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妻有新聞掲載記事一覧

  • セツブンソウ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     2月、陽射しにぬくもりを感じるようになると、野草好きの人にとって落ち着かない日々の始まりである。各地から花の便りが聞こえてくるからだ。そんな人たちの琴線をいち早く刺激するのがセツブンソウである。
     花期は早い。2月中旬から3月中旬で、それが名の由来となっている。
     分布は本州の関東以西で、残念ながら苗場山麓では見ることができない。この花に逢いたければ近場でも群馬県、栃木県、埼玉県や長野県の南部まで足を運ぶことになる。
     落葉広葉樹の疎林下で、礫が混じる場所を好む。夏には地上部が枯れてしまうスプリング・エフェメラル(春のはかない命)だ。
     草丈は5~10センチ、小さくて可愛い。花は径2センチほど、白い花びらに見えるのは萼片。花びらはしべを囲むように並ぶ黄色い部分で、先が二裂して蜜腺となる面白い形をしている(写真)。
     温暖化の影響で、新潟県でもいつか自生が見られるようになるのかも…。

    2024年2月17日号

  • これは「決意」か、津南町予算案を見る

     津南町の新年度予算案が13日発表され、一つの決意表明が見えた。建設から38年経過、施設設備の大幅更新期を向かえるニュー・グリーンピア津南(NGP津南)。予算案にスキー場施設・ホテル棟の修繕が計上され、一般会計予算額は1億5166万円余。毎年、施設修繕に取り組むが、1億を超える予算は最近では多額だ。なぜ「決意表明」なのか。それは来年、10年間の民間委託契約が満了を向かえ、契約更新の行方に関心が集まるなか、この億単位の施設改修。津南町所有のNGP津南を町は今後も維持する「意志」がそこに見えるのだが…。
     ただ、容易ではないこの先の状況だ。来年の契約満了期に、新たな経営者を視野に入れているのか、あるいは現在の経営者「津南高原開発」が契約更新し、今後も老朽化するホテル経営を続けるのか、その判断の時期が迫っている現実がある。全国的に施設更新期を向えるホテルなど観光施設が、中国資本などに委ねられるケースが多く見られるなか、370㌶の広大な自然たっぷりの敷地のNGP津南である。その敷地面積だけでも大きな魅力であるのは間違いない。すでに交渉が始まっているのか、いや契約更新のための新年度予算案なのか、である。
     今はないが国の年金福祉業団が270億円の巨費を投じて設置したグリーンピア津南。だが38年の歳月は施設全体の更新が待ったなしの状態で、その多額の改修費の捻出に困窮している経営状況だ。町有施設だけに、維持継続するか、新たな活路を見出すか、その判断だろう。その意味で新年度予算案の施設修繕費は、一つの決意表明と見るが、早計だろうか。
     津南町議会は今月29日、新年度予算案を審議する定例議会が開会する。初日、町のトップ・桑原悠町長の施政方針表明がある。ここで、NGP津南への決意が聞かれるか、どうか。

    2024年2月17日号

  • 箱根から世界へ、ロス五輪に照準

    城西大4年 山本唯翔選手(松代・犬伏出身)

    「山の妖精」ふるさと凱旋、「五輪で表彰台に」

     マラソンでオリンピックをめざす―。五輪の登竜門・箱根駅伝の5区山登りで2年連続区間新をマークし最優秀選手賞・金栗四三杯を獲得した『山の妖精』山本唯翔選手(城西大4年)が5日、母校の松代中と松代小を凱旋。歓迎を受けた山本選手は児童生徒に「目標を持ち、その目標に向かって努力してほしい」と諦めずに努力することの大切さを伝えた。山本選手は「服部勇馬選手のようにマラソンでオリンピックをめざし、表彰台に立ちたい」と卒業後は自動車メーカーSUBARU(スバル)に入社、実業団選手として2028アメリカ・ロサンゼルス五輪をめざす。『箱根駅伝から世界へ』。山本選手が世界の舞台へと翔び立つ。

    2024年2月10日号

  • 故郷舞台のコメディ映画を

    津南出身の鴨井奨平監督、CF支援求む

    4月末上映会予定

     故郷の津南町で撮影した映画発信の協力を求めている。昨秋自身初の長編映画を津南町で撮影した、鴨井奨平さん(31、津南町上郷出身)。映画『書けないんじゃない、書かないんだ』。約60分の映画がもうすぐ完成する。作品は津南町の上映会はじめ、国内外の映画祭に出品する。最終目標はミニシアターを主とした劇場公開をめざすなか、クラウドファンディング(CF)で活動支援を求めている。

