気持ちよく晴れ上がって、すがすがしい新年の幕開けであった。年越しを一緒に過ごした子ども・孫たちとお祝いを済ませて初詣に出かけた。何事もなくこんな穏やかな時間がありがたいねと言いつつ。
せめてお正月はこれが一番と思っていたところ、けたたましい携帯の緊急メール。マナーモードにしていない人の分が鳴り出した。ゆらーん、ゆらーんと揺れている。結構長く感じるほど揺れた。テレビが石川県能登地方の激震を叫んでいる。
長男のお嫁さんは石川県小松の人。皆で青くなった。何とか連絡が取れて、被害はあったものの、命の支障はないとの事でホッとはした。いつまでもいつまでも緊急地震速報ばかり、十日町は大丈夫か? あの人この人と次々心配になる。電話に飛びつきたいが、回線を塞ぐ事になるのもやってはいけない。
2004年10月の中越地震が甦る。30年近く前の阪神淡路大地震、次々思い出される。神戸で育ち、離れてから40年近く経っているとはいえ生まれ故郷だ。当時は携帯などなく電話をかけ続けるが、全然繋がらない。公衆電話がつながりやすいと聞いて、近くのNTTへ飛んで行ったりした。
能登半島の形が竜の頭に見え、しっぽのあたりであろう千葉でも大ゆれだ。竜神さまは何にお怒りなのだろう⁉、不遜傲慢な人間どもに鉄槌を下されたのか? 我が身を振り返っても、ずいぶん楽な生き方をしていると気になってはいた。つつましさに欠けた昨今だと自覚はしている。では鉄槌は私に下されなければならない。今回の地域の人に下されるのは理不尽だ。
世の中を不幸にする原因は多々ある。大別してみると、天災と人災に分けられるかも。人災のトップは何といっても戦争だ。何時までも無くなることなく、むしろ広がっている。世界中で平和を希求しているというのに。人災に比べて天災は人知の及ぶところでない。
一番怖いのは地震であろう。地震がなければ津波はないのでは? それだけではない風水害、異常気象、数えていると呼び込みそうで怖くなる。 心配で心配での筈なのに、時間が経つと談笑している。翌日は箱根駅伝で山の妖精と呼ばれている評判の山本さんを応援している有様。
成人になったばかりの孫は、東日本大震災のことを話す。戦後の情景が身に沁みついている私は、全国国中が壊滅状態だった当時より、支援ができる地域のほうが多いことを救いだと思っている。
2024年1月13日号
飯山線の一部区間の乗客が極端に少なく、廃止の可能性が取りざたされています。筆者は昨夏、一日2本しかない只見線直通列車を半日かけて、始発駅・会津若松から終着駅の小出まで乗車しました。平日でしたが、2両編成の車両はほぼ満員。
只見線は景色の良さが知られていますが、絶景と称される場所でも列車から見る視点と外から撮影した景色が全然違うこともありました。まあ、その辺は大目に見るとして(笑)。
のんびりとした時間が流れ、とてもいい旅でした。飯山線も只見線に劣らず素晴らしい景色が沢山あります。酒蔵もあります。工夫次第でいくらでも全国の乗り鉄、撮り鉄、飲み鉄の皆さんを呼べるのではないでしょうか?
一方、現実には筆者も旅行にでも出ない限り、普段は鉄道に乗ることはありません。先日の新聞に、日常の交通手段について専門家の調査結果が載っていました。コロナ前の令和元年度の全国輸送人員の27%が鉄道、バスが5%、タクシーが1%、自家用車が67%、それが過疎化の進む四国では鉄道が3%で、バスとタクシーがそれぞれ各1%、全体の94%が自家用車だったそうです。この四国地域の調査結果は、当地域の実態とほぼ一致するのではないでしょうか。地方では自家用車がないと移動が不自由な現実を、数字が物語っています。
近ごろは高齢者の交通事故が大きく報道されます。実際の事故率は高齢者だからといって特に多いわけではなく、偏見を助長するような報道には一高齢者として怒りを覚えます。マスコミを含め周りから免許を返上しろ、と圧力がかかるわけですね。
免許を返上した高齢者は運転する同世代の人と比べると、認知症になりやすいという研究報告もあります。自由に外出し行動できるかどうかは、すべての世代で健康の維持に大きくかかわってきます。
また、新しい交通手段としてライドシェアや車の自動運転があります。ライドシェアとは、自家用車を所有者自身が空き時間を利用して、アプリに登録した乗客を運ぶことを言い、海外ではかなり普及しています。我が国では白タクと呼んで不安視し、業界団体の反対もあってすぐには格安な交通手段にはなりそうにありません。
自動運転は地方の交通量の少ない地域に馴染みやすいと思いますが、コストと運転精度の問題を克服するにはまだ時間がかかりそうです。
当地での交通手段は、まだまだ自家用車が一番。自分がいつまで運転できるか、切実な問題です。
2024年1月6日号
今年も寒くなり年末が近づいてきました。2023年はどのような一年でしたでしょうか。時代が変化し、その具体的な動きが見え始めてきた、そんな一年でもありました。コロナ、ウクライナや中東の紛争をきっかけに、80〜100年単位と言われる新時代を迎える前の変化が、加速したようにも思います。
コロナによって加速したことの一つは、少子高齢化と働き方への影響です。例えば、地元の個人商店の閉店が増えました。地元には長年にわたって愛されてきた食堂やお菓子屋さんなどがあります。なかには、店主が高齢となってきて、今後お店をどうしようかと考えていた方々がいたと思います。
それがコロナをきっかけに、お店を閉める判断を早められた方々がいらっしゃるように見えました。お店のファンからすると、コロナがなければ、お店をもう少し続けてくれていたかもしれない…後継者が出てきたかもしれない…と思ってみたりして残念に感じてしまいます。
ウクライナや中東の紛争によって加速したことの一つは、それまでのグローバル化の進展が青信号から黄色信号になったことです。
グローバル化とは、国境を超えた資本や労働力の移動および貿易や海外への投資が活発となることで、世界との経済的な結びつきが深まることを指します。
今後も世界との経済的な結びつきがなくなることはありませんが、今回の紛争で地政学リスクが高まり、小麦などの食糧や石油・ガスなどのエネルギーを輸入していた国々に深刻な事態が生じました。製造業においても、海外から部品の調達が従来通りできなくなり工場で製品が作れなくなるという影響がありました。
地政学リスク(紛争などの緊張の高まりが、その地域や世界経済に与える影響のこと)という言葉は、少なくともここ30年は使われることがなかったと記憶していますが、最近はよく使われるようになりました。
私たちが海外旅行をする際も、世界で起きている或いは起きるかもしれない紛争を、ここまで意識することはなかったと思います。
来年の世界は選挙の年と言われ、1月に台湾総統選、3月にロシア大統領選、4月に韓国総選挙とインド総選挙、11月に米国大統領選があり、日本への影響が注目されます。
