる瞬間を体験したい方は当院まで気軽にお問い合わせください。
     最後にちょっと宣伝です! 今年9月28日、段十ろうにて、縄文の聖地「十日町」に「人生、心の豊かさ・美しさ」を伝える作家、アーティスト、ファッションデザイナーなど幅広い分野で活躍をする方々が集うイベントが開催されます。縄文をテーマに「新しい時代の豊かさ、美に触れる」ことで、このイベントでも間違いなく奇跡が起こることでしょう。「ヒラクハジマル」で検索してください。7月28日からウェブで、29日からは段十ろう窓口で予約開始になります。ぜひご参加くださいね。(たかき医院・仲栄美子院長)
     子どもたちから災害に対する備えと意識をと十日町青年会議所やセーフネットぼうさい、十日町市社会福祉協議会がネットワークを組み、毎年管内の小中学校で開いている「越後妻有防災プログラム」。今年は水沢中で開き、生徒たちは防災学習や消火器操作、地震、豪雨など模擬体験した。
     「自分の命は自分で守ろう」と防災学習の講義を受けた後、生徒たちは国交省・湯沢砂防事務所らの協力で用意された降雨体験装置や煙体験ハウス、土石流体感3Dシアターで災害を模擬体験。生徒たちは「普段からの災害の備えがいかに大切かを実感しました。今回の体験を防災にいかしていきたいです」などと話していた。

    2024年7月20日号

  • 「自分だったらと、患者の立場に立ち」

    山本 陽向子さん(2001年生まれ)

     小さい頃、『かんごしさんになりたいです』と願い事を七夕の短冊に書き、毎年竹に飾っていた。その思いをずっと抱き続け、いまその職にある。 厚生連・柏崎総合医療センターの内科病棟の看護師として日々、病と向き合う患者に寄り添っている。「まだまだ知識、経験、技術が足りていません」。
    看護師として医療現場に立って3年、率直な思いだが、常に前を向いている。
     看護師で助産師も務めた母の姿を、幼少期に「かっこいい」と見つめ、そのまま憧れの対象となり、小学・中学と具体的な目標になり、高校では「この道しかない」と看護学校への進学を早くから決めていた。
     「夜勤の時には母は夜いませんでしたし、大晦日でも仕事に出かけ、災害など発生するとすぐに駆けつけました。そんな日々の母の姿がかっこよかったんです。私がケガをしてもすぐに手当してくれ、かっこよさと共に頼もしく感じました」。
     さらに4歳違いの姉も看護師。自分が進む道の先を、母と姉が前を歩んでおり、その姿が明確な目標として常にあった。いま勤務する医療機関はそれぞれ違うが、共通の看護師として、母と娘という固い絆以上の連帯感でつながっている。
     「母と姉、私の3人だけで旅行に行ったりします。父と兄は留守番です。旅先では仕事の話ばかりです。職場ではなかなか話せない事も、母と姉には気軽に話せて、私のリセットにもなっています」。現在の内科病棟では消化器内科・腎臓内科・血液内科の入院患者を担当。夜勤を含め、1ヵ月単位の勤務ローテーションが組まれている。 
     「自分だったら、自分の家族だったらと思って、いつも患者さんと向き合っています。どうしてほしいのか、退院後、家で過ごす時の事なども考えて、いつも接しています」。
     
     辛い経験も多くしている。「人が亡くなる場面に初めて立ち会った時や、長い入院の中で亡くなってしまった時など、考えてしまうこともあります。先輩や母や姉と話すことで切り替えています。いまは仕事と家に帰った時などオン・オフのスイッチを切り替えています」。
     病で困っている人の一番身近に居る存在でもある看護師。感謝の言葉は大きなエネルギー源になっている。「ありがとうという言葉を頂くと、看護師をしていて良かったと思います。入退院を繰り返す方が『今度も山本さんで良かった』と言っていただくと嬉しくなります。退院される時は、良かったと思うと同時に、家で大丈夫だろうかなどと心配な面もあります。もっともっと経験を積んでいきたいです」。
     この先も見ている。いまの病棟の看護師婦長はガン医療の専門看護師でもあり、見習いたい先輩看護師でもある。さらに各種医療機器を扱う臨床工学技士への道も視野に入れている。「日々の経験を通じて、自分がさらに関心を持て、興味が深まるものを、医療看護の経験を積みながら見つけていきたいです」。