    2024年2月10日号

  • 日本が群を抜いているかも

    「お祓い」という行事

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     2024年が始まってから一ヶ月、節分が過ぎ立春を迎え、新しい年が本格的に動き出しました。
     4月の入学や就職に向け、大学に進学しようとする高校生は入試で希望する先を決めて個別試験に、小学校に上がるお子さんのいるご家庭では、ランドセルを何色にしようか選び始めている頃と思います。
     節分(毎年2月3日)は、各季節の始まりの前日のことを指し、今は一般的に、春の節分のことをいうようになりました。
     この日に神社などでは、「節分祭」と称するお祓いの行事が行われ、一緒に豆撒きも行われます。「♪ 鬼わーそと ふくわーうち」「♪ ふくわーうち ふくわーうち」と豆を投げ、最近は家庭で恵方巻きを食することとセットで行われるようになりました。豆撒きをすると、気分が高揚するようで、大人も子供も大声を出して盛り上がります。
     節分祭のほかにも、6月30日に半年分のケガレをとる「夏越(なごし)のお祓い」があります。神社の境内に、茅(ちがや)という草で編んだ「茅の輪」が準備され、それをくぐると、和気あいあいとした雰囲気となります。
     和気あいあいと言えば、家族や友達と食事をしながら楽しめる花火大会も、もともとは「火」によるお祓いの意味合いを含むことが多くあります。花火にお祓いの意味があるのを知らなかったとしても、花火が終わったあと、周りの空気に清々しさを感じるのは私だけでしょうか。
     おそらく世界のなかをみても、このように日常の行事のなかに「お祓い」があり、埃やケガレを祓い、清々しさを感じる空間が広がっているのは、日本が群を抜いてのことかもしれません。
     外国の方が初めて日本に来たとき、成田空港や羽田空港の施設を〝ピカピカ〟と表現するくらいにきれいと言い、掃除が行き届いていることに驚きの声があがっていると聞きます。
     空港をあとにして街に出ても、行き交う道のほとんどにごみは落ちておらず、奇跡と思うようなレベルとして映っているようです。
     実際には、日本でも上下水道などのインフラが整備されてからのことかもしれませんが、このように気持ちのよい空間を共有し維持がされていることは、素晴しいことだと思います。
     私たちはそれを教え込まれるというわけではなく、日常生活のなかで、行事などに触れ、自然と身に付いているところがあるように感じます。
     最近よくないニュースを耳にすることが増えるなか、原点に戻って、よいなと思う話をしました。

    2024年2月10日号

  • 『まつのやま基地』

    佐藤美保子さん(1978年生まれ)

     「卒業式で9年生(中学3年)と別れるのが嫌で、小学1年生が泣くんですよ。この学園の良さが分かりますね」。小中一貫校『まつのやま学園』、我が子4人が通う。放課後、いつもは通学バスですぐに帰宅するが、「道草」して2時間かかることもある。それをサポートするのが
    『まつのやま基地』。拠
    点は松之山支所前の空き家を活用。オリジナル旗が目印。コロナ禍前の2019年、思いを同じくする仲間たちと立上げ、今春から新たな体制で活動を再スタートする。運営スタッフは同じく子育て中のママさん仲間4人、地域と繋いでくれる世話役が3人。昨年、プレイベントを年間通じて開き、今春からの活動の感触をつかんだ。
     「この手作り箒(ほうき)は、ホウキモロコシで作ったんです。地元の箒名人の方と一緒に子どもたちも収穫から作りました。自分で作った箒ですから愛着がわき使いたくなりますよね。家の掃除を自分からやりますよ」。米作りは世話役メンバーが手植えからアドバイスし、稲刈り・ハゼ掛け・脱穀を体験。「自分たちがやりたいことを、出来る人たちとつながり、子どもたちと一緒にやります。今度あれしたいね、次はあれしよう
    よ…など次々とやりたいことが湧いてきます」。
     親の転勤で県庁所在地を転々と動いたが、「小さい頃から田舎で暮らしたい、その思いはずっとありました」。地域おこし協力隊など地域活動の経験の中で「松之山は人の暮しの繋がりの中に拠り所があります。その繋がりが薄くなりつつあり、ならば誰でも世代を超えて気軽に寄れるコミュニティをと。それがまつのやま基地です。子どもたちは保育園から中学卒業まで少ないながらも一緒に体験を積み重ねています。これは社会に出て行くなかで、大きな強みになるはずです」。
    ◆バトンタッチします。
     「森田れなさん」