日本国内は、今まで先伸ばしにしていた、建物や設備の更新が増えるなどして景気がよくなるとも言われています。そして、それが国民生活の安定や安全に繋がるかどうか…重要なことだと思います。
2023年12月23日号
移転工事が終わって、引越しが一応済み、その片付けは暖かくなってからだと決めている。それまでは冬ごもりの熊よろしく疲れた身体の回復を待つだけだ。これといって病状が出て来たというこではないが、ただ気力が無いのだ。ふらつく、転ぶ、忘れる、震える、こぼす、漏らすといった老人特有のだらしなさがグンと多くなったと云うことなのだ。
そんななか、どうにか中津川右岸のひとつの家に紛れこむことが出来ただけでその集落の一員として地歩を得た。
長い間一軒家に暮らしていたせいか、自分がこのような集落に住んで、その集落を自立させるためのシステムに慣れていないことにも気が付いた。何も分からないのである。
ただ75歳老人だけれど、一番若い青年部員として少しずつ地域の事を覚えて行かなければならない事の面倒にも立ち至るのだ。
師走になり少しずつ冬らしくなって2㌢10㌢5㌢と白いものがこちらの気持ちを試すように厚みを変えて行く。雪踏み支援員という制度もあって、お上からそれを頼まれたりして、朝早くトイレに起きたついでに電灯のスイッチを探しながら積雪の状況なんぞを確認したりすることから一日が始るようになった。
そんなことひとつとっても、集落を維持するとはなかなか大変なんだとつくづく気付いた。左岸でひとり暮らしていた頃が天国だったなぁ~とあらためて感じもした。
今年、師走の天気は何となく穏やかで、そうなると周りを見回す余裕が出来たのだろう、少しずつ飯山線の話だとか日大アメフト部の事件だとか、大阪の万博の状況やそれを映すNHKテレビのことなどに目が行くようにもなった。みんなどうでもいいようなことなのだけれど、ひとつ気散じのつもりで見て感じてみようと思った。
ずいぶん昔だが、日大闘争の頃、そこにいた者として思えばこの学校は何もその後、学習していないのだなと思った。もっとも7万人の学生の授業料が生み出す巨額な資金の上であぐらをかいて、上手い汁を吸っていた人間にとっては、昔の儘のおとなしい日大生でなければならないのだろう。
作り出される資金でうまい汁を吸っている人間にとっては面倒が一番の敵で、中間管理職向きの学生をつくる日大でなければならないのだろう。 経営者達は押し詰められれば、デモ隊の頭に鉄アレーも平気で投げ下ろして来たのだから、アメフト部の大麻騒動もまだまだ大したことではないと云うことなのだ。
先日の本誌で飯山線が全線での運行が危なくなったという話を読んだ。津南から戸狩野沢間の営業赤字がとんでもないということでJRはひとつの告示をしたようである。
つまり地域国民に対して、このままでは廃線になるよ! そうならないために何かいい案を出せという! 出なければこの区間の列車を止めることになるという。私には、文句がある奴はかかってこいとばかりに居丈高な恫喝に聞こえた。
でも、その区間には「足滝」というとんでもないめずらしい不思議な駅もある。だれも下りない乗らない伝説的な駅でもあるのだ。そりゃ今でこそ誰でも車を持つ時代だから、足滝から乗車しろとは言わないが、そもそもJRは旧国有鉄道時代には多くの乗客も乗ったのだ。そして高度成長の頃は多くの若者がここから金のタマゴとして日本を支えたのだ。外国の鉄道ファンがこぞって飯山線の「足滝」を、カメラを持って訪れる要素はきっとあるはずである。
JRという会社はそもそもこの国の税金で造られ、国の基盤を支えた会社の支線なのだ。今の新幹線の技術や列車運行システムもそこから出発している。ただ赤字だからと地域を捨てるような会社であるならば、そのうち在来線を全廃して、新幹線を在来線化し、リニアを新新幹線として生き残ろうとしているのではないかと、うがった見方も出て来てしまう。そんなことをしていたら元国有鉄道のJRは倒産の憂き目に逢うのじゃないだろうか!
もっとも万博の現状やら、NHKのBSプレミアムが消えたりとこの国の大きな会社はJRと似たもので何だか右往左往しているようだ。
この国はなかなか良い国なのだけれど、上に立つ人たちに必死さが見えないようだ!
ここまで言いたい事を書いたけれど、みんな思っていることは言った方が疲れが消える。病院で処方される薬が病気を直すのではないと、何となく気が付いた!
2023年12月16日号
毎日、SNSに投稿されるガザの動画に言葉を失う。既に6600人の子どもたちが犠牲になった。民族浄化とも言う国家的暴力を粛々と進めるネタニヤフ内閣にザワザワする。ロンドンでの200万人近い規模のデモを始め、「今すぐ攻撃を止めろ」と世界各地で声を上げる人々。「今ガザで死んでいるのは子どもたちだけじゃなくて、西側諸国の人道と民主主義という幻想だ」と書かれたプラカードのとおり、こんな虐殺を見ていて、何もできない私は完全な敗北者だ。
日本政府は武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の年内改訂を密室で議事録も非公表で進めている。なぜ武器輸出緩和を急いで決めるのか、ちゃんと国会で説明してほしい。ガザの子どもたちを殺戮する武器を、私たち国民が払った税金で提供していることにならないか。
今までの平和憲法解釈では武器輸出はできなかったはずなのに、日本は公に死の商人になるのか? と問いたく国会を見ると、「イスラエル国民と連帯」と表明している外務大臣とか、パーティー券で数億円キックバックとか、「ガソリン代高いと思うなら慣れてもらわんと」と言ってる政調会長とか…まるでギャグ漫画を見ているような有り様…ああ、この国ダメだわ…貧弱な私のメンタルは崩壊寸前。考え込んで鬱になる前に気持ちを切り替えて、話題変えます。
夏の頃、駐在さんから「振込詐欺集団を摘発したら、犯人の持っていたデータに貴方の個人情報が含まれていたので注意して下さい」と忠言頂いた。ふ~ん、私狙われてるの? と思っていたら先日電話がかかってきて、ナンバーディスプレイには見たことない「表示圏外」と言う字が…。
男性のきちっとした声で「藤ノ木信子さんの電話で間違いなかったでしょうか?」と聞く。「はい、そうです」「市役所の市民課ですが、4月に介護保険料の還付金についてお知らせしましたが、申請のなかった方に確認の電話をしています」(…そんなのあったっけ? でも還付あるなら申請しないともったいないし…)。一瞬そう思ったが「でもね、あなたが市役所の人だって私は確認しようがないので、そちらの電話番号を教えてくれる? こちらからかけるから」と言ったら無言でプツンと電話が切れた。
いやはや、ほんとに詐欺電話来るんだなあ…後で「表示圏外」を検索してみたら、国際電話などの着信で番号表示できないということらしい。とても上手な最もらしい口調だったので、皆さんご注意を!
