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妻有新聞掲載記事一覧

  • 原発論議がなかった3月議会

     新年度4月から自治体が使う事業予算を決める3月議会が終わり、区切りよく来週月曜、4月1日から新年度がスタートする。政治の行方も気になるが、新年度の最大課題は「原発再稼働の是非」だろう。新潟県の花角知事は「信を問う」と、辞職を視野に知事選で再稼働の是非を問い、新潟県の意志を示す方針のようだ。その根拠は? と問うだろうが、国の経産省の動き、立地自治体の柏崎市、刈羽村の両議会の再稼働要請の請願採択など、再稼働問題を前に進める動きが具体化し、その後ろで花角知事がタイミングを見ている、そんな景色が見えてくる。
     真っ先に動いたのは原発が立地する柏崎市議会と刈羽村議会。地元経済団体が提出した原発再稼働を求める請願を、両議会とも3月議会で賛成多数で採択している。県や県議会に対し、花角知事に対して「早く進めろ」というアピールか。一方、新潟県議会は3月に経産省幹部が知事と面談し、再稼働要請を促したが、県議からは「なぜこのタイミングなのか、まだ早い」と疑義の声が出た。だが、県民世論を相当意識した発言であり、「出来レース」の声もある。県議会、特に自民系勢力が心底そう思っているなら、原発事故時の避難計画の遅れ、さらに冬季の避難確保など疑義が多い課題に、真正面から取り組む発言をすべきだろう。
     原発30㌔のUPZ圏に入る十日町市、さらに隣接する津南町、栄村の3月議会では、原発論議は聞かれなかった。新年度、相当な確度で原発再稼働が重要案件になることが濃厚のなかでも、議会の場での議論がなかったのは、住民代表の議員の感度のボリュームの低さを問いたい。関口市長はこれまでの議会答弁で「積雪地に原発はそぐわない」など、踏み込んだ発言をしている。地方自治体からの発信が県を動かし、国の目を向ける契機になる。
     事は、間近に迫っている。

    2024年3月30日号

  • 10年後『新設2~3校』提言

    専任教員増で1学年3学級確保、30年後『全市1校』

    十日町市立中学校再編答申

     『10年後に新設中学校2~3校で各学年3学級』、そして『30年後全市で1校』の答申がまとまった。5年前に出た十日町市中学校再編案への地域反発を受け、一昨年11月から再見直しを行ってきた「十日町市立中学校のあり方検討委員会」(委員長・雲尾周=新潟大教職大学院教授、25人)。最後となる第18回会議を行った19日、「より良い十日町市立中学校の想像と実現のために~十日町市立中学校のあり方についての提言」を渡辺正範教育長に答申。4項目14提言があり、注目の再編学校名の明記はないが、『10年後に新設の2~3中学校』と、前回より広域的な再編を求める一歩踏み込んだ内容になっている。提言は市ホームページでも公開予定。市中学校再編は、再び地域にボールが戻される。

    2024年3月23日号

  • 妻有巡る「チャドカン」、ラストラン

    キッチンカー・カレー店 来月7日、5年間の活動に幕

     香ばしくまろやかな風味が特徴で人気を集めているキッチンカー・カレー店『チャドカン』が来月7日、5年間の活動に幕を閉じる。妻有地域のイベント会場やコンビニ、公共施設の駐車場など様々な場所で店開きし人気を集めてきた。「本当に多くの皆さんから応援してもらいました」と店主の藤村真美子さん(40)。今月19日からはこれまでキッチンカーを受け入れてくれた会場を回る『ラストラン』。最後となるバングラディッシュカレーを届けている。

    2024年3月23日号

  • 『この自然、この民度、すごいね』

    河中 登さん(1956年生まれ)