    2024年2月10日号

  • セロトニン、オキシトシン、ドーパミン

    「幸せは自分の手の中にあるんだよ」

     先日、5年以上ぶりに高校時代の同級生と土市の松海寿司さんで食事をした後、近くの「音鳴り」さんで二次会、カラオケで大きな声で笑って楽しみました。店内でご一緒させていただいた土市町内の皆さんとの昭和の名曲リレーで若かりし頃のエネルギーを思い出し、元気になりました。ありがとうございます!
     美空ひばりさんの名曲・みだれ髪を聴きながら姉がポツリ「美空ひばりほど歌えたらいいのになぁ。でも、プライベートはあまり幸せではなかったんだよね」とつぶやいたので、「人生において良いことと悪いことは同じだけやってきて最後はプラスマイナスゼロになるんだよ」と私が答えると、姉が最後に「でも自分の今はプラスの方が多い気がするな」と言ったので、妹としては良かったなと思った次第です。
     誰でも幸せになりたいと思いますよね。そして人生においてプラスが多い方が良いと思うのは当然です。果たして「幸せ」とは?「幸せ」とはどういう状態を指し、その「幸せ」とは、どうしたらやってくるのでしょう? みなさんにとっての「幸せ」とは何ですか?
     精神科医の樺沢紫苑さんは、幸せを得るためには順番がある、と言います。まず幸せになる第一歩は「自分の体と心の安定」が保たれていることから始まる、と。自分が平らで穏やかな状態であるということが基本として無ければ、本当の幸せは訪れないという意味です。
     そして第二歩は「人間関係の安定」があること。自分だけでなく周囲の状態が平らで穏やかである状態が本当に幸せになるには必要です。そして最後に「金銭的な安定」がある、という順番です。 別の視点から言えば、金銭的な幸せを得たくても、自身の心身の安定と周囲の人間関係の安定が無いところには、金銭的な幸せはやってこないということになります。なかなかシビアな話だなと思います。
     次に、私たちの脳の中にある「幸せを感じさせる」物質、という視点で「幸せ」を見てみます。すると、まず幸せになる第一歩に必要なのはセロトニンという物質です。体や心が気持ちいいと感じる時に出る物質で、不足するとうつ状態になります。うつ状態になれば「自分の体と心の安定」から離れてしまいますし、周囲との良い人間関係を構築するのは困難な状態になります。
     では充足された場合、第二歩で必要なのはオキシトシンという物質です。赤ちゃんにおっぱいをあげる、恋人と触れ合う、友人とハグする、子どもを抱っこする、などで多く分泌されるため、「人間関係の安定」に重要な物質といえます。そして最後にドーパミンという物質です。目標を達成したり、成功や昇給、褒められたりした時に出る物質で意欲につながります。「金銭的な安定」あるいは言い換えると、自分にとって最終的に到達したいゴール、自分にとっての最終的な「幸せ」につながる物質といえるかもしれません。
     この3つの物質のどれかが欠けても幸せを感じることはできないので、「幸せを感じさせる」物質という視点でも、幸せになるための順番というのはあるのかもしれません。

     私はよく中学生たちに「幸せは自分の手の中にあるんだよ」と話をします。そしてまずは「自分を大事にするというのを忘れないでね(そこから幸せは始まるよ)」とも話しています。理屈では分かっていても「幸せ」を感じにくいという方は、次回の続きをまた楽しみにしていてください。待ちきれない方はどうぞお気軽に医院までご相談くださいね。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2024年2月10日号

  • 百周年を迎えて

    小林 幸一(津南案内人)