2023年12月9日号
10月に弟がこの世を去った。1人の死がこれだけ切ないのに、ウクライナや、イスラエル、ガザでは、どれだけの悲しみや苦しみが渦巻いているのだろう。
10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルにミサイル攻撃を仕掛けた。対するイスラエルは、「自衛の戦い」と称して、ハマスの拠点があるパレスチナ自治区ガザに空と陸から攻撃を続けてきた。
ガザ地区では、水も食料も燃料も電気もない過酷な状況が続いており、この間の死亡者は1万4千人以上、約半数が子どもと女性であるという。
11月15日、国連安保理はガザ地区での戦闘の「人道的休止」を求める決議を賛成多数で採択した。日本を含む12ヵ国が賛成し、アメリカ、イギリス、ロシアの3ヵ国は棄権した。
ガザ情勢を巡る安保理決議案は、それまでに4回提出されたが、常任理事国の拒否権などで否決されている。今回、米・英・露が反対でなく棄権に回らざるを得なかったのは、平和を望む世界の国々の圧力が高まってきたことの証である。
イスラエル、ハマス両者は、それぞれ相手方の受刑者や人質の解放を条件に、24日から4日間の予定で休戦に応じた。これを書いている29日現在、休戦は2日間延長される可能性がある。
国連の会議の場だけでなく、世界人類の多くが一時的な休戦より「停戦」を望んでいる。
イスラエルによるガザ地区での無差別攻撃を非難する人、そのきっかけを作ったハマスを非難する人、パレスチナ人を追い出しての1948年のイスラエル「建国」の不合理を言う人、イスラエル建国は離散と迫害に耐えてきたユダヤ人2千年の悲願なのだと言う人……。様々な立場や主張の違いはあっても、「まず停戦を」の声は日に日に強くなっている。
しかし、当事者は休戦期間が終わったら直ちに戦闘再開に向かえるよう態勢を整えつつある。
日本は長い間、イスラエル、パレスチナ双方と外交を展開してきた。イスラエルべったりのアメリカの顔色をうかがうばかりでなく、各国への働きかけを強めるなど、平和を望む国々の先頭に立ってもらいたい。そのために私たちも何かできるのではないか。
ちなみに、11月20日に静岡市議会は「ガザ地区における平和の実現を早期に求める決議」を、22日に石垣市議会は「パレスチナ・ガザ地区の即時停戦と医療・人道支援を求める決議」をそれぞれ全会一致で可決した。
2023年12月2日号
半年近くも経ってから気が付くとは、お粗末な話だ。
確か6月頃だったと思う。ブルーインパルスの華麗な航空ショーがテレビで放映された。昭和39年の戦後復興をアピールした東京オリンピック。雨が降り続いた後の見事な日本晴れの開会式。ブルーインパルスの見事な五輪のマークが大空に描かれた。近年になって聞いた話では、事前の演習が出来ずぶっつけ本番だったとか。強烈な美技に衝撃を受け、誇らしく感動した。
所属基地でコロナ後、久しぶりに観客を招いての航空ショーが開催された。まるでファンミーティングの様な華やかさで、いやが上にも高揚感が漂う。過去のそれより更に高度な美技が次々と披露された。
そしてその翌月、私も注目している俳優さんが潜水艦を舞台に映画を撮影中だという。防衛省? 海上自衛隊? は本物の潜水艦を撮影に使用する協力をしたそうな。国家機密に触れるぎりぎりまで、撮影に協力してくれたので、迫力のあるシーを撮ることが出来、見応えのある映画になったとのことだった。
そして9月、参加している「九条の会」の学習会があって、沖縄の現状を知ることができた。現在は禁止されてしまったドローンによる映像を見た。かねて付き合いのあった沖縄の映画会社の、監督さん自ら映像をもって、全国をキャラバンして映写会をしておられるという。
鹿児島以南の先島諸島から沖縄本島までを琉球弧という。その各島に対中国を意識した基地が出来上がっているという事だった。父が沖縄で戦死したので、戦跡にしか目が行っていなかったのも、暢気すぎたと反省した。
死に物狂いで抵抗する人たち。圧倒的力で退けながら、どんどん計画を完成させていく国家権力。頭をガーンと殴られたような衝撃だった。
正に弧を描いて中国に向かい対峙している。アメリカに絶対の協力をするのが現政権の命題だが、このほど米大統領と中国の国家主席が会談し、にこやかに握手をしている映像を見たばかり。日本は良いように使われているのを、ご存じないのだろうか?
