『なぜ人口は減るのか』、「生まれる子が少ないから」、『なぜ生まれる子が少ないのか』、「結婚する人たちが減っているから」、『なぜ結婚する人たちが減っているのか』、「相手が見つからないから」、『なぜ相手が見つからないのか』、「見つからないものは、見つからないから」、『なぜ見つからないのか』、「だから、見つからないのは、見つからないんだよ」。会話の最後は、苛立ちの言葉になってしまった。「見つけられない」となると個人領域になるが、実態は「見つからない」ようだ。
十日町市が事業化する「ハピ婚サポートセンター」に新年度4月から津南町も参加することになった。事業費を新年度予算に組み入れている。十日町市のハピ婚事業は、登録制ながら専任職員が登録希望者と数回面談し、親身になって「本気度」を聞き出しながら、一緒になって「出会い」から「成婚」まで導く事業で、情報管理を徹底し、専任職員の「守秘義務」を徹底することで、登録者との信頼関係のきずなを太くしている。
一方で「出会いマッチングサイト」が全国的に流行っている。数十項目の登録を経て条件を絞り込み、その条件に合う異性を紹介するサイトで、最近、「サイトで知り合いました」と結婚まで至った例をよく聞く。その本音は「出会いまでのプロセスが面倒で、50項目もの条件を絞り込めば、理想に近い相手と出会うことができるのでは」とのことだが、ここでもAIが活躍しているようだ。
冒頭の「なぜ…」「なぜ…」は、そのまま地元行政の政策に直結する。全国の人口減少自治体が同じ課題に直面している現実は、実はこの国の将来像に深刻に結び付いている。このまま人口減、出生数が減少すると、社会・生活のあらゆる分野に多大な影響を及ぼすのは明らかである。
では、今から何ができるか。出来ること全てをやる、これしかない。
2024年3月16日号
この見開き紙面の左側、オピニオンの見出し『はあ~(溜息)、この国はどうなっているの』、怒りを通り越し、溜息連発になってしまっている実感だ。そんな正義感はない、と連日TVや新聞などメディアで流れる政権不信の根源をスルーしている方々にとって、この溜息は聞こえているだろうか。
歴史に「If」はないが、この政情で『解散・総選挙』を行い、それでも政権が維持できたなら、もうこの国はそれだけの国になってしまった、といえる。ドイツに抜かれGDP4位に転落などは、政情とは直接関係ないだろうが、そうだよなぁと妙に納得してしまう。そんな国になってしまった。
我々が納めた税金が、地方交付税という名に変わり、地方自治体に「戻ってくる」財源のウエイトが年々増している自治体が多い。新年度予算で見ると、十日町市は134億9400万円(歳入比38・7%)、津南町は35億5千万円(同46・3%)、栄村は16億9千万円(同49・6%)。この比率は今後さらにアップしていくだろう。自主財源の減少と反比例する割合増の地方交付税だ。
「厳しい財政事情」、この言葉が自治体で語られる頻度が増し、特に最近、「数年後には立ち行かなくなる」とまで公言するトップが出始めている。3月定例議会で津南町の桑原悠町長は、まさにこの言葉を何度も述べ、財政運営の危機感を出している。一方で、ふるさと納税が潤沢に集まり、和歌山・北山村では人口4百人余ながら、ふるさと納税により12億円の基金創設が実現し、「使途が悩み」などと文字通り嬉しい悲鳴になっているようだ。
こうなると、国を頼りの地方政治はもはや限界にあるといえる。これほど「政権不信」が増すなかでは、地方政治の連携が要になる。パートナーだろう。民間企業、地方自治体、その仲間を見つけられるかどうかだ。
2024年3月9日号
雪を求める外国からの観光客が目立つようになっている。週末に限らず平日も越後湯沢駅ではその姿が見られ、十日町雪まつりでも外国からの来訪者が見られた。関口市長はさらなるインバウンドを視野に、取り組みを始めている。だが、外国観光客が求める『雪国』と受入れ側の「もてなし」に差異が生じているのでは、と感じる場面に出くわした。「この雪像はどうやって造るのか」、このストレートな疑問に、十日町雪まつりは応えていないのではないか。出来上がった雪像を前に説明したところで、初めての雪国来訪者には、その感覚は実感として分からない。といって、数日間の雪像づくりの短縮版は出来ない。知恵の出し所だろう。
美術館や博物館には、その企画展に関係した15分ほどの動画コーナーがある。雪像づくりに導入出来ないか。加えて雪像コンテストと合わせ、雪像づくり記録動画をコンテスト応募に義務付け、最優秀賞・優秀賞作品は1年間、市博物館や十日町駅、市役所、JR協力を得て大宮駅サイネージで動画公開など副賞を付ける。「どうやって造るの」に応えることができるのでは。