     小高いブナ林から家を訪ねたようにカモシカの足跡が続く。14年ほど家主がいない空き家を十日町市西方(さいほう)に求めて4年。兵庫西宮時代に描いた「北国・雪国くらし」が実現。「このロケーション、風土、民度がいいですね。特に人がいい」。前住人は気象や雪氷の研究者で、こだわりの家を感じさせる造りだ。さらに手を加え、お気に入り空間に仕上げた。
     40年余り大手ドラッグストアに勤務。管理職時代に「北国、雪国に住みたい」と北海道から探し始めた。「関西人にとっては、青森より北海道よりイメージ的に遠い越後・新潟。そこに雪の魅力が加わった」。角部屋の両ガラス窓からブナ林越しに遠方の山並みが見え、突き出しの居間テラス前は雪原。カモシカやキツネの足跡が点々と絵を描く。
     天井まで吹き抜けの居間に響くJAZZ。「物心ついた時からJAZZだった。獣医の親父がずっと聞いていたから、中学高校で日野皓正やコルトレーンなどを聞き、以来ずっと聞いているが、クラシックにもはまってしまった」。名機のターンテーブル、アンプ、スピーカー、さらにレコード、CD数百枚は兵庫から運び、吹き抜け空間は最高の音響を創り出す。
     西宮時代から続けるモノづくり。建築用材や厚いアクリルなど使い「思いついたまま創る。やるぞーと向かうより、ふとした時にイメージがわくね」。藝大に進んだ娘から『オリジナルなブランドを作ったら』と言われ、使いたかった「空」を入れ『我空(がくう)』に。
     オリジナ
    ル創作品を展示販売するギャラリー&カフェ『設亮庵(せつりょうあん)』も西宮時代から。「ここの環境が良すぎて、イメージが湧かなくなっているので、ちょっと自分を痛めつけないと…」。それほど居心地が良い西方だ。
     この地の人たちの「人の良さ」を考えた。「この民度は、縄文人から来ているんじゃないかな。中世以降も農耕を通じてモノゴトをきちっとする勤勉さが根付いているのではと思う。十日町は着物産業で、外からの人を受け入れる素地ができており、それが大地の芸術祭に訪れる人たちを、すんなり受け入れる民度ができて、心地よい感じを出しているんじゃないかな」。
     「それに雪が大手資本を、結果的に入れなかったことも大きい。大手企業は豪雪地には参入しない。それが今のこの地域の良さを出している。人気の清津峡はあれだけ人が入っているので、大手資本が入ってもおかしくないが、大手が入ったらあの雰囲気は壊れてしまうだろうね」。
     地元の西方の米のうまさを実感している。「ここの米はうまいよ。作る人の人柄が出ているね」。美味い清水(しみず)が米を育てている。
    ◆バトンタッチします。
     「河田千穂さん」

    2024年3月23日号

  • 市町村で必要な情報共有に機会

    地域経済政策を考える

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     地域経済政策には、産業的な政策と福祉的な政策があり、産業的な政策は企業誘致、地場企業振興など、福祉的な政策は公共事業、生活関連サービスの充実などです。
     生活関連サービスは医療、介護、子育て、住宅、防災、まちづくり、学習などで、あらゆる市区町村に、おおよそ人口に比例した数の事務所が存在します。
     産業的な政策と福祉的な政策は、車の両輪の関係で、例えば、企業誘致の場合、少子化と高齢化が同時進行している現在、地域で働く人が少なくなっているため生活環境の整備が重視されます。人材不足は、地域社会を守る要の警察や消防、医療や介護の分野でもとなれば深刻です。
     話はとびますが、先日、日銀が17年ぶりに利上げを行い、その幅は大きくないですが、円高にふれるのが普通と思われたところ、会見で、当面、緩和的な金融環境が継続する旨の発言があり、逆に円安になりました。  会見での日銀総裁の発言は、円安になることを意図してのことだったのでしょうか? 日本経済にとって、円安はよいのか? 悪いのか? 世の中の意見は真っ二つです。
     円安がよいとした場合、その理由は、輸出企業のメリット、日本の土地代や人件費が相対的に安くなるので工場などの国内回帰が進むのではないかがあげられます。
     先ほどの話に戻って、もし、国内回帰で地方に工場が増えた場合、今の状況では働く人の取り合いが起きることが懸念されます。売り手市場が加速し賃金上昇につながるのだからよいという意見もあります。
     上記は一例ですが、今後の地域経済政策において、色々なことを想定しながら、いかにバランスのとれた政策を行なっていくか、そして、人口が減少する世の中になっても、安心して生活し子育てすることのできる地域を再構築できるのか…。
     分野的に再構築が進んでいるのは地域交通の分野だと思います。最近、国の審議会に出席すると、その話題が多く出るようになりました。デマンドバスやデマンドタクシーの運営は? 前より不便になるかもしれないが必要なルートと時間帯は? 地域全体での協力は? ボランティア的なものは? デジタルとアナログは? など、妻有地域では早くから挑戦を続けてこられていると思います。
     うまくいっていること、失敗したこと、悩んでいること、他の市区町村から情報共有を求められる機会が増えるのではないかと思います。