耳を塞がれ・目を奪われていては、ならないのだ。ぼんやり頭のおばあさんには理解できないほど世の中は複雑巧妙にできているのだろう。「電話de詐欺」の回にも書いたが、人を騙すより騙される方が良いと教わったが、今は騙されるほうが愚かだと言われる。
戦後の貧しさからは、少し経済力もある国らしいが、反して、どんどんやさしさと、寛容さが少なくなっていく気がする。
2023年11月25日号
今回はごく個人的なことを書きたいと思います。読者の皆さんは普段どんな飲み物を飲まれていますか。緑茶派? 紅茶派?コーヒー派? 様々だと思います。筆者はコーヒー派です。とはいえ、コーヒーに特別なこだわりがあったわけではなく、 長年毎日インスタントコーヒーを飲んでいました。
ところがある時、友人からコーヒー豆が届き、はて面倒だなぁ、と思いつつせっかくの好意を無にしちゃいかんと、必要最低限のコーヒーミルとサーバー、ドリッパー、フィルターペーパーを購入しました。
無手勝流で淹れ方もいい加減だったのですが、明らかに香りや後味が違いました。それまで飲んでいたのがインスタントでしたから、とにかく香りのしない後味が舌に残るコーヒー(喫茶店のコーヒーでもそういうコーヒーが多いと思いませんか?)だったわけで、まあコーヒーとはこんなもんだと思っていました。
最低限の器具でしたが、このままではもったいないと思い、市内にあるコーヒー豆の専門店のドアを開け、あれこれ尋ねながら豆を購入しました。自分で挽いて淹れる。明らかに後味のスッキリしたうまいコーヒーに仕上がります。
これをきっかけにネットで調べるとコーヒー豆を販売するサイトがたくさんありました。
日本では缶コーヒーからコンビニのコーヒーまでさまざまな飲み方をしますが、世界でも指折りのコーヒー消費国で、アメリカ、ブラジル、ドイツに次いで第4位だそうです。日本ではほかの国に比べ自分で淹れて飲む人口が多いそうなので、豆専門の店が成り立っているのでしょうね。
ネットには割安なさまざまなお試しセットがあって、飲み始めたころにはそれらを利用していろんな味を試しました。産地(国)や農場、豆屋さんのブレンドの仕方によって本当にたくさんの味や香りがあります。値段もピンからキリまですが、自分の財布と相談してそれほど高くない豆で楽しんでいます。
蕎麦では挽きたて、打ちたて、ゆでたてが最良とされますが、コーヒーも同じです。高い豆でなくても、焙煎したて(小規模な豆屋さんなら焙煎したてを送ってくれます)、挽きたて、淹れたてであれば本当にうまいコーヒーが自宅で楽しめます。
毎朝少しの時間をおごって、豆を挽いて淹れますが、豆を取り出したときや挽きたての香り、後味の良さ、一回分の外食費程度でひと月幸せな気分にさせてくれます。何より嬉しいのが、我が家の山の神が喜んでくれること(笑)。
2023年11月18日号
仕事で出雲国(島根県)に来ており、越後国(新潟県)との共通点を感じます。出雲国では、十月を神無月ではなく神在月と呼び、全国の神様が集まり、誰と誰のご縁を結ぶかの相談が行われるとされます。
旧暦の10月10日である11月中旬に出雲大社で神迎祭が行われ、出雲大社の西側にある稲佐の浜に全国の神様が夜に到着され、その浜で神主さんがお迎えの神事を執り行います。その後、出雲大社の中に神様のお泊り処があり、そこにご案内し、翌朝に神様方は、相談ごとを行う場所に通われます。その会議室は意外にも出雲大社の外にあり、まちの人々は、神様が相談ごとをされる期間は、音を出さないように静かに過ごすのだそうです。
ご相談ごとが終わると酒宴が開かれ、その会場はここ、二次会はここと場所が決まっています。宴会が楽しくて居残りをされる神様もいらっしゃるとの余話も。
神様の酒宴から発祥しているとされる島根のお酒ですが、飲んでみると、なんとなく新潟のお酒とテイストが似ているような感じがします。
お米も、東日本が魚沼米ならば、西日本では島根県の仁多米(にたまい)が断トツのブランド米です。地形は、両県とも、日本海に面し、内陸部に入ると山や森林が深くなる点が共通しています。
出雲国の山では、かつて、たたら製鉄が盛んに行われていました。真砂をとり、炭を作り、今でいう工場で鉄がつくられました。その風景が映画「千と千尋の神隠し」で描かれています。
現在は、刀匠が日本刀をつくる際に必要な玉鋼(たまはがね)を得るために、たたら製鉄の技が受け継がれています。
松江市の南に位置する奥出雲と呼ばれる地域にたたら製鉄の跡が残っており、山を削って真砂をとった場所が今は棚田となりお米づくりが盛んです。鉄師と呼ばれた方々が残した住居や庭園は見事で、最近のテレビドラマ「VIVANT」の舞台となりました。
近年は、周辺の森林の木材を活用し、建設用合板の製造が行われています。木材は海外産を使うことの多い時期があったようですが、ここ10年で国内産の使用が増えたそうです。
八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を
奥出雲で八岐大蛇(やわたのおろち)を退治したスサノオノミコトが読んだ日本で初めての和歌とされています(妻有の『妻』の文字が入っています)。
出雲国で神話を身近に感じながら、越後国にもスサノオのような力持ちがいそうと思いました。
2023年11月11日号
福島第1原発の処理水海洋放出が始まって2ヵ月になる。この間、海外の反応は放出に反対する中国、水産物輸入規制を発表したロシア、それにアメリカでも沿岸で捕れる魚などから放射性物質が見つかれば、莫大な損害賠償問題になると報道している。海は繋がっているから当然だ。
私が処理水放出について問題視しているのは2点、一つ目は原子炉建屋に流れ込む地下水を止めることを先にしないと、いつまでたっても汚染水は減らない(処理水放出は終わりがない)ということ。事故から12年、汚染水は増え続けタンクは1000基を超える。流れ込む地下水を止める壁について東電は「今、検討を始めようとしている段階」(2020年検討会議事録)とか、「恒久対策について、しっかり検討してまいります」(2021年)とか、「少し検討を始めていますけど、いつ、何をというところまで、まだちょっと」(2022年)、そして今年の検討会で今後の見通しについて、止水壁は2028年以降のイメージしかない。これって全くやる気なしの引き延ばし?増えたら捨てればいいという一番安価な方法を選んだとしか思えない。
放出して汚染水が減れば廃炉が進んだとするのだろうか? 原発から出た放射性物質はまた無主物だと言い張るのだろうか?
二つ目は関係者との約束を果たしたと言えるのかということ。政府と東電は2015年、福島県漁連に「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」と約束している。今回の放出はこの約束を反故にするもので、地元以外にも北海道のホタテなど全国の漁業に影響が及んでいる。政府の決定通り実行して東電は漁業者への責任をはたせるのか。
2017年、原子力規制委員会は東電に対して、7つの論点を提示した。その1番目が「福島第一原発の廃炉を主体的に取り組み、やり切る覚悟と実績を示すことができない事業者に、柏崎刈羽原発を運転する資格はない」というもの。今回の海洋放出を見るだけでもとてもこの組織に世界最大規模の原発を稼働させることはできない。
6月16日、福島第1原発の処理水海洋放出について、国などに再考を求める議員発議の意見書を賛成多数で可決した津南町議会に敬意を表したい。柏崎刈羽原発の30㌔圏内には十日町市も含め44万人が暮らしている。花角知事は3つの検証(事故原因・健康、生活への影響・避難の方法)について「議論を進めていく際、重要な材料となる」と述べている。
命を守るためにはっきりと意思表示する時ではないだろうか?