さらに、惜しまれつつ2020年に歴史に幕を下ろした『大白倉バイトウ』は、これこそ雪国伝統だろう。あの規模の「炎」を見ることは地元でもなくなり、まして雪に映える「炎の柱」は間違いなく外国観光客の心を捉えるだろう。それも「神聖な炎」として。継続の課題はいくつも上げられるが、その困難性のハードルを乗り越えるのが地域力をバックアップする行政。その行政を資金支援するのは「とおかまち応援団」の民間事業者ではないか。
雪国観光は確実にインバウンドの誘因要素だ。十日町雪まつりの伝統は「市民手づくりの雪まつり」。ならばその手作り感を前面に出してはどうか。そこに「雪まつり発祥の地」のプライドが再興するだろう。
2024年3月2日号
日本活断層学会の会長・鈴木康弘氏(名古屋大減災連携研究センター教授)は、「過去100年の間で、日本で起きた活断層地震の最大規模が能登半島地震(マグニチュード7・6)だった」と、今年元日発生の地震を月刊誌・世界3月号の「能登半島地震と活断層」で述べている。
この中で今回の地震を「想定外?」と大きな疑問符を付けている。その疑問符は、震源地の海底活断層において、産業技術総合研究所が認定していた海底活断層が、長さ20数㌔の短い断層としているのに対し、鈴木氏は今回の能登半島地震は「90㌔を超える長い活断層が活動した」と調査結果で指摘。この先には佐渡がある。つまり、柏崎刈羽原発の沖合に近い場所になり、認定されている海域の海底活断層への影響が視野に入り、原発と海底活断層の関係がクローズアップしている。
原発と活断層は、原発建設前の立地場所問題の前から論議され、研究者によって見解の相違が起き、発電事業者は「影響はない」知見を取り上げ、原発事業を進めてきた歴史がある。今回の能登半島地震により、これまであまり詳細データがない海底活断層に関心が集まり、早急な調査が必要な事態になっている。詳細調査はこれからの原発が立地するのは海岸沿いだけに、海底部分の活断層の存在の有無が、原子力防災の大きな要素になっている。
原子力防災の不備の一つは、事故時の避難方法にある。今冬は小雪で実感が湧きにくいが、ここ多雪地域の冬場の道路事情は「大雪が降ればひと昔前の世界」に様変わりする。無雪期には幹線道以外の農道や集落道も通れるが、雪が降ればそれらは通行不能、国県道など幹線道も車1台の立ち往生で、深刻な渋滞が発生する。とても避難どころではなくなる現実は、この雪国住人はよく知っている。だからこそ、絵空事の避難方法は、問題外なのである。
2024年2月24日号
津南町の新年度予算案が13日発表され、一つの決意表明が見えた。建設から38年経過、施設設備の大幅更新期を向かえるニュー・グリーンピア津南(NGP津南)。予算案にスキー場施設・ホテル棟の修繕が計上され、一般会計予算額は1億5166万円余。毎年、施設修繕に取り組むが、1億を超える予算は最近では多額だ。なぜ「決意表明」なのか。それは来年、10年間の民間委託契約が満了を向かえ、契約更新の行方に関心が集まるなか、この億単位の施設改修。津南町所有のNGP津南を町は今後も維持する「意志」がそこに見えるのだが…。
ただ、容易ではないこの先の状況だ。来年の契約満了期に、新たな経営者を視野に入れているのか、あるいは現在の経営者「津南高原開発」が契約更新し、今後も老朽化するホテル経営を続けるのか、その判断の時期が迫っている現実がある。全国的に施設更新期を向えるホテルなど観光施設が、中国資本などに委ねられるケースが多く見られるなか、370㌶の広大な自然たっぷりの敷地のNGP津南である。その敷地面積だけでも大きな魅力であるのは間違いない。すでに交渉が始まっているのか、いや契約更新のための新年度予算案なのか、である。
今はないが国の年金福祉業団が270億円の巨費を投じて設置したグリーンピア津南。だが38年の歳月は施設全体の更新が待ったなしの状態で、その多額の改修費の捻出に困窮している経営状況だ。町有施設だけに、維持継続するか、新たな活路を見出すか、その判断だろう。その意味で新年度予算案の施設修繕費は、一つの決意表明と見るが、早計だろうか。
津南町議会は今月29日、新年度予算案を審議する定例議会が開会する。初日、町のトップ・桑原悠町長の施政方針表明がある。ここで、NGP津南への決意が聞かれるか、どうか。
2024年2月17日号
