17日、経済産業省は「エネルギー基本計画」改定案を公表した。東電福島第一原発事故以降、明記してきた「原発依存度を低減する」という文言を削除し、原発建て替えの要件も緩和する。
2024年12月21日号
12月4日は中村哲医師の命日、何者かに銃撃されて崇高な命が失われた。アフガン難民キャンプで巡回医療を開始し、91年から、山岳地域に診療所を相次いで開いた。その活動を支援する人たちもどんどん増えた。次に続く医師たちも増えた。
2024年12月14日号
十日町の音楽文化は素晴らしい! 筆者は音楽好きではありますが、普段クラシック音楽は聞かないし、むしろクラシック嫌いです。そんな筆者でも知っている超有名曲、ベートーベンの交響曲第九番「合唱付き」のコンサートが、十日町市文化協会設立30周年記念ということで開かれました。
それも市民から百人の歌手を募って合唱するというではありませんか。初めて募集の話を聞いたときは、そんな人数が集まるのかと野次馬根性丸出しでしたが、杞憂に終わりました。女性に比べ男性が少ないものの百人以上の合唱団が見事に勢揃い。独唱の後の合唱が始まった瞬間、百人を超える合唱の音圧が二階席にいた筆者の体にドーンと届き、思わず鳥肌が立ちました。
半年以上の練習をやり通した合唱団員と素人集団をまとめ上げて本番に臨んだ指導者の苦労が喜びに代わり、聴衆と一体になった瞬間でした。
もう一つ、ステージにどうやって百人の合唱団とオーケストラを乗せるのか、これも興味津々でしたが、花道も使って打楽器を配し、ステージの前面に張り出しをつけ、見事に合唱団とオーケストラが一体化しておりました。
ところで、日本人なら多分だれでも歌える「よろこびの歌」~晴れたるあおぞら ただよう雲よ~の部分は全曲のうちのごく一部です。合唱だけが話題になりがちですが、全曲を通すと70分以上の大曲なんですね。はたして居眠りをせずに全曲聴き通せるのか、オーケストラ演奏の部分はどんな曲なのか。全曲通しては未聴だったため、予習のためCDを購入し、毎朝のように家族の迷惑も顧みずこの曲を流すようにしました。
まったく興味のない音楽でも聞く毎に親しみを覚え、聴き通すことも楽しみに変わるんですね。まさに名曲というべきでしょうか。こんなことを書くとクラシックファンには顰蹙を買うこと必至ですが、合唱部以外もとても素晴らしい。
さて、演奏したJR東日本交響楽団は、なんと発足30年を超えるアマチュアのオーケストラ。JR東日本の社員有志が仕事終了後に集まって定期的に練習を行っているそうです。オーケストラの演奏の良し悪しもよくわからない筆者ですが、プロの指揮者がまとめ上げた演奏は合唱に劣らず本当に聴きごたえがありました。
この素晴らしいコンサートを企画実行した主催者や裏方の皆さん、ホールのスタッフの仕事にも大きな拍手を送りたいと思います。5年後の35周年の演奏会も大いに期待しております。
2024年12月7日号
今年は、世界中で多くの選挙が行われた注目の年で、米国、ロシア、台湾、韓国、インド、インドネシア、メキシコ、EUなどで、選挙が実施された選挙イヤーでした。
今年の初めごろは、日本では選挙の予定がなく、安定した政権が続くと余裕を感じていましたが、急転直下、10月に解散による衆議院選挙が行われ、結果は与党が負け、政権が一気に不安定化してしまいました。
そこに、アメリカ・ファーストを掲げるトランプ氏が米国の大統領選挙に勝利して復活。うまく対峙するため、日本の首相には、今まで以上のリーダーシップが求められています。
トランプ次期大統領の今後の政策を知るため、選挙中に行われた演説を、フルで聞きなおしてみました。
演説で、最初に最も時間をかけて話がなされたのは、不法移民の問題でした。メキシコ国境からの不法移民により多くの国民が職を奪われ、侵略という言葉まで出るほど、大きな問題として捉えられていました。来年1月20日の就任1日目に、国境の壁の建設を強化すると発言しています。
次に演説で力が入っていたのは、物価高に対する政策でした。具体的な対策について述べられており、物価高の主な原因は、太陽光などの自然エネルギーや電気自動車の利用にコストがかかりすぎていることとし、それならば米国の石油産業を復活させることで、コストを下げるとしています。
これらの移民と物価高の問題は、日本でも問題になり始めており、半歩あるいは一歩先をいく米国で、思い切った対策を打ち出すとされるトランプ次期大統領の動きや、それによりもたらされる成果を、十分に参考としていくことが重要と思います。
さらに気になるのが、いま米国にとっての最大の貿易赤字国である中国に対する強硬姿勢が、どのくらいになるかということです。今後、経済面と安全保障面の両面において、世界や東アジアでの緊張感が増すことになるかもしれません。