     命と向き合う日々。「ためない」ようにしている。海を見ながら、「ボーとするのが好きなんです」。海が近い柏崎、時々海を見に行く。
     
    ▼バトンタッチします。
     黒島有彩さん

    2024年7月20日号

  • 「古い体制の保守を考える!」

    公権力の横暴の実態

    長谷川 好文 (秋山郷山房もっきりや)

     自民党内の裏金問題が発覚して、補選で全敗したのは数ヵ月前のことで、記憶に新しい。その後も大手企業での不正が続いていているが、その報道も知事選やらウクライナ戦争、ガザでの無差別攻撃のニュースの陰になったようで、これ幸いとばかりニュースに上らなくなって来ている。
     もっとも、多くの企業の起こす事件はいつも中途半端な幕切が多いようだ。日本の社会を支える企業や報道は余計なことは突っ込んで問題視しないようにしているのだろう。江戸時代から続くお家芸ということか?
     本来この国では、まじめで優しく、正直な国民が多くきちんとルールを守って社会を保って来たと思う。近頃のインバウンドで訪れる外国人は、異口同音に日本人の優しさや正直さを讃える映像を見るのだが、一般国民と選民意欲の強い政治家や大企業の特権サラリーマンとは大きな乖離があるようだ。もっとも政治を志していた頃や、就職戦線でしのぎを削っていた若かった頃の人間は、青雲の志に溢れていたり、良い仕事をして社会に貢献しようと思っていたはずである。
     それが政治においても、企業人となっていく間に何となく牙を抜かれて、政党や大企業のお仕着せを脱げなくなってしまうものだ。
     自己主張を続けると政党では公認をもらえなくなったり、大企業では転勤や減給などの仕打ちを受けるようになる。それならばと仲間になってしまう。結果、裏金問題であったりモラルを欠いた経営による公害まで引き起こす事件に連座することになる。 
     原子力発電などでは電力会社は一団となって安全を標榜するが、福島の事故はまだまだ解決には程遠い状況だ。建設会社では談合が行われ、疑問を呈すると「いつ迄も青ちょろいこと言ってるのではない」と怒られたようである。
     こんなことは権力の集中する国などでは当たり前で、世界中で見られることだと思うのだが、独裁者が生まれる国の怖さは誰もが知っているだろう。警察や検察が自分達の判断を覆すことはせず、自身の権力を守るシステムは強靭である。一度逮捕してしまえば何が何でもそれを押し通す。大川原化工の冤罪事件では逮捕された3人の起訴を取り消す訴えには耳を貸すこともせず、一人の被疑者に病状の悪化がみられたにもかかわらず、勾留を続けた。その後、亡くなってしまった。
     またスリランカ人の女性が名古屋出入国管理事務所で体調を壊して治療を求めたが、適切な手当を受けられず病死してしまう事件もあった。一度起訴してしまえば有罪が決まってしまうようで、病気になっても釈放することは稀なのだという。 国民の正義感に比べ力を持つ機関の目に見えない所での横暴さを注意深く見ておかなければならない。
     これからも公権力の横暴は続くのだ。もちろん外国の権力とは違っているだろうがこの国においても似通ったことがある。ただ無関係だと、たかを括っていると権力は増長して戦前の日本帝国のようになってしまいそうだ。一般国民市民がゆるい人とばかり思われないように、礼儀正しく正直だが、しっかりした意見を持つ視野がある国民にならなければ日本の先は細っていくだろう。国民の権利を行使しつつ尚且つ困っている人に寄り添っていく国民市民でありたい。
     ただ、私は少し多く歳を取ったせいで、警察や検察の恫喝には耐えられないことも分かっている。すぐに日和ることにしている。すみません!