この現実をどう考えたらいいのか。政治不信、いや政権不信だろう。国政、県政、市町村政、この繋がりの中で我々は政治を信頼し、この国の住人として納税義務を果たしている。だが、これほどの不信感が募ると、その義務感すら怪しくなってしまう。
政権トップが連日繰り返す言葉の羅列を聞くと、その場をしのげばいい、とする感覚が見え見えだ。これほどまでに不信感を与える政治に対し、我々は何ができるか。国政選挙はまだない、国会前でデモる、納税しない…そこまで考えてしまう、それほどの政権不信だ。羅列の言葉の垂れ流しを連日聞かされる現実は、もはや国を司る体をなくしている。
信頼されない政権は、即刻去るべきだが、ことはそう簡単ではない。このままズルズル政権を引きずりながら、来たるべきタイミングを見ているのだろうが、その無為な時間の流れは、さらに信頼感の欠如を助長させ、不信感を増幅させる。時は新年度予算が固まり、国会・県会・市町村議会で審議が始まる時期。
だが、先ずこの不信感を払拭することだ。この醜態では新年度予算が空虚に聞こえ、大切な事業が盛り込まれる予算が、なんとも軽く薄い、まさに軽薄な印象を受けてしまう。
政治と金、この関係性と付随する種々の問題は、過去の政治の歴史が物語るが、少なくとも歴史に残る政治が示すのは、そこに政権の「潔さ」がある。言葉での言い逃れが限界に来れば、政権トップは辞し、政権の大掃除をする。だが、今回の一連の政治がらみの問題に対する政権の姿勢は、これとは真逆で、言い逃れの連続ではないか。これほどの醜態を見せつけられては、もはや信頼関係は失せ、不信感ばかりが募り、この国に暮らす住人の義務さえ、怪しくなる。
事は深刻だ。国政・県政・市町村政の繋がりは大切だ。だが、その信頼感が無ければ、その関係性さえ危うい。
2024年2月10日号
来春、十日町市長・関口芳史氏は任期満了を迎える。一昨年夏に2選を果たした津南町・桑原悠町長は昨秋の町議改選を経ていよいよ独自色を出す時期だ。栄村・宮川幹雄村長は今春4月、2期目をめざし村民の審判を受ける。この時期、自治体の新年度予算案の公表が続き、そこに市町村長の行政姿勢、政治信条が見える。注目の、如月・2月だ。
4期16年を積む関口市長は来年4月30日、任期満了を迎える。まさに、「どうする関口市長」。十日町市長の4期は市政史上最多で、当然5期となると市政史上初となる。現段階ではその去就についての言動はなく、周辺関係者からも「まだまだ合併後の新生十日町市は出来上がっていない。当然、続投だろう」、「5期となると、市民からのマンネリ感が強くなる。関口市長自身、相当自覚しているはず。ただ、じゃあ誰が…となると、いないなぁ」、などなど巷間話はこれから盛り上がるだろう。今後、市議会で次期への去就に対する質問が出るだろうが、4期出馬の時、相当なる逡巡があったようで、決断は遅れた。特に、前回4期出馬時の理由に「原発問題への取り組み」を上げた。今年、新潟県の花角知事は原発再稼働への姿勢を明確にし、「知事選」あるいは「県民投票」で信を問う場を作る予定だ。このタイミングと関口市長の去就は、相当なる深い関係性になるだろう。
津南町の桑原町長は、昨秋の町議改選で「町長与党」となり、これまでの懸案事項を前に進める好機になる。その姿勢が新年度予算案に出るだろう。特に保育園再編問題、3月町議会での施政方針表明の言葉に関心が集まる。一方の栄村。宮川村長に対抗する勢力は前回村長選で敗北した元村長・森川浩市氏の擁立に向け動いている。4年前の前回と同じ対決が濃厚だ。
今年も目が離せない自治体の動きだ。
2024年2月3日号
「派閥の裏金問題」。文字づらを見るだけで不快感が湧くが、この問題の「主人公・自民党」を長年支持し続ける方々は、どう感じているのか、率直な言葉が聞きたい。時は納税義務者にとっての「関所」、確定申告の時期を向える。自営業、農業者、年金生活者などが主だが、その担当者とのやり取りを思うと、桁が違う裏金問題の本質を見る思いだ。1万円余、いや数千円の経費計上を巡ってのやり取りは、毎年のことだ。だが、今期の確定申告の現場は、ちょっと雰囲気が変わるかもしれない。納税者たる我々にとって、裏金問題から見える「脱税」は、どう考えても許せない「違法行為」だ。