    2024年3月23日号

  • ミコアイサ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     別名がパンダガモ、顔の雰囲気がパンダに似ているから今はパンダガモの名前の方が判りやすいカモ…それにしても綺麗なカモで遠目で見ても存在が判る。
     本家のパンダはオスもメスも同じ体色と模様だが、そこはやはり鳥類、やはりオスの方が断然綺麗ですよ…。
     写真のようにほぼ純白の体に目の周りが黒い、体のあちこちに黒いラインが目を引きます。で、メスは茶色が多いので地味。
     本来は海に近い新潟市の鳥屋野潟や佐潟、上越市の朝日池などで多く見られるが、宮中のダムや信濃川でも時々姿を確認できる。
     この時期普通にいるマガモやコガモ、お馴染みのカルガモなどは潜水しないが、このアイサの仲間は潜水して餌を獲る。
     特にこのミコアイサは潜水して小魚を狙うというから水中の動きがよほど素早いのだと思う。
     まもなく北に帰ると思うがこの写真を見て一度見てみたいと思う方は海岸に近い潟に行ってみると良い。特に新潟の佐潟は見つけやすいと思うのだが。

    2024年3月23日号

  • 「雪国文化、次代に残すのは義務」

    にいがた観光カリスマ 村山達三さん

    集大成本『松代・松之山郷』発刊

     「先人が50年かけ苦労し開通したほくほく線。それがこの地の『観光』を教えてくれた。地域の歴史文化を残すのは我々の仕事。終活だと思って作った本」。にいがた観光カリスマであり、東部タクシー社長でNPOまつだい理事長の村山達三さん(79)は、販売開始した自著を語った。

    2024年3月23日号

  • この数字、「子育てしたい」妻有なのか

     4月採用の新入社員給与を月額40万円とする、そんなニュースが流れた。どこの話? と大きな疑問符が浮かんだが、現実に今春のこの国の話だ。春闘で労組要求を上回る増額回答が次々と出ている現実を見ると、この新入社員の月額40万円は、そんなに現実離れしている数字でもなさそうだ。だが、かけ離れている現実がある。
     十日町商工会議所調査の「令和5年度・第45回会員企業賃金統計調査」結果報告書がある。会員事業所で従業員5人以上の対象341社調査に対し、168社(対象従業員2884人)が回答。ほぼ全ての業種を網羅しており、最終学歴別の平均賃金も出ている。
     2023年4月分数値を求めた。回答の全体平均に十日町地域の低賃金の現況が見える。年齢39歳~40歳男性平均月額23万3090円、同女性19万506円。数値に偏りがあるだろうが、相当な低水準だ。全体平均の年収では39歳~40歳男性404万6220円、女性298万6951円。業種による差異はあるだろうが、月額給与を抑え、その年の業績を賞与に反映している実情が見えてくる。だが、男女格差は歴然だし、子育て世代にとって、この低水準は教育費捻出に大きく影響し、家計の大きな課題になっていることがうかがえる。
     では、子育てで最も教育費がかかる49歳~50歳はどうか。全体平均年収は男性456万3771円、女性341万9144円。10年間で50万円余の増額に留まり、年間5万円ほどの増額だけ。これでは高校卒後の進学がかなり危うく、大学進学では奨学金を求める傾向が増えている実情が、そのまま数字に出ている。
     人口減少が深刻だ。「子育てしたい」自治体なのか、である。地域の部分的な調査データだが、この現実はまさに妻有の現実だ。地域経済のテコ入れが急務だ。経済政策が聞こえてこない。