2023年10月28日号
気持ちよく晴れ上がって、すがすがしい新年の幕開けであった。年越しを一緒に過ごした子ども・孫たちとお祝いを済ませて初詣に出かけた。何事もなくこんな穏やかな時間がありがたいねと言いつつ。
せめてお正月はこれが一番と思っていたところ、けたたましい携帯の緊急メール。マナーモードにしていない人の分が鳴り出した。ゆらーん、ゆらーんと揺れている。結構長く感じるほど揺れた。テレビが石川県能登地方の激震を叫んでいる。
長男のお嫁さんは石川県小松の人。皆で青くなった。何とか連絡が取れて、被害はあったものの、命の支障はないとの事でホッとはした。いつまでもいつまでも緊急地震速報ばかり、十日町は大丈夫か? あの人この人と次々心配になる。電話に飛びつきたいが、回線を塞ぐ事になるのもやってはいけない。
2004年10月の中越地震が甦る。30年近く前の阪神淡路大地震、次々思い出される。神戸で育ち、離れてから40年近く経っているとはいえ生まれ故郷だ。当時は携帯などなく電話をかけ続けるが、全然繋がらない。公衆電話がつながりやすいと聞いて、近くのNTTへ飛んで行ったりした。
能登半島の形が竜の頭に見え、しっぽのあたりであろう千葉でも大ゆれだ。竜神さまは何にお怒りなのだろう⁉、不遜傲慢な人間どもに鉄槌を下されたのか? 我が身を振り返っても、ずいぶん楽な生き方をしていると気になってはいた。つつましさに欠けた昨今だと自覚はしている。では鉄槌は私に下されなければならない。今回の地域の人に下されるのは理不尽だ。
世の中を不幸にする原因は多々ある。大別してみると、天災と人災に分けられるかも。人災のトップは何といっても戦争だ。何時までも無くなることなく、むしろ広がっている。世界中で平和を希求しているというのに。人災に比べて天災は人知の及ぶところでない。
一番怖いのは地震であろう。地震がなければ津波はないのでは? それだけではない風水害、異常気象、数えていると呼び込みそうで怖くなる。 心配で心配での筈なのに、時間が経つと談笑している。翌日は箱根駅伝で山の妖精と呼ばれている評判の山本さんを応援している有様。
成人になったばかりの孫は、東日本大震災のことを話す。戦後の情景が身に沁みついている私は、全国国中が壊滅状態だった当時より、支援ができる地域のほうが多いことを救いだと思っている。
2024年1月13日号
飯山線の一部区間の乗客が極端に少なく、廃止の可能性が取りざたされています。筆者は昨夏、一日2本しかない只見線直通列車を半日かけて、始発駅・会津若松から終着駅の小出まで乗車しました。平日でしたが、2両編成の車両はほぼ満員。
只見線は景色の良さが知られていますが、絶景と称される場所でも列車から見る視点と外から撮影した景色が全然違うこともありました。まあ、その辺は大目に見るとして(笑)。
のんびりとした時間が流れ、とてもいい旅でした。飯山線も只見線に劣らず素晴らしい景色が沢山あります。酒蔵もあります。工夫次第でいくらでも全国の乗り鉄、撮り鉄、飲み鉄の皆さんを呼べるのではないでしょうか?
一方、現実には筆者も旅行にでも出ない限り、普段は鉄道に乗ることはありません。先日の新聞に、日常の交通手段について専門家の調査結果が載っていました。コロナ前の令和元年度の全国輸送人員の27%が鉄道、バスが5%、タクシーが1%、自家用車が67%、それが過疎化の進む四国では鉄道が3%で、バスとタクシーがそれぞれ各1%、全体の94%が自家用車だったそうです。この四国地域の調査結果は、当地域の実態とほぼ一致するのではないでしょうか。地方では自家用車がないと移動が不自由な現実を、数字が物語っています。
近ごろは高齢者の交通事故が大きく報道されます。実際の事故率は高齢者だからといって特に多いわけではなく、偏見を助長するような報道には一高齢者として怒りを覚えます。マスコミを含め周りから免許を返上しろ、と圧力がかかるわけですね。
免許を返上した高齢者は運転する同世代の人と比べると、認知症になりやすいという研究報告もあります。自由に外出し行動できるかどうかは、すべての世代で健康の維持に大きくかかわってきます。
また、新しい交通手段としてライドシェアや車の自動運転があります。ライドシェアとは、自家用車を所有者自身が空き時間を利用して、アプリに登録した乗客を運ぶことを言い、海外ではかなり普及しています。我が国では白タクと呼んで不安視し、業界団体の反対もあってすぐには格安な交通手段にはなりそうにありません。
自動運転は地方の交通量の少ない地域に馴染みやすいと思いますが、コストと運転精度の問題を克服するにはまだ時間がかかりそうです。
当地での交通手段は、まだまだ自家用車が一番。自分がいつまで運転できるか、切実な問題です。
2024年1月6日号
今年も寒くなり年末が近づいてきました。2023年はどのような一年でしたでしょうか。時代が変化し、その具体的な動きが見え始めてきた、そんな一年でもありました。コロナ、ウクライナや中東の紛争をきっかけに、80〜100年単位と言われる新時代を迎える前の変化が、加速したようにも思います。
コロナによって加速したことの一つは、少子高齢化と働き方への影響です。例えば、地元の個人商店の閉店が増えました。地元には長年にわたって愛されてきた食堂やお菓子屋さんなどがあります。なかには、店主が高齢となってきて、今後お店をどうしようかと考えていた方々がいたと思います。
それがコロナをきっかけに、お店を閉める判断を早められた方々がいらっしゃるように見えました。お店のファンからすると、コロナがなければ、お店をもう少し続けてくれていたかもしれない…後継者が出てきたかもしれない…と思ってみたりして残念に感じてしまいます。
ウクライナや中東の紛争によって加速したことの一つは、それまでのグローバル化の進展が青信号から黄色信号になったことです。
グローバル化とは、国境を超えた資本や労働力の移動および貿易や海外への投資が活発となることで、世界との経済的な結びつきが深まることを指します。
今後も世界との経済的な結びつきがなくなることはありませんが、今回の紛争で地政学リスクが高まり、小麦などの食糧や石油・ガスなどのエネルギーを輸入していた国々に深刻な事態が生じました。製造業においても、海外から部品の調達が従来通りできなくなり工場で製品が作れなくなるという影響がありました。
地政学リスク(紛争などの緊張の高まりが、その地域や世界経済に与える影響のこと)という言葉は、少なくともここ30年は使われることがなかったと記憶していますが、最近はよく使われるようになりました。
私たちが海外旅行をする際も、世界で起きている或いは起きるかもしれない紛争を、ここまで意識することはなかったと思います。
来年の世界は選挙の年と言われ、1月に台湾総統選、3月にロシア大統領選、4月に韓国総選挙とインド総選挙、11月に米国大統領選があり、日本への影響が注目されます。