    2024年7月20日号

  • ナワシロイチゴ

    照井 麻美(津南星空写真部)

     津南町にある森林セラピー基地にて野イチゴを見つけました。これはナワシロイチゴというキイチゴの仲間で野山の林縁のみならず、道端の藪など日当たりのいいところに生息しています。
     5月から7月にかけてラズベリーに似た赤い実をつけ、「苗代」を作るころに果実が熟すことから、ナワシロイチゴと名付けられたそうです。
     そのままでもジャムにしてもおいしく食べることができますが、すぐそばにある自然の中に食べ物があるということは改めて良いところに住んでいるな、と感じる瞬間でもあります。
     移住した最初の頃は「花」や「草」ということだけで、名前も何もわかりませんでしたが、少しずつ植物の知識を増やしていくと、本当に多くの草花が山や林に生息していることがわかります。
     特に葉の形や香り、樹木の質感などは一つ一つ特徴的で、こんなにも違うのかと驚くと同時に緑豊かな自然に囲まれて生活ができるこの地域が本当に贅沢な場所だと感じています。
     これからの時期はブナ林がとても涼しく感じることのできる季節です。ぜひ、森林セラピー基地や近くの森に足を運んでみてはいかがでしょうか。

    2024年7月20日号

  • 地元企業の期待感、学生奨学金支援も

    「ものづくり」、三条市立大学

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     新潟県三条市に設立された三条市立大学に先日行ってきました。地域の特徴を活かした「ものづくり」に特化した工学系の公立大学です。
     上越新幹線の停車駅・燕三条駅から徒歩で約10分、整備中の土地の一画に、今までの大学のイメージをくつがえす開放的で明るい雰囲気の建物が建っています。
     大学には一般開放されている食堂があり、美味しそうな定食やカレーなどが並び、地元ボランティアの方がお手伝いをされていました。食堂に女子学生の姿が多いと感じたところ、同じ屋根の下、隣は三条看護•医療•歯科衛生専門学校とのことでした。
     三条市立大学の1学年の学生数は80名。全員が一同に集まれるホールは前面がガラス張りで、その先に弥彦山の全貌が一枚の絵画のように現れ、ホール名に地元企業の経営者だった方の名前が付けられていました。地元のためにと多額の寄付をされたそうです。
     校内に、天井が高く、実習用の大きな機械がいくつも設置されている広い空間があり、上の方から、その空間を見渡せられるようになっていました。そこは、先生や学生から〝劇場〟と呼ばれており、機械を扱う際、危険がないように緊張感を持って動きに注意を払い、かつ美しく振る舞うことを学ぶのだそうです。
     個々の教室が並ぶ廊下を歩くと、教室との壁が半透明となっており、学生が熱心に講義を聞いたりディスカッションをしたりしている様子が感じられます。情報処理を学ぶ教室の机やパソコンの配置などにも細かい工夫がなされていました。
     今年で4年生まで揃い、毎年の入学の倍率は5倍を超えているとのことです。この数字は、少子化で受験生が減っているなか、全国的にみてもたいへん高い数字です。
    人気の理由は、やはり地域の特徴を活かした学び舎であることで、ここでしか実現できない教育を実施していることだと思います。
     「ものづくり」が盛んな地域という特徴を活かしていることから、地元企業からの期待も大きく、様々な協力を得られています。学生の実習の受け入れに協力している地元企業が百社を超えていることは驚きですし、学生奨学金の支援をしている地元企業もあります。
     来春、大学は初めての卒業生を送り出す予定で、それまでに学生時代にできる経験の多くの機会を得られ、そして、なるべく多くの学生が地元での就職を希望することを地域は望んでいることでしょう。
     これからも、学生と大学と地元とのよき関係をつくりながら歩んでほしいと思いました。

    2024年7月27日号

  • 矢櫃村跡まで探検ツアー

    小林 幸一(津南案内人)

     苗場山麓ジオパークで復活した中津川左岸のトレイルコースの中で、今回は大赤沢の対岸の秋山林道から矢櫃村跡までのコースを歩きました。
     ブナ林を下るコースは快適に整備され40分ほどで矢櫃村跡に到着。村跡には天明の飢饉で途絶えた供養塔と住居跡とみられる石垣が残っているだけで、そこでどのような暮らしをしていたのか、その形跡は深い森に飲み込まれていました。
     そこから少し下ると矢櫃橋があり、現在の橋跡と100年程前の写真を見比べ、橋が何処にかかっていたのか見回すと、川の流れは変わっていますがほとんど同じ位置に架かっていたようです。
     古い写真は小赤沢秋山館発行のもので、要約すると「この断崖清流を眺めればどんな人でも爽快で歓声を上げない人はいないだろう。歴史の言い伝えに寄ればこの岩の洞穴の中に内大臣は弓矢と甲冑を秘蔵したとゆうのでこの呼び名がある」と書かれています。
     苗場山麓ジオパークの中津川左岸ルートの終点にしては対岸の大赤沢に渡れないのが残念です。徳島県祖谷のかずら橋などは世界から観光客が訪れていますので、残された鉄骨製の塔やワイヤーを元にちょっと工夫をしてスリル満点の橋にすれば小赤沢までの歴史ある旧道復活と新たな観光資源となることでしょう。