    2024年3月23日号

  • 「ラプンツェルの世界」現る

    第48回つなん雪まつり

    四国から来訪者も、入込9000人に減少

     〇…時折吹雪くなど悪天候だったが、スカイランタン打ち上げ時は空に星が見える状況となり、風は強かったが約2千個がゆっくりと冬空に舞った。第48回つなん雪まつりは9日開催。今回はメイン会場のニュー・グリーンピア津南の貸切予約があったため、前夜祭はなく一日限りの開催。入込は9千人(昨年前夜祭1500人、本祭1万1千人の計1万2千人)と減少している。

    2024年3月16日号

  • もみ殻資源化、バイオ燻炭に関心

    農水省9年間実証試験、「農業、一歩進める」

    十日町市東田沢

     コメどころで毎年大量に発生する「もみ殻」。産業廃棄物として処理に困る農家もいるなか、もみ殻を燻炭化し特殊な微生物を混ぜることにより肥料化する「高機能バイオ炭」を製造する実証実験が十日町市東田沢で始まっている。農林水産省と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)のグリーンイノベーション基金事業の一環の実証試験として行い、委託期間9年間のプロジェクトとなる。コメ農家にとっては厄介者のもみ殻が、土壌改良資材として地域に益をもたらす物に変化する可能性があり、関心を呼んでいる。

    2024年3月16日号

  • 原発論議がなかった3月議会

     新年度4月から自治体が使う事業予算を決める3月議会が終わり、区切りよく来週月曜、4月1日から新年度がスタートする。政治の行方も気になるが、新年度の最大課題は「原発再稼働の是非」だろう。新潟県の花角知事は「信を問う」と、辞職を視野に知事選で再稼働の是非を問い、新潟県の意志を示す方針のようだ。その根拠は? と問うだろうが、国の経産省の動き、立地自治体の柏崎市、刈羽村の両議会の再稼働要請の請願採択など、再稼働問題を前に進める動きが具体化し、その後ろで花角知事がタイミングを見ている、そんな景色が見えてくる。
     真っ先に動いたのは原発が立地する柏崎市議会と刈羽村議会。地元経済団体が提出した原発再稼働を求める請願を、両議会とも3月議会で賛成多数で採択している。県や県議会に対し、花角知事に対して「早く進めろ」というアピールか。一方、新潟県議会は3月に経産省幹部が知事と面談し、再稼働要請を促したが、県議からは「なぜこのタイミングなのか、まだ早い」と疑義の声が出た。だが、県民世論を相当意識した発言であり、「出来レース」の声もある。県議会、特に自民系勢力が心底そう思っているなら、原発事故時の避難計画の遅れ、さらに冬季の避難確保など疑義が多い課題に、真正面から取り組む発言をすべきだろう。
     原発30㌔のUPZ圏に入る十日町市、さらに隣接する津南町、栄村の3月議会では、原発論議は聞かれなかった。新年度、相当な確度で原発再稼働が重要案件になることが濃厚のなかでも、議会の場での議論がなかったのは、住民代表の議員の感度のボリュームの低さを問いたい。関口市長はこれまでの議会答弁で「積雪地に原発はそぐわない」など、踏み込んだ発言をしている。地方自治体からの発信が県を動かし、国の目を向ける契機になる。
     事は、間近に迫っている。