また、国内産業を守るため、トランプ次期大統領は、国外からの輸入品に今までより高い関税を、どの国に対しても課すのではないかとされています。日本の輸出産業にどれくらいの影響がでるか…ディール(取引)外交を得意とするトランプ次期大統領ですので、ハードな交渉が考えられます。
大きな時代の転換点を迎えているとされているいま、来年はそのことがより感じられ表面化してくる年になるかもしれないと思いました。
2024年11月30日号
9月の入院から検査が続き、心臓も大きな問題を抱えているようで、ふたつの手術をこなさなければならなくなった。全国の老人達と同じように私も満身創痍の後期高齢者と認められた。
私の心臓は無症侯性と言うことで、痛みを感じないまま何年も過ごして来た訳です。病院に入って何回も採血だ、CTだ、MRIだ、エコーだ、造影剤CTだと検査漬けの日々が続きます。
健康保険制度は病気を見つけて病名を冠して、検査をしないと保険が下りないという。病院としては患者の病気を治すために検査し国から費用を頂き、病院の財源にし、経営が維持されるということのようです。
話は逸れますが、病院にすれば病気を特定できない高齢者の老衰患者に検査は無用で、必要もないということになるのでしょう? ベッドの稼働率からしても効率は悪いことになります。
回復する患者が大事なお客さんで保険の適用が出来ない患者は、以前は3ヵ月を越えると退院させられることがありました。今は分かりませんが、私の父もそんなことを言われたせいか、ちゃんと3ヵ月目に亡くなりました。私は後期高齢者として手術が出来る分、病院にとっては良い患者と言うことになるのです。そこのところは良かったのでしょう。変な話ですが。
「右頸部内頸動脈高度狭窄症」という病名を頂いて立派な病人ということになりました。脳梗塞という病気は頸動脈が細くなり血流が滞って血管に血栓が生じ、それが剥がれ脳に飛ぶことによって起こる症状と説明を受けました。
専門的な説明でよく理解できず、多分で申し訳ないが、血管を詰まらせ起こる病状で老化による症状と似ているように感じます。色々と検査をしていくうちに、心臓にも狭窄箇所が見つかって続けての手術ということになりました。
先週、脳梗塞の手術をしたのですが、心臓に影響もなく無事にそれは終えました。次に2試合目の心臓が待っています。もう、まな板の鯉で、どうにでもなれと腹を括るより致し方がありません。
先日、手術の検査に行く時のことですが、この頃どうも車の運転が下手になって、高速道や夜の運転に支障をきたしていて、殊に八箇峠トンネルが苦手で避けていましたが、脳梗塞手術後の運転になんの違和感もなく制限速度いっぱいまで速度を上げて呑気に走っていました。
もしかして手術で、何らかの作用が起き、バランスを司る脳の個所に良い影響を与えたのではないだろうかとひとり感じているのです。
もしそうだとすれば、病気を悪く捉えて過敏に反応するのもいけないようにも思いますが、ただそのあと私のお小水の回数が増えたこともあり、それも手術の影響かしら? と思っても関連性は分かりません。例え有ったとしても、お医者は認めないだろうし、そう簡単なことでは無いのでしょう。
入院して、たった10日間でもベットに臥せって、トイレに動くだけになると、まず脚膝腰に影響が出ます。朝昼晩の食事を待つだけの暮らしは、身体に良いわけはありません。退院出来て冬の準備にかかろうとすると、思うように身体は動いてくれません。でも少しずつでも冬の準備にかからないと、心の病気になりそうです。病気は次から次へと連鎖を生み、なかなか面倒です。
ところで、妻有新聞がこの地方の病院の栄養士を取材し、病院食の特集でもしてもらえないだろうか。老人が調子を崩し入院して食べる食事は、どんなものか教えて欲しい人は多いようです。
(11月16日和山にて)
2024年11月23日号
原点に戻って考えよう。湯沢砂防事務所はスリット堰堤と集落付近の護岸整備をセットにする案だけを住民に提示している。で、やるのかやらないのかと問われれば、住民はイエスしか選択できない。
本来は複数の案があってメリットデメリットを比較し、住民が考えて決めるのが河川自治だ。
堰堤を造るとスリットがあると言っても、下流は河床が下がり、上流は流れが滞留し砂利が溜まり河床が上がる。一つの集落を二分するような案しか方法はないのだろうか?
多くの山間地での共通問題だが、清津峡地区も高齢化が進んで世帯数が減り、もうすぐ地図上から消えるかも? と思うほど過疎化が進んでいる。
私はこの治水の課題は集落存続のチャンスなのでは? と思っている。どうして? と聞かれるだろう。…ここからは単なる私の妄想だと読んでほしい。
仮に湯沢砂防の計画通りスリット堰堤と護岸工事ができても、大きな台風が近づくとやっぱり川沿いの住人は心配で自主避難するだろう。安全度は上がっても災害は想定を超えてくる。川沿いの家は10軒くらいだ。もしできるなら川沿いの住民が地域内の少し川から離れた道上へ移るというのはダメだろうか?