検察は結局、時の権力に追随せざるを得ない実態を、我々の前に見せた。「立件断念」。どう考えても派閥の会計責任者の独断でパーティ券会費売上を自由に動かせるはずがなく、さらに悪質は派閥に「上納」すべきパー券ノルマ以外は「マイポッケト」した議員が多数いることが判明し、これは明らかに「雑収入」であり、課税対象になるお金だ。それを申告していない以上、「脱税」だ。これほど明確な違法行為がなぜ許されるのか、ここが最大の問題だ。こうした「慣行」を長年続け、そのパー券を購入し続けている人たちは、この実態を知り、見て、なぜ怒らないのか、不思議でならない。パー券を買った以上の見返りがあるのか、そんな勘繰りも抱いてしまう。
歴史的な低迷支持率を更新するこの国の政権。震災対応を最優先に掲げつつ、解散・総選挙もできず、内閣総辞職もできず、もはや政権の体を成していないが、さりとて「捨て身の政策」も打ち出せない弱腰政権。こんな国に暮らす悲劇が、被災地を襲っている。政治への信頼が抱けなくなり、政権への不信感が増すとなれば、一瞬即発の状況になりかねない。危ない内政になりつつあり、危機感を抱く。
2024年1月27日号
「明日は我が身」。能登半島の惨事は、インフラの遅れ、過疎化、住民の高齢化、山間地の地形事情…などこの国の山間地の多くが抱える地域問題が地震により、一気に噴出している。救援・支援活動は最優先だが、あの惨状をTVで見て、大変だねぇ、可哀そうだねぇ、と井戸端会議をしている場合ではない。十日町市・津南町、栄村が「もし」になれば、あの惨状は我が身の事。何ができるか、考える時だ。
大地の芸術祭で率直に感じたのは「この地で生活しているんだ」と思える辺境地の奥の深さだ。北川フラム氏は芸術祭スタート時、「なるべくこの地域の辺地、奥の奥で作品展開したい」と語り、その通りの作品展開している。うぶすなの家の願入、峠のてっぺんの清水、秋山郷の大赤沢、浦田の奥の奥、などなど「人間は自然に内包される」、まさにこの理念そのままの大地の芸術祭。その芸術祭で連携深い「奥能登国際芸術祭」の地が、甚大な被害を受けた能登半島だ。同じ惨事がここ妻有で、とは考えたくないが、「いつ・どこで」起きても不思議でない活断層帯の上に我々は暮らしている。これは常に頭に置くべき事実だ。
能登で救援活動を遮っているのが海岸部の山間地をくねくねうねりながら走る道路の寸断だ。妻有に目を落とすと、まさに同じ条件下にある山間地が多いことに気付く。とはいえ、あの崖を、あの川を、あの山を…改修するのはまさに至難だ。ならば、整備が進むまでの住民対応が急務だろう。
20年前の中越地震後、各地に国補助で集落単位の「自主防災組織」を作り、災害時に必要な発電機や照明、テント、ストーブなど防災備品を整えている。いま、それはどうなっているのか。自治体は防災訓練を行政主導で毎年行っているが、肝心の集落単位の防災活動は、かなり危ういのが実情だろう。ここは行政が動く時だ。
2024年1月20日号
これでもか、と問うているのではないか。原発がいくつも並ぶ能登半島を襲った地震。その近くには世界最大級の柏崎刈羽原発がある。地震発生予測は、その科学的な知見からは「無理」といわれる中で、今回の能登大地震は、まさに予知できないのが「地震」という現実を突きつけた。
2011年の「3・11」は、地震と津波の被害は大きかったが、この先、将来に渡り大きな痕跡と影響を与えるのは原発事故が誘因の場面が多くを占める。今年、原発立地県の新潟県は大きな局面を迎える。それは「柏崎刈羽原発の再稼働」の是非だ。
国の原子力規制委員会は年末27日、稼働禁止を解除し、事実上の再稼働へのゴーサインを出した。残るは原発の地元、新潟県の判断。花角知事は「県民に問う」とこれまで一貫して話すが、それが県民投票なのか、知事辞職しての知事選なのか、いまだ示していない。能登半島地震は、その原発再稼働に大きな問いを投げかけている。
原発への直接的な被害はいまのところ出ていないようだが、今回の活断層地震のすぐそばに原発がある。一帯の活断層マップを見ると、かなり複雑に縦走しており、その先には柏崎刈羽原発がある。この本紙8面に寄稿のドイツ・フランクフルト在住のヴァウアー葉子さんの表現が的を得ている。『日本は原発撤退から撤退した』。ドイツの脱原発による再生可能エネルギー供給率が脱原発後、50%を超える現実は、そこに国を挙げての本気度が見える。
今冬の小雪は、何を物語るのか。10年ほど前、地球規模の気象予測を研究者が発表した。記憶に残るのは『温暖化の方向は進むが、積雪地域では雪が少ない年と大量に雪が降る年が交互に起きる』。大雪の年はかつての豪雪を上回る雪が降ると予測する。被災地能登は厳寒に襲われている。真冬の原発事故、考える時間は残されていない。
2024年1月13日号