    2024年3月30日号

  • 10年後『新設2~3校』提言

    専任教員増で1学年3学級確保、30年後『全市1校』

    十日町市立中学校再編答申

     『10年後に新設中学校2~3校で各学年3学級』、そして『30年後全市で1校』の答申がまとまった。5年前に出た十日町市中学校再編案への地域反発を受け、一昨年11月から再見直しを行ってきた「十日町市立中学校のあり方検討委員会」(委員長・雲尾周=新潟大教職大学院教授、25人)。最後となる第18回会議を行った19日、「より良い十日町市立中学校の想像と実現のために~十日町市立中学校のあり方についての提言」を渡辺正範教育長に答申。4項目14提言があり、注目の再編学校名の明記はないが、『10年後に新設の2~3中学校』と、前回より広域的な再編を求める一歩踏み込んだ内容になっている。提言は市ホームページでも公開予定。市中学校再編は、再び地域にボールが戻される。

    2024年3月23日号

  • 妻有巡る「チャドカン」、ラストラン

    キッチンカー・カレー店 来月7日、5年間の活動に幕

     香ばしくまろやかな風味が特徴で人気を集めているキッチンカー・カレー店『チャドカン』が来月7日、5年間の活動に幕を閉じる。妻有地域のイベント会場やコンビニ、公共施設の駐車場など様々な場所で店開きし人気を集めてきた。「本当に多くの皆さんから応援してもらいました」と店主の藤村真美子さん(40)。今月19日からはこれまでキッチンカーを受け入れてくれた会場を回る『ラストラン』。最後となるバングラディッシュカレーを届けている。

    2024年3月23日号

  • 『この自然、この民度、すごいね』

    河中 登さん(1956年生まれ)

     小高いブナ林から家を訪ねたようにカモシカの足跡が続く。14年ほど家主がいない空き家を十日町市西方(さいほう)に求めて4年。兵庫西宮時代に描いた「北国・雪国くらし」が実現。「このロケーション、風土、民度がいいですね。特に人がいい」。前住人は気象や雪氷の研究者で、こだわりの家を感じさせる造りだ。さらに手を加え、お気に入り空間に仕上げた。
     40年余り大手ドラッグストアに勤務。管理職時代に「北国、雪国に住みたい」と北海道から探し始めた。「関西人にとっては、青森より北海道よりイメージ的に遠い越後・新潟。そこに雪の魅力が加わった」。角部屋の両ガラス窓からブナ林越しに遠方の山並みが見え、突き出しの居間テラス前は雪原。カモシカやキツネの足跡が点々と絵を描く。
     天井まで吹き抜けの居間に響くJAZZ。「物心ついた時からJAZZだった。獣医の親父がずっと聞いていたから、中学高校で日野皓正やコルトレーンなどを聞き、以来ずっと聞いているが、クラシックにもはまってしまった」。名機のターンテーブル、アンプ、スピーカー、さらにレコード、CD数百枚は兵庫から運び、吹き抜け空間は最高の音響を創り出す。
     西宮時代から続けるモノづくり。建築用材や厚いアクリルなど使い「思いついたまま創る。やるぞーと向かうより、ふとした時にイメージがわくね」。藝大に進んだ娘から『オリジナルなブランドを作ったら』と言われ、使いたかった「空」を入れ『我空(がくう)』に。
     オリジナ
    ル創作品を展示販売するギャラリー&カフェ『設亮庵(せつりょうあん)』も西宮時代から。「ここの環境が良すぎて、イメージが湧かなくなっているので、ちょっと自分を痛めつけないと…」。それほど居心地が良い西方だ。
     この地の人たちの「人の良さ」を考えた。「この民度は、縄文人から来ているんじゃないかな。中世以降も農耕を通じてモノゴトをきちっとする勤勉さが根付いているのではと思う。十日町は着物産業で、外からの人を受け入れる素地ができており、それが大地の芸術祭に訪れる人たちを、すんなり受け入れる民度ができて、心地よい感じを出しているんじゃないかな」。
     「それに雪が大手資本を、結果的に入れなかったことも大きい。大手企業は豪雪地には参入しない。それが今のこの地域の良さを出している。人気の清津峡はあれだけ人が入っているので、大手資本が入ってもおかしくないが、大手が入ったらあの雰囲気は壊れてしまうだろうね」。
     地元の西方の米のうまさを実感している。「ここの米はうまいよ。作る人の人柄が出ているね」。美味い清水(しみず)が米を育てている。
    ◆バトンタッチします。
     「河田千穂さん」