山の中でよく見る小さな砂防堰堤の費用は一基4~5億円と言われている。清津川本流に計画されているスリット堰堤はその何倍もある。土地確保と住宅建設や引っ越しその他の費用を10軒分見積もっても、堰堤を造るよりずっと安い。
住民も十分な補償があれば、築50年超えの大きな家より、こぢんまりした耐雪、省エネ、バリアフリーの家のほうが暮らしやすいのではないだろうか? 高齢者世帯が後に家を手放す時が来ても、雪始末の楽な家は買い手が見つかり易く集落に新しいメンバーが加わる可能性もできる。古く大きな家は取り壊しにも費用がかかり空き家問題の原因になる。
川沿いの土地は大切な生命財産を置かなければいいだけだから、護岸工事をして農地に転用してもいいし公園にしてもいい。漁協に協力頂いて釣り堀でもいいし、ウドやタラの木を植えて山菜農園にしてもいい。きれいな蓮の花を植えても、アヒルが泳いでいてもいい。
村の形は変わるけど、年間何十万人も集客する清津峡の入り口だから、考えようで集落活性化になるのでは? 最もいいことは、堰堤を造るより移転のほうが早くできることだ。
この国では近い将来、通貨危機や南海トラフや戦争といった大きな惨事が起こる可能性は否定できず、そうなったら国は地方の小さな清津川の治水などできなくなる…だから何年もかかる治水事業より早く確実な移転がいい。
先祖代々住み続けた家、地域の内情、高齢化…代えがたいものがあるのはわかるけど…非力な私には提案しかできない。地域の人が自分で決めることだと思う。
2024年11月16日号
10月27日の衆院選では、自民・公明が大幅に議席を減らし、立憲、国民が躍進しました。気がかりなのは、「護憲、反戦・反核・反原発」を掲げる勢力が伸びなかったこと。本来、これらも大きな争点になるべきだったのに、「裏金」と「経済」に絞られてしまったのは、マスコミの責任でもあります。
これを書いている11月6日夜、米国大統領選は、トランプ氏の当選が確実となったようです。どちらが勝っても、米国はガザで虐殺を続けるイスラエルへの支援を継続するでしょう。私が米国大統領選に興味を持てない理由はこれです。
さて、新潟県内では柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決めるため、条例制定を求める署名活動が始まりました。
世界最大級の柏崎刈羽原発は、1~7号機とも運転停止中です。東京電力は2013年に6・7号機の再稼働の審査を原子力規制委員会に申請し、2023年12月にようやく再稼働準備ができるようになりました。
再稼働にあたっては、規制委員会の審査のほか、柏崎市、刈羽村、新潟県の同意が必要です。柏崎市と刈羽村は、議会、首長とも再稼働に同意する意向のようです。
一方、新潟県では、花角知事は18年に、柏崎刈羽原発の再稼働について「自ら判断し、県民に信を問う」と公約に掲げて当選しました。しかし、「信を問う」具体的な方法や時期は明確にしないまま今日に至っています。
柏崎刈羽原発の再稼働は、県民のいのちや暮らしに関わる大きな問題です。県知事や県議会に任せるのでなく、県民の一人ひとりが、県政の主人公として意思表示するべきではないでしょうか。
私たちは、地方自治法に基づき、「柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例」の制定を請求することにしました。請求のためには、新潟県民有権者の50分の1以上の署名が必要です。「条例を制定してください」という署名で、原発反対署名ではありません。
①県民のすべてが柏崎刈羽原発の再稼働の問題に向き合い、賛成・反対の立場を超えて話し合うこと、②柏崎刈羽原発の再稼働の是非を県民投票で問い、投票の結果を県の方針に反映させることが、新潟の民主主義を育て、未来をひらくことにつながると確信しています。どうか署名をお願いします。
署名と署名集めをしてくださる方は、齋木までご連絡ください。電話090‒4946‒7570。
2024年11月9日号
今年のノーベル平和賞を、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が受賞することに決まった。驚愕し、それからだんだんに高揚した。
10年ぐらい前、我が国の憲法九条をノーベル平和賞に推薦しよう、というムーブメントがあった。
その発想に大いに共感し、実現すればいいなと願った。自衛隊を軍隊と明記したい政府の改憲を、何としても阻止しなければと強く願い、九条の会にも参加した。焦りを覚えたが進展しないまま低迷した。
被爆後11年。語り始めた被爆者と被団協として結成以来68年。その間のニュース映像を見ると、国連本部で『ノーモア広島、ノーモア長崎、ノーモア被爆者』と演説した山口仙二さん。背中に追った火傷の写真を掲げながら、活動し続けた谷口稜曄(すみてる)さん。米大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領と握手した坪井直(すなお)さん。長い年月の間に何度も目にした方々のお顔が見に浮かぶ。
そして今年の受賞速報の場面で、高校生の平和大使たちと歓喜する箕牧智之(みまきとしゆき)さん、ニューヨークを、横断幕を掲げて、アピール行進する姿も記憶に新しい。