『なぜ人口は減るのか』、「生まれる子が少ないから」、『なぜ生まれる子が少ないのか』、「結婚する人たちが減っているから」、『なぜ結婚する人たちが減っているのか』、「相手が見つからないから」、『なぜ相手が見つからないのか』、「見つからないものは、見つからないから」、『なぜ見つからないのか』、「だから、見つからないのは、見つからないんだよ」。会話の最後は、苛立ちの言葉になってしまった。「見つけられない」となると個人領域になるが、実態は「見つからない」ようだ。
十日町市が事業化する「ハピ婚サポートセンター」に新年度4月から津南町も参加することになった。事業費を新年度予算に組み入れている。十日町市のハピ婚事業は、登録制ながら専任職員が登録希望者と数回面談し、親身になって「本気度」を聞き出しながら、一緒になって「出会い」から「成婚」まで導く事業で、情報管理を徹底し、専任職員の「守秘義務」を徹底することで、登録者との信頼関係のきずなを太くしている。
一方で「出会いマッチングサイト」が全国的に流行っている。数十項目の登録を経て条件を絞り込み、その条件に合う異性を紹介するサイトで、最近、「サイトで知り合いました」と結婚まで至った例をよく聞く。その本音は「出会いまでのプロセスが面倒で、50項目もの条件を絞り込めば、理想に近い相手と出会うことができるのでは」とのことだが、ここでもAIが活躍しているようだ。
冒頭の「なぜ…」「なぜ…」は、そのまま地元行政の政策に直結する。全国の人口減少自治体が同じ課題に直面している現実は、実はこの国の将来像に深刻に結び付いている。このまま人口減、出生数が減少すると、社会・生活のあらゆる分野に多大な影響を及ぼすのは明らかである。
では、今から何ができるか。出来ること全てをやる、これしかない。
2024年3月16日号
この見開き紙面の左側、オピニオンの見出し『はあ~(溜息)、この国はどうなっているの』、怒りを通り越し、溜息連発になってしまっている実感だ。そんな正義感はない、と連日TVや新聞などメディアで流れる政権不信の根源をスルーしている方々にとって、この溜息は聞こえているだろうか。
歴史に「If」はないが、この政情で『解散・総選挙』を行い、それでも政権が維持できたなら、もうこの国はそれだけの国になってしまった、といえる。ドイツに抜かれGDP4位に転落などは、政情とは直接関係ないだろうが、そうだよなぁと妙に納得してしまう。そんな国になってしまった。
我々が納めた税金が、地方交付税という名に変わり、地方自治体に「戻ってくる」財源のウエイトが年々増している自治体が多い。新年度予算で見ると、十日町市は134億9400万円(歳入比38・7%)、津南町は35億5千万円(同46・3%)、栄村は16億9千万円(同49・6%)。この比率は今後さらにアップしていくだろう。自主財源の減少と反比例する割合増の地方交付税だ。
「厳しい財政事情」、この言葉が自治体で語られる頻度が増し、特に最近、「数年後には立ち行かなくなる」とまで公言するトップが出始めている。3月定例議会で津南町の桑原悠町長は、まさにこの言葉を何度も述べ、財政運営の危機感を出している。一方で、ふるさと納税が潤沢に集まり、和歌山・北山村では人口4百人余ながら、ふるさと納税により12億円の基金創設が実現し、「使途が悩み」などと文字通り嬉しい悲鳴になっているようだ。
こうなると、国を頼りの地方政治はもはや限界にあるといえる。これほど「政権不信」が増すなかでは、地方政治の連携が要になる。パートナーだろう。民間企業、地方自治体、その仲間を見つけられるかどうかだ。
2024年3月9日号
雪を求める外国からの観光客が目立つようになっている。週末に限らず平日も越後湯沢駅ではその姿が見られ、十日町雪まつりでも外国からの来訪者が見られた。関口市長はさらなるインバウンドを視野に、取り組みを始めている。だが、外国観光客が求める『雪国』と受入れ側の「もてなし」に差異が生じているのでは、と感じる場面に出くわした。「この雪像はどうやって造るのか」、このストレートな疑問に、十日町雪まつりは応えていないのではないか。出来上がった雪像を前に説明したところで、初めての雪国来訪者には、その感覚は実感として分からない。といって、数日間の雪像づくりの短縮版は出来ない。知恵の出し所だろう。
美術館や博物館には、その企画展に関係した15分ほどの動画コーナーがある。雪像づくりに導入出来ないか。加えて雪像コンテストと合わせ、雪像づくり記録動画をコンテスト応募に義務付け、最優秀賞・優秀賞作品は1年間、市博物館や十日町駅、市役所、JR協力を得て大宮駅サイネージで動画公開など副賞を付ける。「どうやって造るの」に応えることができるのでは。