    2024年3月23日号

  • 市町村で必要な情報共有に機会

    地域経済政策を考える

    清水 裕理 (経済地理学博士)

     地域経済政策には、産業的な政策と福祉的な政策があり、産業的な政策は企業誘致、地場企業振興など、福祉的な政策は公共事業、生活関連サービスの充実などです。
     生活関連サービスは医療、介護、子育て、住宅、防災、まちづくり、学習などで、あらゆる市区町村に、おおよそ人口に比例した数の事務所が存在します。
     産業的な政策と福祉的な政策は、車の両輪の関係で、例えば、企業誘致の場合、少子化と高齢化が同時進行している現在、地域で働く人が少なくなっているため生活環境の整備が重視されます。人材不足は、地域社会を守る要の警察や消防、医療や介護の分野でもとなれば深刻です。
     話はとびますが、先日、日銀が17年ぶりに利上げを行い、その幅は大きくないですが、円高にふれるのが普通と思われたところ、会見で、当面、緩和的な金融環境が継続する旨の発言があり、逆に円安になりました。  会見での日銀総裁の発言は、円安になることを意図してのことだったのでしょうか? 日本経済にとって、円安はよいのか? 悪いのか? 世の中の意見は真っ二つです。
     円安がよいとした場合、その理由は、輸出企業のメリット、日本の土地代や人件費が相対的に安くなるので工場などの国内回帰が進むのではないかがあげられます。
     先ほどの話に戻って、もし、国内回帰で地方に工場が増えた場合、今の状況では働く人の取り合いが起きることが懸念されます。売り手市場が加速し賃金上昇につながるのだからよいという意見もあります。
     上記は一例ですが、今後の地域経済政策において、色々なことを想定しながら、いかにバランスのとれた政策を行なっていくか、そして、人口が減少する世の中になっても、安心して生活し子育てすることのできる地域を再構築できるのか…。
     分野的に再構築が進んでいるのは地域交通の分野だと思います。最近、国の審議会に出席すると、その話題が多く出るようになりました。デマンドバスやデマンドタクシーの運営は? 前より不便になるかもしれないが必要なルートと時間帯は? 地域全体での協力は? ボランティア的なものは? デジタルとアナログは? など、妻有地域では早くから挑戦を続けてこられていると思います。
     うまくいっていること、失敗したこと、悩んでいること、他の市区町村から情報共有を求められる機会が増えるのではないかと思います。

    2024年3月23日号

  • ミコアイサ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     別名がパンダガモ、顔の雰囲気がパンダに似ているから今はパンダガモの名前の方が判りやすいカモ…それにしても綺麗なカモで遠目で見ても存在が判る。
     本家のパンダはオスもメスも同じ体色と模様だが、そこはやはり鳥類、やはりオスの方が断然綺麗ですよ…。
     写真のようにほぼ純白の体に目の周りが黒い、体のあちこちに黒いラインが目を引きます。で、メスは茶色が多いので地味。
     本来は海に近い新潟市の鳥屋野潟や佐潟、上越市の朝日池などで多く見られるが、宮中のダムや信濃川でも時々姿を確認できる。
     この時期普通にいるマガモやコガモ、お馴染みのカルガモなどは潜水しないが、このアイサの仲間は潜水して餌を獲る。
     特にこのミコアイサは潜水して小魚を狙うというから水中の動きがよほど素早いのだと思う。
     まもなく北に帰ると思うがこの写真を見て一度見てみたいと思う方は海岸に近い潟に行ってみると良い。特に新潟の佐潟は見つけやすいと思うのだが。