永年の辛抱強い行動、具体的で目に見えるアピール行動が認められた。心からの敬意を奉げたい。
そうした一方で、授与を決定した委員会の委員長の年齢に感動した。若い世代もある意味、危機感を感じているのだろう。いやむしろ若い世代のほうが、危機感が強いかも。
受賞の知らせを受けた場面でも高校生平和大使たちが同席していた。
見るに見かねて行動に移し、長い年月、たゆまず、ひるまず、若い世代へも伝え・バトンを繋いで行動し続ける被団協の皆さんに頭が下がる。
それを認めて、世界が注目するノーベル平和賞を授与してくれる世界の目がある事にも感動した。
自分だけではだめだと九条の会に参加してはいるが、戦争は、だめだ、ダメだと叫んでいるだけでは、世界にはもちろん、日本政府にさえ届かない。
敗戦を体験して79年、あきらめずに行動することを我が身に言い聞かせた。
国として、核兵器使用廃絶の条約への批准を。世界が注目をしていますぞ‼
2024年11月2日号
衆院選も大詰めを迎えています。筆者は、毎回投票所に足を運んできましたが、重複立候補できるこの小選挙区比例代表並立制にすっきりしない感覚を持っておりました。今回自民党の裏金問題で、わが選挙区の一候補が重複立候補できなくなったということですが、重複立候補ということは一回の選挙に同じ人が、選挙区と政党の比例代表の両方に立候補できるということですよね。はて? これって、正しいやり方でしょうか。
今更こんなことを持ち出すのは、ボケ老人もいいとこですが、今回の衆院選挙で重複云々が大きな話題になっているので改めて確認してみました。
かつて中選挙区制(一つの選挙区で2人以上当選する制度)の下で、同じ選挙区で同じ政党から複数立候補すると、同じ党の支持者の票を候補者が奪いあうことになり、不正や買収行為が横行する汚い選挙になりがちでした。
それを解消するために一つの選挙区で1人が当選する小選挙区制に時間をかけて制度改革をしたわけですね。そして、政党に投票する比例代表制は衆議院の場合、拘束名簿式(政党であらかじめ当選する順番を決めた名簿を作成)で、得票数に応じて名簿の上位から当選するという仕組みです。小選挙区での選挙活動は難しいが、政党にとって議員になってほしい人を名簿に載せるのが本来の姿でしょうが、現実には小選挙区で立候補している人も名簿に載せることができることができます。これが並立制ということなのでしょうか。
またブロック単位の比例代表制では投票したい候補者と政党が別の場合、ブロックにその政党がない場合は1票が棄権と同じことになります。つまり小選挙区の候補者に1票、比例代表では別の党に1票と2票投票したいのに1票は投票する相手がいないことになります。
この制度は、小党の乱立や売名行為の候補者を防ぐには有効だと思いますが、やっぱり並立というのが釈然としません。 比例代表制を全国1区にして重複立候補を禁止してはどうでしょうか。選挙区ではその地域の代表を選び、比例代表では政党の政策や理念で投票する。これが1人2票制のあるべき姿だと思います。
289人が選挙区で選ばれ、176人が比例代表で選ばれる今回の衆議院選挙。裏金問題で公認されなかった議員や重複名簿に載らなかった候補者にとって、今までとまったく勝手の違う選挙です。我が新5区では1人が重複立候補、1人が選挙区のみの立候補です。さて結果はいかに?
2024年10月26日号
早いもので今年も残すところ2ヵ月半となり、夏の暑さがやっと和らいできたところ、島根県の隠岐の島々に行ってきました。
新潟県の佐渡と同じように、奈良時代ごろから、天皇や公家の方々などが遠流された歴史を有します。この地がそのような地に選ばれたのは、都から遠く離れているだけでなく、貴人が食べ物に苦労したり生活に危険が生じたりしないところとして選ばれたという話があります。江戸時代には、北前船の寄港地としても栄えました。
最近は、隠岐の島にIターンやUターンをする人々が増え、子供の数が増えていることが注目されます。5年位前は小学校の1学年に1〜2名しかいなかったのが、最近は5名を超えるようになってきているとのことでした。
ここに住むと、ここで結婚をすると、ここで子供を授かると、それぞれの段階で自治体は支援金を準備し、そのような思い切った施策を行なってきたことも功を奏しているのでしょう。
地域おこし協力隊として島にやってきた若者が、地域に溶け込み頼りにされている姿も至るところで見られました。
釣り好きと島好きが島で出会って結婚し、夫婦で農業漁業や観光業の仕事をしながらの子育て中。年会費のアマゾンプライムに入っているので、おむつも送料無料で2日後に届き便利です、と話してくれました。
さらに最近の島の話題は、フランス料理のレストラン、おしゃれな美容院、こだわりのパン屋さんが、新たにできたことです。
飲食店や美容の業種は、今までも島にある仕事ですが、最近は、本土で一流の腕をふるっていた人たちが島にやってきて移住し、自分たちの小さなお店を持ち、提供するサービスのわりに良心的な価格で、島の住民と観光客から人気とのことでした。