さらに、惜しまれつつ2020年に歴史に幕を下ろした『大白倉バイトウ』は、これこそ雪国伝統だろう。あの規模の「炎」を見ることは地元でもなくなり、まして雪に映える「炎の柱」は間違いなく外国観光客の心を捉えるだろう。それも「神聖な炎」として。継続の課題はいくつも上げられるが、その困難性のハードルを乗り越えるのが地域力をバックアップする行政。その行政を資金支援するのは「とおかまち応援団」の民間事業者ではないか。
雪国観光は確実にインバウンドの誘因要素だ。十日町雪まつりの伝統は「市民手づくりの雪まつり」。ならばその手作り感を前面に出してはどうか。そこに「雪まつり発祥の地」のプライドが再興するだろう。
2024年3月2日号
日本活断層学会の会長・鈴木康弘氏(名古屋大減災連携研究センター教授)は、「過去100年の間で、日本で起きた活断層地震の最大規模が能登半島地震(マグニチュード7・6)だった」と、今年元日発生の地震を月刊誌・世界3月号の「能登半島地震と活断層」で述べている。
この中で今回の地震を「想定外?」と大きな疑問符を付けている。その疑問符は、震源地の海底活断層において、産業技術総合研究所が認定していた海底活断層が、長さ20数㌔の短い断層としているのに対し、鈴木氏は今回の能登半島地震は「90㌔を超える長い活断層が活動した」と調査結果で指摘。この先には佐渡がある。つまり、柏崎刈羽原発の沖合に近い場所になり、認定されている海域の海底活断層への影響が視野に入り、原発と海底活断層の関係がクローズアップしている。
原発と活断層は、原発建設前の立地場所問題の前から論議され、研究者によって見解の相違が起き、発電事業者は「影響はない」知見を取り上げ、原発事業を進めてきた歴史がある。今回の能登半島地震により、これまであまり詳細データがない海底活断層に関心が集まり、早急な調査が必要な事態になっている。詳細調査はこれからの原発が立地するのは海岸沿いだけに、海底部分の活断層の存在の有無が、原子力防災の大きな要素になっている。
原子力防災の不備の一つは、事故時の避難方法にある。今冬は小雪で実感が湧きにくいが、ここ多雪地域の冬場の道路事情は「大雪が降ればひと昔前の世界」に様変わりする。無雪期には幹線道以外の農道や集落道も通れるが、雪が降ればそれらは通行不能、国県道など幹線道も車1台の立ち往生で、深刻な渋滞が発生する。とても避難どころではなくなる現実は、この雪国住人はよく知っている。だからこそ、絵空事の避難方法は、問題外なのである。
2024年2月24日号
津南町の新年度予算案が13日発表され、一つの決意表明が見えた。建設から38年経過、施設設備の大幅更新期を向かえるニュー・グリーンピア津南(NGP津南)。予算案にスキー場施設・ホテル棟の修繕が計上され、一般会計予算額は1億5166万円余。毎年、施設修繕に取り組むが、1億を超える予算は最近では多額だ。なぜ「決意表明」なのか。それは来年、10年間の民間委託契約が満了を向かえ、契約更新の行方に関心が集まるなか、この億単位の施設改修。津南町所有のNGP津南を町は今後も維持する「意志」がそこに見えるのだが…。
ただ、容易ではないこの先の状況だ。来年の契約満了期に、新たな経営者を視野に入れているのか、あるいは現在の経営者「津南高原開発」が契約更新し、今後も老朽化するホテル経営を続けるのか、その判断の時期が迫っている現実がある。全国的に施設更新期を向えるホテルなど観光施設が、中国資本などに委ねられるケースが多く見られるなか、370㌶の広大な自然たっぷりの敷地のNGP津南である。その敷地面積だけでも大きな魅力であるのは間違いない。すでに交渉が始まっているのか、いや契約更新のための新年度予算案なのか、である。
今はないが国の年金福祉業団が270億円の巨費を投じて設置したグリーンピア津南。だが38年の歳月は施設全体の更新が待ったなしの状態で、その多額の改修費の捻出に困窮している経営状況だ。町有施設だけに、維持継続するか、新たな活路を見出すか、その判断だろう。その意味で新年度予算案の施設修繕費は、一つの決意表明と見るが、早計だろうか。
津南町議会は今月29日、新年度予算案を審議する定例議会が開会する。初日、町のトップ・桑原悠町長の施政方針表明がある。ここで、NGP津南への決意が聞かれるか、どうか。