     大正13(1924)年10月、秋山郷電源開発の象徴ともいえる中津川第一発電所が首都圏に向けて送電を開始して今年で百周年を迎えます。
     水力発電所の立地条件には雪解け水を貯える広大な原生林と、何度も発電出来る落差のある地形、まさに苗場山麓ジオパークのエリアが発電の教科書に載っているような適地でした。
     苗場山麓ジオパークガイド部会では昨年から発電所工事で開削された軌道跡や船着き場跡などを巡り、今年は運用開始百周年の記念事業として新たな探索コースを考えています。
     その中でも町の中心部に近い芦ヶ崎の波止場では、護岸や岸に打ち込まれた係留金具や、岩の上で焼かれた燃えカスが、高熱で溶けガラス状のコーティングによって閉じ込められた焼却跡が見つかりました。中には小さな鉄くずやステンレス製の注射針のようなものが閉じ込められて、百年前のタイムカプセルのようです。
     せっかく見つけた痕跡や護岸も大水が出ると流出してしまいます。「苗場山麓の自然に親しむ会」では、一昨年の黒石の波止場の調査に続き、昨年は芦ヶ崎の波止場の現地測量を実施しました。これを機に近代化遺産の保存活動が始まることを期待します。

    2024年2月10日号

  • 政権不信、極まる

     この現実をどう考えたらいいのか。政治不信、いや政権不信だろう。国政、県政、市町村政、この繋がりの中で我々は政治を信頼し、この国の住人として納税義務を果たしている。だが、これほどの不信感が募ると、その義務感すら怪しくなってしまう。
     政権トップが連日繰り返す言葉の羅列を聞くと、その場をしのげばいい、とする感覚が見え見えだ。これほどまでに不信感を与える政治に対し、我々は何ができるか。国政選挙はまだない、国会前でデモる、納税しない…そこまで考えてしまう、それほどの政権不信だ。羅列の言葉の垂れ流しを連日聞かされる現実は、もはや国を司る体をなくしている。
     信頼されない政権は、即刻去るべきだが、ことはそう簡単ではない。このままズルズル政権を引きずりながら、来たるべきタイミングを見ているのだろうが、その無為な時間の流れは、さらに信頼感の欠如を助長させ、不信感を増幅させる。時は新年度予算が固まり、国会・県会・市町村議会で審議が始まる時期。
     だが、先ずこの不信感を払拭することだ。この醜態では新年度予算が空虚に聞こえ、大切な事業が盛り込まれる予算が、なんとも軽く薄い、まさに軽薄な印象を受けてしまう。
     政治と金、この関係性と付随する種々の問題は、過去の政治の歴史が物語るが、少なくとも歴史に残る政治が示すのは、そこに政権の「潔さ」がある。言葉での言い逃れが限界に来れば、政権トップは辞し、政権の大掃除をする。だが、今回の一連の政治がらみの問題に対する政権の姿勢は、これとは真逆で、言い逃れの連続ではないか。これほどの醜態を見せつけられては、もはや信頼関係は失せ、不信感ばかりが募り、この国に暮らす住人の義務さえ、怪しくなる。
     事は深刻だ。国政・県政・市町村政の繋がりは大切だ。だが、その信頼感が無ければ、その関係性さえ危うい。

    2024年2月10日号

  • 魚沼コシ「量は力」、JA魚沼始動

    十日町のキノコ、津南の高原野菜、ユリなど

    合併JA、1日発足

     全国トップブランド米『魚沼産コシヒカリ』の生産量50%余を取り扱う「JA魚沼」が今月1日に発足。魚沼エリア4JA(十日町、津南町、北魚沼、越後おぢや)が合併。県内13JAのうち、組合員数は県内3位(3月にJAえちご上越が合併・誕生すると県内4位)となるJA魚沼。本店機能と金融部と共済部は十日町、営農部は北魚沼、機械販売など行う経済部は越後おぢやが拠点となる。新JAの米販売総額は67億円。農産物販売額の4割を占める。
     初代経営管理委員会会長を務める柄澤和久氏(68、前JA十日町会長)と実務を取り仕切る代表理事理事長・大平透氏(61、前魚沼地区JA合併協議会事務局長)は25日に発足報告会見を十日町本店で開催。柄澤会長は「十日町のキノコ類、津南の高原野菜、津南と北魚沼のユリなどそれぞれのJAの特徴がある。稲作プラスアルファの複合営農を進める必要がある。それには組織基盤がゆるぎないものにしなければならない組合のため、地域のための農協のあり方を考える」。