    2024年7月27日号

  • 郷土のリズム繋ぐ

    うらだ屋太鼓 15年目

    指導の南雲紘海さん、貝沼拓さん

     県外からの山村留学生と地元の子たちが一緒に取り組める活動として25年余前に松之山・旧浦田小学校で始まった太鼓活動を、当時関わった人たちが引き継ぎ15年前に『うらだ屋太鼓』を立ち上げ、今につなげている。当時高校生だった指導者の南雲紘海さん(30)。山村留学生で地元定住した仲間も加わり、太鼓活動の伝統を次の世代に引き継ぐため、さらに活動の輪を広げている。来月11日の浦田地区盆踊りで「うらだ屋」が太鼓演奏し、盛り上げる計画だ。

    2024年7月27日号

  • 聞きたい「関口市長シナリオ」

     『歳月人を待たず』。年月は人の都合など考えずに、どんどん過ぎ去ってゆく、という言葉だが、そんな簡単じゃないよ、という声も聞こえてきそうだ。 
     そうです、十日町市長選です。任期満了まで1年後の今春4月23日、4期在任の関口芳史市長は定例会見で翌年の市長選への思いとして言葉を重ねた。 
     「今はまだ、そういうことを考えるようなタイミングではないと思う」と述べ、「目の前の課題をしっかり解決するため全力を尽くしたい。どこかのタイミングで、また次のことを考えるような時期があったら、またしっかり皆様に示す」。無難な言葉を並べたが、この中でタイミングという言葉を2回使っている。便利な言葉ではあるが、「自分が決める」その時がタイミングであり、人に勧められる時もタイミングだ。そのタイミングは、すでに過ぎているのではないのか。
     あれから3ヵ月、まさに歳月人を待たずだ。関口市長の都合など考えずに、時間は刻々と流れ、人の思いや思惑とは関係なしに、そのタイミングは次々と変化し、時間は過ぎ去り、そこから浮かび上がる「再出馬」という時間の流れが始まっている。
     一つのシナリオがある。7月13日、大地の芸術祭が始まった。この2週間の印象は「人が来ている」。夏休みに入り、この妻有の夏は、この大地の芸術祭の夏は、人の入込みで相当に熱い夏になるだろう。平日でも街を往来する人の流れは各段に多く、このまま推移すれば過去最高の入込みが見込める。11月10日、フィナーレを迎え、その余韻が残る12月定例市議会で「出馬表明」…。これは妻有新聞のオリジナル・シナリオ。さて、関口市長のシナリオは…、そこが聞きたい。
     来週は早や8月。政治の世界でよく使う「秋風が吹く頃に…」だが、十日町市の皆さんは、そこまで待ってくれるのか。今年の残暑は厳しそうだ。

    2024年7月27日号

  • 「抵抗」のアート、現代の戦争を問う

    第9回大地の芸術祭開幕

    ウクライナのニキータ・カダン氏語る

     ロシアのミサイル攻撃で破壊された屋根の一部を旗に見立てた新作『ホストメリの彫刻』も―。13日に開幕した第9回大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ2024はロシアのウクライナ侵攻を背景に、戦争とは何かを感じさせるウクライナ色を強くしたなかで開幕した。アート拠点の里山現代美術館モネにはウクライナの現代アーティスト、ニキータ・カダン氏の作品や同国(旧ソ連)出身で抑圧された社会で生きた経験や記憶を作品に制作してきたアーティスト、イリヤ・カバコフ氏のドローイングを展示。さらに21日まで「ウクライナウィーク」として同国のアニメや絵本も紹介。開会式に出席のニキータ・カダン氏は「私のテーマは抵抗」と話す。現代アートの祭典を通し、世界に戦争とは何かを問いかけている。