この話を聞いて、これらの方々に共通して「Small is Beautiful 」とよばれるような美学がおありになるのかなと、ふと感じてしまいました。
「Small is Beautiful」は、欧州の経済学者が1973年に記した著書の日本語タイトルとして有名になった言葉です。
大分県湯布院で温泉宿を営まれ、観光カリスマでいらした中谷健太郎氏は、町のあり様について、
小さいから、身近に暖かい関係が生まれる。小さいから、個性的な価値を生み出せる。 小さいから、大きな資本を必要としない。と語られていたと、かつての勤務先の先輩から聞いたことを思い出し、島を後にしました。
2024年10月19日号
17日、経済産業省は「エネルギー基本計画」改定案を公表した。東電福島第一原発事故以降、明記してきた「原発依存度を低減する」という文言を削除し、原発建て替えの要件も緩和する。
2024年12月21日号
12月4日は中村哲医師の命日、何者かに銃撃されて崇高な命が失われた。アフガン難民キャンプで巡回医療を開始し、91年から、山岳地域に診療所を相次いで開いた。その活動を支援する人たちもどんどん増えた。次に続く医師たちも増えた。
2024年12月14日号
十日町の音楽文化は素晴らしい! 筆者は音楽好きではありますが、普段クラシック音楽は聞かないし、むしろクラシック嫌いです。そんな筆者でも知っている超有名曲、ベートーベンの交響曲第九番「合唱付き」のコンサートが、十日町市文化協会設立30周年記念ということで開かれました。
それも市民から百人の歌手を募って合唱するというではありませんか。初めて募集の話を聞いたときは、そんな人数が集まるのかと野次馬根性丸出しでしたが、杞憂に終わりました。女性に比べ男性が少ないものの百人以上の合唱団が見事に勢揃い。独唱の後の合唱が始まった瞬間、百人を超える合唱の音圧が二階席にいた筆者の体にドーンと届き、思わず鳥肌が立ちました。
半年以上の練習をやり通した合唱団員と素人集団をまとめ上げて本番に臨んだ指導者の苦労が喜びに代わり、聴衆と一体になった瞬間でした。
もう一つ、ステージにどうやって百人の合唱団とオーケストラを乗せるのか、これも興味津々でしたが、花道も使って打楽器を配し、ステージの前面に張り出しをつけ、見事に合唱団とオーケストラが一体化しておりました。
ところで、日本人なら多分だれでも歌える「よろこびの歌」~晴れたるあおぞら ただよう雲よ~の部分は全曲のうちのごく一部です。合唱だけが話題になりがちですが、全曲を通すと70分以上の大曲なんですね。はたして居眠りをせずに全曲聴き通せるのか、オーケストラ演奏の部分はどんな曲なのか。全曲通しては未聴だったため、予習のためCDを購入し、毎朝のように家族の迷惑も顧みずこの曲を流すようにしました。
まったく興味のない音楽でも聞く毎に親しみを覚え、聴き通すことも楽しみに変わるんですね。まさに名曲というべきでしょうか。こんなことを書くとクラシックファンには顰蹙を買うこと必至ですが、合唱部以外もとても素晴らしい。
さて、演奏したJR東日本交響楽団は、なんと発足30年を超えるアマチュアのオーケストラ。JR東日本の社員有志が仕事終了後に集まって定期的に練習を行っているそうです。オーケストラの演奏の良し悪しもよくわからない筆者ですが、プロの指揮者がまとめ上げた演奏は合唱に劣らず本当に聴きごたえがありました。
この素晴らしいコンサートを企画実行した主催者や裏方の皆さん、ホールのスタッフの仕事にも大きな拍手を送りたいと思います。5年後の35周年の演奏会も大いに期待しております。
2024年12月7日号
今年は、世界中で多くの選挙が行われた注目の年で、米国、ロシア、台湾、韓国、インド、インドネシア、メキシコ、EUなどで、選挙が実施された選挙イヤーでした。
今年の初めごろは、日本では選挙の予定がなく、安定した政権が続くと余裕を感じていましたが、急転直下、10月に解散による衆議院選挙が行われ、結果は与党が負け、政権が一気に不安定化してしまいました。
そこに、アメリカ・ファーストを掲げるトランプ氏が米国の大統領選挙に勝利して復活。うまく対峙するため、日本の首相には、今まで以上のリーダーシップが求められています。
トランプ次期大統領の今後の政策を知るため、選挙中に行われた演説を、フルで聞きなおしてみました。
演説で、最初に最も時間をかけて話がなされたのは、不法移民の問題でした。メキシコ国境からの不法移民により多くの国民が職を奪われ、侵略という言葉まで出るほど、大きな問題として捉えられていました。来年1月20日の就任1日目に、国境の壁の建設を強化すると発言しています。
次に演説で力が入っていたのは、物価高に対する政策でした。具体的な対策について述べられており、物価高の主な原因は、太陽光などの自然エネルギーや電気自動車の利用にコストがかかりすぎていることとし、それならば米国の石油産業を復活させることで、コストを下げるとしています。
これらの移民と物価高の問題は、日本でも問題になり始めており、半歩あるいは一歩先をいく米国で、思い切った対策を打ち出すとされるトランプ次期大統領の動きや、それによりもたらされる成果を、十分に参考としていくことが重要と思います。