    2024年2月3日号

  • セツブンソウ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     2月、陽射しにぬくもりを感じるようになると、野草好きの人にとって落ち着かない日々の始まりである。各地から花の便りが聞こえてくるからだ。そんな人たちの琴線をいち早く刺激するのがセツブンソウである。
     花期は早い。2月中旬から3月中旬で、それが名の由来となっている。
     分布は本州の関東以西で、残念ながら苗場山麓では見ることができない。この花に逢いたければ近場でも群馬県、栃木県、埼玉県や長野県の南部まで足を運ぶことになる。
     落葉広葉樹の疎林下で、礫が混じる場所を好む。夏には地上部が枯れてしまうスプリング・エフェメラル(春のはかない命)だ。
     草丈は5~10センチ、小さくて可愛い。花は径2センチほど、白い花びらに見えるのは萼片。花びらはしべを囲むように並ぶ黄色い部分で、先が二裂して蜜腺となる面白い形をしている(写真)。
     温暖化の影響で、新潟県でもいつか自生が見られるようになるのかも…。

    2024年2月17日号

  • これは「決意」か、津南町予算案を見る

     津南町の新年度予算案が13日発表され、一つの決意表明が見えた。建設から38年経過、施設設備の大幅更新期を向かえるニュー・グリーンピア津南(NGP津南)。予算案にスキー場施設・ホテル棟の修繕が計上され、一般会計予算額は1億5166万円余。毎年、施設修繕に取り組むが、1億を超える予算は最近では多額だ。なぜ「決意表明」なのか。それは来年、10年間の民間委託契約が満了を向かえ、契約更新の行方に関心が集まるなか、この億単位の施設改修。津南町所有のNGP津南を町は今後も維持する「意志」がそこに見えるのだが…。
     ただ、容易ではないこの先の状況だ。来年の契約満了期に、新たな経営者を視野に入れているのか、あるいは現在の経営者「津南高原開発」が契約更新し、今後も老朽化するホテル経営を続けるのか、その判断の時期が迫っている現実がある。全国的に施設更新期を向えるホテルなど観光施設が、中国資本などに委ねられるケースが多く見られるなか、370㌶の広大な自然たっぷりの敷地のNGP津南である。その敷地面積だけでも大きな魅力であるのは間違いない。すでに交渉が始まっているのか、いや契約更新のための新年度予算案なのか、である。
     今はないが国の年金福祉業団が270億円の巨費を投じて設置したグリーンピア津南。だが38年の歳月は施設全体の更新が待ったなしの状態で、その多額の改修費の捻出に困窮している経営状況だ。町有施設だけに、維持継続するか、新たな活路を見出すか、その判断だろう。その意味で新年度予算案の施設修繕費は、一つの決意表明と見るが、早計だろうか。
     津南町議会は今月29日、新年度予算案を審議する定例議会が開会する。初日、町のトップ・桑原悠町長の施政方針表明がある。ここで、NGP津南への決意が聞かれるか、どうか。

    2024年2月17日号

  • 箱根から世界へ、ロス五輪に照準

    城西大4年 山本唯翔選手(松代・犬伏出身)

    「山の妖精」ふるさと凱旋、「五輪で表彰台に」

     マラソンでオリンピックをめざす―。五輪の登竜門・箱根駅伝の5区山登りで2年連続区間新をマークし最優秀選手賞・金栗四三杯を獲得した『山の妖精』山本唯翔選手(城西大4年)が5日、母校の松代中と松代小を凱旋。歓迎を受けた山本選手は児童生徒に「目標を持ち、その目標に向かって努力してほしい」と諦めずに努力することの大切さを伝えた。山本選手は「服部勇馬選手のようにマラソンでオリンピックをめざし、表彰台に立ちたい」と卒業後は自動車メーカーSUBARU(スバル)に入社、実業団選手として2028アメリカ・ロサンゼルス五輪をめざす。『箱根駅伝から世界へ』。山本選手が世界の舞台へと翔び立つ。

    2024年2月10日号

  • 故郷舞台のコメディ映画を

    津南出身の鴨井奨平監督、CF支援求む

    4月末上映会予定

     故郷の津南町で撮影した映画発信の協力を求めている。昨秋自身初の長編映画を津南町で撮影した、鴨井奨平さん(31、津南町上郷出身)。映画『書けないんじゃない、書かないんだ』。約60分の映画がもうすぐ完成する。作品は津南町の上映会はじめ、国内外の映画祭に出品する。最終目標はミニシアターを主とした劇場公開をめざすなか、クラウドファンディング(CF)で活動支援を求めている。