    2024年3月23日号

  • 「雪国文化、次代に残すのは義務」

    にいがた観光カリスマ 村山達三さん

    集大成本『松代・松之山郷』発刊

     「先人が50年かけ苦労し開通したほくほく線。それがこの地の『観光』を教えてくれた。地域の歴史文化を残すのは我々の仕事。終活だと思って作った本」。にいがた観光カリスマであり、東部タクシー社長でNPOまつだい理事長の村山達三さん(79)は、販売開始した自著を語った。

    2024年3月23日号

  • この数字、「子育てしたい」妻有なのか

     4月採用の新入社員給与を月額40万円とする、そんなニュースが流れた。どこの話? と大きな疑問符が浮かんだが、現実に今春のこの国の話だ。春闘で労組要求を上回る増額回答が次々と出ている現実を見ると、この新入社員の月額40万円は、そんなに現実離れしている数字でもなさそうだ。だが、かけ離れている現実がある。
     十日町商工会議所調査の「令和5年度・第45回会員企業賃金統計調査」結果報告書がある。会員事業所で従業員5人以上の対象341社調査に対し、168社(対象従業員2884人)が回答。ほぼ全ての業種を網羅しており、最終学歴別の平均賃金も出ている。
     2023年4月分数値を求めた。回答の全体平均に十日町地域の低賃金の現況が見える。年齢39歳~40歳男性平均月額23万3090円、同女性19万506円。数値に偏りがあるだろうが、相当な低水準だ。全体平均の年収では39歳~40歳男性404万6220円、女性298万6951円。業種による差異はあるだろうが、月額給与を抑え、その年の業績を賞与に反映している実情が見えてくる。だが、男女格差は歴然だし、子育て世代にとって、この低水準は教育費捻出に大きく影響し、家計の大きな課題になっていることがうかがえる。
     では、子育てで最も教育費がかかる49歳~50歳はどうか。全体平均年収は男性456万3771円、女性341万9144円。10年間で50万円余の増額に留まり、年間5万円ほどの増額だけ。これでは高校卒後の進学がかなり危うく、大学進学では奨学金を求める傾向が増えている実情が、そのまま数字に出ている。
     人口減少が深刻だ。「子育てしたい」自治体なのか、である。地域の部分的な調査データだが、この現実はまさに妻有の現実だ。地域経済のテコ入れが急務だ。経済政策が聞こえてこない。

    2024年3月23日号

  • 「ラプンツェルの世界」現る

    第48回つなん雪まつり

    四国から来訪者も、入込9000人に減少

     〇…時折吹雪くなど悪天候だったが、スカイランタン打ち上げ時は空に星が見える状況となり、風は強かったが約2千個がゆっくりと冬空に舞った。第48回つなん雪まつりは9日開催。今回はメイン会場のニュー・グリーンピア津南の貸切予約があったため、前夜祭はなく一日限りの開催。入込は9千人(昨年前夜祭1500人、本祭1万1千人の計1万2千人)と減少している。

    2024年3月16日号

  • もみ殻資源化、バイオ燻炭に関心

    農水省9年間実証試験、「農業、一歩進める」

    十日町市東田沢

     コメどころで毎年大量に発生する「もみ殻」。産業廃棄物として処理に困る農家もいるなか、もみ殻を燻炭化し特殊な微生物を混ぜることにより肥料化する「高機能バイオ炭」を製造する実証実験が十日町市東田沢で始まっている。農林水産省と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)のグリーンイノベーション基金事業の一環の実証試験として行い、委託期間9年間のプロジェクトとなる。コメ農家にとっては厄介者のもみ殻が、土壌改良資材として地域に益をもたらす物に変化する可能性があり、関心を呼んでいる。

    2024年3月16日号