さらに気になるのが、いま米国にとっての最大の貿易赤字国である中国に対する強硬姿勢が、どのくらいになるかということです。今後、経済面と安全保障面の両面において、世界や東アジアでの緊張感が増すことになるかもしれません。
また、国内産業を守るため、トランプ次期大統領は、国外からの輸入品に今までより高い関税を、どの国に対しても課すのではないかとされています。日本の輸出産業にどれくらいの影響がでるか…ディール(取引)外交を得意とするトランプ次期大統領ですので、ハードな交渉が考えられます。
大きな時代の転換点を迎えているとされているいま、来年はそのことがより感じられ表面化してくる年になるかもしれないと思いました。
2024年11月30日号
9月の入院から検査が続き、心臓も大きな問題を抱えているようで、ふたつの手術をこなさなければならなくなった。全国の老人達と同じように私も満身創痍の後期高齢者と認められた。
私の心臓は無症侯性と言うことで、痛みを感じないまま何年も過ごして来た訳です。病院に入って何回も採血だ、CTだ、MRIだ、エコーだ、造影剤CTだと検査漬けの日々が続きます。
健康保険制度は病気を見つけて病名を冠して、検査をしないと保険が下りないという。病院としては患者の病気を治すために検査し国から費用を頂き、病院の財源にし、経営が維持されるということのようです。
話は逸れますが、病院にすれば病気を特定できない高齢者の老衰患者に検査は無用で、必要もないということになるのでしょう? ベッドの稼働率からしても効率は悪いことになります。
回復する患者が大事なお客さんで保険の適用が出来ない患者は、以前は3ヵ月を越えると退院させられることがありました。今は分かりませんが、私の父もそんなことを言われたせいか、ちゃんと3ヵ月目に亡くなりました。私は後期高齢者として手術が出来る分、病院にとっては良い患者と言うことになるのです。そこのところは良かったのでしょう。変な話ですが。
「右頸部内頸動脈高度狭窄症」という病名を頂いて立派な病人ということになりました。脳梗塞という病気は頸動脈が細くなり血流が滞って血管に血栓が生じ、それが剥がれ脳に飛ぶことによって起こる症状と説明を受けました。
専門的な説明でよく理解できず、多分で申し訳ないが、血管を詰まらせ起こる病状で老化による症状と似ているように感じます。色々と検査をしていくうちに、心臓にも狭窄箇所が見つかって続けての手術ということになりました。
先週、脳梗塞の手術をしたのですが、心臓に影響もなく無事にそれは終えました。次に2試合目の心臓が待っています。もう、まな板の鯉で、どうにでもなれと腹を括るより致し方がありません。
先日、手術の検査に行く時のことですが、この頃どうも車の運転が下手になって、高速道や夜の運転に支障をきたしていて、殊に八箇峠トンネルが苦手で避けていましたが、脳梗塞手術後の運転になんの違和感もなく制限速度いっぱいまで速度を上げて呑気に走っていました。
もしかして手術で、何らかの作用が起き、バランスを司る脳の個所に良い影響を与えたのではないだろうかとひとり感じているのです。
もしそうだとすれば、病気を悪く捉えて過敏に反応するのもいけないようにも思いますが、ただそのあと私のお小水の回数が増えたこともあり、それも手術の影響かしら? と思っても関連性は分かりません。例え有ったとしても、お医者は認めないだろうし、そう簡単なことでは無いのでしょう。
入院して、たった10日間でもベットに臥せって、トイレに動くだけになると、まず脚膝腰に影響が出ます。朝昼晩の食事を待つだけの暮らしは、身体に良いわけはありません。退院出来て冬の準備にかかろうとすると、思うように身体は動いてくれません。でも少しずつでも冬の準備にかからないと、心の病気になりそうです。病気は次から次へと連鎖を生み、なかなか面倒です。
ところで、妻有新聞がこの地方の病院の栄養士を取材し、病院食の特集でもしてもらえないだろうか。老人が調子を崩し入院して食べる食事は、どんなものか教えて欲しい人は多いようです。
(11月16日和山にて)
2024年11月23日号
原点に戻って考えよう。湯沢砂防事務所はスリット堰堤と集落付近の護岸整備をセットにする案だけを住民に提示している。で、やるのかやらないのかと問われれば、住民はイエスしか選択できない。
本来は複数の案があってメリットデメリットを比較し、住民が考えて決めるのが河川自治だ。
堰堤を造るとスリットがあると言っても、下流は河床が下がり、上流は流れが滞留し砂利が溜まり河床が上がる。一つの集落を二分するような案しか方法はないのだろうか?
多くの山間地での共通問題だが、清津峡地区も高齢化が進んで世帯数が減り、もうすぐ地図上から消えるかも? と思うほど過疎化が進んでいる。
私はこの治水の課題は集落存続のチャンスなのでは? と思っている。どうして? と聞かれるだろう。…ここからは単なる私の妄想だと読んでほしい。
仮に湯沢砂防の計画通りスリット堰堤と護岸工事ができても、大きな台風が近づくとやっぱり川沿いの住人は心配で自主避難するだろう。安全度は上がっても災害は想定を超えてくる。川沿いの家は10軒くらいだ。もしできるなら川沿いの住民が地域内の少し川から離れた道上へ移るというのはダメだろうか?