    2024年2月10日号

  • 日本が群を抜いているかも

    「お祓い」という行事

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     2024年が始まってから一ヶ月、節分が過ぎ立春を迎え、新しい年が本格的に動き出しました。
     4月の入学や就職に向け、大学に進学しようとする高校生は入試で希望する先を決めて個別試験に、小学校に上がるお子さんのいるご家庭では、ランドセルを何色にしようか選び始めている頃と思います。
     節分(毎年2月3日)は、各季節の始まりの前日のことを指し、今は一般的に、春の節分のことをいうようになりました。
     この日に神社などでは、「節分祭」と称するお祓いの行事が行われ、一緒に豆撒きも行われます。「♪ 鬼わーそと ふくわーうち」「♪ ふくわーうち ふくわーうち」と豆を投げ、最近は家庭で恵方巻きを食することとセットで行われるようになりました。豆撒きをすると、気分が高揚するようで、大人も子供も大声を出して盛り上がります。
     節分祭のほかにも、6月30日に半年分のケガレをとる「夏越(なごし)のお祓い」があります。神社の境内に、茅(ちがや)という草で編んだ「茅の輪」が準備され、それをくぐると、和気あいあいとした雰囲気となります。
     和気あいあいと言えば、家族や友達と食事をしながら楽しめる花火大会も、もともとは「火」によるお祓いの意味合いを含むことが多くあります。花火にお祓いの意味があるのを知らなかったとしても、花火が終わったあと、周りの空気に清々しさを感じるのは私だけでしょうか。
     おそらく世界のなかをみても、このように日常の行事のなかに「お祓い」があり、埃やケガレを祓い、清々しさを感じる空間が広がっているのは、日本が群を抜いてのことかもしれません。
     外国の方が初めて日本に来たとき、成田空港や羽田空港の施設を〝ピカピカ〟と表現するくらいにきれいと言い、掃除が行き届いていることに驚きの声があがっていると聞きます。
     空港をあとにして街に出ても、行き交う道のほとんどにごみは落ちておらず、奇跡と思うようなレベルとして映っているようです。
     実際には、日本でも上下水道などのインフラが整備されてからのことかもしれませんが、このように気持ちのよい空間を共有し維持がされていることは、素晴しいことだと思います。
     私たちはそれを教え込まれるというわけではなく、日常生活のなかで、行事などに触れ、自然と身に付いているところがあるように感じます。
     最近よくないニュースを耳にすることが増えるなか、原点に戻って、よいなと思う話をしました。

    2024年2月10日号

  • 『まつのやま基地』

    佐藤美保子さん(1978年生まれ)

     「卒業式で9年生(中学3年)と別れるのが嫌で、小学1年生が泣くんですよ。この学園の良さが分かりますね」。小中一貫校『まつのやま学園』、我が子4人が通う。放課後、いつもは通学バスですぐに帰宅するが、「道草」して2時間かかることもある。それをサポートするのが
    『まつのやま基地』。拠
    点は松之山支所前の空き家を活用。オリジナル旗が目印。コロナ禍前の2019年、思いを同じくする仲間たちと立上げ、今春から新たな体制で活動を再スタートする。運営スタッフは同じく子育て中のママさん仲間4人、地域と繋いでくれる世話役が3人。昨年、プレイベントを年間通じて開き、今春からの活動の感触をつかんだ。
     「この手作り箒(ほうき)は、ホウキモロコシで作ったんです。地元の箒名人の方と一緒に子どもたちも収穫から作りました。自分で作った箒ですから愛着がわき使いたくなりますよね。家の掃除を自分からやりますよ」。米作りは世話役メンバーが手植えからアドバイスし、稲刈り・ハゼ掛け・脱穀を体験。「自分たちがやりたいことを、出来る人たちとつながり、子どもたちと一緒にやります。今度あれしたいね、次はあれしよう
    よ…など次々とやりたいことが湧いてきます」。
     親の転勤で県庁所在地を転々と動いたが、「小さい頃から田舎で暮らしたい、その思いはずっとありました」。地域おこし協力隊など地域活動の経験の中で「松之山は人の暮しの繋がりの中に拠り所があります。その繋がりが薄くなりつつあり、ならば誰でも世代を超えて気軽に寄れるコミュニティをと。それがまつのやま基地です。子どもたちは保育園から中学卒業まで少ないながらも一緒に体験を積み重ねています。これは社会に出て行くなかで、大きな強みになるはずです」。
    ◆バトンタッチします。
     「森田れなさん」