日本国内は、今まで先伸ばしにしていた、建物や設備の更新が増えるなどして景気がよくなるとも言われています。そして、それが国民生活の安定や安全に繋がるかどうか…重要なことだと思います。
2023年12月23日号
移転工事が終わって、引越しが一応済み、その片付けは暖かくなってからだと決めている。それまでは冬ごもりの熊よろしく疲れた身体の回復を待つだけだ。これといって病状が出て来たというこではないが、ただ気力が無いのだ。ふらつく、転ぶ、忘れる、震える、こぼす、漏らすといった老人特有のだらしなさがグンと多くなったと云うことなのだ。
そんななか、どうにか中津川右岸のひとつの家に紛れこむことが出来ただけでその集落の一員として地歩を得た。
長い間一軒家に暮らしていたせいか、自分がこのような集落に住んで、その集落を自立させるためのシステムに慣れていないことにも気が付いた。何も分からないのである。
ただ75歳老人だけれど、一番若い青年部員として少しずつ地域の事を覚えて行かなければならない事の面倒にも立ち至るのだ。
師走になり少しずつ冬らしくなって2㌢10㌢5㌢と白いものがこちらの気持ちを試すように厚みを変えて行く。雪踏み支援員という制度もあって、お上からそれを頼まれたりして、朝早くトイレに起きたついでに電灯のスイッチを探しながら積雪の状況なんぞを確認したりすることから一日が始るようになった。
そんなことひとつとっても、集落を維持するとはなかなか大変なんだとつくづく気付いた。左岸でひとり暮らしていた頃が天国だったなぁ~とあらためて感じもした。
今年、師走の天気は何となく穏やかで、そうなると周りを見回す余裕が出来たのだろう、少しずつ飯山線の話だとか日大アメフト部の事件だとか、大阪の万博の状況やそれを映すNHKテレビのことなどに目が行くようにもなった。みんなどうでもいいようなことなのだけれど、ひとつ気散じのつもりで見て感じてみようと思った。
ずいぶん昔だが、日大闘争の頃、そこにいた者として思えばこの学校は何もその後、学習していないのだなと思った。もっとも7万人の学生の授業料が生み出す巨額な資金の上であぐらをかいて、上手い汁を吸っていた人間にとっては、昔の儘のおとなしい日大生でなければならないのだろう。
作り出される資金でうまい汁を吸っている人間にとっては面倒が一番の敵で、中間管理職向きの学生をつくる日大でなければならないのだろう。 経営者達は押し詰められれば、デモ隊の頭に鉄アレーも平気で投げ下ろして来たのだから、アメフト部の大麻騒動もまだまだ大したことではないと云うことなのだ。
先日の本誌で飯山線が全線での運行が危なくなったという話を読んだ。津南から戸狩野沢間の営業赤字がとんでもないということでJRはひとつの告示をしたようである。
つまり地域国民に対して、このままでは廃線になるよ! そうならないために何かいい案を出せという! 出なければこの区間の列車を止めることになるという。私には、文句がある奴はかかってこいとばかりに居丈高な恫喝に聞こえた。
でも、その区間には「足滝」というとんでもないめずらしい不思議な駅もある。だれも下りない乗らない伝説的な駅でもあるのだ。そりゃ今でこそ誰でも車を持つ時代だから、足滝から乗車しろとは言わないが、そもそもJRは旧国有鉄道時代には多くの乗客も乗ったのだ。そして高度成長の頃は多くの若者がここから金のタマゴとして日本を支えたのだ。外国の鉄道ファンがこぞって飯山線の「足滝」を、カメラを持って訪れる要素はきっとあるはずである。
JRという会社はそもそもこの国の税金で造られ、国の基盤を支えた会社の支線なのだ。今の新幹線の技術や列車運行システムもそこから出発している。ただ赤字だからと地域を捨てるような会社であるならば、そのうち在来線を全廃して、新幹線を在来線化し、リニアを新新幹線として生き残ろうとしているのではないかと、うがった見方も出て来てしまう。そんなことをしていたら元国有鉄道のJRは倒産の憂き目に逢うのじゃないだろうか!
もっとも万博の現状やら、NHKのBSプレミアムが消えたりとこの国の大きな会社はJRと似たもので何だか右往左往しているようだ。
この国はなかなか良い国なのだけれど、上に立つ人たちに必死さが見えないようだ!
ここまで言いたい事を書いたけれど、みんな思っていることは言った方が疲れが消える。病院で処方される薬が病気を直すのではないと、何となく気が付いた!
2023年12月16日号
毎日、SNSに投稿されるガザの動画に言葉を失う。既に6600人の子どもたちが犠牲になった。民族浄化とも言う国家的暴力を粛々と進めるネタニヤフ内閣にザワザワする。ロンドンでの200万人近い規模のデモを始め、「今すぐ攻撃を止めろ」と世界各地で声を上げる人々。「今ガザで死んでいるのは子どもたちだけじゃなくて、西側諸国の人道と民主主義という幻想だ」と書かれたプラカードのとおり、こんな虐殺を見ていて、何もできない私は完全な敗北者だ。
日本政府は武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の年内改訂を密室で議事録も非公表で進めている。なぜ武器輸出緩和を急いで決めるのか、ちゃんと国会で説明してほしい。ガザの子どもたちを殺戮する武器を、私たち国民が払った税金で提供していることにならないか。
今までの平和憲法解釈では武器輸出はできなかったはずなのに、日本は公に死の商人になるのか? と問いたく国会を見ると、「イスラエル国民と連帯」と表明している外務大臣とか、パーティー券で数億円キックバックとか、「ガソリン代高いと思うなら慣れてもらわんと」と言ってる政調会長とか…まるでギャグ漫画を見ているような有り様…ああ、この国ダメだわ…貧弱な私のメンタルは崩壊寸前。考え込んで鬱になる前に気持ちを切り替えて、話題変えます。
夏の頃、駐在さんから「振込詐欺集団を摘発したら、犯人の持っていたデータに貴方の個人情報が含まれていたので注意して下さい」と忠言頂いた。ふ~ん、私狙われてるの? と思っていたら先日電話がかかってきて、ナンバーディスプレイには見たことない「表示圏外」と言う字が…。
男性のきちっとした声で「藤ノ木信子さんの電話で間違いなかったでしょうか?」と聞く。「はい、そうです」「市役所の市民課ですが、4月に介護保険料の還付金についてお知らせしましたが、申請のなかった方に確認の電話をしています」(…そんなのあったっけ? でも還付あるなら申請しないともったいないし…)。一瞬そう思ったが「でもね、あなたが市役所の人だって私は確認しようがないので、そちらの電話番号を教えてくれる? こちらからかけるから」と言ったら無言でプツンと電話が切れた。
いやはや、ほんとに詐欺電話来るんだなあ…後で「表示圏外」を検索してみたら、国際電話などの着信で番号表示できないということらしい。とても上手な最もらしい口調だったので、皆さんご注意を!