2024年2月17日号
この現実をどう考えたらいいのか。政治不信、いや政権不信だろう。国政、県政、市町村政、この繋がりの中で我々は政治を信頼し、この国の住人として納税義務を果たしている。だが、これほどの不信感が募ると、その義務感すら怪しくなってしまう。
政権トップが連日繰り返す言葉の羅列を聞くと、その場をしのげばいい、とする感覚が見え見えだ。これほどまでに不信感を与える政治に対し、我々は何ができるか。国政選挙はまだない、国会前でデモる、納税しない…そこまで考えてしまう、それほどの政権不信だ。羅列の言葉の垂れ流しを連日聞かされる現実は、もはや国を司る体をなくしている。
信頼されない政権は、即刻去るべきだが、ことはそう簡単ではない。このままズルズル政権を引きずりながら、来たるべきタイミングを見ているのだろうが、その無為な時間の流れは、さらに信頼感の欠如を助長させ、不信感を増幅させる。時は新年度予算が固まり、国会・県会・市町村議会で審議が始まる時期。
だが、先ずこの不信感を払拭することだ。この醜態では新年度予算が空虚に聞こえ、大切な事業が盛り込まれる予算が、なんとも軽く薄い、まさに軽薄な印象を受けてしまう。
政治と金、この関係性と付随する種々の問題は、過去の政治の歴史が物語るが、少なくとも歴史に残る政治が示すのは、そこに政権の「潔さ」がある。言葉での言い逃れが限界に来れば、政権トップは辞し、政権の大掃除をする。だが、今回の一連の政治がらみの問題に対する政権の姿勢は、これとは真逆で、言い逃れの連続ではないか。これほどの醜態を見せつけられては、もはや信頼関係は失せ、不信感ばかりが募り、この国に暮らす住人の義務さえ、怪しくなる。
事は深刻だ。国政・県政・市町村政の繋がりは大切だ。だが、その信頼感が無ければ、その関係性さえ危うい。
2024年2月10日号
来春、十日町市長・関口芳史氏は任期満了を迎える。一昨年夏に2選を果たした津南町・桑原悠町長は昨秋の町議改選を経ていよいよ独自色を出す時期だ。栄村・宮川幹雄村長は今春4月、2期目をめざし村民の審判を受ける。この時期、自治体の新年度予算案の公表が続き、そこに市町村長の行政姿勢、政治信条が見える。注目の、如月・2月だ。
4期16年を積む関口市長は来年4月30日、任期満了を迎える。まさに、「どうする関口市長」。十日町市長の4期は市政史上最多で、当然5期となると市政史上初となる。現段階ではその去就についての言動はなく、周辺関係者からも「まだまだ合併後の新生十日町市は出来上がっていない。当然、続投だろう」、「5期となると、市民からのマンネリ感が強くなる。関口市長自身、相当自覚しているはず。ただ、じゃあ誰が…となると、いないなぁ」、などなど巷間話はこれから盛り上がるだろう。今後、市議会で次期への去就に対する質問が出るだろうが、4期出馬の時、相当なる逡巡があったようで、決断は遅れた。特に、前回4期出馬時の理由に「原発問題への取り組み」を上げた。今年、新潟県の花角知事は原発再稼働への姿勢を明確にし、「知事選」あるいは「県民投票」で信を問う場を作る予定だ。このタイミングと関口市長の去就は、相当なる深い関係性になるだろう。
津南町の桑原町長は、昨秋の町議改選で「町長与党」となり、これまでの懸案事項を前に進める好機になる。その姿勢が新年度予算案に出るだろう。特に保育園再編問題、3月町議会での施政方針表明の言葉に関心が集まる。一方の栄村。宮川村長に対抗する勢力は前回村長選で敗北した元村長・森川浩市氏の擁立に向け動いている。4年前の前回と同じ対決が濃厚だ。
今年も目が離せない自治体の動きだ。
2024年2月3日号
「派閥の裏金問題」。文字づらを見るだけで不快感が湧くが、この問題の「主人公・自民党」を長年支持し続ける方々は、どう感じているのか、率直な言葉が聞きたい。時は納税義務者にとっての「関所」、確定申告の時期を向える。自営業、農業者、年金生活者などが主だが、その担当者とのやり取りを思うと、桁が違う裏金問題の本質を見る思いだ。1万円余、いや数千円の経費計上を巡ってのやり取りは、毎年のことだ。だが、今期の確定申告の現場は、ちょっと雰囲気が変わるかもしれない。納税者たる我々にとって、裏金問題から見える「脱税」は、どう考えても許せない「違法行為」だ。