    2024年2月10日号

  • セロトニン、オキシトシン、ドーパミン

    「幸せは自分の手の中にあるんだよ」

     先日、5年以上ぶりに高校時代の同級生と土市の松海寿司さんで食事をした後、近くの「音鳴り」さんで二次会、カラオケで大きな声で笑って楽しみました。店内でご一緒させていただいた土市町内の皆さんとの昭和の名曲リレーで若かりし頃のエネルギーを思い出し、元気になりました。ありがとうございます!
     美空ひばりさんの名曲・みだれ髪を聴きながら姉がポツリ「美空ひばりほど歌えたらいいのになぁ。でも、プライベートはあまり幸せではなかったんだよね」とつぶやいたので、「人生において良いことと悪いことは同じだけやってきて最後はプラスマイナスゼロになるんだよ」と私が答えると、姉が最後に「でも自分の今はプラスの方が多い気がするな」と言ったので、妹としては良かったなと思った次第です。
     誰でも幸せになりたいと思いますよね。そして人生においてプラスが多い方が良いと思うのは当然です。果たして「幸せ」とは?「幸せ」とはどういう状態を指し、その「幸せ」とは、どうしたらやってくるのでしょう? みなさんにとっての「幸せ」とは何ですか?
     精神科医の樺沢紫苑さんは、幸せを得るためには順番がある、と言います。まず幸せになる第一歩は「自分の体と心の安定」が保たれていることから始まる、と。自分が平らで穏やかな状態であるということが基本として無ければ、本当の幸せは訪れないという意味です。
     そして第二歩は「人間関係の安定」があること。自分だけでなく周囲の状態が平らで穏やかである状態が本当に幸せになるには必要です。そして最後に「金銭的な安定」がある、という順番です。 別の視点から言えば、金銭的な幸せを得たくても、自身の心身の安定と周囲の人間関係の安定が無いところには、金銭的な幸せはやってこないということになります。なかなかシビアな話だなと思います。
     次に、私たちの脳の中にある「幸せを感じさせる」物質、という視点で「幸せ」を見てみます。すると、まず幸せになる第一歩に必要なのはセロトニンという物質です。体や心が気持ちいいと感じる時に出る物質で、不足するとうつ状態になります。うつ状態になれば「自分の体と心の安定」から離れてしまいますし、周囲との良い人間関係を構築するのは困難な状態になります。
     では充足された場合、第二歩で必要なのはオキシトシンという物質です。赤ちゃんにおっぱいをあげる、恋人と触れ合う、友人とハグする、子どもを抱っこする、などで多く分泌されるため、「人間関係の安定」に重要な物質といえます。そして最後にドーパミンという物質です。目標を達成したり、成功や昇給、褒められたりした時に出る物質で意欲につながります。「金銭的な安定」あるいは言い換えると、自分にとって最終的に到達したいゴール、自分にとっての最終的な「幸せ」につながる物質といえるかもしれません。
     この3つの物質のどれかが欠けても幸せを感じることはできないので、「幸せを感じさせる」物質という視点でも、幸せになるための順番というのはあるのかもしれません。

     私はよく中学生たちに「幸せは自分の手の中にあるんだよ」と話をします。そしてまずは「自分を大事にするというのを忘れないでね(そこから幸せは始まるよ)」とも話しています。理屈では分かっていても「幸せ」を感じにくいという方は、次回の続きをまた楽しみにしていてください。待ちきれない方はどうぞお気軽に医院までご相談くださいね。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2024年2月10日号

  • 百周年を迎えて

    小林 幸一(津南案内人)