2023年12月9日号
10月に弟がこの世を去った。1人の死がこれだけ切ないのに、ウクライナや、イスラエル、ガザでは、どれだけの悲しみや苦しみが渦巻いているのだろう。
10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルにミサイル攻撃を仕掛けた。対するイスラエルは、「自衛の戦い」と称して、ハマスの拠点があるパレスチナ自治区ガザに空と陸から攻撃を続けてきた。
ガザ地区では、水も食料も燃料も電気もない過酷な状況が続いており、この間の死亡者は1万4千人以上、約半数が子どもと女性であるという。
11月15日、国連安保理はガザ地区での戦闘の「人道的休止」を求める決議を賛成多数で採択した。日本を含む12ヵ国が賛成し、アメリカ、イギリス、ロシアの3ヵ国は棄権した。
ガザ情勢を巡る安保理決議案は、それまでに4回提出されたが、常任理事国の拒否権などで否決されている。今回、米・英・露が反対でなく棄権に回らざるを得なかったのは、平和を望む世界の国々の圧力が高まってきたことの証である。
イスラエル、ハマス両者は、それぞれ相手方の受刑者や人質の解放を条件に、24日から4日間の予定で休戦に応じた。これを書いている29日現在、休戦は2日間延長される可能性がある。
国連の会議の場だけでなく、世界人類の多くが一時的な休戦より「停戦」を望んでいる。
イスラエルによるガザ地区での無差別攻撃を非難する人、そのきっかけを作ったハマスを非難する人、パレスチナ人を追い出しての1948年のイスラエル「建国」の不合理を言う人、イスラエル建国は離散と迫害に耐えてきたユダヤ人2千年の悲願なのだと言う人……。様々な立場や主張の違いはあっても、「まず停戦を」の声は日に日に強くなっている。
しかし、当事者は休戦期間が終わったら直ちに戦闘再開に向かえるよう態勢を整えつつある。
日本は長い間、イスラエル、パレスチナ双方と外交を展開してきた。イスラエルべったりのアメリカの顔色をうかがうばかりでなく、各国への働きかけを強めるなど、平和を望む国々の先頭に立ってもらいたい。そのために私たちも何かできるのではないか。
ちなみに、11月20日に静岡市議会は「ガザ地区における平和の実現を早期に求める決議」を、22日に石垣市議会は「パレスチナ・ガザ地区の即時停戦と医療・人道支援を求める決議」をそれぞれ全会一致で可決した。
2023年12月2日号
半年近くも経ってから気が付くとは、お粗末な話だ。
確か6月頃だったと思う。ブルーインパルスの華麗な航空ショーがテレビで放映された。昭和39年の戦後復興をアピールした東京オリンピック。雨が降り続いた後の見事な日本晴れの開会式。ブルーインパルスの見事な五輪のマークが大空に描かれた。近年になって聞いた話では、事前の演習が出来ずぶっつけ本番だったとか。強烈な美技に衝撃を受け、誇らしく感動した。
所属基地でコロナ後、久しぶりに観客を招いての航空ショーが開催された。まるでファンミーティングの様な華やかさで、いやが上にも高揚感が漂う。過去のそれより更に高度な美技が次々と披露された。
そしてその翌月、私も注目している俳優さんが潜水艦を舞台に映画を撮影中だという。防衛省? 海上自衛隊? は本物の潜水艦を撮影に使用する協力をしたそうな。国家機密に触れるぎりぎりまで、撮影に協力してくれたので、迫力のあるシーを撮ることが出来、見応えのある映画になったとのことだった。
そして9月、参加している「九条の会」の学習会があって、沖縄の現状を知ることができた。現在は禁止されてしまったドローンによる映像を見た。かねて付き合いのあった沖縄の映画会社の、監督さん自ら映像をもって、全国をキャラバンして映写会をしておられるという。
鹿児島以南の先島諸島から沖縄本島までを琉球弧という。その各島に対中国を意識した基地が出来上がっているという事だった。父が沖縄で戦死したので、戦跡にしか目が行っていなかったのも、暢気すぎたと反省した。
死に物狂いで抵抗する人たち。圧倒的力で退けながら、どんどん計画を完成させていく国家権力。頭をガーンと殴られたような衝撃だった。
正に弧を描いて中国に向かい対峙している。アメリカに絶対の協力をするのが現政権の命題だが、このほど米大統領と中国の国家主席が会談し、にこやかに握手をしている映像を見たばかり。日本は良いように使われているのを、ご存じないのだろうか?