    2024年7月20日号

  • 全国から800人、中里中生徒が運営ボラ

    「中里愛」で走る大地の芸術祭・ツールド妻有に

     「走る大地の芸術祭」といわれ、妻有地域120㌔を自転車で巡る「ツールド妻有」。第17回は、芸術祭期間中の8月25日に開く。ミオンなかさとを発着に全国から8百人余がすでにエントリーし、お揃いの「黄色いジャージ」が里山を駆け抜ける。今回のイベントに地元の中里中学校(上村みほ校長・67人)の全校生徒が運営ボランティアで関わり、ゴールの声援やエイドステーションを担う。

    2024年7月20日号

  • 奇跡が起きた。歩けるようになった

    92歳女性、週一回座るリハビリで

    Vol 102

     「奇跡が起こる」瞬間に立ち会ったことはありますか? 奇跡とはいっても、自分がただ「そんなことあるわけない」と硬く信じ込んでいるだけで、人生には100%必ずということは絶対にない! ということを思い出させられる出来事が時に起こることを「奇跡」というのかもしれません。
     ちょっと調べてみると、「奇跡(良いこと)が起こる前兆」というのがあり、それは①四ツ葉のクローバーを見つける ②流れ星を見る ③へびを見る ④鳥のフンが落ちてくる ⑤立て続けに物が壊れる ⑥雷が落ちるのを目撃する ⑦朝にクモを見る ⑧二重の虹を見る ⑨ゾロ目の数字をよく見る ⑩寝ても寝ても眠い ⑪嫌なことが続く ⑫イメチェンしたくなる、などだそうです。
     最近たかき医院で、「奇跡のようだ!」とご本人だけでなくご家族まで喜んだお話があり、職員と一緒に感激したその話を今日は皆さんにお伝えします。
     奇跡を起こした張本人は92歳の女性。少し前からその娘さんが、当院に設置している座るだけで骨盤底筋を鍛えられる器械にかかるために通院していました。この器械は約30分、週に1回程度6回座ると、骨盤底筋が鍛えられ尿漏れや頻尿が改善していくというものです。骨盤底筋だけでなくお尻や太ももの裏側の筋肉、インナーマッスルも一緒に鍛えてくれるので、ヒップアップや腰痛改善などの目的で使用される方もいます。娘さんが、とても良いのでお母さんにもかからせてあげたい、とある日連れてこられたのがきっかけでした。実はご本人さんは、背骨の圧迫骨折をして2ヵ月入院し、寝たきりになっていたことで歩けなくなり、リハビリをしても改善せず、自宅が高床式の3階建てだったこともあり、退院したら施設の入所を強く勧められたのだそうです。確かに、1回目に来た時は車から車椅子に移すのも2人がかり、車いすから器械に移すのも2人がかりでした。ところが、2回目に来た時、何かにつかまっていれば横歩きができるようになっており、車から玄関の中までは娘さんのサポートで歩いて入ってきました。3回目には車いすが全くいらないくらいに歩けるようになり、向かいに住んでいる娘さんが、ある朝チャイムが鳴るので出てみたら、ご本人さんが玄関先に立っていたという衝撃の事件があったそうです。足腰に自信がなくなってきたなと思っていて、自分にも奇跡の起きる瞬間を体験したい方は当院まで気軽にお問い合わせください。
     最後にちょっと宣伝です! 今年9月28日、段十ろうにて、縄文の聖地「十日町」に「人生、心の豊かさ・美しさ」を伝える作家、アーティスト、ファッションデザイナーなど幅広い分野で活躍をする方々が集うイベントが開催されます。縄文をテーマに「新しい時代の豊かさ、美に触れる」ことで、このイベントでも間違いなく奇跡が起こることでしょう。「ヒラクハジマル」で検索してください。7月28日からウェブで、29日からは段十ろう窓口で予約開始になります。ぜひご参加くださいね。(たかき医院・仲栄美子院長)
     子どもたちから災害に対する備えと意識をと十日町青年会議所やセーフネットぼうさい、十日町市社会福祉協議会がネットワークを組み、毎年管内の小中学校で開いている「越後妻有防災プログラム」。今年は水沢中で開き、生徒たちは防災学習や消火器操作、地震、豪雨など模擬体験した。
     「自分の命は自分で守ろう」と防災学習の講義を受けた後、生徒たちは国交省・湯沢砂防事務所らの協力で用意された降雨体験装置や煙体験ハウス、土石流体感3Dシアターで災害を模擬体験。生徒たちは「普段からの災害の備えがいかに大切かを実感しました。今回の体験を防災にいかしていきたいです」などと話していた。