     大正13(1924)年10月、秋山郷電源開発の象徴ともいえる中津川第一発電所が首都圏に向けて送電を開始して今年で百周年を迎えます。
     水力発電所の立地条件には雪解け水を貯える広大な原生林と、何度も発電出来る落差のある地形、まさに苗場山麓ジオパークのエリアが発電の教科書に載っているような適地でした。
     苗場山麓ジオパークガイド部会では昨年から発電所工事で開削された軌道跡や船着き場跡などを巡り、今年は運用開始百周年の記念事業として新たな探索コースを考えています。
     その中でも町の中心部に近い芦ヶ崎の波止場では、護岸や岸に打ち込まれた係留金具や、岩の上で焼かれた燃えカスが、高熱で溶けガラス状のコーティングによって閉じ込められた焼却跡が見つかりました。中には小さな鉄くずやステンレス製の注射針のようなものが閉じ込められて、百年前のタイムカプセルのようです。
     せっかく見つけた痕跡や護岸も大水が出ると流出してしまいます。「苗場山麓の自然に親しむ会」では、一昨年の黒石の波止場の調査に続き、昨年は芦ヶ崎の波止場の現地測量を実施しました。これを機に近代化遺産の保存活動が始まることを期待します。

    2024年2月10日号

  • 政権不信、極まる

     この現実をどう考えたらいいのか。政治不信、いや政権不信だろう。国政、県政、市町村政、この繋がりの中で我々は政治を信頼し、この国の住人として納税義務を果たしている。だが、これほどの不信感が募ると、その義務感すら怪しくなってしまう。
     政権トップが連日繰り返す言葉の羅列を聞くと、その場をしのげばいい、とする感覚が見え見えだ。これほどまでに不信感を与える政治に対し、我々は何ができるか。国政選挙はまだない、国会前でデモる、納税しない…そこまで考えてしまう、それほどの政権不信だ。羅列の言葉の垂れ流しを連日聞かされる現実は、もはや国を司る体をなくしている。
     信頼されない政権は、即刻去るべきだが、ことはそう簡単ではない。このままズルズル政権を引きずりながら、来たるべきタイミングを見ているのだろうが、その無為な時間の流れは、さらに信頼感の欠如を助長させ、不信感を増幅させる。時は新年度予算が固まり、国会・県会・市町村議会で審議が始まる時期。
     だが、先ずこの不信感を払拭することだ。この醜態では新年度予算が空虚に聞こえ、大切な事業が盛り込まれる予算が、なんとも軽く薄い、まさに軽薄な印象を受けてしまう。
     政治と金、この関係性と付随する種々の問題は、過去の政治の歴史が物語るが、少なくとも歴史に残る政治が示すのは、そこに政権の「潔さ」がある。言葉での言い逃れが限界に来れば、政権トップは辞し、政権の大掃除をする。だが、今回の一連の政治がらみの問題に対する政権の姿勢は、これとは真逆で、言い逃れの連続ではないか。これほどの醜態を見せつけられては、もはや信頼関係は失せ、不信感ばかりが募り、この国に暮らす住人の義務さえ、怪しくなる。
     事は深刻だ。国政・県政・市町村政の繋がりは大切だ。だが、その信頼感が無ければ、その関係性さえ危うい。

    2024年2月10日号

  • 魚沼コシ「量は力」、JA魚沼始動

    十日町のキノコ、津南の高原野菜、ユリなど

    合併JA、1日発足

     全国トップブランド米『魚沼産コシヒカリ』の生産量50%余を取り扱う「JA魚沼」が今月1日に発足。魚沼エリア4JA(十日町、津南町、北魚沼、越後おぢや)が合併。県内13JAのうち、組合員数は県内3位(3月にJAえちご上越が合併・誕生すると県内4位)となるJA魚沼。本店機能と金融部と共済部は十日町、営農部は北魚沼、機械販売など行う経済部は越後おぢやが拠点となる。新JAの米販売総額は67億円。農産物販売額の4割を占める。
     初代経営管理委員会会長を務める柄澤和久氏(68、前JA十日町会長)と実務を取り仕切る代表理事理事長・大平透氏(61、前魚沼地区JA合併協議会事務局長)は25日に発足報告会見を十日町本店で開催。柄澤会長は「十日町のキノコ類、津南の高原野菜、津南と北魚沼のユリなどそれぞれのJAの特徴がある。稲作プラスアルファの複合営農を進める必要がある。それには組織基盤がゆるぎないものにしなければならない組合のため、地域のための農協のあり方を考える」。

    2024年2月3日号