山の中でよく見る小さな砂防堰堤の費用は一基4~5億円と言われている。清津川本流に計画されているスリット堰堤はその何倍もある。土地確保と住宅建設や引っ越しその他の費用を10軒分見積もっても、堰堤を造るよりずっと安い。
住民も十分な補償があれば、築50年超えの大きな家より、こぢんまりした耐雪、省エネ、バリアフリーの家のほうが暮らしやすいのではないだろうか? 高齢者世帯が後に家を手放す時が来ても、雪始末の楽な家は買い手が見つかり易く集落に新しいメンバーが加わる可能性もできる。古く大きな家は取り壊しにも費用がかかり空き家問題の原因になる。
川沿いの土地は大切な生命財産を置かなければいいだけだから、護岸工事をして農地に転用してもいいし公園にしてもいい。漁協に協力頂いて釣り堀でもいいし、ウドやタラの木を植えて山菜農園にしてもいい。きれいな蓮の花を植えても、アヒルが泳いでいてもいい。
村の形は変わるけど、年間何十万人も集客する清津峡の入り口だから、考えようで集落活性化になるのでは? 最もいいことは、堰堤を造るより移転のほうが早くできることだ。
この国では近い将来、通貨危機や南海トラフや戦争といった大きな惨事が起こる可能性は否定できず、そうなったら国は地方の小さな清津川の治水などできなくなる…だから何年もかかる治水事業より早く確実な移転がいい。
先祖代々住み続けた家、地域の内情、高齢化…代えがたいものがあるのはわかるけど…非力な私には提案しかできない。地域の人が自分で決めることだと思う。
2024年11月16日号
10月27日の衆院選では、自民・公明が大幅に議席を減らし、立憲、国民が躍進しました。気がかりなのは、「護憲、反戦・反核・反原発」を掲げる勢力が伸びなかったこと。本来、これらも大きな争点になるべきだったのに、「裏金」と「経済」に絞られてしまったのは、マスコミの責任でもあります。
これを書いている11月6日夜、米国大統領選は、トランプ氏の当選が確実となったようです。どちらが勝っても、米国はガザで虐殺を続けるイスラエルへの支援を継続するでしょう。私が米国大統領選に興味を持てない理由はこれです。
さて、新潟県内では柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決めるため、条例制定を求める署名活動が始まりました。
世界最大級の柏崎刈羽原発は、1~7号機とも運転停止中です。東京電力は2013年に6・7号機の再稼働の審査を原子力規制委員会に申請し、2023年12月にようやく再稼働準備ができるようになりました。
再稼働にあたっては、規制委員会の審査のほか、柏崎市、刈羽村、新潟県の同意が必要です。柏崎市と刈羽村は、議会、首長とも再稼働に同意する意向のようです。
一方、新潟県では、花角知事は18年に、柏崎刈羽原発の再稼働について「自ら判断し、県民に信を問う」と公約に掲げて当選しました。しかし、「信を問う」具体的な方法や時期は明確にしないまま今日に至っています。
柏崎刈羽原発の再稼働は、県民のいのちや暮らしに関わる大きな問題です。県知事や県議会に任せるのでなく、県民の一人ひとりが、県政の主人公として意思表示するべきではないでしょうか。
私たちは、地方自治法に基づき、「柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例」の制定を請求することにしました。請求のためには、新潟県民有権者の50分の1以上の署名が必要です。「条例を制定してください」という署名で、原発反対署名ではありません。
①県民のすべてが柏崎刈羽原発の再稼働の問題に向き合い、賛成・反対の立場を超えて話し合うこと、②柏崎刈羽原発の再稼働の是非を県民投票で問い、投票の結果を県の方針に反映させることが、新潟の民主主義を育て、未来をひらくことにつながると確信しています。どうか署名をお願いします。
署名と署名集めをしてくださる方は、齋木までご連絡ください。電話090‒4946‒7570。
2024年11月9日号
今年のノーベル平和賞を、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が受賞することに決まった。驚愕し、それからだんだんに高揚した。
10年ぐらい前、我が国の憲法九条をノーベル平和賞に推薦しよう、というムーブメントがあった。
その発想に大いに共感し、実現すればいいなと願った。自衛隊を軍隊と明記したい政府の改憲を、何としても阻止しなければと強く願い、九条の会にも参加した。焦りを覚えたが進展しないまま低迷した。
被爆後11年。語り始めた被爆者と被団協として結成以来68年。その間のニュース映像を見ると、国連本部で『ノーモア広島、ノーモア長崎、ノーモア被爆者』と演説した山口仙二さん。背中に追った火傷の写真を掲げながら、活動し続けた谷口稜曄(すみてる)さん。米大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領と握手した坪井直(すなお)さん。長い年月の間に何度も目にした方々のお顔が見に浮かぶ。
そして今年の受賞速報の場面で、高校生の平和大使たちと歓喜する箕牧智之(みまきとしゆき)さん、ニューヨークを、横断幕を掲げて、アピール行進する姿も記憶に新しい。
永年の辛抱強い行動、具体的で目に見えるアピール行動が認められた。心からの敬意を奉げたい。
そうした一方で、授与を決定した委員会の委員長の年齢に感動した。若い世代もある意味、危機感を感じているのだろう。いやむしろ若い世代のほうが、危機感が強いかも。