耳を塞がれ・目を奪われていては、ならないのだ。ぼんやり頭のおばあさんには理解できないほど世の中は複雑巧妙にできているのだろう。「電話de詐欺」の回にも書いたが、人を騙すより騙される方が良いと教わったが、今は騙されるほうが愚かだと言われる。
戦後の貧しさからは、少し経済力もある国らしいが、反して、どんどんやさしさと、寛容さが少なくなっていく気がする。
2023年11月25日号
今回はごく個人的なことを書きたいと思います。読者の皆さんは普段どんな飲み物を飲まれていますか。緑茶派? 紅茶派?コーヒー派? 様々だと思います。筆者はコーヒー派です。とはいえ、コーヒーに特別なこだわりがあったわけではなく、 長年毎日インスタントコーヒーを飲んでいました。
ところがある時、友人からコーヒー豆が届き、はて面倒だなぁ、と思いつつせっかくの好意を無にしちゃいかんと、必要最低限のコーヒーミルとサーバー、ドリッパー、フィルターペーパーを購入しました。
無手勝流で淹れ方もいい加減だったのですが、明らかに香りや後味が違いました。それまで飲んでいたのがインスタントでしたから、とにかく香りのしない後味が舌に残るコーヒー(喫茶店のコーヒーでもそういうコーヒーが多いと思いませんか?)だったわけで、まあコーヒーとはこんなもんだと思っていました。
最低限の器具でしたが、このままではもったいないと思い、市内にあるコーヒー豆の専門店のドアを開け、あれこれ尋ねながら豆を購入しました。自分で挽いて淹れる。明らかに後味のスッキリしたうまいコーヒーに仕上がります。
これをきっかけにネットで調べるとコーヒー豆を販売するサイトがたくさんありました。
日本では缶コーヒーからコンビニのコーヒーまでさまざまな飲み方をしますが、世界でも指折りのコーヒー消費国で、アメリカ、ブラジル、ドイツに次いで第4位だそうです。日本ではほかの国に比べ自分で淹れて飲む人口が多いそうなので、豆専門の店が成り立っているのでしょうね。
ネットには割安なさまざまなお試しセットがあって、飲み始めたころにはそれらを利用していろんな味を試しました。産地(国)や農場、豆屋さんのブレンドの仕方によって本当にたくさんの味や香りがあります。値段もピンからキリまですが、自分の財布と相談してそれほど高くない豆で楽しんでいます。
蕎麦では挽きたて、打ちたて、ゆでたてが最良とされますが、コーヒーも同じです。高い豆でなくても、焙煎したて(小規模な豆屋さんなら焙煎したてを送ってくれます)、挽きたて、淹れたてであれば本当にうまいコーヒーが自宅で楽しめます。
毎朝少しの時間をおごって、豆を挽いて淹れますが、豆を取り出したときや挽きたての香り、後味の良さ、一回分の外食費程度でひと月幸せな気分にさせてくれます。何より嬉しいのが、我が家の山の神が喜んでくれること(笑)。
2023年11月18日号
仕事で出雲国(島根県)に来ており、越後国(新潟県)との共通点を感じます。出雲国では、十月を神無月ではなく神在月と呼び、全国の神様が集まり、誰と誰のご縁を結ぶかの相談が行われるとされます。
旧暦の10月10日である11月中旬に出雲大社で神迎祭が行われ、出雲大社の西側にある稲佐の浜に全国の神様が夜に到着され、その浜で神主さんがお迎えの神事を執り行います。その後、出雲大社の中に神様のお泊り処があり、そこにご案内し、翌朝に神様方は、相談ごとを行う場所に通われます。その会議室は意外にも出雲大社の外にあり、まちの人々は、神様が相談ごとをされる期間は、音を出さないように静かに過ごすのだそうです。
ご相談ごとが終わると酒宴が開かれ、その会場はここ、二次会はここと場所が決まっています。宴会が楽しくて居残りをされる神様もいらっしゃるとの余話も。
神様の酒宴から発祥しているとされる島根のお酒ですが、飲んでみると、なんとなく新潟のお酒とテイストが似ているような感じがします。
お米も、東日本が魚沼米ならば、西日本では島根県の仁多米(にたまい)が断トツのブランド米です。地形は、両県とも、日本海に面し、内陸部に入ると山や森林が深くなる点が共通しています。
出雲国の山では、かつて、たたら製鉄が盛んに行われていました。真砂をとり、炭を作り、今でいう工場で鉄がつくられました。その風景が映画「千と千尋の神隠し」で描かれています。
現在は、刀匠が日本刀をつくる際に必要な玉鋼(たまはがね)を得るために、たたら製鉄の技が受け継がれています。
松江市の南に位置する奥出雲と呼ばれる地域にたたら製鉄の跡が残っており、山を削って真砂をとった場所が今は棚田となりお米づくりが盛んです。鉄師と呼ばれた方々が残した住居や庭園は見事で、最近のテレビドラマ「VIVANT」の舞台となりました。
近年は、周辺の森林の木材を活用し、建設用合板の製造が行われています。木材は海外産を使うことの多い時期があったようですが、ここ10年で国内産の使用が増えたそうです。
八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を
奥出雲で八岐大蛇(やわたのおろち)を退治したスサノオノミコトが読んだ日本で初めての和歌とされています(妻有の『妻』の文字が入っています)。
出雲国で神話を身近に感じながら、越後国にもスサノオのような力持ちがいそうと思いました。
2023年11月11日号
福島第1原発の処理水海洋放出が始まって2ヵ月になる。この間、海外の反応は放出に反対する中国、水産物輸入規制を発表したロシア、それにアメリカでも沿岸で捕れる魚などから放射性物質が見つかれば、莫大な損害賠償問題になると報道している。海は繋がっているから当然だ。
私が処理水放出について問題視しているのは2点、一つ目は原子炉建屋に流れ込む地下水を止めることを先にしないと、いつまでたっても汚染水は減らない(処理水放出は終わりがない)ということ。事故から12年、汚染水は増え続けタンクは1000基を超える。流れ込む地下水を止める壁について東電は「今、検討を始めようとしている段階」(2020年検討会議事録)とか、「恒久対策について、しっかり検討してまいります」(2021年)とか、「少し検討を始めていますけど、いつ、何をというところまで、まだちょっと」(2022年)、そして今年の検討会で今後の見通しについて、止水壁は2028年以降のイメージしかない。これって全くやる気なしの引き延ばし?増えたら捨てればいいという一番安価な方法を選んだとしか思えない。
放出して汚染水が減れば廃炉が進んだとするのだろうか? 原発から出た放射性物質はまた無主物だと言い張るのだろうか?
二つ目は関係者との約束を果たしたと言えるのかということ。政府と東電は2015年、福島県漁連に「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」と約束している。今回の放出はこの約束を反故にするもので、地元以外にも北海道のホタテなど全国の漁業に影響が及んでいる。政府の決定通り実行して東電は漁業者への責任をはたせるのか。
2017年、原子力規制委員会は東電に対して、7つの論点を提示した。その1番目が「福島第一原発の廃炉を主体的に取り組み、やり切る覚悟と実績を示すことができない事業者に、柏崎刈羽原発を運転する資格はない」というもの。今回の海洋放出を見るだけでもとてもこの組織に世界最大規模の原発を稼働させることはできない。
6月16日、福島第1原発の処理水海洋放出について、国などに再考を求める議員発議の意見書を賛成多数で可決した津南町議会に敬意を表したい。柏崎刈羽原発の30㌔圏内には十日町市も含め44万人が暮らしている。花角知事は3つの検証(事故原因・健康、生活への影響・避難の方法)について「議論を進めていく際、重要な材料となる」と述べている。
命を守るためにはっきりと意思表示する時ではないだろうか?
2023年10月28日号