検察は結局、時の権力に追随せざるを得ない実態を、我々の前に見せた。「立件断念」。どう考えても派閥の会計責任者の独断でパーティ券会費売上を自由に動かせるはずがなく、さらに悪質は派閥に「上納」すべきパー券ノルマ以外は「マイポッケト」した議員が多数いることが判明し、これは明らかに「雑収入」であり、課税対象になるお金だ。それを申告していない以上、「脱税」だ。これほど明確な違法行為がなぜ許されるのか、ここが最大の問題だ。こうした「慣行」を長年続け、そのパー券を購入し続けている人たちは、この実態を知り、見て、なぜ怒らないのか、不思議でならない。パー券を買った以上の見返りがあるのか、そんな勘繰りも抱いてしまう。
歴史的な低迷支持率を更新するこの国の政権。震災対応を最優先に掲げつつ、解散・総選挙もできず、内閣総辞職もできず、もはや政権の体を成していないが、さりとて「捨て身の政策」も打ち出せない弱腰政権。こんな国に暮らす悲劇が、被災地を襲っている。政治への信頼が抱けなくなり、政権への不信感が増すとなれば、一瞬即発の状況になりかねない。危ない内政になりつつあり、危機感を抱く。
2024年1月27日号
「明日は我が身」。能登半島の惨事は、インフラの遅れ、過疎化、住民の高齢化、山間地の地形事情…などこの国の山間地の多くが抱える地域問題が地震により、一気に噴出している。救援・支援活動は最優先だが、あの惨状をTVで見て、大変だねぇ、可哀そうだねぇ、と井戸端会議をしている場合ではない。十日町市・津南町、栄村が「もし」になれば、あの惨状は我が身の事。何ができるか、考える時だ。
大地の芸術祭で率直に感じたのは「この地で生活しているんだ」と思える辺境地の奥の深さだ。北川フラム氏は芸術祭スタート時、「なるべくこの地域の辺地、奥の奥で作品展開したい」と語り、その通りの作品展開している。うぶすなの家の願入、峠のてっぺんの清水、秋山郷の大赤沢、浦田の奥の奥、などなど「人間は自然に内包される」、まさにこの理念そのままの大地の芸術祭。その芸術祭で連携深い「奥能登国際芸術祭」の地が、甚大な被害を受けた能登半島だ。同じ惨事がここ妻有で、とは考えたくないが、「いつ・どこで」起きても不思議でない活断層帯の上に我々は暮らしている。これは常に頭に置くべき事実だ。
能登で救援活動を遮っているのが海岸部の山間地をくねくねうねりながら走る道路の寸断だ。妻有に目を落とすと、まさに同じ条件下にある山間地が多いことに気付く。とはいえ、あの崖を、あの川を、あの山を…改修するのはまさに至難だ。ならば、整備が進むまでの住民対応が急務だろう。
20年前の中越地震後、各地に国補助で集落単位の「自主防災組織」を作り、災害時に必要な発電機や照明、テント、ストーブなど防災備品を整えている。いま、それはどうなっているのか。自治体は防災訓練を行政主導で毎年行っているが、肝心の集落単位の防災活動は、かなり危ういのが実情だろう。ここは行政が動く時だ。
2024年1月20日号
これでもか、と問うているのではないか。原発がいくつも並ぶ能登半島を襲った地震。その近くには世界最大級の柏崎刈羽原発がある。地震発生予測は、その科学的な知見からは「無理」といわれる中で、今回の能登大地震は、まさに予知できないのが「地震」という現実を突きつけた。
2011年の「3・11」は、地震と津波の被害は大きかったが、この先、将来に渡り大きな痕跡と影響を与えるのは原発事故が誘因の場面が多くを占める。今年、原発立地県の新潟県は大きな局面を迎える。それは「柏崎刈羽原発の再稼働」の是非だ。
国の原子力規制委員会は年末27日、稼働禁止を解除し、事実上の再稼働へのゴーサインを出した。残るは原発の地元、新潟県の判断。花角知事は「県民に問う」とこれまで一貫して話すが、それが県民投票なのか、知事辞職しての知事選なのか、いまだ示していない。能登半島地震は、その原発再稼働に大きな問いを投げかけている。
原発への直接的な被害はいまのところ出ていないようだが、今回の活断層地震のすぐそばに原発がある。一帯の活断層マップを見ると、かなり複雑に縦走しており、その先には柏崎刈羽原発がある。この本紙8面に寄稿のドイツ・フランクフルト在住のヴァウアー葉子さんの表現が的を得ている。『日本は原発撤退から撤退した』。ドイツの脱原発による再生可能エネルギー供給率が脱原発後、50%を超える現実は、そこに国を挙げての本気度が見える。
今冬の小雪は、何を物語るのか。10年ほど前、地球規模の気象予測を研究者が発表した。記憶に残るのは『温暖化の方向は進むが、積雪地域では雪が少ない年と大量に雪が降る年が交互に起きる』。大雪の年はかつての豪雪を上回る雪が降ると予測する。被災地能登は厳寒に襲われている。真冬の原発事故、考える時間は残されていない。
2024年1月13日号