    2024年7月20日号

  • 「自分だったらと、患者の立場に立ち」

    山本 陽向子さん(2001年生まれ)

     小さい頃、『かんごしさんになりたいです』と願い事を七夕の短冊に書き、毎年竹に飾っていた。その思いをずっと抱き続け、いまその職にある。 厚生連・柏崎総合医療センターの内科病棟の看護師として日々、病と向き合う患者に寄り添っている。「まだまだ知識、経験、技術が足りていません」。
    看護師として医療現場に立って3年、率直な思いだが、常に前を向いている。
     看護師で助産師も務めた母の姿を、幼少期に「かっこいい」と見つめ、そのまま憧れの対象となり、小学・中学と具体的な目標になり、高校では「この道しかない」と看護学校への進学を早くから決めていた。
     「夜勤の時には母は夜いませんでしたし、大晦日でも仕事に出かけ、災害など発生するとすぐに駆けつけました。そんな日々の母の姿がかっこよかったんです。私がケガをしてもすぐに手当してくれ、かっこよさと共に頼もしく感じました」。
     さらに4歳違いの姉も看護師。自分が進む道の先を、母と姉が前を歩んでおり、その姿が明確な目標として常にあった。いま勤務する医療機関はそれぞれ違うが、共通の看護師として、母と娘という固い絆以上の連帯感でつながっている。
     「母と姉、私の3人だけで旅行に行ったりします。父と兄は留守番です。旅先では仕事の話ばかりです。職場ではなかなか話せない事も、母と姉には気軽に話せて、私のリセットにもなっています」。現在の内科病棟では消化器内科・腎臓内科・血液内科の入院患者を担当。夜勤を含め、1ヵ月単位の勤務ローテーションが組まれている。 
     「自分だったら、自分の家族だったらと思って、いつも患者さんと向き合っています。どうしてほしいのか、退院後、家で過ごす時の事なども考えて、いつも接しています」。
     
     辛い経験も多くしている。「人が亡くなる場面に初めて立ち会った時や、長い入院の中で亡くなってしまった時など、考えてしまうこともあります。先輩や母や姉と話すことで切り替えています。いまは仕事と家に帰った時などオン・オフのスイッチを切り替えています」。
     病で困っている人の一番身近に居る存在でもある看護師。感謝の言葉は大きなエネルギー源になっている。「ありがとうという言葉を頂くと、看護師をしていて良かったと思います。入退院を繰り返す方が『今度も山本さんで良かった』と言っていただくと嬉しくなります。退院される時は、良かったと思うと同時に、家で大丈夫だろうかなどと心配な面もあります。もっともっと経験を積んでいきたいです」。
     この先も見ている。いまの病棟の看護師婦長はガン医療の専門看護師でもあり、見習いたい先輩看護師でもある。さらに各種医療機器を扱う臨床工学技士への道も視野に入れている。「日々の経験を通じて、自分がさらに関心を持て、興味が深まるものを、医療看護の経験を積みながら見つけていきたいです」。

     命と向き合う日々。「ためない」ようにしている。海を見ながら、「ボーとするのが好きなんです」。海が近い柏崎、時々海を見に行く。
     
    ▼バトンタッチします。
     黒島有彩さん

    2024年7月20日号

  • 「古い体制の保守を考える!」

    公権力の横暴の実態

    長谷川 好文 (秋山郷山房もっきりや)