受賞の知らせを受けた場面でも高校生平和大使たちが同席していた。
見るに見かねて行動に移し、長い年月、たゆまず、ひるまず、若い世代へも伝え・バトンを繋いで行動し続ける被団協の皆さんに頭が下がる。
それを認めて、世界が注目するノーベル平和賞を授与してくれる世界の目がある事にも感動した。
自分だけではだめだと九条の会に参加してはいるが、戦争は、だめだ、ダメだと叫んでいるだけでは、世界にはもちろん、日本政府にさえ届かない。
敗戦を体験して79年、あきらめずに行動することを我が身に言い聞かせた。
国として、核兵器使用廃絶の条約への批准を。世界が注目をしていますぞ‼
2024年11月2日号
衆院選も大詰めを迎えています。筆者は、毎回投票所に足を運んできましたが、重複立候補できるこの小選挙区比例代表並立制にすっきりしない感覚を持っておりました。今回自民党の裏金問題で、わが選挙区の一候補が重複立候補できなくなったということですが、重複立候補ということは一回の選挙に同じ人が、選挙区と政党の比例代表の両方に立候補できるということですよね。はて? これって、正しいやり方でしょうか。
今更こんなことを持ち出すのは、ボケ老人もいいとこですが、今回の衆院選挙で重複云々が大きな話題になっているので改めて確認してみました。
かつて中選挙区制(一つの選挙区で2人以上当選する制度)の下で、同じ選挙区で同じ政党から複数立候補すると、同じ党の支持者の票を候補者が奪いあうことになり、不正や買収行為が横行する汚い選挙になりがちでした。
それを解消するために一つの選挙区で1人が当選する小選挙区制に時間をかけて制度改革をしたわけですね。そして、政党に投票する比例代表制は衆議院の場合、拘束名簿式(政党であらかじめ当選する順番を決めた名簿を作成)で、得票数に応じて名簿の上位から当選するという仕組みです。小選挙区での選挙活動は難しいが、政党にとって議員になってほしい人を名簿に載せるのが本来の姿でしょうが、現実には小選挙区で立候補している人も名簿に載せることができることができます。これが並立制ということなのでしょうか。
またブロック単位の比例代表制では投票したい候補者と政党が別の場合、ブロックにその政党がない場合は1票が棄権と同じことになります。つまり小選挙区の候補者に1票、比例代表では別の党に1票と2票投票したいのに1票は投票する相手がいないことになります。
この制度は、小党の乱立や売名行為の候補者を防ぐには有効だと思いますが、やっぱり並立というのが釈然としません。 比例代表制を全国1区にして重複立候補を禁止してはどうでしょうか。選挙区ではその地域の代表を選び、比例代表では政党の政策や理念で投票する。これが1人2票制のあるべき姿だと思います。
289人が選挙区で選ばれ、176人が比例代表で選ばれる今回の衆議院選挙。裏金問題で公認されなかった議員や重複名簿に載らなかった候補者にとって、今までとまったく勝手の違う選挙です。我が新5区では1人が重複立候補、1人が選挙区のみの立候補です。さて結果はいかに?
2024年10月26日号
早いもので今年も残すところ2ヵ月半となり、夏の暑さがやっと和らいできたところ、島根県の隠岐の島々に行ってきました。
新潟県の佐渡と同じように、奈良時代ごろから、天皇や公家の方々などが遠流された歴史を有します。この地がそのような地に選ばれたのは、都から遠く離れているだけでなく、貴人が食べ物に苦労したり生活に危険が生じたりしないところとして選ばれたという話があります。江戸時代には、北前船の寄港地としても栄えました。
最近は、隠岐の島にIターンやUターンをする人々が増え、子供の数が増えていることが注目されます。5年位前は小学校の1学年に1〜2名しかいなかったのが、最近は5名を超えるようになってきているとのことでした。
ここに住むと、ここで結婚をすると、ここで子供を授かると、それぞれの段階で自治体は支援金を準備し、そのような思い切った施策を行なってきたことも功を奏しているのでしょう。
地域おこし協力隊として島にやってきた若者が、地域に溶け込み頼りにされている姿も至るところで見られました。
釣り好きと島好きが島で出会って結婚し、夫婦で農業漁業や観光業の仕事をしながらの子育て中。年会費のアマゾンプライムに入っているので、おむつも送料無料で2日後に届き便利です、と話してくれました。
さらに最近の島の話題は、フランス料理のレストラン、おしゃれな美容院、こだわりのパン屋さんが、新たにできたことです。
飲食店や美容の業種は、今までも島にある仕事ですが、最近は、本土で一流の腕をふるっていた人たちが島にやってきて移住し、自分たちの小さなお店を持ち、提供するサービスのわりに良心的な価格で、島の住民と観光客から人気とのことでした。
この話を聞いて、これらの方々に共通して「Small is Beautiful 」とよばれるような美学がおありになるのかなと、ふと感じてしまいました。
「Small is Beautiful」は、欧州の経済学者が1973年に記した著書の日本語タイトルとして有名になった言葉です。
大分県湯布院で温泉宿を営まれ、観光カリスマでいらした中谷健太郎氏は、町のあり様について、
小さいから、身近に暖かい関係が生まれる。小さいから、個性的な価値を生み出せる。 小さいから、大きな資本を必要としない。と語られていたと、かつての勤務先の先輩から聞いたことを思い出し、島を後にしました。
2024年10月19日号