     自民党内の裏金問題が発覚して、補選で全敗したのは数ヵ月前のことで、記憶に新しい。その後も大手企業での不正が続いていているが、その報道も知事選やらウクライナ戦争、ガザでの無差別攻撃のニュースの陰になったようで、これ幸いとばかりニュースに上らなくなって来ている。
     もっとも、多くの企業の起こす事件はいつも中途半端な幕切が多いようだ。日本の社会を支える企業や報道は余計なことは突っ込んで問題視しないようにしているのだろう。江戸時代から続くお家芸ということか?
     本来この国では、まじめで優しく、正直な国民が多くきちんとルールを守って社会を保って来たと思う。近頃のインバウンドで訪れる外国人は、異口同音に日本人の優しさや正直さを讃える映像を見るのだが、一般国民と選民意欲の強い政治家や大企業の特権サラリーマンとは大きな乖離があるようだ。もっとも政治を志していた頃や、就職戦線でしのぎを削っていた若かった頃の人間は、青雲の志に溢れていたり、良い仕事をして社会に貢献しようと思っていたはずである。
     それが政治においても、企業人となっていく間に何となく牙を抜かれて、政党や大企業のお仕着せを脱げなくなってしまうものだ。
     自己主張を続けると政党では公認をもらえなくなったり、大企業では転勤や減給などの仕打ちを受けるようになる。それならばと仲間になってしまう。結果、裏金問題であったりモラルを欠いた経営による公害まで引き起こす事件に連座することになる。 
     原子力発電などでは電力会社は一団となって安全を標榜するが、福島の事故はまだまだ解決には程遠い状況だ。建設会社では談合が行われ、疑問を呈すると「いつ迄も青ちょろいこと言ってるのではない」と怒られたようである。
     こんなことは権力の集中する国などでは当たり前で、世界中で見られることだと思うのだが、独裁者が生まれる国の怖さは誰もが知っているだろう。警察や検察が自分達の判断を覆すことはせず、自身の権力を守るシステムは強靭である。一度逮捕してしまえば何が何でもそれを押し通す。大川原化工の冤罪事件では逮捕された3人の起訴を取り消す訴えには耳を貸すこともせず、一人の被疑者に病状の悪化がみられたにもかかわらず、勾留を続けた。その後、亡くなってしまった。
     またスリランカ人の女性が名古屋出入国管理事務所で体調を壊して治療を求めたが、適切な手当を受けられず病死してしまう事件もあった。一度起訴してしまえば有罪が決まってしまうようで、病気になっても釈放することは稀なのだという。 国民の正義感に比べ力を持つ機関の目に見えない所での横暴さを注意深く見ておかなければならない。
     これからも公権力の横暴は続くのだ。もちろん外国の権力とは違っているだろうがこの国においても似通ったことがある。ただ無関係だと、たかを括っていると権力は増長して戦前の日本帝国のようになってしまいそうだ。一般国民市民がゆるい人とばかり思われないように、礼儀正しく正直だが、しっかりした意見を持つ視野がある国民にならなければ日本の先は細っていくだろう。国民の権利を行使しつつ尚且つ困っている人に寄り添っていく国民市民でありたい。
     ただ、私は少し多く歳を取ったせいで、警察や検察の恫喝には耐えられないことも分かっている。すぐに日和ることにしている。すみません!

    2024年7月20日号

  • ナワシロイチゴ

    照井 麻美(津南星空写真部)

     津南町にある森林セラピー基地にて野イチゴを見つけました。これはナワシロイチゴというキイチゴの仲間で野山の林縁のみならず、道端の藪など日当たりのいいところに生息しています。
     5月から7月にかけてラズベリーに似た赤い実をつけ、「苗代」を作るころに果実が熟すことから、ナワシロイチゴと名付けられたそうです。
     そのままでもジャムにしてもおいしく食べることができますが、すぐそばにある自然の中に食べ物があるということは改めて良いところに住んでいるな、と感じる瞬間でもあります。
     移住した最初の頃は「花」や「草」ということだけで、名前も何もわかりませんでしたが、少しずつ植物の知識を増やしていくと、本当に多くの草花が山や林に生息していることがわかります。
     特に葉の形や香り、樹木の質感などは一つ一つ特徴的で、こんなにも違うのかと驚くと同時に緑豊かな自然に囲まれて生活ができるこの地域が本当に贅沢な場所だと感じています。
     これからの時期はブナ林がとても涼しく感じることのできる季節です。ぜひ、森林セラピー基地や近くの森に足を運んでみてはいかがでしょうか。

    2024年7月20日号